戸建てが売れない悩みとこの記事で解決できること
「売りに出しているのに問い合わせが来ない」「内覧はあるのに成約に至らない」と悩んでいる方は少なくありません。
この記事では、戸建てが売れない原因を体系的に整理し、原因別の具体的な対策を2025年時点の市場動向を踏まえて解説します。
売れない状況が続くと焦りが生じやすいですが、原因を正しく把握すれば打つべき手が見えてきます。価格設定・物件の状態・販売活動など、どこに問題があるのかを一緒に確認していきましょう。
この記事のポイント
- 戸建ての一般的な売却期間は3〜6ヶ月が目安
- 売れない原因は価格・立地・建物状態・販売活動・市場環境の5つに分類できる
- 販売開始から3ヶ月が価格見直しの一つの節目
- 複数の不動産会社への相談(セカンドオピニオン)も有効な選択肢
戸建てが売れない5つの主な原因
戸建てが売れない原因は、大きく5つのパターンに分類できます。
価格設定が相場より高い
最も多い原因は、売出価格が周辺相場より高いことです。
国土交通省の不動産価格指数によると、不動産市場は地域によって価格動向が大きく異なります。思い入れのある家は高く見積もりがちですが、買主は複数の物件を比較検討しているため、相場とかけ離れた価格では検討対象から外れてしまいます。
築年数と建物の状態
木造戸建ての法定耐用年数は22年とされており、築20年以上の物件は建物としての評価額がほぼゼロになる傾向があります。
ただし、これは税務上の評価であり、実際の売却価格は物件の状態やリフォーム履歴によって異なります。以下の状態は買主の印象を大きく左右します。
- 外壁・屋根の劣化や汚れ
- 水回り(キッチン・浴室・トイレ)の古さ
- 室内の臭い・汚れ
- 設備の故障・不具合
立地条件のハンデ
立地条件は変えられない要素ですが、以下のような条件は売却に時間がかかる傾向があります。
- 最寄り駅から徒歩15分以上
- 前面道路が狭い
- 日当たりが悪い
- 周辺環境の問題(騒音・嫌悪施設等)
販売活動・広告の問題
物件自体に問題がなくても、販売活動が不十分だと買主に情報が届きません。
- 広告写真が暗い・魅力的でない
- 物件情報の記載が不十分
- レインズ(不動産流通機構のネットワーク)への登録が遅い
- 内覧対応が悪い
市場環境とタイミング
総務省の住宅・土地統計調査によると、2023年の空き家率は13.8%(約900万戸)と過去最高を記録しました。2025年以降は団塊世代の相続による空き家増加が見込まれ、売却競争が激化する可能性があります。
また、不動産市場には繁忙期(1-3月、9-10月)と閑散期(8月のお盆時期等)があり、売り出しのタイミングも重要です。
原因別の具体的な対策と改善ポイント
原因が分かれば、対策を講じることができます。
周辺相場を調べて価格を再検討
価格設定が原因と考えられる場合は、以下の方法で周辺相場を調べてみてください。
- 不動産流通推進センターのサイトで成約事例を確認
- 同じエリア・築年数の物件がいくらで売り出されているかを確認
- 複数の不動産会社に査定を依頼(セカンドオピニオン)
査定価格と売出価格、成約価格は異なります。相場より高すぎる場合は、現実的な価格への見直しが必要です。
部分リフォーム・ハウスクリーニングの費用対効果
建物の状態が原因の場合、フルリフォームは費用対効果が低いことが多いです。
以下の部分的な対策が効果的です。
| 対策 | 費用目安 | 効果 |
|---|---|---|
| ハウスクリーニング | 3〜10万円 | 内覧時の第一印象向上 |
| 水回りの部分修繕 | 10〜50万円 | 買主の不安解消 |
| 外壁・屋根の清掃・塗装 | 50〜100万円 | 外観の印象改善 |
| 庭・外構の整備 | 5〜20万円 | 管理状態の良さをアピール |
費用をかけても必ず売れるわけではないため、不動産会社と相談しながら費用対効果を見極めてください。
立地のデメリットを補うアピール方法
立地条件は変えられませんが、アピール方法を工夫することで印象を変えられる場合があります。
- 駅から遠い → 閑静な住宅街・自然環境の豊かさを強調
- 前面道路が狭い → 交通量が少なく子どもの安全性が高い
- 周辺にスーパーがある、学校が近い等のメリットを記載
買主のターゲット層(ファミリー・シニア等)に合わせたアピールが効果的です。
価格設定の見直し方と値下げのタイミング
3ヶ月・6ヶ月の節目で判断
公益財団法人東日本不動産流通機構のデータによると、首都圏の中古戸建ての成約までの平均日数は約87日(約3ヶ月)です。
一般的な目安として、以下のタイミングで状況を振り返ってください。
- 3ヶ月経過:問い合わせ・内覧がほとんどなければ価格見直しを検討
- 6ヶ月経過:大幅な価格見直しや販売戦略の変更を検討
- 1年以上:買取も含めた出口戦略を検討
ただし、これはあくまで目安です。物件の特性や市場環境によって適切なタイミングは異なります。
内覧件数と反響から適正価格を見極める
売却活動の反響から、価格の適正さを判断できます。
- 問い合わせ・内覧が多いが成約しない → 価格以外に問題がある可能性
- 問い合わせ・内覧がほとんどない → 価格が高すぎる可能性
不動産会社から定期的に報告をもらい、状況を把握することが重要です。
販売戦略の改善と不動産会社の選び直し
広告写真・物件情報の見直し
広告は買主が物件を知る最初の接点です。以下の点を確認してください。
- 写真は明るく撮れているか(天気の良い日に撮影)
- 室内が整理整頓された状態で撮影されているか
- 物件の魅力が伝わる情報が記載されているか
写真や情報が不十分な場合は、不動産会社に改善を依頼してください。
媒介契約の種類と不動産会社変更の判断基準
媒介契約には3種類あり、それぞれ特徴が異なります。
| 契約種類 | 他社への依頼 | 自己発見取引 | 報告義務 |
|---|---|---|---|
| 専属専任媒介 | 不可 | 不可 | 1週間に1回以上 |
| 専任媒介 | 不可 | 可 | 2週間に1回以上 |
| 一般媒介 | 可 | 可 | なし |
以下の場合は、不動産会社の変更を検討してください。
- 3ヶ月以上経過しても内覧が入らない
- 担当者からの報告が少ない・連絡が取りにくい
- レインズへの登録や広告活動が不十分
複数の不動産会社に相談し、対応を比較することも有効です。
仲介と買取の使い分け
売却方法には「仲介」と「買取」の2種類があります。
- 仲介:一般の買主を探す方法。時間がかかるが高値で売れる可能性
- 買取:不動産会社に直接買い取ってもらう方法。早期売却できるが価格は仲介より2〜3割安くなる傾向
1年以上売れない場合や、早期売却を優先する場合は、買取も選択肢に入れてください。
まとめ:売れない戸建てを売却成功に導くステップ
戸建てが売れない場合は、まず原因を特定することが重要です。
確認すべきステップ:
- 売出価格が周辺相場と合っているかを確認
- 広告写真・物件情報の質をチェック
- 内覧件数・問い合わせ数を不動産会社に確認
- 3ヶ月・6ヶ月の節目で状況を振り返る
- 必要に応じて価格見直し・不動産会社変更を検討
売却活動が長期化すると経済的・心理的な負担が増しますが、冷静に原因を分析し、一つずつ対策を講じることで状況は改善できる可能性があります。
判断に迷う場合は、複数の不動産会社への相談(セカンドオピニオン)や、宅地建物取引士への相談を検討してください。


