土地を所有している場合の建て替え費用の内訳と資金計画

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/22

土地を所有している場合の建て替え費用の全体像

既存の土地・建物を所有している方で、老朽化した住宅の建て替えを検討する際、「総費用はいくらかかるのか」「どのように資金を調達すれば良いのか」と悩む方は少なくありません。

この記事では、土地所有時の建て替え費用の内訳、坪数別の費用目安、資金調達方法、税制優遇・補助金、建て替えの流れと注意点を解説します。

この記事のポイント

  • 2024年度の全国平均建て替え費用は約5,745万円(令和5年度調査)
  • 30坪の建て替え費用は約3,561万円~4,200万円(解体費・諸費用込み)
  • 建て替えローン・リバースモーゲージ・補助金制度(長期優良住宅・ZEH)を活用
  • 仮住まい費用(家賃6ヶ月分+引越し2回分)と地盤改良費の追加リスクに注意

(1) 建て替えとリフォームの費用比較

建て替えとリフォームでは、費用に大きな差があります。

項目 リフォーム 建て替え
平均費用 約206万円 約5,745万円(令和5年度)
費用差 - 1,000万円~2,000万円以上
メリット 費用が安い、工期が短い 耐震性・省エネ性能の向上、間取りの自由度が高い
デメリット 構造的な限界がある 費用が高い、仮住まいが必要

(2) 2024-2025年の建て替え費用相場:全国平均5,745万円

令和5年度住宅市場動向調査によると、建て替え世帯の住宅建築資金は平均5,745万円です(令和4年度の4,487万円から上昇)。

近年、建設資材・人件費の高騰により、建て替え費用は上昇傾向にあります。

建て替え費用の詳細内訳:解体費・建築費・諸費用

(1) 解体費用:木造6万円/坪、鉄骨7-8万円/坪、RC造10万円/坪

既存建物の解体費用は、構造により異なります。

構造 坪単価 30坪の解体費
木造 約6万~6.5万円/坪 約180万~195万円
鉄骨造 約7万~8万円/坪 約210万~240万円
RC造 約10万円/坪 約300万円

(2) 建築費用:本体価格+付帯工事費(25%)+諸費用(5%)

建築費用は、以下の3つに分類されます。

  • 本体価格: 建物本体の建築費(坪単価50万~100万円程度)
  • 付帯工事費: 電気・ガス・水道の引き込み工事、外構工事等(本体価格の約25%)
  • 諸費用: 印紙税、登録免許税、住宅ローン関係費用、火災保険等(本体価格の約5%)

(3) その他費用:地盤調査・改良費、仮住まい費用(家賃6ヶ月分+引越し2回分)

その他、以下の費用が必要です。

地盤調査・改良費:

  • 地盤調査: 5万~10万円程度
  • 地盤改良工事: 30坪で約100万~200万円(地盤が弱い場合)

仮住まい費用:

  • 家賃6ヶ月分
  • 敷金・礼金
  • 引越し費用2回分(旧居→仮住まい、仮住まい→新居)
  • 合計100万円以上を現金で用意する必要がある

坪数別の建て替え費用シミュレーション

(1) 20坪:約2,612万円

  • 本体価格: 約2,000万円(坪単価100万円)
  • 付帯工事費: 約500万円(25%)
  • 諸費用: 約100万円(5%)
  • 解体費: 約120万円(木造6万円/坪)
  • 合計: 約2,612万円

(2) 30坪:約3,561万円~4,200万円

  • 本体価格: 約2,700万円~3,000万円(坪単価90万~100万円)
  • 付帯工事費: 約675万~750万円(25%)
  • 諸費用: 約135万~150万円(5%)
  • 解体費: 約180万~195万円(木造6万~6.5万円/坪)
  • 地盤調査・改良費: 約100万~200万円(必要な場合)
  • 合計: 約3,561万円~4,200万円

(3) 40坪:約4,728万円

  • 本体価格: 約3,600万円(坪単価90万円)
  • 付帯工事費: 約900万円(25%)
  • 諸費用: 約180万円(5%)
  • 解体費: 約240万円(木造6万円/坪)
  • 合計: 約4,728万円

建て替えの資金調達方法:住宅ローン・補助金制度

(1) 建て替えローンの仕組みと審査基準

建て替えローンは、既存の住宅ローンの残債がある場合でも、新たに借り入れができる住宅ローンです。

  • 借入可能額: 年収の5-7倍程度(金融機関により異なる)
  • 返済負担率: 年収の25-30%以内(他の借入も含む)
  • 審査基準: 年収、勤続年数、他の借入状況等を総合的に判断

(2) リバースモーゲージの活用(シニア層向け)

リバースモーゲージは、自宅を担保に融資を受け、存命中は利息のみを支払い、死後に自宅を売却して元本を返済する仕組みです。

  • 対象年齢: 60歳以上(金融機関により異なる)
  • メリット: 毎月の返済負担が少ない
  • デメリット: 金利上昇リスク、相続人への影響

(3) 補助金制度:長期優良住宅・ZEH(100万円以上の削減可能)

補助金制度を活用すると、100万円以上の費用削減が可能です。

主な補助金制度:

  • 長期優良住宅: 耐震性・省エネ性等の基準を満たし、国が認定した住宅(税制優遇・補助金対象)
  • ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス): 省エネ性能の高い住宅(補助金最大100万円以上)

ただし、補助金制度は年度により変更・終了する可能性があるため、最新情報を各自治体・国土交通省のWebサイトで確認してください。

建て替えの流れと注意点

(1) 建て替えの12ステップと期間(計画~完成まで10ヶ月~1年2ヶ月)

建て替えの流れは以下の12ステップです。

  1. 計画・予算設定(1-2ヶ月)
  2. ハウスメーカー選定(1-2ヶ月)
  3. 設計・見積もり(1-2ヶ月)
  4. 契約(即日)
  5. 仮住まい探し・引越し(1ヶ月)
  6. 解体工事(1ヶ月)
  7. 地盤調査・改良(1-2ヶ月)
  8. 建築確認申請(1ヶ月)
  9. 建築工事(4-6ヶ月)
  10. 完成・検査(1ヶ月)
  11. 引渡し(即日)
  12. 新居へ引越し(1ヶ月)

合計で約10ヶ月~1年2ヶ月が目安です。

(2) 接道義務と再建築不可物件のチェック

接道義務は、建築基準法で定められた、敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接する必要がある要件です。

接道義務を満たさない土地は再建築不可物件となり、建て替えができません。建て替え前に必ず確認しましょう。

(3) 固定資産税の軽減措置と1月1日問題

固定資産税は、1月1日時点の状況で決まります。解体後の更地状態だと軽減措置が受けられず、税額が高くなる可能性があります。

  • 軽減措置: 住宅が建っている土地は固定資産税が1/6~1/3に軽減
  • 1月1日問題: 1月1日時点で更地だと、軽減措置が受けられない

(4) 地盤調査の重要性と追加費用リスク

地盤調査の結果、地盤改良工事が必要になると、予期せぬ追加費用(100万円以上)と工期延長が発生する可能性があります。

解体前に地盤調査を実施し、地盤が弱い場合は改良工事(30坪で約100万~200万円)が必要になることを考慮しましょう。

まとめ:建て替え成功のためのポイント

土地を所有している場合の建て替え費用は、2024年度の全国平均で約5,745万円です。30坪の場合、約3,561万円~4,200万円が目安です。

費用の内訳は、解体費(木造6万円/坪)、建築費(本体価格+付帯工事費25%+諸費用5%)、その他費用(地盤調査・改良費、仮住まい費用)です。

資金調達方法としては、建て替えローン、リバースモーゲージ、補助金制度(長期優良住宅・ZEH)を活用することで、無理のない計画を立てることができます。

建て替えの流れは計画から完成まで約10ヶ月~1年2ヶ月かかります。接道義務、固定資産税の軽減措置、地盤調査の重要性に注意し、複数社から見積もりを取得して比較することをおすすめします。

最終的な資金計画や契約内容については、ファイナンシャルプランナーや税理士等の専門家に相談することを推奨します。

よくある質問

Q1土地ありの建て替え費用はいくら?

A12024年度の全国平均は約5,745万円(令和5年度調査)です。坪数別では、20坪約2,612万円、30坪約3,561万円~4,200万円、40坪約4,728万円が目安です。ただし、費用は地域・構造(木造/鉄骨造/RC造)・設計内容・ハウスメーカーにより大きく異なるため、必ず複数社から見積もりを取得してください。

Q2建て替えとリフォームはどちらが安い?

A2リフォームの平均206万円に対し、建て替えは平均5,745万円です。費用差は1,000万円~2,000万円以上ありますが、耐震性・省エネ性能の向上は建て替えが有利です。リフォームは費用が安く工期が短いメリットがありますが、構造的な限界があります。優先順位に応じて選択することが重要です。

Q3建て替えの期間はどのくらい?

A3計画から完成まで約10ヶ月~1年2ヶ月です。その間、仮住まいが必要で、家賃6ヶ月分+敷金礼金+引越し費用2回分(計100万円以上)を現金で用意する必要があります。建て替え期間中の仮住まい費用は住宅ローンに含まれないケースも多いため、事前に資金計画を立てることが重要です。

Q4建て替えできない土地はある?

A4接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接する)を満たさない土地は再建築不可です。また、法令改正により従来の床面積では建てられず縮小せざるを得ないケースもあります。建て替え前に必ず役所や専門家に確認してください。再建築不可物件の場合、リフォームのみが選択肢となります。

R

Room Match編集部

Room Matchは、不動産の購入・売却・賃貸に関する実践的な情報を提供するメディアです。住宅ローン、物件選び、不動産会社の選び方など、実務担当者に役立つ情報を分かりやすく解説しています。

関連記事