住宅ローンと保険|団信と火災保険、生命保険の関係を解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/22

住宅ローンと保険|なぜ複数の保険が必要なのか

住宅ローンを組む際、「団信って何?」「火災保険は必須なの?」「既存の生命保険はどうすればいいの?」と疑問を感じる方は少なくありません。

この記事では、住宅ローン契約時に必要な保険の種類、それぞれの役割の違い、保険料の目安、既存の生命保険との関係を、住宅金融支援機構や各金融機関の公式情報を元に解説します。

初めてマイホームを購入する方でも、必要な保険を正確に理解し、無駄なく適切な保障を選べるようになります。

この記事のポイント

  • 住宅ローン契約時には団信(団体信用生命保険)・火災保険の加入がほぼ必須
  • 団信の保険料は通常住宅ローン金利に含まれ別途負担なし、特約付きは0.1~0.3%の金利上乗せ
  • 火災保険の相場は年間5万円前後、長期契約や複数社比較で保険料を抑えられる
  • 団信と既存の生命保険の保障内容が重複しないよう見直すことで、保険料を節約できる

1. 住宅ローンと保険の関係|なぜ複数の保険が必要なのか

(1) 住宅ローン契約に伴う3つの保険(団信・火災保険・生命保険)

住宅ローンを組む際、主に以下の3つの保険が関わってきます。

保険の種類 目的 加入の必要性
団体信用生命保険(団信) 契約者の死亡・高度障害時にローン残高を完済 ほとんどの金融機関で必須
火災保険 火災・水害等による建物の損害を補償 ほとんどの金融機関で必須
生命保険(既存) 遺族の生活費・教育費等を保障 任意(見直し推奨)

(2) それぞれの保険がカバーするリスクの違い

これらの保険は、それぞれ異なるリスクをカバーします。

  • 団信: 住宅ローン残高の完済のみ(遺族の生活費はカバーしない)
  • 火災保険: 建物・家財の損害(地震被害は対象外)
  • 生命保険: 遺族の生活費・教育費など幅広い保障

このため、住宅ローン契約時には複数の保険を組み合わせて備える必要があります。

2. 団体信用生命保険(団信)の基礎知識

(1) 団信とは|住宅ローン専用の生命保険

団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローン契約者が死亡または高度障害状態になった際に、保険金でローン残高を完済する生命保険です。

住宅金融支援機構によると、団信に加入することで、万が一のことがあっても家族にローンの返済負担が残らないようにできます。

ほとんどの金融機関で加入が必須条件となっています。

(2) 団信の種類(普通団信・ワイド団信・3大疾病・8大疾病保障)

団信には以下のような種類があります。

団信の種類 保障内容 金利上乗せ
普通団信(一般団信) 死亡・高度障害のみ なし(金利に含まれる)
ワイド団信 引受条件緩和型(健康上の理由で一般団信に加入できない人向け) +0.2~0.3%
3大疾病保障付き団信 がん・脳卒中・急性心筋梗塞 +0.1~0.3%
8大疾病保障付き団信 3大疾病+高血圧症・糖尿病・腎疾患・肝疾患・慢性膵炎 +0.2~0.3%

(出典: 三井住友銀行

(3) 団信の保険料の仕組み(金利に含まれる/特約で上乗せ)

普通団信の保険料は、住宅ローン金利に含まれており、別途負担する必要はありません。

一方、3大疾病保障などの特約を付ける場合は、年0.1~0.3%の金利上乗せが発生します。

りそなグループによると、保険料相当額は住宅ローンの返済額に組み込まれる形で支払うため、総返済額への影響を事前に試算することが重要です。

(4) 団信加入時の注意点(加入後の変更不可・支払い条件の確認)

団信には以下の注意点があります。

  • 加入後の変更・解約ができない: 住宅ローン契約時のみ加入可能
  • 保険金支払い条件は金融機関により異なる: 同じ名称でも細かい条件が違う
  • 万能ではない: 例えば、がん団信でも交通事故による入院は保障されない

このため、契約前に複数の金融機関を比較し、保障内容や支払い条件をしっかり確認することが推奨されます。

3. 火災保険・地震保険の必要性と相場

(1) 火災保険はほぼ必須|金融機関の加入条件

ほとんどの金融機関が、住宅ローン契約時に火災保険への加入を必須としています。

これは、火災や水害で建物が損壊した場合でも、ローン返済が滞らないようにするためです。

(2) 火災保険の保険料相場(年間5万円前後)

みずほ銀行によると、火災保険の保険料は年間5万円前後が目安です。

ただし、建物の構造(木造・鉄骨造等)、所在地、補償内容により変動します。

(3) 地震保険の併用検討(火災保険では地震被害をカバーしない)

火災保険は、地震・噴火・津波による被害をカバーしません。

地震の多い日本では、地震保険への併用加入も検討すべきです。

(4) 保険料を抑えるコツ(複数社比較・長期契約・免責金額設定)

火災保険の保険料を抑えるには、以下の方法があります。

  • 複数社の見積もり比較: 同じ補償内容でも保険料に差がある
  • 5~10年の長期契約: 割引が適用される
  • 不要な補償を外す: 例えば、マンション高層階では水災補償を外せる場合がある
  • 免責金額の設定: 自己負担額を設定することで保険料を抑えられる

4. 既存の生命保険との関係と見直しのポイント

(1) 団信と生命保険の保障内容の重複確認

団信に加入すると、住宅ローン残高分の保障が追加されるため、既存の生命保険と保障内容が重複する可能性があります。

例えば、遺族の生活費として3,000万円の生命保険に加入している場合、団信加入後は住宅費の心配がなくなるため、保険金額を減らせる場合があります。

(2) 生命保険を完全に解約しない理由

ただし、ゼクシィ保険ショップによると、団信は住宅ローン残高のみを保障するため、遺族の生活費・教育費等はカバーされません。

このため、既存の生命保険を完全に解約するのは推奨されません。

(3) 保障の見直しで保険料を節約する方法

以下のステップで見直しを行うことで、保険料を節約しながら幅広いリスクに備えられます。

  1. 現在の生命保険の保障内容を確認
  2. 団信の保障内容と比較し、重複部分を洗い出す
  3. 重複部分を減額または解約
  4. 必要に応じてファイナンシャルプランナーに相談

5. 保険料の目安と総返済額への影響

(1) 普通団信の保険料(金利に含まれ別途負担なし)

普通団信の保険料は、住宅ローン金利に含まれているため、別途支払う必要はありません。

(2) 特約付き団信の金利上乗せ幅(0.1~0.3%)

3大疾病保障などの特約を付ける場合、年0.1~0.3%の金利上乗せが発生します。

シミュレーション例(借入額3,000万円、返済期間35年、金利1.0%の場合)

団信の種類 金利上乗せ 総返済額の増加
普通団信 なし -
3大疾病保障 +0.2% 約120万円
8大疾病保障 +0.3% 約180万円

特約を付ける場合は、総返済額への影響を試算してから選択することが重要です。

(3) 火災保険料の長期契約による割引効果

火災保険は、5~10年の長期契約にすることで割引が適用されます。

例えば、年間5万円の保険料が10年契約で45万円(1割引)になるケースもあります。

(4) 保険料込みの総返済額シミュレーション例

住宅ローン3,000万円(金利1.0%、35年返済)の場合、保険料込みの総費用は以下のようになります。

項目 金額
住宅ローン総返済額 約3,557万円
団信保険料(普通団信) 金利に含まれる(別途負担なし)
火災保険(10年一括) 約45万円
合計 約3,602万円

※3大疾病保障付き団信を選んだ場合、総返済額は約3,677万円になります。

6. まとめ:住宅ローン契約時の保険選びのステップ

住宅ローンと保険は密接に関係しており、適切な保障を選ぶことで、万が一のリスクに備えながら保険料を最適化できます。

(1) ステップ1:団信の種類と保障内容を複数の金融機関で比較

同じ名称の団信でも、保険金支払い条件や金利上乗せ幅は金融機関により異なります。複数の金融機関を比較検討しましょう。

(2) ステップ2:火災保険・地震保険の見積もり比較

複数の保険会社から見積もりを取り、補償内容と保険料を比較します。地震保険の必要性も併せて検討しましょう。

(3) ステップ3:既存の生命保険を見直す

団信と生命保険の保障内容を確認し、重複部分を見直すことで、保険料を節約できます。

(4) ステップ4:専門家(FP等)への相談を検討

複雑な保険の組み合わせについては、ファイナンシャルプランナー等の専門家への相談も有効です。

信頼できる金融機関や専門家に相談しながら、無理のない資金計画と適切な保障を設計しましょう。

よくある質問

Q1団体信用生命保険(団信)は必須ですか?

A1ほとんどの金融機関で加入が必須です。フラット35など一部のローンでは任意ですが、万が一のことがあると家族がローンの返済を引き継ぐことになるため、加入を強く推奨します。団信に加入していれば、契約者が死亡または高度障害状態になった際に、保険金でローン残高が完済されます。

Q2団信の保険料はいくらかかりますか?

A2普通団信の保険料は住宅ローン金利に含まれており、別途負担する必要はありません。ただし、3大疾病保障などの特約を付ける場合は、金利が0.1~0.3%上乗せされます。例えば、3,000万円の借入で金利0.2%上乗せの場合、35年間で約120万円の総返済額増加となります。

Q3火災保険の相場はどれくらいですか?

A3年間5万円前後が目安です。建物の構造・所在地・補償内容により変動します。5年~10年の長期契約にすると割引が適用され、複数社の見積もり比較で保険料を抑えられます。例えば、年間5万円の保険料が10年契約で45万円(1割引)になるケースもあります。

Q4団信に加入したら生命保険は解約していいですか?

A4完全に解約するのは推奨されません。団信は住宅ローン残高のみを保障し、生活費等はカバーしないためです。団信と生命保険の保障内容を確認し、重複部分を見直すことで保険料を節約しながら幅広いリスクに備えられます。ファイナンシャルプランナーへの相談も有効です。

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Room Match編集部

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