金利上昇が住宅ローンに与える影響:返済額の変化と対策を徹底解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/18

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金利上昇が住宅ローンに与える影響:なぜ今、対策が必要なのか

住宅ローンを借り入れている方、またはこれから借入を検討している方にとって、「金利上昇」は見逃せないリスクです。特に変動金利型住宅ローンを利用している方は、金利上昇により返済額が増加する可能性があります。

この記事では、金利上昇が住宅ローンに与える影響、具体的な返済額シミュレーション、金利上昇時の対策(借り換え・繰上返済・固定金利切替)を解説します。みずほ銀行、三井住友信託銀行、SBI新生銀行、住宅金融支援機構等の公式情報を元にしています。

金利上昇のメカニズムを理解し、早めの対策を講じることで、返済負担を軽減できるようになります。

この記事のポイント

  • 2024年3月に日銀がマイナス金利政策を解除、7月と2025年1月に追加利上げを実施
  • 経済学者の予測では、政策金利は2026年末までに約1.1%まで上昇する可能性
  • 借入額3000万円・返済期間35年の場合、金利1%上昇で月々の返済額は約14,000円増、総返済額は約590万円増加
  • 変動金利には5年ルール・125%ルールがあるが、総返済額は増加する
  • 金利上昇時の対策として、借り換え・繰上返済・固定金利切替を検討し、専門家への相談を推奨

(1) 2024年3月のマイナス金利解除と追加利上げ

2024年3月、日本銀行は2016年から続けてきたマイナス金利政策を解除しました。さらに、2024年7月と2025年1月に追加利上げを実施し、政策金利を引き上げています。これにより、住宅ローン金利も上昇傾向にあります。

(2) 2025年以降の金利上昇見通し:政策金利1.1%まで上昇の可能性

経済学者の予測によると、政策金利は2026年末までに約1.1%まで上昇する可能性があります。これは、日本経済のインフレ率上昇や賃金上昇を受けた金融政策の正常化によるものです。

金利動向の予測は困難ですが、金利上昇のリスクを認識し、早めの対策を検討することが重要です。

(3) 変動金利・固定金利ともに上昇傾向

2025年4月の変動金利は0.15%~0.35%上昇し、多くの金融機関で0.4~0.5%程度になりました。固定金利も上昇傾向で、2025年2月の10年固定金利は前月比0.06~0.25%引き上げられています。

変動金利・固定金利ともに上昇傾向にあるため、住宅ローンの借入や借り換えを検討する際は、最新の金利動向を確認することが重要です。

金利上昇のメカニズム:日銀の政策金利と住宅ローン金利の関係

(1) 短期プライムレートと変動金利の連動

住宅ローンの変動金利は、短期プライムレート(銀行が優良企業に短期で貸し出す際の最優遇金利)に連動しています。短期プライムレートは、日本銀行の政策金利や市場金利の影響を受けます。

日本銀行が政策金利を引き上げると、短期プライムレートも上昇し、住宅ローンの変動金利も上昇します。

(2) 長期金利と固定金利の連動

住宅ローンの固定金利は、長期金利(10年国債利回り等)に連動しています。長期金利は、将来の経済成長率やインフレ率の予測、海外金利の影響を受けます。

日本銀行の金融政策が正常化すると、長期金利も上昇し、固定金利も上昇します。

(3) 日銀の金融政策決定会合と金利動向

日本銀行は年8回の金融政策決定会合で政策金利を決定します。会合の結果や日銀総裁の発言は、住宅ローン金利に直接的な影響を与えます。

金利上昇の予兆を見逃さないために、日銀の金融政策決定会合や政策金利の動向を定期的にチェックすることを推奨します。

返済額への影響試算:金利1%上昇時の具体的なシミュレーション

(1) 借入額3000万円・返済期間35年のケース

金利上昇が返済額に与える影響を、具体的なシミュレーションで確認しましょう。以下の条件で試算します。

  • 借入額:3000万円
  • 返済期間:35年(420回)
  • 返済方法:元利均等返済

(2) 金利0.5%から1.5%への上昇時の返済額増加

金利が0.5%から1.5%に上昇した場合の返済額は以下の通りです。

金利 月々の返済額 年間返済額
0.5% 約77,875円 約934,500円
1.5% 約91,855円 約1,102,260円
増加額 約14,000円 約167,760円

金利が1%上昇すると、月々の返済額は約14,000円、年間で約168,000円増加します。

(3) 総返済額の増加:利息負担の変化

総返済額(元金+利息)の変化は以下の通りです。

金利 総返済額 利息総額
0.5% 約3,270万円 約270万円
1.5% 約3,860万円 約860万円
増加額 約590万円 約590万円

金利が1%上昇すると、総返済額は約590万円増加します。これは利息負担の増加によるものです。

(4) 月々の返済額増加が家計に与える影響

月々14,000円の返済額増加は、家計に大きな影響を与えます。年間では約168,000円の負担増となり、教育費や老後資金の準備に影響する可能性があります。

金利上昇リスクを認識し、早めの対策を講じることが重要です。

変動金利の仕組み:5年ルール・125%ルール・未払利息のリスク

(1) 5年ルール:返済額は5年間変わらない

変動金利型住宅ローンには、5年ルールという仕組みがあります。金利が見直されても、返済額は5年間据え置かれます。金利上昇時は元金と利息の割合が変わり、元金返済が遅れる可能性があります。

5年ルールは、金利変動による返済額の急激な変化を防ぎ、借入者の家計負担を安定させるための仕組みです。

(2) 125%ルール:返済額の上限は従前の1.25倍

5年経過後に返済額が見直される際も、125%ルールにより、従前の返済額の1.25倍(125%)を超えないように調整されます。

例えば、従前の返済額が月10万円の場合、見直し後の返済額は最大12.5万円(125%)までに制限されます。

(3) 未払利息のリスク:元金が減らない可能性

急激な金利上昇時には、利息部分が返済額を上回り、支払えなかった利息(未払利息)が積み上がる可能性があります。未払利息が発生すると、元金返済が進まず、返済期間が延びるリスクがあります。

未払利息は5年ルール・125%ルールの副作用であり、金利急騰時には注意が必要です。

(4) 5年ルール・125%ルールがあっても総返済額は増加する

5年ルール・125%ルールは、返済額の急激な変化を緩和する仕組みですが、総返済額は増加します。金利上昇時には、元金と利息の割合が変わり、元金返済が遅れるためです。

5年ルール・125%ルールがあっても、金利上昇リスクを過小評価せず、早めの対策を講じることが重要です。

金利上昇時の具体的な対策:借り換え・繰上返済・固定金利切替

(1) 借り換えのメリット・デメリット:手数料とのバランス

メリット:

  • 他行のより有利な金利条件を選べる
  • 返済総額を削減できる可能性
  • 変動金利から固定金利への変更も可能

デメリット:

  • 借り換え手数料(事務手数料、登記費用、印紙税等)が発生
  • 審査が必要(年齢、収入、健康状態等)
  • 手数料を含めた総合的なシミュレーションが必須

借り換えを検討する際は、金利差と手数料を総合的にシミュレーションし、メリットが上回る場合に実行を推奨します。

(2) 繰上返済の効果:返済額軽減型と期間短縮型

繰上返済には、返済額軽減型と期間短縮型の2種類があります。

種類 効果 向いているケース
返済額軽減型 月々の返済額を減らす 家計の負担を軽減したい場合
期間短縮型 返済期間を短縮し、利息総額を大きく減らす 余裕資金があり、総返済額を減らしたい場合

繰上返済は元金を減らせるため、金利上昇時の利息負担を軽減できます。ただし、手元資金が減少するため、緊急時の備えとのバランスを考慮する必要があります。

(3) 固定金利への切替タイミング:金利差の検討

金利上昇リスクを避けたい場合は、変動金利から固定金利(全期間固定型、固定金利選択型)への切替を検討できます。

固定金利への切替タイミングは、以下の要素を考慮します。

  • 変動金利と固定金利の金利差
  • 今後の金利上昇予測
  • 返済期間(残り返済期間が長いほど固定金利が有利)
  • ライフプラン(収入の安定性、家計の余裕等)

ただし、固定金利も上昇傾向にあるため、早めの切替が有利な場合があります。ファイナンシャルプランナーへの相談を推奨します。

(4) 日銀の金融政策を定期的にチェックする

金利上昇の予兆を見逃さないために、日銀の金融政策決定会合や政策金利の動向を定期的にチェックすることを推奨します。日銀の公式サイトや金融ニュースで最新情報を確認しましょう。

まとめ:金利動向を見据えた返済計画の立て方と専門家への相談

金利上昇は、住宅ローンの返済額に大きな影響を与えます。2024年3月のマイナス金利解除以降、日銀は金融政策の正常化を進めており、今後も金利上昇の可能性があります。

借入額3000万円・返済期間35年の場合、金利が1%上昇すると、月々の返済額は約14,000円増、総返済額は約590万円増加します。変動金利には5年ルール・125%ルールがありますが、総返済額は増加します。

金利上昇時の対策として、借り換え・繰上返済・固定金利切替を検討し、手数料・諸費用を含めた総合的なシミュレーションを行いましょう。金利動向の予測は困難であり、ファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーへの相談を推奨します。

金融機関の公式サイトで最新の金利情報を確認し、自分に合った返済計画を立てましょう。

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よくある質問

Q1金利が1%上昇すると返済額はどれくらい増えますか?

A1借入額3000万円・返済期間35年の場合、金利0.5%→1.5%で月々の返済額は約77,875円から約91,855円に増加(月約14,000円増)します。年間では約168,000円の負担増です。総返済額は約590万円増加し、これは利息負担の増加によるものです。金利上昇は家計に大きな影響を与えるため、早めの対策を検討することが重要です。

Q2変動金利から固定金利に変更すべきタイミングはいつですか?

A2金利上昇の予兆(日銀の利上げ政策等)が見られたら検討のタイミングです。ただし固定金利も上昇するため、変動金利との金利差・手数料を総合的にシミュレーションする必要があります。残り返済期間が長いほど固定金利が有利な傾向があります。金利動向の予測は困難なため、ファイナンシャルプランナーに相談することを推奨します。

Q3借り換えと繰上返済、どちらを優先すべきですか?

A3借り換えは金利差が大きい場合に有効ですが、手数料が高額(事務手数料、登記費用等で数十万円)になります。繰上返済は元金を減らせますが、手元資金が減少します。両者のメリット・デメリットを比較シミュレーションし、専門家に相談して判断することを推奨します。一般的には、金利差が0.5%以上ある場合や残債が多い場合は借り換えが有利とされています。

Q45年ルール・125%ルールがあれば金利上昇を心配する必要はないですか?

A4いいえ。5年ルール・125%ルールは返済額の急激な変化を緩和するだけで、総返済額は増加します。金利上昇時は元金と利息の割合が変わり、元金返済が遅れます。また、急激な金利上昇時には未払利息が発生し、元金が減らない可能性があります。5年ルール・125%ルールがあっても、金利上昇リスクを過小評価せず、早めの対策を講じることが重要です。

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Room Match編集部

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