不動産取引価格情報検索の使い方|実取引データで相場を調べる

公開日: 2025/10/27

不動産取引価格情報検索とは?実取引データで相場を知るメリット

不動産の売買を検討する際、「この物件の価格は適正なのか」「相場はどれくらいか」と気になる方は多いのではないでしょうか。

この記事では、国土交通省が提供する「不動産取引価格情報検索」(土地総合情報システム)の使い方、地価公示との違い、相場の読み取り方を詳しく解説します。

実際の売買価格(成約価格)を無料で検索できる公的サービスを活用することで、不動産の相場を正確に把握できるようになります。

この記事のポイント

  • 国土交通省の「不動産取引価格情報検索」は実際の売買価格を無料で検索できる公的サービス
  • アンケート回答ベースで約3割の取引を掲載(すべての取引が掲載されているわけではない)
  • 地価公示は「公的な評価額」、取引価格情報は「実際の市場価格」という性格の違いがある
  • 複数の類似物件データを比較し、中央値・平均値で相場を把握することが重要
  • 取引価格情報はあくまで参考値であり、正確な査定には不動産会社への依頼を併用すべき

地価公示と取引価格情報の違い

不動産の価格情報には、「地価公示」と「取引価格情報」という2つの公的データがあります。それぞれの性格を理解しておくことが、相場把握に役立ちます。

地価公示(評価額の基準)

地価公示は、国土交通省が毎年3月に公表する標準地の評価額です(1月1日時点)。不動産鑑定士が評価した「公的な土地の評価額」であり、以下の用途で利用されます。

  • 公共事業の用地取得価格の算定基準
  • 固定資産税評価の参考値
  • 金融機関の担保評価の指標

地価公示はあくまで「評価額」であり、実際の売買価格とは異なります。

取引価格情報(実際の売買価格)

取引価格情報は、実際の不動産売買契約に基づくアンケート回答データです。売主・買主に対して国土交通省がアンケートを実施し、回答があった取引の価格を公表しています。

特徴:

  • 実際の市場価格が分かる(売主と買主が合意した成約価格)
  • アンケート回答率は約3割(すべての取引が掲載されているわけではない)
  • 四半期ごと(3ヶ月ごと)に更新される
  • 個人情報保護のため、詳細な住所・建物名は非公開

地価公示は「公的な評価額の基準」、取引価格情報は「実際の市場価格」という性格の違いを理解しておくことが重要です。

不動産取引価格情報検索の使い方(ステップ解説)

ステップ1: 土地総合情報システムにアクセス

国土交通省の不動産情報ライブラリにアクセスします。トップページに「不動産取引価格情報検索」のメニューがあります。

ステップ2: 検索条件の設定(地域・時期・不動産種別)

検索条件を設定します。

設定項目:

  • 都道府県: 調べたい地域の都道府県を選択
  • 市区町村: 都道府県内の市区町村を選択
  • 時期: 取引時期(四半期ごと)を選択。最新データは約3-6ヶ月遅れで公表される
  • 不動産種別: 土地、土地と建物(中古マンション等)、中古マンション等、農地、林地から選択

例えば、「東京都千代田区の中古マンション、2024年第2四半期(4-6月)の取引」を調べる場合、以下のように設定します。

  • 都道府県: 東京都
  • 市区町村: 千代田区
  • 時期: 2024年第2四半期
  • 不動産種別: 中古マンション等

ステップ3: 検索結果の見方(取引価格・面積・築年数等)

検索結果には以下の情報が表示されます。

項目 内容
取引価格 実際の売買価格(万円)
所在地 市区町村・地区名(詳細な住所は非公開)
面積 土地面積・建物面積(㎡)
最寄駅 最寄駅名と距離(分)
築年数 建築年・築年数
建物の構造 木造・鉄骨造・RC造等
間取り 1LDK、3LDK等

個人情報保護のため、詳細な住所や建物名は公開されていません。

検索結果から相場を読み取る方法

類似物件の取引価格を比較

相場を把握するには、複数の類似物件データを比較することが重要です。

比較のポイント:

  • 面積・築年数が近い物件を抽出
  • 最寄駅からの距離が似ている物件を選ぶ
  • 同じ時期(四半期)のデータを使用

1件のデータだけでは判断が難しいため、最低でも5-10件のデータを比較することを推奨します。

平米単価・坪単価の計算方法

取引価格を面積で割ることで、平米単価・坪単価を算出できます。

計算式:

  • 平米単価 = 取引価格 ÷ 面積(㎡)
  • 坪単価 = 平米単価 × 3.3058

例えば、取引価格が5000万円、面積が70㎡の場合、平米単価は以下の通りです。

平米単価 = 5000万円 ÷ 70㎡ = 約71.4万円/㎡

複数の物件の平米単価を算出し、中央値や平均値を取ることで、相場の目安が分かります。

取引時期・築年数の影響

取引価格は、取引時期や築年数により変動します。

取引時期の影響:
不動産市場は時期により変動します。最新データほど現在の相場に近いため、できるだけ直近のデータを参照することを推奨します。

築年数の影響:
築年数が古いほど、一般的に価格は低くなります。築10年と築30年では大きな価格差があるため、築年数が近い物件同士を比較することが重要です。

取引価格情報の注意点と活用の限界

アンケート回答ベースで全取引は掲載されていない

取引価格情報は、売主・買主へのアンケートに基づいています。アンケート回答率は約3割のため、すべての取引が掲載されているわけではありません。

掲載されていない取引もあることを理解した上で、参考値として活用してください。

個人情報保護のため詳細な住所は非公開

個人情報保護のため、詳細な住所や建物名は公開されていません。「〇〇区△△」といった地区名までしか分かりません。

特定の建物の取引価格を調べることはできないため、あくまで「地域全体の相場」を把握する目的で利用してください。

不動産会社の査定サービスとの併用推奨

取引価格情報はあくまで参考値であり、個別の物件評価には限界があります。正確な査定を得るには、不動産会社の査定サービスを併用することを推奨します。

不動産会社の査定では、以下のような個別要素も考慮されます。

  • 建物の状態(リフォーム履歴、設備の新しさ等)
  • 眺望・日当たり
  • 周辺環境(学校、商業施設等の利便性)

公的データと専門家の査定を併用することで、より正確な相場把握が可能になります。

まとめ:公的データを活用して適正価格を判断

国土交通省の不動産取引価格情報検索は、実際の市場価格を知る第一歩として有用です。無料で利用でき、実際の売買価格(成約価格)を検索できます。

ただし、アンケート回答ベースで約3割の取引しか掲載されておらず、個別の物件評価には限界があります。正確な査定を得るには、不動産会社への相談が必要です。

公的データ(取引価格情報・地価公示)と専門家の査定を併用し、総合的に判断することで、適正価格での不動産取引が可能になります。

よくある質問

Q1不動産取引価格情報検索は無料で使えますか?

A1はい、無料で利用できます。国土交通省が提供する公的サービスで、誰でも自由に検索可能です。会員登録も不要で、国土交通省の不動産情報ライブラリにアクセスするだけで、全国の不動産取引価格を検索できます。ただし、アンケート回答ベースのため、すべての取引が掲載されているわけではない点にご注意ください。

Q2取引価格情報はどれくらいの頻度で更新されますか?

A2四半期ごと(3ヶ月ごと)に更新されます。最新の取引データは約3-6ヶ月遅れで公表されます。例えば、2024年4-6月の取引データは、2024年9-10月頃に公表されます。常に最新のデータが掲載されているわけではないため、検索時には取引時期を確認し、できるだけ直近のデータを参照することを推奨します。

Q3地価公示と取引価格情報、どちらを参考にすべきですか?

A3両方を併用することを推奨します。地価公示は公的な評価額の基準であり、固定資産税評価や担保評価の指標として使われます。一方、取引価格情報は実際の市場価格(売主と買主が合意した成約価格)です。地価公示で「公的な評価額」を確認し、取引価格情報で「実際の市場価格」を確認することで、より正確な相場把握が可能になります。

Q4取引価格情報で自分の物件の価値は分かりますか?

A4おおよその相場は分かりますが、個別の物件評価には限界があります。取引価格情報は地区名までしか公開されておらず、特定の建物の取引価格を調べることはできません。また、建物の状態(リフォーム履歴、設備の新しさ)や眺望・日当たり等の個別要素は反映されていません。正確な査定を得るには、不動産会社の査定サービスを併用し、専門家に相談することを推奨します。