不動産リート(REIT)とは?少額から始められる不動産投資の仕組み
資産運用を検討する際、「不動産投資に興味があるが、現物不動産は敷居が高い」と感じる方は少なくありません。
この記事では、REITの仕組み、メリット・デメリット、始め方を、金融庁の公式情報や不動産証券化協会のデータをもとに解説します。
初めての方でも、REITを正しく理解し、少額から不動産投資を始められるようになります。
この記事のポイント
- REITは投資家から集めた資金で不動産に投資し、賃料収入等を分配する金融商品
- 少額投資可能(数万円から)で、流動性が高く、専門家による運用を受けられる
- 価格変動リスク、分配金減少リスク、金利上昇リスクがあり、元本保証はない
- J-REITは用途別(オフィス、住宅、商業、物流、ホテル等)に分類され、分散投資が重要
- NISA口座での購入も可能で、税制優遇を活用できる
REITとは?不動産投資信託の基本
REIT(リート)は、Real Estate Investment Trustの略で、不動産投資信託を意味します。
REITの仕組み
REITは以下の仕組みで運用されます。
- 投資家から資金を集める
- 不動産(オフィスビル、商業施設、マンション等)に投資
- 賃料収入や売却益を投資家に分配
投資家は不動産を直接所有するのではなく、REITが発行する投資証券を保有します。
J-REITとは
J-REITは、日本のREITです。東京証券取引所に上場されており、株式と同様に取引できます。
不動産証券化協会によると、2025年時点でJ-REITは60銘柄以上が上場しています。
J-REITの種類と特徴
J-REITは用途別に分類されます。
用途別の分類
| 用途 | 主な投資対象 | 特徴 | 
|---|---|---|
| オフィス | オフィスビル | 景気に左右されやすいが、賃料収入が安定 | 
| 住宅 | 賃貸マンション | 景気の影響を受けにくく、安定した賃料収入 | 
| 商業 | ショッピングセンター | 売上連動型賃料が多く、景気に左右されやすい | 
| 物流 | 物流施設 | Eコマース拡大で需要増加、成長性が高い | 
| ホテル | ホテル施設 | 訪日外国人数に大きく影響される | 
| ヘルスケア | 高齢者施設 | 高齢化で需要増加、安定した賃料収入 | 
特化型と複合型
J-REITには以下の2つのタイプがあります。
- 特化型: 1つの用途に特化(例:オフィス特化型)
- 複合型: 複数の用途に分散投資(例:オフィス・商業・住宅の複合型)
特化型は用途ごとの特性が明確ですが、複合型は分散効果でリスクを抑えられます。
REITのメリット
REITには以下のメリットがあります。
少額から投資可能
現物不動産は数千万円必要ですが、REITは数万円から投資できます。
- 最低投資額は銘柄により異なるが、5-10万円程度から
- 少額で複数銘柄に分散投資できる
流動性が高い
REITは証券取引所に上場されているため、売買が容易です。
- 株式と同様に、市場が開いている時間帯に売買可能
- 現物不動産のように売却に数ヶ月かかることがない
専門家による運用
REITは不動産の専門家が運用します。
- 物件選定、賃料設定、修繕計画等を専門家が実施
- 個人では困難な大型物件への投資も可能
分散投資が可能
REITは複数の物件に投資するため、分散効果があります。
- 1つの物件の空室リスクが分散される
- 地域・用途を分散することでリスクを抑えられる
REITのデメリット・注意点
一方、REITには以下のデメリット・リスクがあります。
価格変動リスク
REITは証券取引所に上場されており、投資口価格が変動します。
- 不動産市況、金利動向、経済情勢により価格が変動
- 元本保証はなく、購入価格を下回る可能性がある
分配金減少リスク
保有不動産の空室率上昇や賃料下落により、分配金が減少する可能性があります。
- 「配当利回り5%」は過去実績に基づく予想値で、確定ではない
- 分配金が減少すると、投資口価格も下落しやすい
金利上昇リスク
日銀の金融政策正常化により、金利が上昇する可能性があります。
- 金利上昇 → REITの投資魅力が低下 → 価格が下落
- 2025年現在、日銀の利上げペースが注目されている
実物資産非保有
REITは投資証券であり、現物不動産を直接所有するわけではありません。
- 投資法人の倒産リスクが存在
- 現物不動産のように土地・建物を直接保有できない
REITの始め方
REITは以下の手順で始められます。
証券口座の開設
まず、証券会社で口座を開設します。
- 主要ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券等)で開設可能
- NISA口座を開設すれば、税制優遇を受けられる
銘柄の選定
自分の投資方針に合った銘柄を選びます。
- 利回り重視: 分配金利回りが高い銘柄
- 安定性重視: 住宅・ヘルスケア等、景気の影響を受けにくい銘柄
- 成長性重視: 物流等、需要拡大が見込める銘柄
不動産証券化協会のサイトで、各銘柄の詳細データを確認できます。
NISAでの購入
NISA口座でREITを購入すると、分配金・売却益が非課税になります。
- つみたてNISA: 一部のREIT投資信託が対象
- 成長投資枠: J-REIT(個別銘柄)も購入可能
2024年の新NISA制度により、年間投資枠が拡大しました。
分散投資の重要性
REITに投資する際は、以下の分散を意識しましょう。
- 用途の分散: オフィス・住宅・商業・物流等
- 地域の分散: 東京・大阪・地方都市等
- 銘柄の分散: 複数のREITに投資
リスクを抑えるために、1つの銘柄に集中投資せず、複数銘柄に分散しましょう。
現物不動産投資との比較
REITと現物不動産投資の違いを整理します。
| 項目 | REIT | 現物不動産投資 | 
|---|---|---|
| 最低投資額 | 数万円から | 数千万円 | 
| 流動性 | 高い(証券取引所で売買) | 低い(売却に数ヶ月) | 
| 運用 | 専門家が実施 | 自分で管理 | 
| 分散投資 | 容易(複数銘柄購入) | 困難(資金が必要) | 
| 物件選定 | 選べない | 自分で選べる | 
| 実物資産 | 所有しない | 所有する | 
| レバレッジ | 不可(現物購入のみ) | 可能(ローン活用) | 
REITは少額・流動性・専門家運用が強みですが、現物不動産は物件選定の自由度やレバレッジ活用が強みです。
まとめ:REITは少額から始められる不動産投資の選択肢
REITは、投資家から集めた資金で不動産に投資し、賃料収入等を分配する金融商品です。少額投資可能、流動性が高い、専門家による運用を受けられるメリットがあります。
一方、価格変動リスク、分配金減少リスク、金利上昇リスクがあり、元本保証はありません。リスクとリターンを理解した上で、分散投資を心がけることが重要です。
次のアクションとして、以下をおすすめします。
- 主要ネット証券でNISA口座を開設
- 不動産証券化協会のサイトで各銘柄の詳細を確認
- 複数の用途・地域に分散投資
REITは現物不動産投資の代替手段として、資産運用の選択肢の一つです。自分の投資方針に合った銘柄を選び、長期的な視点で投資しましょう。
