登記簿謄本の取得方法と読み方|オンライン申請も

公開日: 2025/10/27

登記簿謄本とは?誰でも取得できる公開情報

不動産の取引や相続を控えた際、「登記簿謄本」という言葉を耳にすることがあります。しかし、「何が書いてあるのか」「どうやって取得するのか」と疑問に感じる方は少なくありません。

この記事では、登記簿謄本(正式名称:登記事項証明書)の取得方法と記載内容の読み方を、法務局の公式情報を元に解説します。

登記簿謄本は誰でも取得でき、不動産の権利関係を正確に把握できるようになります。

この記事のポイント

  • 登記簿謄本(登記事項証明書)は不動産の所有者・権利関係・担保設定等を公的に証明する書類
  • 誰でも請求できる公開情報で、所有者以外でも取得可能(身分証明書・印鑑・委任状は不要)
  • 取得方法は①法務局窓口(手数料600円)、②郵送申請(手数料600円)、③オンライン申請(手数料520円または490円)の3つ
  • 登記簿は3部構成(表題部・権利部甲区・権利部乙区)で、各部の記載内容を理解することが重要
  • 取得時に必要な情報は「地番」(住所とは異なる場合がある)

不動産登記簿謄本とは|誰でも取得可能

登記簿謄本(正式名称:登記事項証明書)は、不動産の所有者・権利関係・担保設定等を公的に証明する書類です。不動産登記法により誰でも請求できる公開情報であり、所有者以外でも取得可能です。

身分証明書・印鑑・委任状は不要で、不動産の「地番」または「家屋番号」さえ分かれば、全国どの法務局でも取得できます。

(出典: 法務局

取得方法|窓口・郵送・オンライン

登記簿謄本の取得方法は、①法務局窓口、②郵送申請、③オンライン申請の3つです。それぞれの手数料と所要期間を比較します。

法務局窓口

手数料: 600円
所要期間: 10-15分程度
メリット: 即日取得可能、全国どの法務局でも取得可能
デメリット: 平日8:30-17:15のみ受付

法務局窓口で、「登記事項証明書交付申請書」に不動産の所在・地番・家屋番号を記入し、手数料600円(収入印紙)を支払います。全国どの法務局でも取得可能で、即日発行されます。

郵送申請

手数料: 600円
所要期間: 1週間程度
メリット: 法務局に行かなくても取得可能
デメリット: 郵送期間がかかる

郵送申請では、「登記事項証明書交付申請書」に不動産の所在・地番・家屋番号を記入し、手数料600円分の郵便小為替と返信用封筒(切手貼付)を同封して法務局に送付します。1週間程度で返送されます。

オンライン申請

手数料: 520円(郵送受取)または490円(窓口受取)
所要期間: 郵送受取なら3-5日程度、窓口受取なら即日
メリット: 24時間申請可能(平日8:30-21:00)、手数料が安い
デメリット: 初回は利用者登録が必要

登記・供託オンライン申請システムを利用します。利用時間は平日8:30-21:00です。郵送受取なら手数料520円、窓口受取なら手数料490円で、窓口申請より110円安くなります。

(出典: 法務局

2025年4月1日に手数料が改定されました。旧料金(窓口600円、オンライン郵送500円等)から変更されているため、最新の手数料を確認してください。

取得方法 手数料 所要期間 メリット デメリット
法務局窓口 600円 10-15分 即日取得 平日のみ
郵送申請 600円 1週間 法務局に行かなくてOK 時間がかかる
オンライン申請(郵送) 520円 3-5日 手数料が安い 初回登録必要
オンライン申請(窓口) 490円 即日 手数料が最安 窓口に取りに行く必要

記載内容の見方|3部構成

登記簿は、表題部・権利部甲区・権利部乙区の3部構成です。各部の記載内容を理解しましょう。

表題部

記載内容:

  • 土地:所在・地番・地目・地積
  • 建物:所在・家屋番号・種類・構造・床面積

表題部は、不動産の物理的な情報を記載します。地目は「宅地」「田」「畑」「山林」等の土地の種類を示します。地積は土地の面積(㎡)です。

権利部甲区

記載内容:

  • 所有権に関する事項
  • 所有者の氏名・住所
  • 所有権移転の経緯(売買・相続・贈与等)

権利部甲区は、所有権に関する情報を記載します。現在の所有者だけでなく、過去の所有者も記載されます。所有権移転の原因(売買・相続・贈与等)も記載されるため、不動産の権利の変遷を確認できます。

権利部乙区

記載内容:

  • 所有権以外の権利(抵当権・地役権・賃借権等)
  • 抵当権者(金融機関等)
  • 債権額・利息・損害金

権利部乙区は、所有権以外の権利を記載します。抵当権がある場合、金融機関名・債権額・設定日等が記載されます。抵当権がない場合は、乙区が存在しません。

(出典: 法務省

取得時の注意点

地番と住所の違い

登記簿謄本の取得には「地番」または「家屋番号」が必要です。地番は住所(住居表示)とは異なる場合が多く、注意が必要です。

例:

  • 住所:東京都千代田区丸の内1-1-1
  • 地番:東京都千代田区丸の内一丁目1番

地番が分からない場合は、法務局で「地番照会」を行うことができます。または、固定資産税課税明細書に地番が記載されている場合もあります。

全部事項証明書と現在事項証明書の違い

登記事項証明書には、「全部事項証明書」と「現在事項証明書」の2種類があります。

  • 全部事項証明書: 登記簿の全内容を記載(閉鎖された登記も含む)。一般的に「登記簿謄本」と呼ばれるのはこの書類
  • 現在事項証明書: 現在有効な登記事項のみを記載(抹消された抵当権等は記載されない)

不動産取引や相続では、全部事項証明書を取得することが一般的です。

登記情報の過信に注意

登記簿は過去の情報であり、現況と異なる場合があります。例えば:

  • 増改築しても登記していない場合、建物面積と実際が異なる
  • 現所有者が登記を変更していない場合、登記簿上の所有者と実際の所有者が異なる
  • 未登記建物は登記簿に記載されない

登記情報はあくまで参考であり、現地確認や重要事項説明で現況を確認することが重要です。

有効期限の誤解

登記事項証明書に法的な有効期限はありません。ただし契約等で「3ヶ月以内」の登記簿謄本を求められる場合が多いため、取得日に注意してください。

まとめ:登記簿謄本で不動産の権利関係を把握

登記簿謄本(登記事項証明書)は、不動産の所有者・権利関係・担保設定等を公的に証明する書類です。誰でも請求できる公開情報で、法務局窓口・郵送・オンライン申請で取得できます。

登記簿は表題部・権利部甲区・権利部乙区の3部構成で、各部の記載内容を理解することで、不動産の権利関係を正確に把握できます。

取得時には「地番」または「家屋番号」が必要で、住所とは異なる場合がある点に注意してください。不動産取引や相続の際は、登記簿謄本を確認し、現況と照らし合わせることを推奨します。

よくある質問

Q1他人が所有する不動産の登記簿謄本を取得できますか?

A1取得可能です。登記簿謄本は公開情報であり、不動産登記法により誰でも請求できます。所有者の許可は不要で、身分証明書・印鑑・委任状も不要です。不動産の「地番」または「家屋番号」さえ分かれば、全国どの法務局でも取得できます。ただし取得した情報は個人情報保護法を遵守して利用してください。

Q2登記簿謄本と登記事項証明書は同じですか?

A2全く同じです。登記簿謄本は旧称で、現在の正式名称は登記事項証明書です。法務局で交付される書類の内容は同一です。以前は紙の登記簿を謄写(コピー)していたため「登記簿謄本」と呼ばれていましたが、電子化後は「登記事項証明書」が正式名称となりました。実務では今でも「登記簿謄本」と呼ばれることが多いです。

Q3登記簿謄本の情報は最新ですか?

A3登記簿は過去の情報であり、現況と異なる場合があります。例えば増改築しても登記していない場合、建物面積と実際が異なることがあります。また、現所有者が登記を変更していない場合、登記簿上の所有者と実際の所有者が異なることもあります。未登記建物は登記簿に記載されません。登記情報はあくまで参考であり、現地確認や重要事項説明で現況を確認することが重要です。

Q4オンライン申請の利用時間は?

A4登記・供託オンライン申請システムは平日8:30-21:00に利用可能です。土日祝日は利用できません。オンライン申請は24時間受付ではない点に注意してください。また、初回は利用者登録が必要です。登録には氏名・住所・メールアドレス等の入力が必要で、5-10分程度で完了します。