固定資産税が値上がりした理由は?2024年の動向を解説

公開日: 2025/11/11

固定資産税が値上がりした理由は?2024年の動向を解説

2024年に固定資産税の通知書を受け取って「なぜ税額が上がっているのか」と驚いた方は少なくありません。

この記事では、2024年に固定資産税が値上がりした理由を、評価替えの仕組み、地価・建築費の動向、負担調整措置など複数の要因に分けて解説します。総務省や税理士法人の公式情報を元に、今後の見通しも含めて分かりやすく説明します。

この記事のポイント

  • 2024年は3年ごとの評価替えの年であり、多くの地域で固定資産税が上昇した
  • 地価の上昇、建築費の高騰、新築減額の終了という複数の要因が重なっている
  • 負担調整措置により、今後も毎年5%ずつ段階的に税額が上昇する可能性がある
  • 都市部と地方で状況が異なり、全国一律ではない
  • 次回評価替えは2027年で、原則として2024-2026年は評価額が据え置かれる

2024年に固定資産税が値上がりした理由|評価替えの年だった

2024年(令和6年)は3年ごとの評価替えの年であり、多くの地域で固定資産税が上昇しました。評価替えとは固定資産税の評価額を見直す制度で、総務省により前回2021年、今回2024年、次回2027年の3年サイクルで実施されます。

読者が2024年に納税通知を受け取って驚いた背景には、評価替えによる評価額の見直しだけでなく、地価上昇、建築費高騰、新築減額の終了、負担調整措置といった複数の要因が重なっていることが大きな理由です。

評価替えの仕組み|3年ごとに評価額を見直す制度

評価替えとは?土地と建物の評価額を更新

評価替えは地方税法に基づき3年ごとに固定資産税の評価額を見直す制度です。土地は地価公示価格の7割程度、建物は再建築価格から経年劣化を考慮して評価されます。

2024年評価替えの基準日(2023年1月1日の地価)

2024年の評価替えは2023年1月1日時点の地価を基準にしています。コロナ禍後の不動産市況回復により、多くの地域で評価額が上昇しました。

次回評価替えは2027年

次回評価替えは2027年です。原則として2024-2026年は評価額が据え置かれますが、地価が大幅に下落した場合は例外的に引き下げも可能です。

2024年に固定資産税が上がった3つの理由

①地価の上昇(コロナ禍後の不動産市況回復)

コロナ禍後の不動産市況回復により、都市部を中心に地価が上昇しました。土地の評価額が前回(2021年)より高く評価されたため、固定資産税も上昇しています。

②建築費の高騰(ウッドショック・アイアンショック)

ウッドショック・アイアンショックの影響で建築資材価格が急騰し、再建築費評点補正率が上昇しました。2024年は木造1.11、非木造1.07に設定されており、前回(木造1.04、非木造1.07)より高くなっています。建物の評価額も上昇したため、固定資産税が増えるケースが多く見られます。

③新築減額の終了(3年前または5年前の新築物件)

新築住宅は3年間(マンションは5年間)固定資産税が1/2に減額される制度があります。2021年または2019年に新築した物件は2024年に減額期間が終了し、通常税額に戻ります。例えば減額中に年間5万円だった場合、終了後は年間10万円になるため、税額が倍増したように感じる方も少なくありません。

負担調整措置とは?段階的に税額を上昇させる仕組み

急激な税額増を緩和する制度

負担調整措置は評価額の急激な上昇による税額増を緩和する制度です。負担水準(前年度課税標準額÷本年度評価額×100)が100%未満の場合、毎年の上昇分を評価額の5%以内に抑えます。

毎年5%ずつ段階的に上昇

評価替えで評価額が上がっても、税額は一気に上昇せず、数年かけて段階的に上昇する仕組みになっています。これにより2024年以降も毎年少しずつ上がる可能性がある点に注意が必要です。

2024-2027年まで延長決定

2024年度税制改正で負担調整措置は3年延長(2024-2027年)が決定しました。税理士法人山田&パートナーズの解説によると、この措置により税額の急激な上昇が抑えられています。

都市部と地方の地域差|全国一律ではない

固定資産税の値上がりは全国一律ではなく、都市部と地方で状況が異なります。都市部(東京・大阪・名古屋等)は地価が上昇傾向で税額も増加していますが、地方(人口減少地域)は地価が下落または横ばいで税額が据え置きまたは減少するケースもあります。

読者は自分の地域の状況を納税通知書で確認することが重要です。評価額に疑問がある場合は固定資産評価審査委員会に審査を申し出る制度(審査申出制度)も利用可能です。申出期間は納税通知書を受け取ってから3ヶ月以内で、評価替えの年(2024年、2027年等)のみ利用できます。

今後の見通し|2027年評価替えまでは原則据え置き

2024年の評価替えを受けて、次回評価替えは2027年です。原則として2024-2026年は評価額が据え置かれますが、負担調整措置により負担水準が100%未満の場合は毎年5%ずつ段階的に税額が上昇する可能性があります。

地価が大幅に下落した場合は例外的に評価額が引き下げられることもあります。「今後もずっと上がり続ける」という断定はできず、評価替えは3年ごとに見直される制度である点を理解しておきましょう。

まとめ|2024年は評価替えで複数の要因が重なった

2024年に固定資産税が上がった理由は評価替えの年であり、地価上昇・建築費高騰・新築減額の終了という複数の要因が重なりました。負担調整措置により段階的に税額が上昇する仕組みもあります。

都市部と地方で状況が異なり、全国一律ではありません。次回評価替えは2027年で、原則として2024-2026年は据え置きです。

納税通知書の内容を確認し、評価額に疑問がある場合は審査申出制度を利用することを検討してください。

よくある質問

Q1今後も固定資産税は上がり続けますか?

A1「必ず上がり続ける」とは断定できません。評価替えは3年ごとに見直される制度で、次回は2027年です。地価や建築費の動向により上昇・下落どちらもありうる点に注意が必要です。負担調整措置により負担水準が100%未満の場合は毎年5%ずつ段階的に上昇する可能性はありますが、評価替えで評価額が下がれば税額も下がります。

Q2新築減額が終了したら税額はどのくらい上がりますか?

A2新築減額(3年間または5年間、固定資産税が1/2に減額)が終了すると、通常税額(減額前の2倍)に戻ります。例えば減額中に年間5万円だった場合、終了後は年間10万円になります。減額終了のタイミングは新築から3年後(戸建て)または5年後(マンション)です。

Q3評価額に疑問がある場合はどうすればいいですか?

A3固定資産評価審査委員会に審査を申し出る制度(審査申出制度)を利用できます。納税通知書を受け取ってから3ヶ月以内に申出が必要で、評価替えの年(2024年、2027年等)のみ利用可能です。申出先は市区町村の固定資産税担当窓口で、登記事項証明書や境内地・境内建物の図面等を提出します。

Q4建物は古くなるのに税額が上がるのはなぜですか?

A4建物の評価額は経年劣化で年々下がりますが、土地の評価額が上昇すると全体(土地+建物)で税額が上がるケースがあります。2024年は地価上昇と建築費高騰の両方が影響し、建物の評価額も再建築費評点補正率の上昇(木造1.11、非木造1.07)で上がった地域が多い点が特徴です。