固定資産税は6年目でどれくらい上がる?
新築住宅を購入して5年目を迎えると、「固定資産税の軽減措置が終了する6年目の税額はどれくらい上がるのか」と心配になる方は少なくありません。
この記事では、新築住宅の固定資産税軽減措置の仕組み、6年目(マンション)・4年目(戸建て)の税額上昇の目安、経年劣化による評価額の減少を考慮した実際の負担増を、国土交通省・総務省の公式情報を元に解説します。
初めて固定資産税の軽減措置終了を経験する方でも、6年目の税額を正確に見積もり、無理のない資金計画を立てられるようになります。
この記事のポイント
- 新築住宅の軽減措置は戸建て3年、マンション5年で、建物部分の固定資産税が1/2に減額される
 - 軽減措置終了で建物部分の税額は理論上2倍になるが、経年劣化により評価額が減少するため実際は1.5-1.8倍程度
 - 土地部分は軽減措置の対象外のため変動せず、総額は2倍にならない
 - 長期優良住宅は軽減期間が2年延長され、戸建て5年、マンション7年となる
 
固定資産税が6年目に上がる理由
新築住宅の固定資産税は、建物部分に対して一定期間軽減措置が適用されます。この軽減措置が終了する6年目(マンション)または4年目(戸建て)に税額が上がります。
軽減措置の仕組み
新築住宅の固定資産税軽減措置は、建物部分の固定資産税を1/2に減額する制度です。土地部分は対象外であり、建物のみが減額されます。
| 住宅種別 | 軽減期間 | 税額が上がる年 | 
|---|---|---|
| 戸建て | 3年間 | 4年目 | 
| マンション | 5年間 | 6年目 | 
(出典: 国土交通省)
なぜマンションは期間が長いのか
マンション(耐火・準耐火建築物)は、木造の戸建てと比較して建物の耐用年数が長く、評価額の減少が緩やかなため、軽減期間が2年長く設定されています。
新築住宅の軽減措置とは
新築住宅の固定資産税軽減措置は、令和8年(2026年)3月31日まで延長されています。過去にも延長されてきた実績があり、今後も延長される可能性があります。
軽減措置の適用要件
軽減措置の適用には以下の要件を満たす必要があります。
- 床面積: 50㎡以上280㎡以下
 - 居住部分: 建物全体の1/2以上が居住用
 - 軽減対象: 120㎡までの部分
 
(出典: 東京都主税局)
長期優良住宅の場合
長期優良住宅(耐久性・省エネ性等の基準を満たした住宅)は、軽減期間が通常より2年長くなります。
| 住宅種別 | 一般住宅 | 長期優良住宅 | 
|---|---|---|
| 戸建て | 3年間 | 5年間 | 
| マンション | 5年間 | 7年間 | 
6年目の固定資産税はどれくらい上がるか
理論上は2倍だが実際は1.5-1.8倍程度
軽減措置が終了すると、建物部分の固定資産税は理論上2倍になります。しかし、建物の評価額は経年劣化により毎年減少するため、実際の負担増は1.5-1.8倍程度に収まることが多いです。
経年減点補正率による評価額の減少
建物の評価額は、築年数に応じて「経年減点補正率」により減少します。
| 構造 | 下限に達する年数 | 下限値 | 
|---|---|---|
| 木造 | 25年 | 20% | 
| RC造(マンション等) | 60年 | 20% | 
(出典: Redia)
このため、軽減措置終了時には建物の評価額が新築時より減少しており、実際の税額上昇は2倍より小さくなります。
土地部分は変動しない
新築住宅の軽減措置は建物のみ対象で、土地部分は対象外です。そのため、土地の固定資産税は軽減措置終了の影響を受けません。
総額(土地+建物)で見ると、建物部分のみが上昇するため、税額全体が2倍になることはありません。
6年目の税額シミュレーション(具体例)
戸建ての場合(4年目の上昇)
前提条件
- 建物評価額(新築時): 2000万円
 - 土地評価額: 2000万円
 - 税率: 1.4%(標準税率)
 - 経年減点補正率: 0.92(4年目、木造)
 
3年目までの税額(軽減措置適用中)
- 建物: 2000万円×0.92×1.4%×1/2=約12.9万円
 - 土地: 2000万円×1.4%=28万円
 - 合計: 約40.9万円
 
4年目以降の税額(軽減措置終了後)
- 建物: 2000万円×0.88(4年目の補正率)×1.4%=約24.6万円
 - 土地: 28万円(変動なし)
 - 合計: 約52.6万円
 
上昇率: 約1.29倍
マンションの場合(6年目の上昇)
前提条件
- 建物評価額(新築時): 1500万円
 - 土地評価額: 1000万円
 - 税率: 1.4%(標準税率)
 - 経年減点補正率: 0.95(6年目、RC造)
 
5年目までの税額(軽減措置適用中)
- 建物: 1500万円×0.95×1.4%×1/2=約10.0万円
 - 土地: 1000万円×1.4%=14万円
 - 合計: 約24.0万円
 
6年目以降の税額(軽減措置終了後)
- 建物: 1500万円×0.94(6年目の補正率)×1.4%=約19.7万円
 - 土地: 14万円(変動なし)
 - 合計: 約33.7万円
 
上昇率: 約1.40倍
このように、実際の負担増は1.3-1.4倍程度で、「2倍」という単純な計算にはならないことが分かります。
固定資産税が上がる以外の注意点
評価替え(3年ごと)の影響
固定資産税の評価額は3年ごとに見直されます(評価替え)。評価額が上昇した場合でも、前年度の評価額に据え置かれる措置があり、急激な税額上昇を防ぐ仕組みがあります。
都市計画税は軽減対象外
都市計画区域内の土地・建物には、固定資産税とは別に都市計画税(税率上限0.3%)が課されます。都市計画税は新築軽減措置の対象外であり、6年目に変動しません。
再建築価格の上昇
建物の評価額は「再建築価格(評価時点で新築した場合の建築費用)」を基に計算されます。資材価格の上昇により再建築価格が上昇した場合、経年劣化による評価額の減少が相殺され、評価額が下がらない可能性があります。
まとめ:6年目の税額上昇に備えるために
新築住宅の固定資産税軽減措置は期限付きのため、6年目(マンション)・4年目(戸建て)の税額上昇を事前に想定すべきです。実際の負担増は1.5-1.8倍程度で、「2倍」という単純な計算ではないことを理解しておくと、無理のない資金計画を立てられます。
重要なポイント
- 戸建ては4年目、マンションは6年目に税額が上がる
 - 実際の負担増は1.5-1.8倍程度(経年劣化による評価額減少を考慮)
 - 土地部分は軽減対象外のため変動しない
 - 長期優良住宅は軽減期間が2年延長される
 
次のアクション
納付書が届く前に、自治体の固定資産税課に問い合わせて6年目の概算を確認することをおすすめします。個別具体的な税額は物件・自治体により異なるため、不安な場合は税理士または自治体へ相談してください。
