令和5年住宅・土地統計調査とは?最新結果を解説
「令和5年住宅・土地統計調査」の結果が知りたいけれど、どこで見られるのか、どう読み解けばよいのかわからない方も多いでしょう。
この記事では、総務省統計局が公表した令和5年調査の概要、主要データ、活用方法を解説します。
不動産取引や市場分析に活用できる公的統計の見方がわかります。
この記事のポイント
- 令和5年調査は2023年10月1日時点のデータ(5年ごとに実施、16回目)
- 総住宅数6,502万戸、空き家900.2万戸で過去最高
- 空き家率13.8%も過去最高を更新
- e-Statで全国・都道府県・市区町村別データをダウンロード可能
- 不動産取引・住宅政策の基礎データとして活用できる
令和5年住宅・土地統計調査とは
住宅・土地統計調査の基本情報を整理します。
5年ごとに実施される国の基本統計
住宅・土地統計調査は、総務省統計局が5年ごとに実施する国の基本統計です。1948年から開始され、令和5年調査で16回目となります。
日本国内の住宅ストック(住宅数、空き家数、住宅の種類等)や土地利用の実態を把握するために行われています。
調査の目的と対象
調査対象は、全国から無作為抽出された約370万世帯です。インターネット、郵送、調査員への提出のいずれかで回答します。
調査の主な目的は以下のとおりです。
- 住宅政策の企画・立案の基礎資料
- 都市計画・土地利用計画の基礎データ
- 空き家対策・災害対策の基礎情報
結果公表スケジュール
結果は段階的に公表されます。令和5年調査の公表スケジュールは以下のとおりです。
| 集計名 | 公表日 |
|---|---|
| 速報集計(住宅数概数) | 2024年4月30日 |
| 基本集計(確報) | 2024年9月25日 |
| 住宅構造集計 | 2025年1月29日 |
| 土地集計(確報) | 2025年3月26日 |
| 詳細分析 | 2025年9月公表予定 |
主要な調査結果のポイント
令和5年調査の主要な結果を解説します。
総住宅数6,502万戸(過去最高)
総務省の発表によると、令和5年10月1日時点の総住宅数は6,502万戸で、過去最高を記録しました。
前回調査(2018年)から261万戸増加(4.2%増)しています。人口減少が進む中でも住宅数は増加を続けており、住宅過剰の傾向が見られます。
空き家900.2万戸、空き家率13.8%(過去最高)
空き家数は900.2万戸で、前回調査(2018年)から51.3万戸増加しました。空き家率は13.8%で、こちらも過去最高を更新しています。
空き家の内訳は以下のとおりです。
| 種類 | 戸数 | 割合 |
|---|---|---|
| 賃貸用 | 約290万戸 | 4.5% |
| 売却用 | 約35万戸 | 0.5% |
| 二次的住宅 | 約39万戸 | 0.6% |
| その他空き家 | 385.6万戸 | 5.9% |
持ち家率・住宅の建て方の傾向
持ち家率は約6割で推移しています。住宅の建て方別では、一戸建てが約5割、共同住宅(マンション等)が約4割となっています。
空き家問題の現状と地域差
空き家問題について詳しく見ていきます。
「その他空き家」385.6万戸が真の問題
空き家900.2万戸のうち、賃貸用・売却用・二次的住宅を除いた「その他空き家」は385.6万戸(5.9%)です。
これは、利活用されておらず放置されている空き家であり、地域コミュニティや防災の観点から問題となっています。
都道府県別空き家率ランキング
空き家率は地域差が大きく、西日本で高い傾向があります。
| 順位 | 都道府県 | 空き家率 |
|---|---|---|
| 1位 | 和歌山県 | 21.2% |
| 1位 | 徳島県 | 21.2% |
| 3位 | 山梨県 | 20.5% |
| ... | ... | ... |
| 最低 | 東京都 | 9.4% |
東京都の空き家率9.4%に対し、和歌山県・徳島県は21.2%と2倍以上の差があります。
地域差が生じる背景
地域差が生じる主な要因は以下のとおりです。
- 人口移動: 地方から都市部への人口流出
- 高齢化: 所有者の高齢化・死亡による相続空き家の増加
- 住宅供給: 新築住宅の供給が続く一方、既存住宅の除却が進まない
過去の調査との比較で見る住宅市場の変化
過去データとの比較で市場の変化を把握できます。
1948年からの時系列データ
住宅・土地統計調査は1948年から実施されており、約75年分の時系列データが蓄積されています。長期トレンドの分析に活用できます。
空き家率の推移
空き家率の推移は以下のとおりです。
| 調査年 | 空き家率 |
|---|---|
| 1998年 | 11.5% |
| 2003年 | 12.2% |
| 2008年 | 13.1% |
| 2013年 | 13.5% |
| 2018年 | 13.6% |
| 2023年 | 13.8% |
空き家率は一貫して上昇傾向にあり、今後も増加が見込まれます。
住宅過剰時代への対応
総住宅数が世帯数を上回る「住宅過剰」の状態が続いています。人口減少社会において、既存住宅ストックの活用や空き家対策が重要な課題となっています。
調査データの活用方法
調査データを実際に活用する方法を紹介します。
e-Statでのデータダウンロード方法
e-Stat(政府統計の総合窓口)で、住宅・土地統計調査の詳細データをダウンロードできます。
ダウンロード手順
- e-Statのサイトにアクセス
- 「住宅・土地統計調査」を検索
- 必要な集計表(全国、都道府県別、市区町村別等)を選択
- CSV・Excel形式でダウンロード
不動産取引・投資判断への活用
不動産取引や投資判断に活用できる情報は以下のとおりです。
- エリアの空き家率: 購入・売却エリアの空き家率を確認
- 住宅ストックの状況: 住宅の築年数分布、住宅の種類別構成
- 持ち家率・賃貸率: 地域の住宅需要の把握
住宅政策・空き家対策への活用
自治体や不動産業界では、以下のような活用がされています。
- 空き家バンクの整備
- 空き家の除却・利活用促進
- 住宅政策の企画・評価
まとめ:不動産取引への活用と注意点
令和5年住宅・土地統計調査は、総住宅数6,502万戸、空き家900.2万戸、空き家率13.8%と、いずれも過去最高を記録しました。
e-Statで全国・都道府県・市区町村別の詳細データをダウンロードでき、不動産取引や市場分析に活用できます。
ただし、5年ごとの調査であるため最新データではない点、地域差が大きい点に注意が必要です。具体的な不動産取引の判断は、不動産鑑定士や宅地建物取引士等の専門家に相談することを推奨します。
