1. 一戸建ての解体費用はいくらかかるのか
相続した実家や古い戸建ての処分を検討する際、「解体費用はいくらかかるのか」と不安に感じる方は少なくありません。
この記事では、一戸建ての解体費用相場、費用の内訳、費用を抑える方法、業者選びのポイント、補助金制度を、SUUMOやHOME'S、三井のリハウスなどの信頼できる情報を元に解説します。
構造別・坪数別の費用シミュレーションや、複数業者からの見積もり比較の方法など、実践的な情報を提供します。
この記事のポイント
- 一戸建ての解体費用は木造30坪で90〜150万円、鉄骨造で120〜210万円、RC造で180〜240万円が目安
- 費用の内訳は本体解体費用、付帯工事費用、廃棄物処理費用、諸費用の4項目
- 複数業者からの相見積もり、閑散期(4月頃)の発注、残置物の自己処分で10〜30%程度削減可能
- アスベスト含有建物は特別な処理が必要で費用が大幅に高額になる
- 解体後は住宅用地の特例が適用されなくなり、固定資産税が最大6倍に増加する可能性
2. 構造別・坪数別の解体費用相場【2025年最新】
(1) 木造・鉄骨造・RC造の坪単価比較
SUUMOやクラッソーネによると、一戸建ての解体費用は建物の構造により大きく異なります。2025年時点の坪単価相場は以下の通りです。
| 構造 | 坪単価 | 特徴 |
|---|---|---|
| 木造 | 3〜5万円 | 解体が容易で費用が最も安い |
| 鉄骨造 | 4〜7万円 | 鉄骨の撤去に手間がかかる |
| RC造 | 6〜8万円 | コンクリート破砕に重機と時間が必要 |
(2) 坪数別の費用シミュレーション
坪単価を元に、坪数別の解体費用をシミュレーションします。
| 坪数 | 木造 | 鉄骨造 | RC造 |
|---|---|---|---|
| 30坪 | 90〜150万円 | 120〜210万円 | 180〜240万円 |
| 40坪 | 120〜200万円 | 160〜280万円 | 240〜320万円 |
| 50坪 | 150〜250万円 | 200〜350万円 | 300〜400万円 |
これらはあくまで目安であり、立地条件や追加工事の有無により変動します。マトイによると、2025年時点で人件費・廃棄物処理費の高騰により、解体費用は全国的に上昇傾向にあります。
3. 解体費用の内訳と変動要因
(1) 本体解体費用・付帯工事費用・廃棄物処理費用
解体無料見積ガイドによると、解体費用の内訳は以下の4項目に分類されます。
本体解体費用(全体の30〜40%): 建物本体の解体作業にかかる費用。人件費、足場、養生シート、重機使用料等を含みます。
付帯工事費用(全体の20〜30%): 外構(ブロック塀、門、庭木、カーポート等)や地中埋設物(古い浄化槽、井戸等)の撤去にかかる費用。事前調査で発見されない地中埋設物が出てくると、追加費用が発生する場合があります。
廃棄物処理費用(全体の30〜40%): 解体に伴う廃材の分別・搬出・処分にかかる費用。解体費用全体の大きな割合を占めます。
諸費用(全体の10〜20%): 近隣挨拶、建築リサイクル法の届出、建物滅失登記の申請代行費用等。
(2) 立地条件による追加費用(アスベスト・地中埋設物)
立地条件により、以下の追加費用が発生する場合があります。
アスベスト除去費用: 1980年代〜1990年代築の建物はアスベストを含む建材が使われている可能性があります。アスベスト除去費用は数十万円〜数百万円と高額になるため、事前調査が必須です。
狭小地の追加費用: 重機が使えない狭小地では手作業になり、費用が1.5〜2倍程度高くなります。道路幅員4m未満の場合、重機の搬入が困難なため、事前に確認しましょう。
地中埋設物の撤去費用: 古い浄化槽、井戸、産業廃棄物等の地中埋設物が発見された場合、追加費用が発生します。見積もり時に地中埋設物の有無を確認することが重要です。
4. 解体費用を抑える方法
(1) 相見積もりと閑散期の活用
解体費用を抑えるために、以下の方法が有効です。
複数業者からの相見積もり: 3社以上の業者から見積もりを取得し、価格と内訳を比較しましょう。ただし、異常に安い業者は不法投棄のリスクがあるため、安さだけで選ばないことが重要です。
閑散期(4月頃)の発注: クラッソーネによると、閑散期(4月頃)に発注すると、見積もりが通常より安くなる可能性があります。繁忙期(2〜3月、9〜10月)は見積もりが高めになる傾向があります。
(2) 残置物の自己処分で廃棄物処理費用を削減
解体前に家屋内の残置物(家電、家具、衣類等)を自分で片付けることで、廃棄物処理費用を10〜30%程度削減できます。
ただし、大型家具や家電の処分は粗大ごみ回収や家電リサイクル法に基づく処分が必要なため、事前に自治体や業者に確認しましょう。
5. 業者選びのポイントと補助金制度
(1) 信頼できる業者の見分け方(許可証・見積もり内訳の確認)
解体業者を選ぶ際は、以下のポイントを確認しましょう。
建設業許可の確認: 解体工事を請け負うには、建設業許可(とび・土工工事業または解体工事業)が必要です。許可番号は公式サイトや名刺に記載されています。
産業廃棄物収集運搬業許可の確認: 解体工事で発生する廃材を適正に処理するため、産業廃棄物収集運搬業許可を持つ業者を選びましょう。
見積もり内訳の明示: 見積書に「本体解体費用」「付帯工事費用」「廃棄物処理費用」「諸費用」の4項目が明記されているか確認しましょう。「一式」とだけ記載された見積書は、後で追加費用が発生する可能性があります。
マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付: 解体工事完了後、廃棄物が適正に処理されたことを証明するマニフェストを交付してもらいましょう。不法投棄のリスクを回避できます。
(2) 自治体の解体補助金制度
三井のリハウスによると、多くの自治体が老朽化した空き家や危険建築物の解体に補助金を支給しています。
補助金額は解体費用の20〜50%程度(上限50〜100万円)が一般的です。ただし、自治体により制度内容が異なるため、お住まいの自治体の建築課や都市計画課に事前に確認しましょう。
6. まとめ:一戸建て解体で失敗しないためのチェックリスト
一戸建ての解体費用は、木造30坪で90〜150万円、鉄骨造で120〜210万円、RC造で180〜240万円が目安です。立地条件や追加工事により変動するため、複数業者からの相見積もりを取得し、適正価格を把握することが重要です。
解体時は以下のチェックリストを確認しましょう。
- 相見積もり: 3社以上の業者から見積もりを取得
- 業者の許可確認: 建設業許可、産業廃棄物収集運搬業許可を保有しているか
- 見積もり内訳: 本体解体、付帯工事、廃棄物処理、諸費用の4項目が明記されているか
- アスベスト調査: 1980年代〜1990年代築の建物は事前調査が必須
- 建築リサイクル法の届出: 延床面積80㎡以上の建物は届出が必要
- 建物滅失登記: 解体完了後1ヶ月以内に法務局へ申請
- 固定資産税の増加: 解体により住宅用地の特例が適用されなくなり、最大6倍に増加する可能性
- 補助金制度の確認: 自治体の解体補助金制度を活用
専門家(行政書士、司法書士、税理士等)に相談しながら、適正な業者を選び、後悔しない解体工事を実現しましょう。
