買主が決まっている不動産の仲介手数料|支払い義務と減額交渉

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/8

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買主が決まっている不動産売買:仲介手数料は必要か?

知人や親族など「買主が決まっている」状態で不動産を売却する場合、「仲介手数料を払う必要があるのか」「減額交渉はできるのか」と疑問に思う方は少なくありません。

この記事では、買主が決まっている場合の仲介手数料の取り扱い、減額交渉の可能性、不動産会社を通すメリット、個人間取引のリスクを、国土交通省の宅建業法規定を元に解説します。

買主が決まっている状態で不動産売却を検討している方が、適切な判断ができるようになります。

この記事のポイント

  • 買主が決まっていても、不動産会社を通す場合は仲介手数料が発生する
  • 販売活動が不要なため、通常の「半額」程度に減額交渉できる可能性がある
  • 仲介手数料の上限は法律で定められているが、下限はないため交渉可能
  • 不動産会社を通すことで契約書作成・重要事項説明・トラブル対応が受けられる
  • 個人間取引は仲介手数料不要だが、法的リスクが高い

仲介手数料の計算方法と上限額(2024年改正対応)

仲介手数料の計算方法と最新の法改正について解説します。

速算式:売買価格×3%+6万円+消費税

400万円を超える物件の仲介手数料は、以下の速算式で計算できます。

仲介手数料(税込)= 売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税

売買価格 仲介手数料(税込)
1,000万円 約39.6万円
2,000万円 約72.6万円
3,000万円 約105.6万円
5,000万円 約171.6万円

2024年7月改正:800万円以下は上限33万円

2024年7月1日から、宅地建物取引業法の報酬規定が改正されました。800万円以下の物件について、仲介手数料の上限が33万円(税込)に引き上げられています。

売買価格 旧上限(改正前) 新上限(2024年7月以降)
400万円 約19.8万円 33万円
600万円 約26.4万円 33万円
800万円 約33万円 33万円

この改正は空き家問題対策の一環で、低価格物件でも不動産会社が適正な報酬を得られるようにする目的があります。

仲介手数料は売主・買主の両方が支払う

仲介手数料は売主・買主の両方が、それぞれ仲介を依頼した不動産会社に支払います。買主が決まっていても、この原則は変わりません。

買主が決まっている場合の仲介手数料の目安と減額交渉

買主が決まっている場合の仲介手数料について解説します。

「半額」が目安となる理由(販売活動が不要)

買主が決まっている場合、通常の仲介手数料の「半額」が目安とされることがあります。理由は以下の通りです。

通常の仲介で発生する業務

  • 物件の査定・価格設定
  • 広告掲載・販売活動
  • 内覧対応・購入希望者との交渉
  • 契約書作成・重要事項説明

買主が決まっている場合に省略される業務

  • 広告掲載・販売活動
  • 内覧対応
  • 購入希望者との交渉

販売活動が不要なため、その分の手数料を減額できる可能性があります。ただし、「半額」は法的な決まりではなく、交渉の目安です。

減額交渉は可能:上限のみ法定、下限なし

宅地建物取引業法で定められているのは仲介手数料の「上限」のみです。下限は定められていないため、交渉による減額は法律上可能です。

減額交渉が成功しやすいケース:

  • 買主が既に決まっている
  • 複数の不動産会社に相見積もりを取っている
  • 専属専任媒介契約を締結する意向がある

両手仲介と片手仲介の違い

仲介の形態により、手数料の負担が変わる場合があります。

形態 内容 手数料の特徴
両手仲介 1社が売主・買主双方の仲介 買主側が無料になることも
片手仲介 売主側・買主側が別の会社 各社が上限まで請求可能

両手仲介の場合、売主から満額を受け取り、買主側を無料または割引にする不動産会社もあります。

不動産会社を通すメリットと個人間取引のリスク

仲介手数料を払ってでも不動産会社を通すメリットを解説します。

メリット:契約書作成・重要事項説明・トラブル対応

不動産会社を通すことで、以下のサービスが受けられます。

  • 重要事項説明: 物件の法的制限、設備状況、権利関係の説明(宅建士が行う法定義務)
  • 契約書作成: 法的に有効な売買契約書の作成
  • 価格の妥当性確認: 相場に基づいた価格設定のアドバイス
  • トラブル対応: 契約後のトラブル発生時の対応
  • 登記手続きの手配: 司法書士の紹介、登記手続きのサポート

個人間取引のリスク:登記・税金・瑕疵担保責任

仲介手数料を節約するために個人間で直接取引することも可能ですが、以下のリスクがあります。

  • 契約書の不備: 法的に不十分な契約書ではトラブル時に不利になる
  • 重要事項の見落とし: 物件の法的制限や権利関係を見落とす可能性
  • 税金の計算ミス: 譲渡所得税、不動産取得税の計算が複雑
  • 瑕疵担保責任: 引き渡し後の欠陥発覚時の責任範囲が不明確
  • 登記手続きの煩雑さ: 所有権移転登記、抵当権抹消登記の手続きが複雑

知人や親族との取引でも、トラブル防止のため不動産会社を通すことを推奨します。

仲介手数料の値引き交渉のタイミングとコツ

仲介手数料の減額交渉を成功させるためのポイントを解説します。

媒介契約を結ぶ前がベストタイミング

値引き交渉のタイミングは、媒介契約を結ぶ「前」がベストです。

タイミング 交渉のしやすさ
媒介契約前 交渉しやすい
媒介契約後 交渉しにくい
契約成立後 交渉は困難

媒介契約を結んだ後は、不動産会社にとって契約変更のメリットがないため、交渉が難しくなります。

専属専任媒介なら交渉に応じてもらいやすい

媒介契約には3つの種類があり、拘束力の強い契約ほど減額交渉に応じてもらいやすい傾向があります。

契約種類 特徴 交渉のしやすさ
専属専任媒介 1社のみ、自己発見取引も不可 交渉しやすい
専任媒介 1社のみ、自己発見取引は可能 やや交渉しやすい
一般媒介 複数社に依頼可能 交渉しにくい

専属専任媒介契約を提案することで、減額交渉に応じてもらえる可能性が高まります。

まとめ:仲介手数料と安全な取引のバランス

買主が決まっている場合でも、不動産会社を通す場合は仲介手数料が発生します。ただし、販売活動が不要なため、通常の「半額」程度に減額交渉できる可能性があります。

減額交渉のポイント

  • 媒介契約を結ぶ「前」に交渉する
  • 複数社から見積もりを取る
  • 専属専任媒介契約を検討する

不動産会社を通すメリット

  • 重要事項説明で法的リスクを回避
  • 契約書作成でトラブルを防止
  • 税金・登記のサポートが受けられる

仲介手数料を節約することも大切ですが、安全な取引のために専門家を活用することを推奨します。減額交渉の可否や金額は個別の状況により異なるため、複数の不動産会社に相談してから判断しましょう。

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よくある質問

Q1仲介手数料の上限はいくらですか?

A1400万円を超える物件の場合、「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限です。例えば3,000万円の物件なら約105.6万円(税込)が上限となります。2024年7月1日から、800万円以下の物件については上限が33万円(税込)に改定されました。これは空き家問題対策の一環で、低価格物件でも不動産会社が適正な報酬を得られるようにする目的があります。

Q2買主が決まっている場合、仲介手数料は減額できますか?

A2交渉により減額できる可能性があります。宅地建物取引業法で定められているのは仲介手数料の「上限」のみで、下限は定められていません。買主が決まっている場合、広告掲載や販売活動が不要なため、通常の「半額」程度に減額されることがあります。ただし減額交渉は媒介契約を結ぶ「前」に行うのがベストタイミングです。

Q3司法書士のみに依頼して個人間取引することは可能ですか?

A3法律上は可能ですが、リスクが高いためお勧めしません。司法書士は登記手続きの専門家ですが、不動産売買の仲介業務(重要事項説明、契約書作成、価格交渉等)は行いません。不動産会社を通さない個人間取引では、契約書の不備や法的リスクの見落とし、税金計算のミス等のトラブルが発生しやすくなります。知人や親族との取引でも、不動産会社を通すことを推奨します。

Q4仲介手数料が無料になることはありますか?

A4両手仲介(1つの不動産会社が売主・買主双方の仲介を行う形態)の場合、買主側の手数料が無料になることがあります。これは売主から満額を受け取ることで、不動産会社が収益を確保できるためです。ただし、両手仲介は売主と買主の利益相反が生じる可能性があること、手数料無料の場合はサービス品質が低下するリスクがあることに注意が必要です。

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Room Match編集部

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