がん診断で住宅ローンが免除される仕組み
「がんと診断されたら住宅ローンがチャラになる」という話を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
この記事では、がん診断時に住宅ローンが免除される仕組み、団体信用生命保険(団信)の種類、がん団信の保障内容、適用条件、注意点を解説します。
がん団信の加入を検討している方や、すでに加入している方でも、保障の内容と限界を正しく理解できるようになります。
この記事のポイント
- がん団信に加入すれば、がんと診断された時点で住宅ローン残高が免除される
- 契約から90日の免責期間があり、その間の診断は保障対象外
- 上皮内新生物(初期がん)、非浸潤がん、皮膚がん等は対象外の場合が多い
- がん団信は住宅ローン借入時のみ加入可能で、返済中の途中加入は不可
がん診断で住宅ローンが免除される仕組みとは
「がんで住宅ローンがチャラになった」は本当か
東急リバブルの解説によると、「がんで住宅ローンがチャラになる」という話は本当です。
ただし、これは がん団信(がん保障付き団体信用生命保険)に加入している場合のみ です。
がん団信に未加入の場合、がんと診断されても住宅ローンの返済は通常通り続きます。
免除の仕組み:がん団信の役割
がん団信に加入していると、がんと診断された時点で保険金が支払われ、住宅ローン残高が免除されます。
がん団信の仕組み:
- 診断時点で保険金支払い:死亡前に免除される
- ローン残高が全額または50%免除:契約内容により異なる
- 家族の負担軽減:治療に専念できる
がん団信は、がん罹患時の経済的負担を大幅に軽減する保険です。
団体信用生命保険(団信)の基礎知識
団信とは何か:住宅ローンの必須保険
団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの借り手が死亡または高度障害状態になった場合、保険金で住宅ローン残高が完済される保険です。
大半の銀行では、住宅ローン契約時に団信への加入が義務付けられています。
団信の種類:一般団信・がん団信・3大疾病団信・8大疾病団信・ワイド団信
モゲチェックの比較記事によると、団信には以下の種類があります。
| 種類 | 保障内容 | 金利上乗せ |
|---|---|---|
| 一般団信 | 死亡・高度障害のみ | なし |
| がん団信 | 上記+がん診断 | 0.1~0.3%(無料付帯もあり) |
| 3大疾病団信 | 上記+急性心筋梗塞・脳卒中 | 0.2~0.3% |
| 8大疾病団信 | 上記+高血圧性疾患・糖尿病等 | 0.3%程度 |
| ワイド団信 | 引受基準緩和型 | 0.3%程度 |
疾病保障が充実するほど、金利上乗せが大きくなります。
がん団信の保障内容と適用条件
がん診断時の保障:100%免除と50%免除
がん団信には、金利上乗せ型と無料付帯型があります。
| 種類 | 金利上乗せ | 保障内容 |
|---|---|---|
| 金利上乗せ型 | 0.1~0.3% | 住宅ローン残高の100%免除 |
| 無料付帯型 | なし | 住宅ローン残高の50%免除 |
auじぶん銀行では、無料でがん50%保障を付帯するプランを提供しています。
適用条件:免責期間(90日)の存在
がん団信には、契約から90日の免責期間があります。
免責期間の仕組み:
- 契約から90日以内:がん診断されても保障対象外
- 91日目以降:がん診断で保障開始
りそなグループの解説によると、この免責期間は、既にがんを発症している人の加入を防ぐためです。
対象外のがん:上皮内新生物・非浸潤がん・皮膚がん
がん団信では、以下のがんは対象外とされる場合が多いです。
対象外のがん:
- 上皮内新生物(初期がん):がんの初期段階
- 非浸潤がん:がん細胞が基底膜を破っていない状態
- 皮膚がん(悪性黒色腫を除く)
悪性新生物(浸潤がん)のみが保障対象となる場合が一般的です。契約内容を必ず確認しましょう。
がん団信の加入方法と費用負担
加入のタイミング:住宅ローン借入時のみ
がん団信は、住宅ローンの新規借入時または借り換え時のみ加入可能です。
返済中の途中加入は認められていません。
金利上乗せ型と無料付帯型の違い
金利上乗せ型と無料付帯型の費用負担を比較します。
例:3,000万円を35年返済、金利0.5%の場合
| 種類 | 金利 | 総返済額 | 金利負担 | 保障内容 |
|---|---|---|---|---|
| 一般団信 | 0.5% | 約3,858万円 | - | 死亡・高度障害のみ |
| がん団信(金利上乗せ0.2%) | 0.7% | 約3,956万円 | 約98万円 | 100%免除 |
| がん団信(無料付帯) | 0.5% | 約3,858万円 | なし | 50%免除 |
金利上乗せ型は100%免除ですが、総返済額が約100万円増加します。
健康状態の告知・審査の流れ
がん団信に加入する際は、健康状態の告知と保険会社の審査が必要です。
審査の流れ:
- 告知書の記入:過去の病歴・治療歴を申告
- 保険会社の審査:告知内容を元に審査
- 承認・却下:健康状態により加入可否が決定
健康上の理由で加入できない場合、ワイド団信(引受基準緩和型)を検討できます。
がん団信とがん保険の違いと注意点
保障対象の違い:ローン返済 vs 治療費
がん団信とがん保険は、保障対象が異なります。
| 項目 | がん団信 | がん保険 |
|---|---|---|
| 保障対象 | 住宅ローン返済 | 治療費・生活費 |
| 保障期間 | ローン完済まで | 終身または一定期間 |
| 保険金 | ローン残高と同額 | 診断一時金・入院給付金等 |
PayPay銀行の解説によると、両者は役割が異なるため、併用が推奨されます。
保障期間の違い:完済まで vs 終身
がん団信は、住宅ローン完済と同時に保障が終了します。
一方、がん保険は終身または一定期間継続するため、老後の保障を考慮する必要があります。
がん団信加入時のがん保険見直しの必要性
がん団信に加入する場合、既存のがん保険の見直しが必要です。
見直しのポイント:
- 保障の重複:住宅ローン返済と治療費のどちらを優先するか
- 保険料の負担:がん団信とがん保険の両方に加入する場合の総負担
- ローン完済後の保障:老後のがん保障をどう確保するか
ファイナンシャルプランナーや保険会社への相談を推奨します。
まとめ:がん団信の選び方と次のアクション
がん団信に加入すれば、がんと診断された時点で住宅ローン残高が免除されます。
ただし、契約から90日の免責期間があり、上皮内新生物(初期がん)、非浸潤がん、皮膚がん等は対象外の場合が多いため、保障の限界を理解しておくことが重要です。
がん団信は住宅ローン借入時のみ加入可能で、返済中の途中加入は認められていません。金利上乗せ型(100%免除)と無料付帯型(50%免除)があり、費用負担と保障内容を比較して選びましょう。
がん団信はローン返済を保障しますが、治療費は別途がん保険で備える必要があります。専門家に相談し、自分に合った保障を設計しましょう。
