広島市の土地市場の概要
広島市で土地購入を検討する際、「どのエリアを選ぶべきか」「価格相場はどれくらいか」と迷う方は少なくありません。広島市は中国地方の中核都市として8つの行政区を持つ政令指定都市であり、エリアごとに土地価格や特性が大きく異なります。
この記事では、国土交通省や広島市公式ウェブサイトの公式データを元に、広島市の土地相場、区別の特性比較、購入時の注意点を解説します。
初めて土地を購入する方でも、必要な情報を正確に把握できるようになります。
この記事のポイント
- 広島市の2025年の平均公示地価は311,371円/m²(前年比+3.00%)
- 中心部の中区は坪単価127万円と最も高額、郊外エリアはより低価格帯
- 駅周辺エリアは高い上昇率を示し、駅から遠いエリアは低成長または下落
- 用途地域、建ぺい率・容積率、建築条件の確認が購入時の必須事項
- 土地購入の諸費用は土地価格の5-10%程度が目安
(1) 政令指定都市・中国地方の中核都市としての広島市
広島市は中国地方最大の都市であり、8つの行政区(中区・東区・南区・西区・安佐南区・安佐北区・安芸区・佐伯区)を持つ政令指定都市です。
交通インフラとしてJR山陽本線、広島電鉄、アストラムラインが整備されており、中心部へのアクセスが良好なエリアほど土地価格が高い傾向にあります。
広島市の都市計画によると、市街化区域と市街化調整区域が明確に区分されており、用途地域による建築制限があります。
(2) 2024-2025年の市場動向(物件数と取引状況)
2025年時点で広島市内には約1,461件の売土地物件が流通しています。
2024年第1四半期の広島県の平均土地取引価格は90,533円/m²(前年比+7.35%)と大幅な上昇を記録しており、広島市内でも継続的な上昇トレンドが見られます。
特に駅周辺エリアの上昇率が高く、駅から遠いエリアでは低成長または下落している地点もあるため、エリア選定が重要です。
広島市の土地相場と価格推移
(1) 2025年の公示地価と基準地価(平均311,371円/m²)
国土交通省が公表する2025年1月1日時点の地価公示によると、広島市の平均公示地価は311,371円/m²(坪単価約102万円)となっています。
また、広島県の地価調査による基準地価は273,087円/m²(坪単価563,522円)です。
| 指標 | 価格(円/m²) | 坪単価(円) |
|---|---|---|
| 公示地価 | 311,371 | 約1,029,000 |
| 基準地価 | 273,087 | 563,522 |
(2) 前年比+3.00%の上昇トレンド
広島市の公示地価は前年比+3.00%の上昇を記録しており、継続的な上昇トレンドが確認されています。
中心部の紙屋町エリアは前期比0〜3%の上昇傾向を維持しており、商業地としての需要が底堅いことが分かります。
(3) 2024年第1四半期の取引価格(前年比+7.35%)
2024年第1四半期の広島県の平均土地取引価格は90,533円/m²で、前年比+7.35%と大幅な上昇を記録しました。
この上昇率は全国的にも高水準であり、広島市内の土地需要が旺盛であることを示しています。
(4) 駅距離による価格上昇率の違い
駅からの距離により、土地価格の上昇率に明確な差があります。
- 駅近エリア(徒歩10分圏内): 高い上昇率(+5〜10%)
- 駅遠エリア(徒歩15分以上): 低成長または下落(-1〜+2%)
駅周辺の利便性が土地価格に大きく影響するため、交通アクセスを重視する場合は駅近物件の検討が推奨されます。
区別の特性と価格差(8区の比較)
(1) 中区(中心部・商業地)の価格帯と特徴(坪単価127万円)
中区は広島市の中心部であり、商業・行政の中核を担うエリアです。坪単価は約127万円と広島市内で最も高額です。
紙屋町・八丁堀周辺は商業施設や公共交通が集中しており、事業用地としての需要が高い傾向にあります。
(2) 南区・東区・西区の価格帯と特徴
南区・東区・西区は中区に隣接する準中心部エリアです。
- 南区: JR広島駅を擁し、商業地としての発展が見込まれる
- 東区: 住宅地が多く、ファミリー層に人気
- 西区: 広島電鉄沿線が発達し、通勤・通学に便利
これらのエリアの坪単価は50〜80万円程度が目安です。
(3) 安佐南区・安佐北区(住宅地)の価格帯と特徴
安佐南区はアストラムライン沿線の住宅地として人気があり、ファミリー層の需要が高いエリアです。
安佐北区は郊外の住宅地であり、比較的低価格帯の土地が流通しています。
坪単価は30〜60万円程度で、注文住宅を建てる方に適しています。
(4) 安芸区・佐伯区(郊外)の価格帯と特徴
安芸区・佐伯区は広島市の郊外エリアであり、自然環境が豊かで広い敷地を確保しやすい特徴があります。
坪単価は20〜40万円程度と広島市内では比較的低価格帯です。
自然環境を重視する方、広い土地を希望する方に適したエリアです。
土地購入時の確認事項と注意点
(1) 用途地域と建築制限(建ぺい率・容積率)
広島市の都市計画によると、用途地域により建築可能な建物の種類、建ぺい率・容積率が制限されます。
| 用途地域 | 建ぺい率 | 容積率 |
|---|---|---|
| 第一種低層住居専用地域 | 30〜60% | 50〜200% |
| 商業地域 | 80% | 200〜1000% |
(出典: 広島市)
希望する建物が建築可能かどうか、購入前に必ず確認してください。
(2) 市街化区域と市街化調整区域の違い
市街化区域は市街地を形成している区域または今後10年以内に市街化を図る区域です。一方、市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域であり、原則として建築が制限されます。
市街化調整区域の土地は価格が低いですが、建築許可が下りない場合があるため注意が必要です。
(3) 建築条件付き土地の制約事項
建築条件付き土地は、指定された建築会社で一定期間内(通常3ヶ月以上)に建築契約を結ぶことが条件となります。
建築会社を自由に選べないため、建築条件なし土地と比較して選択肢が限られます。
(4) 土地の形状・特性(整形地・角地・平坦地)
土地の形状や特性は資産価値に影響します。
- 整形地: 正方形や長方形に近い形状で建築しやすく、資産価値が高い
- 角地: 2方向以上が道路に接しており、日当たり・通風が良好
- 平坦地: 造成費用が不要で建築コストを抑えられる
これらの特性を事前に確認することで、建築時のコストや将来の資産価値を見積もりやすくなります。
(5) 建築費用の上昇トレンド(2021年以降)
2021年のウッドショック、2022年のウクライナ侵攻以降、建築資材価格が大幅に上昇しています。
土地価格だけでなく、建築費用も含めた総予算を検討することが重要です。
土地購入にかかる諸費用と税金
(1) 仲介手数料(土地価格×3%+6万円+消費税)
不動産会社を通じて土地を購入する場合、仲介手数料が発生します。
計算式: 土地価格 × 3% + 6万円 + 消費税
例えば、3,000万円の土地の場合、仲介手数料は約105万円(消費税込)となります。
(2) 不動産取得税と登録免許税
土地を取得する際には、不動産取得税と登録免許税が課税されます。
- 不動産取得税: 固定資産税評価額 × 3%(2027年3月31日まで軽減措置あり)
- 登録免許税: 固定資産税評価額 × 2%(土地の所有権移転登記)
詳細は国税庁の公式サイトでご確認ください。
(3) 登記費用・測量費
登記手続きを司法書士に依頼する場合、登記費用(5〜10万円程度)が必要です。
また、土地の境界が不明確な場合は測量費(30〜50万円程度)が発生します。
(4) その他の諸費用(地盤調査費等)
建築前に地盤調査を実施する場合、調査費用(5〜10万円程度)が必要です。
総額として、土地価格の5-10%程度の諸費用を見込んでおくことが推奨されます。
| 項目 | 目安額 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 土地価格×3%+6万円+消費税 |
| 不動産取得税 | 固定資産税評価額×3% |
| 登録免許税 | 固定資産税評価額×2% |
| 登記費用 | 5〜10万円 |
| 測量費 | 30〜50万円 |
| 地盤調査費 | 5〜10万円 |
(出典: 国税庁、一般的な相場)
まとめ:広島市で土地を選ぶポイント
広島市の土地価格は、2025年の平均公示地価が311,371円/m²(前年比+3.00%)であり、継続的な上昇トレンドが確認されています。中心部の中区は坪単価127万円と最も高額ですが、郊外エリアでは20〜40万円程度の低価格帯の土地も流通しています。
駅周辺エリアは高い上昇率を示しており、交通利便性を重視する場合は駅近物件の検討が推奨されます。一方、駅から遠いエリアでは低成長または下落している地点もあるため、エリア選定が重要です。
用途地域、建ぺい率・容積率、建築条件、土地の形状・特性を事前に確認し、建築費用も含めた総予算を検討することで、無理のない資金計画を立てることができます。
詳細は宅地建物取引士や不動産鑑定士等の専門家にご相談ください。
