不動産登記の住所変更とは|2026年4月から義務化
引越しで住所が変わった際、「不動産登記の住所変更は必要なのか」「手続きは難しいのか」と疑問に感じる方は少なくありません。
この記事では、2026年4月から義務化される住所変更登記について、手続き方法・必要書類・費用を、法務省や法務局の公式情報を元に解説します。
義務化後は変更から2年以内に申請しないと過料5万円が科される可能性があるため、早めの対応が重要です。
この記事のポイント
- 2026年4月から住所変更登記が義務化され、変更から2年以内の申請が必須
- 正当な理由なく2年以内に申請しないと、最大5万円の過料が科される可能性がある
- 手続き方法は「オンライン申請」「法務局窓口」「郵送」の3パターン
- 費用は登録免許税1,000円/不動産1個(司法書士に依頼する場合は報酬1-3万円程度)
- 施行前(2026年3月以前)の住所変更も、施行日から2年以内に申請すれば過料は科されない
住所変更登記の手続き方法|オンライン・窓口・郵送の3パターン
住所変更登記は、自分で申請することも、司法書士に依頼することもできます。
必要書類の準備(住民票・登記識別情報等)
住所変更登記に必要な書類は以下の通りです。
必要書類:
- 登記申請書(法務局のホームページからダウンロード可能)
- 住民票(発行から3ヶ月以内、マイナンバーの記載がないもの)
- 登記識別情報通知書または登記済証(権利証)
- 収入印紙(登録免許税1,000円/不動産1個)
住民票は市区町村の窓口またはコンビニエンスストア(マイナンバーカード所持者)で取得できます。
申請方法の選択(オンライン・窓口・郵送)
住所変更登記の申請方法は3つあります。
| 申請方法 | メリット | デメリット | 
|---|---|---|
| オンライン申請 | 24時間申請可能、法務局に行く必要なし | 電子証明書(マイナンバーカード)が必要 | 
| 法務局窓口 | 書類の不備をその場で確認できる | 平日8:30-17:15のみ、待ち時間あり | 
| 郵送 | 遠隔地でも可能 | 書類の不備があると再提出が必要 | 
オンライン申請の手順:
- 登記・供託オンライン申請システムにアクセス
- 申請用総合ソフトをダウンロード・インストール
- 住所変更登記の申請書を作成
- 電子証明書(マイナンバーカード)で署名
- 住民票のPDFをアップロード
- 送信
法務局窓口の手順:
- 不動産所在地を管轄する法務局を確認
- 必要書類を持参
- 登記申請書を提出
- 登録免許税(収入印紙1,000円/不動産1個)を納付
- 1-2週間後に登記完了証を受領
郵送の手順:
- 登記申請書・住民票・登記識別情報通知書・収入印紙を封筒に入れる
- 不動産所在地を管轄する法務局に郵送(簡易書留推奨)
- 1-2週間後に登記完了証が郵送される
費用の支払い(登録免許税1,000円/不動産1個)
住所変更登記の登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。
費用の例:
- 土地1筆のみ: 1,000円
- 土地1筆 + 建物1個: 2,000円
- 土地3筆 + 建物1個: 4,000円
登録免許税は収入印紙で納付します。収入印紙は郵便局・法務局で購入できます。
司法書士に依頼する場合の費用|報酬相場1-3万円程度
住所変更登記を司法書士に依頼する場合、報酬相場は1-3万円程度です(一般的な市場相場)(登録免許税1,000円/不動産1個は別途必要)。
司法書士に依頼するメリット:
- 書類作成・申請を代行してもらえる
- 複雑なケース(海外からの住所変更、複数回の住所変更等)にも対応
- 手続きのミスがない
自分で申請する場合との比較:
| 項目 | 自分で申請 | 司法書士に依頼 | 
|---|---|---|
| 費用 | 登録免許税のみ(1,000円/不動産1個) | 登録免許税 + 報酬1-3万円程度 | 
| 手間 | 書類作成・申請を自分で行う | 司法書士に任せられる | 
| リスク | 書類不備で再提出の可能性 | 専門家がチェックするのでミスなし | 
複雑なケース(複数の不動産、海外からの住所変更、登記識別情報の紛失等)では、司法書士への依頼を推奨します。
2026年4月施行の義務化|変更から2年以内の申請が必須
2026年4月から、住所変更登記が義務化されます。
義務化の内容
義務の内容:
- 住所変更から2年以内に申請しないと、正当な理由なく最大5万円の過料が科される可能性がある
施行前の住所変更(2026年3月以前):
- 施行日(2026年4月)から2年以内(2028年3月まで)に申請すれば過料は科されない経過措置あり
過料が科されるケース
過料は裁判所の決定により科されますが、すべてのケースで科されるわけではありません。「正当な理由」がある場合は過料を免れる可能性があります。
正当な理由の例:
- 長期入院・介護施設入所等で手続きが困難だった
- 災害等で書類を紛失した
義務化の背景
住所変更登記の義務化は、所有者不明土地問題の解決を目的としています。登記簿上の住所が古いままだと、相続や売買の際に所有者を特定できず、土地の流通が阻害される問題がありました。
(出典: 所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(法務省))
住所変更登記の注意点|登記識別情報の保管・複数不動産の一括申請
住所変更登記を行う際の注意点を以下に列挙します。
登記識別情報の保管
登記識別情報通知書(または登記済証)は大切に保管してください。紛失すると、本人確認手続きが煩雑化し、費用も増加します。
紛失した場合:
- 司法書士に「本人確認情報」を作成してもらう(費用3-5万円程度追加)
- または、公証人の認証を受ける
複数の不動産を所有している場合は一括申請可能
複数の不動産を所有している場合、一括で住所変更登記を申請できます。
費用:
- 登録免許税は不動産ごとに1,000円(例: 3つの不動産 = 3,000円)
海外からの住所変更
海外から日本に帰国した場合、または海外に転出した場合も住所変更登記が必要です。
必要書類:
- 在外公館(日本大使館・領事館)が発行する在留証明書
- または、現地の公的機関が発行する住所証明書(日本語翻訳付き)
申請後1-2週間で完了
住所変更登記の申請後、1-2週間で登記が完了し、登記完了証が交付されます。オンライン申請の場合は、完了通知がメールで届きます。
申請前に法務局・税務署・司法書士に相談することをおすすめします。
まとめ|義務化で2年以内の申請が必須、早めの手続きを
2026年4月から住所変更登記が義務化され、変更から2年以内の申請が必須となります。正当な理由なく2年以内に申請しないと、最大5万円の過料が科される可能性があるため、引越し後は早めに手続きを行いましょう。
手続き方法は「オンライン申請」「法務局窓口」「郵送」の3つから選べます。費用は登録免許税1,000円/不動産1個のみで、自分で申請できます。複雑なケースでは司法書士に依頼(報酬1-3万円程度)することも検討してください。
施行前(2026年3月以前)の住所変更も、施行日から2年以内(2028年3月まで)に申請すれば過料は科されない経過措置があります。早めの手続きをおすすめします。
