不動産登記の住所変更手続き解説|2026年義務化で2年以内申請必須

公開日: 2025/10/27

不動産登記の住所変更とは|2026年4月から義務化

引越しで住所が変わった際、「不動産登記の住所変更は必要なのか」「手続きは難しいのか」と疑問に感じる方は少なくありません。

この記事では、2026年4月から義務化される住所変更登記について、手続き方法・必要書類・費用を、法務省法務局の公式情報を元に解説します。

義務化後は変更から2年以内に申請しないと過料5万円が科される可能性があるため、早めの対応が重要です。

この記事のポイント

  • 2026年4月から住所変更登記が義務化され、変更から2年以内の申請が必須
  • 正当な理由なく2年以内に申請しないと、最大5万円の過料が科される可能性がある
  • 手続き方法は「オンライン申請」「法務局窓口」「郵送」の3パターン
  • 費用は登録免許税1,000円/不動産1個(司法書士に依頼する場合は報酬1-3万円程度)
  • 施行前(2026年3月以前)の住所変更も、施行日から2年以内に申請すれば過料は科されない

住所変更登記の手続き方法|オンライン・窓口・郵送の3パターン

住所変更登記は、自分で申請することも、司法書士に依頼することもできます。

必要書類の準備(住民票・登記識別情報等)

住所変更登記に必要な書類は以下の通りです。

必要書類:

  1. 登記申請書(法務局のホームページからダウンロード可能)
  2. 住民票(発行から3ヶ月以内、マイナンバーの記載がないもの)
  3. 登記識別情報通知書または登記済証(権利証)
  4. 収入印紙(登録免許税1,000円/不動産1個)

住民票は市区町村の窓口またはコンビニエンスストア(マイナンバーカード所持者)で取得できます。

申請方法の選択(オンライン・窓口・郵送)

住所変更登記の申請方法は3つあります。

申請方法 メリット デメリット
オンライン申請 24時間申請可能、法務局に行く必要なし 電子証明書(マイナンバーカード)が必要
法務局窓口 書類の不備をその場で確認できる 平日8:30-17:15のみ、待ち時間あり
郵送 遠隔地でも可能 書類の不備があると再提出が必要

オンライン申請の手順:

  1. 登記・供託オンライン申請システムにアクセス
  2. 申請用総合ソフトをダウンロード・インストール
  3. 住所変更登記の申請書を作成
  4. 電子証明書(マイナンバーカード)で署名
  5. 住民票のPDFをアップロード
  6. 送信

法務局窓口の手順:

  1. 不動産所在地を管轄する法務局を確認
  2. 必要書類を持参
  3. 登記申請書を提出
  4. 登録免許税(収入印紙1,000円/不動産1個)を納付
  5. 1-2週間後に登記完了証を受領

郵送の手順:

  1. 登記申請書・住民票・登記識別情報通知書・収入印紙を封筒に入れる
  2. 不動産所在地を管轄する法務局に郵送(簡易書留推奨)
  3. 1-2週間後に登記完了証が郵送される

費用の支払い(登録免許税1,000円/不動産1個)

住所変更登記の登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。

費用の例:

  • 土地1筆のみ: 1,000円
  • 土地1筆 + 建物1個: 2,000円
  • 土地3筆 + 建物1個: 4,000円

登録免許税は収入印紙で納付します。収入印紙は郵便局・法務局で購入できます。

司法書士に依頼する場合の費用|報酬相場1-3万円程度

住所変更登記を司法書士に依頼する場合、報酬相場は1-3万円程度です(一般的な市場相場)(登録免許税1,000円/不動産1個は別途必要)。

司法書士に依頼するメリット:

  • 書類作成・申請を代行してもらえる
  • 複雑なケース(海外からの住所変更、複数回の住所変更等)にも対応
  • 手続きのミスがない

自分で申請する場合との比較:

項目 自分で申請 司法書士に依頼
費用 登録免許税のみ(1,000円/不動産1個) 登録免許税 + 報酬1-3万円程度
手間 書類作成・申請を自分で行う 司法書士に任せられる
リスク 書類不備で再提出の可能性 専門家がチェックするのでミスなし

複雑なケース(複数の不動産、海外からの住所変更、登記識別情報の紛失等)では、司法書士への依頼を推奨します。

2026年4月施行の義務化|変更から2年以内の申請が必須

2026年4月から、住所変更登記が義務化されます。

義務化の内容

義務の内容:

  • 住所変更から2年以内に申請しないと、正当な理由なく最大5万円の過料が科される可能性がある

施行前の住所変更(2026年3月以前):

  • 施行日(2026年4月)から2年以内(2028年3月まで)に申請すれば過料は科されない経過措置あり

過料が科されるケース

過料は裁判所の決定により科されますが、すべてのケースで科されるわけではありません。「正当な理由」がある場合は過料を免れる可能性があります。

正当な理由の例:

  • 長期入院・介護施設入所等で手続きが困難だった
  • 災害等で書類を紛失した

義務化の背景

住所変更登記の義務化は、所有者不明土地問題の解決を目的としています。登記簿上の住所が古いままだと、相続や売買の際に所有者を特定できず、土地の流通が阻害される問題がありました。

(出典: 所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(法務省)

住所変更登記の注意点|登記識別情報の保管・複数不動産の一括申請

住所変更登記を行う際の注意点を以下に列挙します。

登記識別情報の保管

登記識別情報通知書(または登記済証)は大切に保管してください。紛失すると、本人確認手続きが煩雑化し、費用も増加します。

紛失した場合:

  • 司法書士に「本人確認情報」を作成してもらう(費用3-5万円程度追加)
  • または、公証人の認証を受ける

複数の不動産を所有している場合は一括申請可能

複数の不動産を所有している場合、一括で住所変更登記を申請できます。

費用:

  • 登録免許税は不動産ごとに1,000円(例: 3つの不動産 = 3,000円)

海外からの住所変更

海外から日本に帰国した場合、または海外に転出した場合も住所変更登記が必要です。

必要書類:

  • 在外公館(日本大使館・領事館)が発行する在留証明書
  • または、現地の公的機関が発行する住所証明書(日本語翻訳付き)

申請後1-2週間で完了

住所変更登記の申請後、1-2週間で登記が完了し、登記完了証が交付されます。オンライン申請の場合は、完了通知がメールで届きます。

申請前に法務局・税務署・司法書士に相談することをおすすめします。

まとめ|義務化で2年以内の申請が必須、早めの手続きを

2026年4月から住所変更登記が義務化され、変更から2年以内の申請が必須となります。正当な理由なく2年以内に申請しないと、最大5万円の過料が科される可能性があるため、引越し後は早めに手続きを行いましょう。

手続き方法は「オンライン申請」「法務局窓口」「郵送」の3つから選べます。費用は登録免許税1,000円/不動産1個のみで、自分で申請できます。複雑なケースでは司法書士に依頼(報酬1-3万円程度)することも検討してください。

施行前(2026年3月以前)の住所変更も、施行日から2年以内(2028年3月まで)に申請すれば過料は科されない経過措置があります。早めの手続きをおすすめします。

よくある質問

Q12026年3月以前に引越しした場合、住所変更登記は義務ですか?

A1はい、義務です。ただし、施行日(2026年4月)から2年以内(2028年3月まで)に申請すれば過料は科されない経過措置があります。例えば、2024年に引越しした場合でも、2028年3月までに申請すれば過料を避けられます。早めの手続きを推奨します。

Q2住所変更登記を忘れていた場合、どうなりますか?

A22026年4月以降、正当な理由なく2年以内に申請しないと、最大5万円の過料が科される可能性があります。ただし、過料は裁判所の決定により科されるため、すべてのケースで科されるわけではありません。長期入院や災害等の「正当な理由」がある場合は過料を免れる可能性があります。

Q3住所変更登記は自分でできますか?

A3はい、可能です。必要書類(住民票、登記識別情報、申請書)を揃え、法務局窓口・オンライン・郵送で申請できます。費用は登録免許税1,000円/不動産1個のみです。ただし、複雑なケース(複数不動産、海外からの変更、登記識別情報の紛失等)では、司法書士への依頼(報酬1-3万円程度)を推奨します。

Q4複数の不動産を所有している場合、一括で申請できますか?

A4はい、一括申請可能です。ただし、登録免許税は不動産ごとに1,000円かかります。例えば、土地2筆と建物1個を所有している場合、登録免許税は3,000円です。一括申請することで、申請書を1枚にまとめることができ、手間を省けます。

Q5住所変更登記をしないとどんな不利益がありますか?

A5①過料5万円のリスク、②不動産売却時に住所変更登記が必要になり手続きが煩雑化、③相続時に相続人が住所変更登記を行う必要があり負担増、④金融機関の融資審査で登記情報が古いと不利になる可能性、等のデメリットがあります。早めの手続きをおすすめします。