0円不動産とは?無料物件のメリット・デメリットと注意点

公開日: 2025/10/27

0円不動産とは|無料物件の仕組みと実態

「家が0円で手に入る」と聞くと、信じがたいかもしれません。しかし、実際に0円で譲渡される不動産は存在します。

この記事では、0円不動産の仕組み、メリット・デメリット、取得時の費用と注意点を、国土交通省総務省の公式情報を元に解説します。

地方移住や投資を検討している方が、正しい知識を持って判断できるようになります。

この記事のポイント

  • 0円不動産は物件価格が無料だが、贈与税・登録免許税・固定資産税等の税負担が数十万~数百万円発生する
  • 多くの0円物件は老朽化が進み、修繕費用が数百万~1,000万円以上かかる場合がある
  • 取得後に適切な管理を怠ると特定空家に指定され、固定資産税が6倍になるリスクがある
  • 自治体の空き家バンクや民間サイト(みんなの0円物件等)で探すことができる
  • 専門家(司法書士、不動産業者)への相談が必須

0円不動産の仕組み

0円不動産とは、物件価格が0円で譲渡される不動産のことです。法律上は「贈与」に該当し、所有者が無償で譲り渡す取引形態です。

自治体の空き家バンク

国土交通省によると、全国約70%の自治体(1,261自治体)が空き家バンクを設置しています。空き家バンクは、自治体や民間が運営する空き家・空き地の情報提供サイトで、売却・賃貸・無償譲渡物件を掲載し、移住促進や空き家対策に活用されています。

民間のマッチングサイト

民間企業も0円物件のマッチングサイトを運営しています。代表的なサイトとして、みんなの0円物件(累計約1,500件の実績、2025年10月時点で1,626件掲載、約90%のマッチング率)や、全国0円不動産(現役司法書士が運営し、登記手続きの専門家が関与することで安全性が高い)があります。

「完全無料」ではない実態

重要なのは、0円不動産は「物件価格が0円」であって「完全無料」ではないという点です。取得時には贈与税(評価額110万円超の場合)、登録免許税(評価額の2%)、取得後には固定資産税等の税負担が発生します。総額で数十万~数百万円になる場合があります。

0円不動産のメリット

0円不動産には、以下のメリットがあります。

初期取得費用の大幅削減

物件価格が0円であるため、通常の不動産購入と比べて初期投資を大幅に抑えることができます。数千万円の住宅ローンを組む必要がなく、若年層や低所得者でも取得のハードルが低くなります。

地方移住や田舎暮らしの実現

地方の0円物件を活用することで、都会の喧騒を離れた田舎暮らしを実現できます。テレワークの普及により、都市部に住む必要性が低下した方にとって、魅力的な選択肢となっています。

リノベーション・DIYの自由度

0円物件は築年数が古く、老朽化している場合が多いですが、その分、自由にリフォームやDIYを楽しむことができます。自分の理想の住まいを作り上げたい方にとっては、やりがいのあるプロジェクトになります。

0円不動産のデメリットとリスク

一方で、0円不動産には見過ごせないデメリットとリスクがあります。

高額な修繕費用

多くの0円物件は長期間放置された空き家で、老朽化が進行しています。シロアリ被害、外壁のひび割れ、雨漏り等により、リフォーム費用が数百万円~1,000万円以上かかる場合があります。物件によっては、取得後の修繕費用が新築住宅の購入費用を上回ることもあります。

税金・諸費用の負担

0円不動産の取得時・取得後には、以下の税金・費用が発生します。

項目 内容 目安額
贈与税 評価額110万円超で課税 評価額により変動
登録免許税 固定資産税評価額の2% 数万~数十万円
不動産取得税 固定資産税評価額の3% 数万~数十万円
固定資産税 毎年課税 年数万~数十万円

(出典: HOME'S 不動産の無償譲渡とは何か

総額で数十万~数百万円の負担が発生するため、「完全無料」と誤解しないよう注意が必要です。

特定空家指定のリスク

取得後に適切な管理を怠ると、総務省の調査によれば、自治体から特定空家に指定される可能性があります。特定空家とは、倒壊の危険、衛生上有害、景観を著しく損なう等の状態にある空き家のことです。

指定されると、固定資産税の軽減措置(1/6)が外れ、税負担が6倍になります。また、倒壊危険等がある場合、自治体から強制撤去の対象となる可能性もあります。

再売却の困難性

立地が悪い、修繕が必要等の理由で、取得後に売却しようとしても買い手が見つからず、手放せないまま維持費だけがかかり続ける「負動産」化するリスクがあります。国土交通省の報告書では、0円物件取引におけるトラブル事例として、再売却困難なケースが多数報告されています。

仲介なしの直接取引リスク

0円物件の多くは、プロの仲介業者が入らない直接取引です。そのため、契約書の不備、重要事項説明の欠如、瑕疵の見落とし等により、後日トラブルになる可能性が高くなります。

0円不動産の探し方

0円不動産を探す方法は、主に以下の3つです。

自治体の空き家バンク

国土交通省の全国版空き家バンクでは、1,261自治体が参加し、全国の空き家情報を一括検索できます。自治体が関与するため、比較的安全な取引が期待できます。

代表的なマッチングサイト

  • みんなの0円物件: 累計約1,500件の実績、2025年10月時点で1,626件掲載、約90%のマッチング率
  • 全国0円不動産: 現役司法書士が運営し、登記手続きの専門家が関与することで安全性が高い

これらのサイトでは、地域・物件種別で絞り込み検索ができ、写真や詳細情報も確認できます。

司法書士運営サイトの活用

全国0円不動産のように、司法書士が運営するサイトでは、登記手続きの専門家が関与するため、契約書の不備や登記トラブルのリスクを低減できます。手続き費用の目安も明示されており、安心して取引を進められます。

0円不動産取得時の費用と注意点

0円不動産を取得する際には、以下の費用と注意点を把握しておく必要があります。

税金の種類と金額

HOME'Sによると、0円不動産取得時・取得後には以下の税金が発生します。

  • 贈与税: 評価額110万円超で課税。税率は評価額により10%~55%
  • 登録免許税: 固定資産税評価額の2%(贈与の場合)
  • 不動産取得税: 固定資産税評価額の3%
  • 固定資産税: 毎年課税。評価額の1.4%程度

例えば、評価額500万円の物件の場合、登録免許税10万円、不動産取得税15万円、固定資産税年7万円程度の負担が発生します。

登記費用

登記手続きには、登録免許税のほかに、司法書士への報酬(5万~10万円程度)が必要です。全国0円不動産のような司法書士運営サイトでは、手続き費用の目安が明示されています。

トラブル事例と対策

国土交通省の報告書では、0円物件取引における主なトラブル事例として、以下が報告されています。

  • 契約書の不備により、取得後に予期せぬ負担が発生
  • 重要事項説明の欠如により、瑕疵を見落とし
  • 境界未確定のまま取得し、後日隣地とトラブル

これらのトラブルを防ぐためには、以下の対策が必要です。

  • 司法書士への相談: 登記手続きと契約書の確認
  • 不動産業者への相談: 物件調査(建物の状態、周辺環境、境界確定等)
  • 現地確認の徹底: 必ず現地を訪れ、物件の状態を自分の目で確認

まとめ:0円不動産は本当にお得か

0円不動産は、物件価格が0円であることの魅力がありますが、取得時の税金・諸費用、取得後の修繕費・維持費、管理不全によるリスク等、見えないコストが多数存在します。

「完全無料」ではなく、総額で数十万~数百万円、場合によっては1,000万円以上の負担が発生することを理解した上で、判断する必要があります。

取得を検討する際は、司法書士(登記手続き)、不動産業者(物件調査)への相談を強く推奨します。現地確認を徹底し、長期的な資金計画を立てた上で、慎重に判断しましょう。

よくある質問

Q10円不動産は完全無料で住めますか?

A1物件価格は0円ですが、完全無料ではありません。取得時には贈与税(評価額110万円超で課税)、登録免許税(評価額の2%)、不動産取得税(評価額の3%)が発生します。取得後も固定資産税が毎年課税されます。さらに、老朽化した物件では修繕費用が数百万~1,000万円以上かかる場合があるため、総額で数十万~数百万円の負担が必要です。

Q20円不動産を取得後、すぐに売却できますか?

A2立地が悪い、修繕が必要等の理由で、買い手が見つからず、再売却は困難な場合が多いです。国土交通省の報告書でも、0円物件取引における再売却困難なケースが多数報告されています。「負動産」化して維持費だけがかかり続けるリスクがあるため、取得前に将来の売却可能性も考慮する必要があります。

Q30円不動産取得時に専門家は必要ですか?

A3仲介なしの直接取引は、契約書の不備、重要事項説明の欠如、瑕疵の見落とし等のリスクが高いため、専門家への相談を強く推奨します。司法書士には登記手続きと契約書の確認を、不動産業者には物件調査(建物の状態、周辺環境、境界確定等)を依頼することで、トラブルを防ぐことができます。費用は司法書士報酬5万~10万円程度、物件調査費数万円程度が目安です。

Q4特定空家に指定されるとどうなりますか?

A4特定空家に指定されると、固定資産税の軽減措置(1/6)が外れ、税負担が6倍になります。例えば、年7万円だった固定資産税が42万円に増加します。さらに、倒壊危険等がある場合、自治体から強制撤去の対象となる可能性があり、撤去費用(数百万円)も所有者負担となります。取得後は適切な管理を継続することが重要です。