4000万円の住宅ローンの月々の返済額:金利・返済期間別シミュレーション
4000万円の住宅ローンを組む場合、月々の返済額は金利と返済期間によって大きく異なります。
ここでは、金利0.5%〜1.5%、返済期間25年〜35年のパターンで、元利均等返済(毎月の返済額が一定の返済方法)を前提にシミュレーションします。
(1) 35年ローンの場合の返済額(金利0.5%〜1.5%)
35年ローンで4000万円を借りた場合、金利によって月々の返済額は以下のようになります。
| 金利 | 月々の返済額 | 総返済額 |
|---|---|---|
| 0.5% | 約103,000円 | 約4,330万円 |
| 1.0% | 約113,000円 | 約4,750万円 |
| 1.5% | 約123,000円 | 約5,170万円 |
金利が0.5%上がるごとに、月々の返済額は約1万円増加します。金利1.0%と1.5%を比較すると、35年間で総返済額に約420万円の差が生まれます。
(2) 25年・30年ローンの場合の返済額
返済期間を短縮することで、総返済額を抑えることができます。
金利1.0%の場合の比較
| 返済期間 | 月々の返済額 | 総返済額 |
|---|---|---|
| 25年 | 約151,000円 | 約4,530万円 |
| 30年 | 約129,000円 | 約4,640万円 |
| 35年 | 約113,000円 | 約4,750万円 |
返済期間を35年から25年に短縮すると、月々の返済額は約3.8万円増えますが、総返済額は約220万円削減できます。
(3) 元利均等返済と元金均等返済の違い
住宅ローンの返済方法には、「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。
- 元利均等返済: 毎月の返済額が一定。返済計画が立てやすいが、総利息がやや高め
- 元金均等返済: 毎月の元金返済額が一定。初期の返済額が高いが、総利息は少ない
一般的には元利均等返済が選ばれることが多いですが、初期の返済負担に余裕がある場合は元金均等返済も検討する価値があります。
4000万円のローンを組むための年収条件:返済負担率の目安
住宅ローンを無理なく返済するためには、年収に対する返済額の割合(返済負担率)を適切に保つことが重要です。
(1) 推奨世帯年収は600万円以上
4000万円の住宅ローンを組むには、世帯年収600万円以上が推奨されます。年収に対する借入金額の目安は6〜7倍とされており、年収600万円の場合は3,600万〜4,200万円が借入可能額の範囲となります。
(2) 返済負担率の計算方法(審査基準30〜35% vs. 無理なく返済できる目安20〜25%)
返済負担率は以下の計算式で求められます。
返済負担率(%) = 年間返済額 ÷ 年収 × 100
金融機関の審査基準では返済負担率30〜35%が上限とされていますが、無理なく返済できる目安は20〜25%です。審査に通ったからといって、安心して借りられる金額とは限りません。
(3) 年収500万・600万・700万円の場合の返済負担率シミュレーション
金利1.0%、35年ローンで4000万円を借りた場合(月々約113,000円、年間約136万円)の返済負担率を計算します。
| 年収 | 返済負担率 | 評価 |
|---|---|---|
| 500万円 | 27.2% | やや負担が大きい |
| 600万円 | 22.7% | 適正範囲内 |
| 700万円 | 19.4% | 余裕あり |
年収600万円の場合、返済負担率は22.7%となり、無理なく返済できる目安(20〜25%)に収まります。一方、年収500万円では27.2%となり、やや負担が大きくなります。
(4) 頭金の推奨額(購入価格の20%、4000万円なら800万円)
頭金は購入価格の20%が推奨されます。4000万円の物件を購入する場合、800万円の頭金を用意することで、借入額を3,200万円に抑えられます。
頭金を多く用意することで、月々の返済額を減らし、総利息も削減できます。
月々10万円の返済はきつい?年収別の家計への影響
「住宅ローン 月々10万 きつい」という検索が増加しており、多くの方が返済負担に不安を感じています。
(1) 年収700万円でようやく無理なく返済可能
月々10万円(年間120万円)の返済を無理なく続けるには、年収700万円程度が必要です。返済負担率で計算すると以下のようになります。
| 年収 | 返済負担率(月10万円) |
|---|---|
| 500万円 | 24.0% |
| 600万円 | 20.0% |
| 700万円 | 17.1% |
年収600万円で返済負担率20%、年収700万円で17.1%となり、無理なく返済できる範囲に収まります。
(2) 手取り収入の20〜25%が無理なく返済できる返済負担率の目安
ここで注意したいのは、返済負担率は「額面年収」ではなく「手取り収入」で計算するのが実態に即しているという点です。
額面年収600万円の場合、手取りは約450万円程度(社会保険料・税金を差し引いた後)です。月々10万円(年間120万円)の返済を手取りで計算すると、返済負担率は約26.7%となり、やや負担が大きくなります。
(3) 共働き前提のローンのリスク(出産・育児で片方が退職すると返済困難)
共働き世帯の場合、二人の年収を合算してローンを組むことができますが、以下のリスクを考慮する必要があります。
- 出産・育児による退職: 片方が退職すると世帯年収が半減し、返済が困難になる
- 収入減少: 育児休業中は給付金で収入が一部補填されるが、通常の給与より減少する
共働き前提のローンを組む場合は、片方の収入だけでも返済可能かシミュレーションしておくことが重要です。
(4) 生活費・教育費のウエイトが高い場合の注意点
月々10万円の返済がきついと感じる理由の一つは、生活費や教育費のウエイトが高い家計です。
- 都市部の生活費: 住宅ローン以外に食費・水道光熱費・通信費等で月々15〜20万円以上必要
- 教育費: 子供が私立学校や習い事に通う場合、月々数万円〜十数万円の支出
家計全体のバランスを見て、無理のない返済計画を立てることが大切です。
他のローン額との比較:2000万円・3500万円・5000万円・7000万円
4000万円以外のローン額も比較して、自分に適した借入額を見極めましょう。以下は金利1.0%、35年ローンの場合の試算です。
(1) 2000万円ローンの月々返済額と必要年収
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 月々の返済額 | 約56,500円 |
| 年間返済額 | 約68万円 |
| 推奨年収 | 300万円以上 |
| 返済負担率(年収300万円) | 22.7% |
2000万円のローンであれば、年収300万円でも無理なく返済可能です。
(2) 3500万円ローンの月々返済額と必要年収
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 月々の返済額 | 約99,000円 |
| 年間返済額 | 約119万円 |
| 推奨年収 | 500万円以上 |
| 返済負担率(年収500万円) | 23.8% |
年収500万円であれば、3500万円のローンが適正範囲です。
(3) 5000万円ローンの月々返済額と必要年収
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 月々の返済額 | 約141,000円 |
| 年間返済額 | 約169万円 |
| 推奨年収 | 750万円以上 |
| 返済負担率(年収750万円) | 22.5% |
5000万円のローンを組むには、年収750万円以上が推奨されます。
(4) 7000万円ローンの月々返済額と必要年収
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 月々の返済額 | 約197,000円 |
| 年間返済額 | 約236万円 |
| 推奨年収 | 1,000万円以上 |
| 返済負担率(年収1,000万円) | 23.6% |
7000万円のローンは、年収1,000万円以上の世帯が対象となります。
返済額を抑えるコツと注意点:変動金利・固定金利の選び方
住宅ローンの返済額を抑えるには、金利タイプの選択や繰上返済の活用が重要です。
(1) 変動金利のメリット・デメリット(2025年5月時点で年0.60%前後)
メリット
- 固定金利より金利が低い(2025年5月時点で年0.60%前後)
- 金利が下がれば返済額も減少する
デメリット
- 金利上昇リスクがある(2024年から上昇傾向)
- 将来の返済額が確定しないため、長期的な資金計画が立てにくい
変動金利は、短期間で完済予定の方や、金利上昇時に繰上返済できる余裕がある方に向いています。
(2) 固定金利のメリット・デメリット(2025年5月時点で年1.82%)
メリット
- 借入時の金利が全期間固定される(フラット35など)
- 金利上昇リスクがなく、長期的な返済計画が立てやすい
デメリット
- 変動金利より金利が高い(2025年5月時点で年1.82%)
- 金利が下がっても返済額は変わらない
固定金利は、長期的な安心を重視する方や、金利上昇リスクを避けたい方に向いています。
(3) 2024年の金利変動(17年ぶりに変動金利が引き上げ)
2024年は、およそ17年ぶりに大手銀行で住宅ローンの変動金利が引き上げられました。これまで低金利が続いていましたが、金利上昇局面に入った可能性があります。
(4) 2025年以降の金利動向(変動・固定ともに上昇の可能性)
2025年1月の日銀の利上げを受け、約6割の方が借入額の減額や固定金利タイプへの見直しを検討しています。2025年以降も住宅ローン金利は変動・固定ともに上昇する可能性があるため、金利動向を定期的に確認することが重要です。
(5) 繰上返済と借り換えの活用
繰上返済
- 元金を前倒しで返済することで、総利息を削減できる
- 「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類がある
借り換え
- 金利が下がった場合や、固定金利への切り替え時に検討
- 借り換え手数料(数十万円)がかかるため、メリットを試算してから実行
まとめ:無理のない返済計画を立てるために
4000万円の住宅ローンを組む場合、月々の返済額は金利1.0%・35年ローンで約113,000円が目安です。世帯年収600万円以上が推奨され、返済負担率は20〜25%に抑えることで、無理なく返済できます。
月々10万円の返済は、年収700万円でようやく無理なく返済可能です。共働き前提のローンを組む場合は、片方が退職した場合のリスクも考慮しましょう。
変動金利と固定金利はそれぞれメリット・デメリットがあります。2024年から金利が上昇傾向にあるため、金利動向を定期的に確認し、必要に応じて借り換えや繰上返済を活用することが大切です。
最終的な借入可否は金融機関の審査次第です。ファイナンシャルプランナーや金融機関に相談しながら、無理のない資金計画を立てましょう。
