がん診断時の住宅ローン免除|団信の仕組みと適用条件を解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/19

がん診断で住宅ローンが免除される仕組み

「がんと診断されたら住宅ローンがチャラになる」という話を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

この記事では、がん診断時に住宅ローンが免除される仕組み、団体信用生命保険(団信)の種類、がん団信の保障内容、適用条件、注意点を解説します。

がん団信の加入を検討している方や、すでに加入している方でも、保障の内容と限界を正しく理解できるようになります。

この記事のポイント

  • がん団信に加入すれば、がんと診断された時点で住宅ローン残高が免除される
  • 契約から90日の免責期間があり、その間の診断は保障対象外
  • 上皮内新生物(初期がん)、非浸潤がん、皮膚がん等は対象外の場合が多い
  • がん団信は住宅ローン借入時のみ加入可能で、返済中の途中加入は不可

がん診断で住宅ローンが免除される仕組みとは

「がんで住宅ローンがチャラになった」は本当か

東急リバブルの解説によると、「がんで住宅ローンがチャラになる」という話は本当です。

ただし、これは がん団信(がん保障付き団体信用生命保険)に加入している場合のみ です。

がん団信に未加入の場合、がんと診断されても住宅ローンの返済は通常通り続きます。

免除の仕組み:がん団信の役割

がん団信に加入していると、がんと診断された時点で保険金が支払われ、住宅ローン残高が免除されます。

がん団信の仕組み:

  • 診断時点で保険金支払い:死亡前に免除される
  • ローン残高が全額または50%免除:契約内容により異なる
  • 家族の負担軽減:治療に専念できる

がん団信は、がん罹患時の経済的負担を大幅に軽減する保険です。

団体信用生命保険(団信)の基礎知識

団信とは何か:住宅ローンの必須保険

団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの借り手が死亡または高度障害状態になった場合、保険金で住宅ローン残高が完済される保険です。

大半の銀行では、住宅ローン契約時に団信への加入が義務付けられています。

団信の種類:一般団信・がん団信・3大疾病団信・8大疾病団信・ワイド団信

モゲチェックの比較記事によると、団信には以下の種類があります。

種類 保障内容 金利上乗せ
一般団信 死亡・高度障害のみ なし
がん団信 上記+がん診断 0.1~0.3%(無料付帯もあり)
3大疾病団信 上記+急性心筋梗塞・脳卒中 0.2~0.3%
8大疾病団信 上記+高血圧性疾患・糖尿病等 0.3%程度
ワイド団信 引受基準緩和型 0.3%程度

疾病保障が充実するほど、金利上乗せが大きくなります。

がん団信の保障内容と適用条件

がん診断時の保障:100%免除と50%免除

がん団信には、金利上乗せ型と無料付帯型があります。

種類 金利上乗せ 保障内容
金利上乗せ型 0.1~0.3% 住宅ローン残高の100%免除
無料付帯型 なし 住宅ローン残高の50%免除

auじぶん銀行では、無料でがん50%保障を付帯するプランを提供しています。

適用条件:免責期間(90日)の存在

がん団信には、契約から90日の免責期間があります。

免責期間の仕組み:

  • 契約から90日以内:がん診断されても保障対象外
  • 91日目以降:がん診断で保障開始

りそなグループの解説によると、この免責期間は、既にがんを発症している人の加入を防ぐためです。

対象外のがん:上皮内新生物・非浸潤がん・皮膚がん

がん団信では、以下のがんは対象外とされる場合が多いです。

対象外のがん:

  • 上皮内新生物(初期がん):がんの初期段階
  • 非浸潤がん:がん細胞が基底膜を破っていない状態
  • 皮膚がん(悪性黒色腫を除く)

悪性新生物(浸潤がん)のみが保障対象となる場合が一般的です。契約内容を必ず確認しましょう。

がん団信の加入方法と費用負担

加入のタイミング:住宅ローン借入時のみ

がん団信は、住宅ローンの新規借入時または借り換え時のみ加入可能です。

返済中の途中加入は認められていません。

金利上乗せ型と無料付帯型の違い

金利上乗せ型と無料付帯型の費用負担を比較します。

例:3,000万円を35年返済、金利0.5%の場合

種類 金利 総返済額 金利負担 保障内容
一般団信 0.5% 約3,858万円 - 死亡・高度障害のみ
がん団信(金利上乗せ0.2%) 0.7% 約3,956万円 約98万円 100%免除
がん団信(無料付帯) 0.5% 約3,858万円 なし 50%免除

金利上乗せ型は100%免除ですが、総返済額が約100万円増加します。

健康状態の告知・審査の流れ

がん団信に加入する際は、健康状態の告知と保険会社の審査が必要です。

審査の流れ:

  1. 告知書の記入:過去の病歴・治療歴を申告
  2. 保険会社の審査:告知内容を元に審査
  3. 承認・却下:健康状態により加入可否が決定

健康上の理由で加入できない場合、ワイド団信(引受基準緩和型)を検討できます。

がん団信とがん保険の違いと注意点

保障対象の違い:ローン返済 vs 治療費

がん団信とがん保険は、保障対象が異なります。

項目 がん団信 がん保険
保障対象 住宅ローン返済 治療費・生活費
保障期間 ローン完済まで 終身または一定期間
保険金 ローン残高と同額 診断一時金・入院給付金等

PayPay銀行の解説によると、両者は役割が異なるため、併用が推奨されます。

保障期間の違い:完済まで vs 終身

がん団信は、住宅ローン完済と同時に保障が終了します。

一方、がん保険は終身または一定期間継続するため、老後の保障を考慮する必要があります。

がん団信加入時のがん保険見直しの必要性

がん団信に加入する場合、既存のがん保険の見直しが必要です。

見直しのポイント:

  • 保障の重複:住宅ローン返済と治療費のどちらを優先するか
  • 保険料の負担:がん団信とがん保険の両方に加入する場合の総負担
  • ローン完済後の保障:老後のがん保障をどう確保するか

ファイナンシャルプランナーや保険会社への相談を推奨します。

まとめ:がん団信の選び方と次のアクション

がん団信に加入すれば、がんと診断された時点で住宅ローン残高が免除されます。

ただし、契約から90日の免責期間があり、上皮内新生物(初期がん)、非浸潤がん、皮膚がん等は対象外の場合が多いため、保障の限界を理解しておくことが重要です。

がん団信は住宅ローン借入時のみ加入可能で、返済中の途中加入は認められていません。金利上乗せ型(100%免除)と無料付帯型(50%免除)があり、費用負担と保障内容を比較して選びましょう。

がん団信はローン返済を保障しますが、治療費は別途がん保険で備える必要があります。専門家に相談し、自分に合った保障を設計しましょう。

よくある質問

Q1がんと診断されたら住宅ローンは必ず免除される?

A1がん団信に加入している場合のみ免除されます。未加入の場合は通常通り返済が必要です。また、契約から90日以内の診断や、上皮内新生物(初期がん)、非浸潤がん、皮膚がん(悪性黒色腫を除く)は対象外の場合が多いため、契約内容を必ず確認してください。

Q2がん団信はいくらかかる?

A2金利上乗せ型は0.1~0.3%の金利負担で100%免除、無料付帯型は金利負担なしで50%免除が一般的です。3,000万円を35年返済、金利0.2%上乗せの場合、総負担は約100万円増加します。銀行により保障内容・金利が異なるため、複数の銀行を比較検討しましょう。

Q3返済中でもがん団信に加入できる?

A3できません。がん団信は住宅ローンの新規借入時または借り換え時のみ加入可能です。返済中の途中加入は認められていません。がん団信に加入したい場合は、借り換えを検討する必要があります。

Q4どんながんでも保障される?

A4上皮内新生物(初期がん)、非浸潤がん、皮膚がん(悪性黒色腫を除く)は対象外の場合が多いです。悪性新生物(浸潤がん)のみが保障対象となります。契約内容により対象外のがんの範囲が異なるため、契約前に必ず確認してください。

Q5がん団信に加入したらがん保険は不要?

A5両者は保障対象が異なります。がん団信はローン返済を保障し、がん保険は治療費を保障します。がん団信加入後も、治療費・生活費の保障としてがん保険は必要な場合が多いです。ファイナンシャルプランナーに相談し、保障の重複を避けながら最適な組み合わせを設計しましょう。

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Room Match編集部

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