固定資産税は6年目でどれくらい上がる?軽減措置終了後の税額

公開日: 2025/11/4

固定資産税は6年目でどれくらい上がる?

新築住宅を購入して5年目を迎えると、「固定資産税の軽減措置が終了する6年目の税額はどれくらい上がるのか」と心配になる方は少なくありません。

この記事では、新築住宅の固定資産税軽減措置の仕組み、6年目(マンション)・4年目(戸建て)の税額上昇の目安、経年劣化による評価額の減少を考慮した実際の負担増を、国土交通省総務省の公式情報を元に解説します。

初めて固定資産税の軽減措置終了を経験する方でも、6年目の税額を正確に見積もり、無理のない資金計画を立てられるようになります。

この記事のポイント

  • 新築住宅の軽減措置は戸建て3年、マンション5年で、建物部分の固定資産税が1/2に減額される
  • 軽減措置終了で建物部分の税額は理論上2倍になるが、経年劣化により評価額が減少するため実際は1.5-1.8倍程度
  • 土地部分は軽減措置の対象外のため変動せず、総額は2倍にならない
  • 長期優良住宅は軽減期間が2年延長され、戸建て5年、マンション7年となる

固定資産税が6年目に上がる理由

新築住宅の固定資産税は、建物部分に対して一定期間軽減措置が適用されます。この軽減措置が終了する6年目(マンション)または4年目(戸建て)に税額が上がります。

軽減措置の仕組み

新築住宅の固定資産税軽減措置は、建物部分の固定資産税を1/2に減額する制度です。土地部分は対象外であり、建物のみが減額されます。

住宅種別 軽減期間 税額が上がる年
戸建て 3年間 4年目
マンション 5年間 6年目

(出典: 国土交通省

なぜマンションは期間が長いのか

マンション(耐火・準耐火建築物)は、木造の戸建てと比較して建物の耐用年数が長く、評価額の減少が緩やかなため、軽減期間が2年長く設定されています。

新築住宅の軽減措置とは

新築住宅の固定資産税軽減措置は、令和8年(2026年)3月31日まで延長されています。過去にも延長されてきた実績があり、今後も延長される可能性があります。

軽減措置の適用要件

軽減措置の適用には以下の要件を満たす必要があります。

  • 床面積: 50㎡以上280㎡以下
  • 居住部分: 建物全体の1/2以上が居住用
  • 軽減対象: 120㎡までの部分

(出典: 東京都主税局

長期優良住宅の場合

長期優良住宅(耐久性・省エネ性等の基準を満たした住宅)は、軽減期間が通常より2年長くなります。

住宅種別 一般住宅 長期優良住宅
戸建て 3年間 5年間
マンション 5年間 7年間

6年目の固定資産税はどれくらい上がるか

理論上は2倍だが実際は1.5-1.8倍程度

軽減措置が終了すると、建物部分の固定資産税は理論上2倍になります。しかし、建物の評価額は経年劣化により毎年減少するため、実際の負担増は1.5-1.8倍程度に収まることが多いです。

経年減点補正率による評価額の減少

建物の評価額は、築年数に応じて「経年減点補正率」により減少します。

構造 下限に達する年数 下限値
木造 25年 20%
RC造(マンション等) 60年 20%

(出典: Redia

このため、軽減措置終了時には建物の評価額が新築時より減少しており、実際の税額上昇は2倍より小さくなります。

土地部分は変動しない

新築住宅の軽減措置は建物のみ対象で、土地部分は対象外です。そのため、土地の固定資産税は軽減措置終了の影響を受けません。

総額(土地+建物)で見ると、建物部分のみが上昇するため、税額全体が2倍になることはありません。

6年目の税額シミュレーション(具体例)

戸建ての場合(4年目の上昇)

前提条件

  • 建物評価額(新築時): 2000万円
  • 土地評価額: 2000万円
  • 税率: 1.4%(標準税率)
  • 経年減点補正率: 0.92(4年目、木造)

3年目までの税額(軽減措置適用中)

  • 建物: 2000万円×0.92×1.4%×1/2=約12.9万円
  • 土地: 2000万円×1.4%=28万円
  • 合計: 約40.9万円

4年目以降の税額(軽減措置終了後)

  • 建物: 2000万円×0.88(4年目の補正率)×1.4%=約24.6万円
  • 土地: 28万円(変動なし)
  • 合計: 約52.6万円

上昇率: 約1.29倍

マンションの場合(6年目の上昇)

前提条件

  • 建物評価額(新築時): 1500万円
  • 土地評価額: 1000万円
  • 税率: 1.4%(標準税率)
  • 経年減点補正率: 0.95(6年目、RC造)

5年目までの税額(軽減措置適用中)

  • 建物: 1500万円×0.95×1.4%×1/2=約10.0万円
  • 土地: 1000万円×1.4%=14万円
  • 合計: 約24.0万円

6年目以降の税額(軽減措置終了後)

  • 建物: 1500万円×0.94(6年目の補正率)×1.4%=約19.7万円
  • 土地: 14万円(変動なし)
  • 合計: 約33.7万円

上昇率: 約1.40倍

このように、実際の負担増は1.3-1.4倍程度で、「2倍」という単純な計算にはならないことが分かります。

固定資産税が上がる以外の注意点

評価替え(3年ごと)の影響

固定資産税の評価額は3年ごとに見直されます(評価替え)。評価額が上昇した場合でも、前年度の評価額に据え置かれる措置があり、急激な税額上昇を防ぐ仕組みがあります。

都市計画税は軽減対象外

都市計画区域内の土地・建物には、固定資産税とは別に都市計画税(税率上限0.3%)が課されます。都市計画税は新築軽減措置の対象外であり、6年目に変動しません。

再建築価格の上昇

建物の評価額は「再建築価格(評価時点で新築した場合の建築費用)」を基に計算されます。資材価格の上昇により再建築価格が上昇した場合、経年劣化による評価額の減少が相殺され、評価額が下がらない可能性があります。

まとめ:6年目の税額上昇に備えるために

新築住宅の固定資産税軽減措置は期限付きのため、6年目(マンション)・4年目(戸建て)の税額上昇を事前に想定すべきです。実際の負担増は1.5-1.8倍程度で、「2倍」という単純な計算ではないことを理解しておくと、無理のない資金計画を立てられます。

重要なポイント

  • 戸建ては4年目、マンションは6年目に税額が上がる
  • 実際の負担増は1.5-1.8倍程度(経年劣化による評価額減少を考慮)
  • 土地部分は軽減対象外のため変動しない
  • 長期優良住宅は軽減期間が2年延長される

次のアクション

納付書が届く前に、自治体の固定資産税課に問い合わせて6年目の概算を確認することをおすすめします。個別具体的な税額は物件・自治体により異なるため、不安な場合は税理士または自治体へ相談してください。

よくある質問

Q1固定資産税は6年目に必ず2倍になりますか?

A1理論上は2倍ですが、実際は1.5-1.8倍程度です。建物の評価額は経年劣化により毎年減少するため、軽減措置終了後も評価額が下がることで負担増が緩和されます。また、土地部分は軽減対象外のため、総額(土地+建物)は2倍になりません。実際の上昇率は物件の構造・築年数により異なります。

Q2戸建てとマンションで固定資産税の上がり方は違いますか?

A2軽減期間が異なります。戸建ては3年間(4年目から上がる)、マンションは5年間(6年目から上がる)です。長期優良住宅は2年延長され、戸建て5年、マンション7年となります。上昇率は同様に1.5-1.8倍程度ですが、RC造のマンションは木造戸建てより評価額の減少が緩やかなため、若干上昇率が高くなる傾向があります。

Q3土地の固定資産税も6年目に上がりますか?

A3上がりません。新築住宅の軽減措置は建物部分のみ対象で、土地部分は対象外です。土地の固定資産税は評価替え(3年ごと)や地価変動により変動する可能性はありますが、軽減措置終了とは無関係です。このため、総額(土地+建物)で見ると、税額全体が2倍になることはありません。

Q4固定資産税の軽減措置はいつまで続きますか?

A4令和8年(2026年)3月31日まで延長されています。それ以降は制度改正の可能性があるため、国土交通省・総務省の最新情報を確認すべきです。過去にも何度か延長されてきた実績があり、今後も延長される可能性はありますが、確実ではないため、軽減措置が終了する前提で資金計画を立てることが推奨されます。