不動産リート(REIT)とは?仕組み・メリット・始め方を初心者向けに解説

公開日: 2025/10/31

不動産リート(REIT)とは?少額から始められる不動産投資の仕組み

資産運用を検討する際、「不動産投資に興味があるが、現物不動産は敷居が高い」と感じる方は少なくありません。

この記事では、REITの仕組み、メリット・デメリット、始め方を、金融庁の公式情報不動産証券化協会のデータをもとに解説します。

初めての方でも、REITを正しく理解し、少額から不動産投資を始められるようになります。

この記事のポイント

  • REITは投資家から集めた資金で不動産に投資し、賃料収入等を分配する金融商品
  • 少額投資可能(数万円から)で、流動性が高く、専門家による運用を受けられる
  • 価格変動リスク、分配金減少リスク、金利上昇リスクがあり、元本保証はない
  • J-REITは用途別(オフィス、住宅、商業、物流、ホテル等)に分類され、分散投資が重要
  • NISA口座での購入も可能で、税制優遇を活用できる

REITとは?不動産投資信託の基本

REIT(リート)は、Real Estate Investment Trustの略で、不動産投資信託を意味します。

REITの仕組み

REITは以下の仕組みで運用されます。

  1. 投資家から資金を集める
  2. 不動産(オフィスビル、商業施設、マンション等)に投資
  3. 賃料収入や売却益を投資家に分配

投資家は不動産を直接所有するのではなく、REITが発行する投資証券を保有します。

J-REITとは

J-REITは、日本のREITです。東京証券取引所に上場されており、株式と同様に取引できます。

不動産証券化協会によると、2025年時点でJ-REITは60銘柄以上が上場しています。

J-REITの種類と特徴

J-REITは用途別に分類されます。

用途別の分類

用途 主な投資対象 特徴
オフィス オフィスビル 景気に左右されやすいが、賃料収入が安定
住宅 賃貸マンション 景気の影響を受けにくく、安定した賃料収入
商業 ショッピングセンター 売上連動型賃料が多く、景気に左右されやすい
物流 物流施設 Eコマース拡大で需要増加、成長性が高い
ホテル ホテル施設 訪日外国人数に大きく影響される
ヘルスケア 高齢者施設 高齢化で需要増加、安定した賃料収入

特化型と複合型

J-REITには以下の2つのタイプがあります。

  • 特化型: 1つの用途に特化(例:オフィス特化型)
  • 複合型: 複数の用途に分散投資(例:オフィス・商業・住宅の複合型)

特化型は用途ごとの特性が明確ですが、複合型は分散効果でリスクを抑えられます。

REITのメリット

REITには以下のメリットがあります。

少額から投資可能

現物不動産は数千万円必要ですが、REITは数万円から投資できます。

  • 最低投資額は銘柄により異なるが、5-10万円程度から
  • 少額で複数銘柄に分散投資できる

流動性が高い

REITは証券取引所に上場されているため、売買が容易です。

  • 株式と同様に、市場が開いている時間帯に売買可能
  • 現物不動産のように売却に数ヶ月かかることがない

専門家による運用

REITは不動産の専門家が運用します。

  • 物件選定、賃料設定、修繕計画等を専門家が実施
  • 個人では困難な大型物件への投資も可能

分散投資が可能

REITは複数の物件に投資するため、分散効果があります。

  • 1つの物件の空室リスクが分散される
  • 地域・用途を分散することでリスクを抑えられる

REITのデメリット・注意点

一方、REITには以下のデメリット・リスクがあります。

価格変動リスク

REITは証券取引所に上場されており、投資口価格が変動します。

  • 不動産市況、金利動向、経済情勢により価格が変動
  • 元本保証はなく、購入価格を下回る可能性がある

分配金減少リスク

保有不動産の空室率上昇や賃料下落により、分配金が減少する可能性があります。

  • 「配当利回り5%」は過去実績に基づく予想値で、確定ではない
  • 分配金が減少すると、投資口価格も下落しやすい

金利上昇リスク

日銀の金融政策正常化により、金利が上昇する可能性があります。

  • 金利上昇 → REITの投資魅力が低下 → 価格が下落
  • 2025年現在、日銀の利上げペースが注目されている

実物資産非保有

REITは投資証券であり、現物不動産を直接所有するわけではありません。

  • 投資法人の倒産リスクが存在
  • 現物不動産のように土地・建物を直接保有できない

REITの始め方

REITは以下の手順で始められます。

証券口座の開設

まず、証券会社で口座を開設します。

  • 主要ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券等)で開設可能
  • NISA口座を開設すれば、税制優遇を受けられる

銘柄の選定

自分の投資方針に合った銘柄を選びます。

  • 利回り重視: 分配金利回りが高い銘柄
  • 安定性重視: 住宅・ヘルスケア等、景気の影響を受けにくい銘柄
  • 成長性重視: 物流等、需要拡大が見込める銘柄

不動産証券化協会のサイトで、各銘柄の詳細データを確認できます。

NISAでの購入

NISA口座でREITを購入すると、分配金・売却益が非課税になります。

  • つみたてNISA: 一部のREIT投資信託が対象
  • 成長投資枠: J-REIT(個別銘柄)も購入可能

2024年の新NISA制度により、年間投資枠が拡大しました。

分散投資の重要性

REITに投資する際は、以下の分散を意識しましょう。

  • 用途の分散: オフィス・住宅・商業・物流等
  • 地域の分散: 東京・大阪・地方都市等
  • 銘柄の分散: 複数のREITに投資

リスクを抑えるために、1つの銘柄に集中投資せず、複数銘柄に分散しましょう。

現物不動産投資との比較

REITと現物不動産投資の違いを整理します。

項目 REIT 現物不動産投資
最低投資額 数万円から 数千万円
流動性 高い(証券取引所で売買) 低い(売却に数ヶ月)
運用 専門家が実施 自分で管理
分散投資 容易(複数銘柄購入) 困難(資金が必要)
物件選定 選べない 自分で選べる
実物資産 所有しない 所有する
レバレッジ 不可(現物購入のみ) 可能(ローン活用)

REITは少額・流動性・専門家運用が強みですが、現物不動産は物件選定の自由度やレバレッジ活用が強みです。

まとめ:REITは少額から始められる不動産投資の選択肢

REITは、投資家から集めた資金で不動産に投資し、賃料収入等を分配する金融商品です。少額投資可能、流動性が高い、専門家による運用を受けられるメリットがあります。

一方、価格変動リスク、分配金減少リスク、金利上昇リスクがあり、元本保証はありません。リスクとリターンを理解した上で、分散投資を心がけることが重要です。

次のアクションとして、以下をおすすめします。

REITは現物不動産投資の代替手段として、資産運用の選択肢の一つです。自分の投資方針に合った銘柄を選び、長期的な視点で投資しましょう。

よくある質問

Q1REITの最低投資額はいくらですか?

A1銘柄により異なりますが、5-10万円程度から投資できます。現物不動産は数千万円必要なのに対し、REITは少額から始められるのが大きなメリットです。証券会社によっては、REIT投資信託を100円から積立購入できる場合もあります。初心者は少額から始めて、徐々に投資額を増やすことをおすすめします。

Q2REITの分配金にかかる税金はどうなりますか?

A2分配金は配当所得として、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)が源泉徴収されます。ただし、NISA口座で購入した場合は非課税です。2024年の新NISA制度により、成長投資枠でJ-REIT(個別銘柄)も購入可能になりました。税制優遇を活用したい場合は、NISA口座での購入をおすすめします。

Q3REITはNISAで購入できますか?

A3はい、購入できます。つみたてNISAでは一部のREIT投資信託が対象、成長投資枠ではJ-REIT(個別銘柄)も購入可能です。2024年の新NISA制度により、年間投資枠が拡大し、分配金・売却益が非課税になります。ただし、つみたてNISAは対象商品が限定されるため、証券会社のサイトで対象銘柄を確認してください。

Q4REITと不動産投資信託の違いは何ですか?

A4REITは不動産投資信託の英語表記(Real Estate Investment Trust)です。日本のREITを「J-REIT」と呼びます。J-REITは東京証券取引所に上場されており、株式と同様に取引できます。一方、不動産投資信託には非上場のものもあり、換金性がやや劣ります。初心者はJ-REITから始めることをおすすめします。

Q5REITはどの銘柄を選べばいいですか?

A5投資方針により異なります。利回り重視なら分配金利回りが高い銘柄、安定性重視なら住宅・ヘルスケア等の景気の影響を受けにくい銘柄、成長性重視なら物流等の需要拡大が見込める銘柄をおすすめします。ただし、個別銘柄の推奨は投資助言業に該当するため、不動産証券化協会のサイトで各銘柄の詳細を確認し、自己判断で選択してください。分散投資を心がけることが重要です。