固定資産税はいくら払っている?|平均額を知る前の基礎知識
不動産を購入または所有している方にとって、「自分の固定資産税は高いのか、安いのか」「周りはいくら払っているのか」という疑問は気になるところです。
この記事では、固定資産税の平均額、物件種別・地域別の相場、自分の固定資産税が適正かを判断する方法を、総務省の公式情報を元に解説します。
固定資産税は評価額・地域・物件種別により大きく変動しますが、この記事を読めば自分の固定資産税が適正かどうかを判断できるようになります。
この記事のポイント
- 固定資産税の計算式は「固定資産税評価額×税率1.4%」が基本
- 一戸建ての平均額は年間10-15万円、マンションは8-12万円程度
- 東京23区など都心部は高く(年15-20万円)、地方都市・郊外は低い(年5-10万円)
- 新築住宅は3年間50%減額、小規模住宅用地は評価額が6分の1になる
- 固定資産税課税明細書で評価額を確認し、軽減措置が適用されているかチェックする
固定資産税の計算方法|評価額×税率1.4%が基本
固定資産税は、毎年1月1日時点の不動産所有者に課される税金です。計算式は以下の通りです。
固定資産税 = 固定資産税評価額 × 税率1.4%
標準税率1.4%は、地方税法で定められた税率で、ほとんどの自治体がこの税率を採用しています(総務省)。
固定資産税評価額とは(土地は時価の70%、建物は請負工事金額の50-60%)
固定資産税評価額は、市区町村が固定資産評価基準に基づいて決定する評価額です。
- 土地: 時価の約70%が目安
- 建物: 請負工事金額の約50-60%が目安
例えば、時価3000万円の土地の固定資産税評価額は約2100万円、建築費2000万円の建物の評価額は約1000〜1200万円となります。
評価替え(3年ごとに見直し)
固定資産税評価額は3年ごとに評価替えが行われます。築年数が増えると建物の評価額は減少し、固定資産税も減少します。土地は地価の変動により、評価額が上下します。
計算例: 固定資産税評価額1000万円の場合
- 固定資産税: 1000万円 × 1.4% = 14万円/年
固定資産税の平均額|物件種別ごとの相場
固定資産税の平均額は、物件種別により異なります。以下は一般的な目安です。
一戸建ての平均額(年間10-15万円程度)
一戸建ての固定資産税は、土地と建物の合計で年間10-15万円程度が平均です。ただし、立地(都心・郊外)、土地面積、建物の広さにより大きく変動します。
新築一戸建ての場合、新築住宅の特例(3年間50%減額)が適用されるため、当初3年間は固定資産税が約半分になります。
マンションの平均額(年間8-12万円程度)
マンションの固定資産税は、専有部分(部屋)と土地持分の合計で年間8-12万円程度が平均です。マンションは土地持分が小さいため、一戸建てより固定資産税が低くなる傾向があります。
新築マンションの場合、新築住宅の特例(5年間50%減額)が適用され、当初5年間は固定資産税が約半分になります。
土地のみの平均額(年間5-10万円程度)
土地のみを所有している場合の固定資産税は、年間5-10万円程度が目安です。ただし、立地(都心・郊外)、面積により大きく変動します。
重要: 固定資産税は評価額・地域・物件種別により大きく変動するため、上記はあくまで目安です。自分の固定資産税が適正かどうかは、固定資産税課税明細書で評価額を確認し、周辺相場と比較する必要があります。
地域別・築年数別の固定資産税相場|地域差と築年数の影響
固定資産税は地域と築年数により大きく異なります。
地域別の相場(東京23区・大阪市・地方都市・郊外)
地域別の固定資産税相場は以下の通りです。
| 地域 | 一戸建て | マンション | 
|---|---|---|
| 東京23区 | 15-25万円/年 | 12-20万円/年 | 
| 大阪市 | 12-20万円/年 | 10-15万円/年 | 
| 地方都市 | 8-15万円/年 | 6-12万円/年 | 
| 郊外 | 5-10万円/年 | 4-8万円/年 | 
都心部は地価が高いため、固定資産税も高くなります。地方都市・郊外は地価が低いため、固定資産税も低くなります。
築年数別の相場(新築・築10年・築20年)
築年数が増えると、建物の評価額が減少し、固定資産税も減少します。
| 築年数 | 建物評価額の目安 | 固定資産税の変化 | 
|---|---|---|
| 新築 | 100% | 高い(特例で50%減額) | 
| 築10年 | 約70% | やや減少 | 
| 築20年 | 約40-50% | 大幅に減少 | 
新築時が最も高く、築年数が経過するにつれて減少していきます。
軽減措置の影響(小規模住宅用地の特例、新築住宅の特例)
固定資産税には以下の軽減措置があります。
小規模住宅用地の特例:
- 200㎡以下の住宅用地は、固定資産税評価額が6分の1に軽減
- 200㎡超の部分は3分の1に軽減
新築住宅の特例:
- 新築一戸建て: 3年間、建物の固定資産税が50%減額
- 新築マンション: 5年間、建物の固定資産税が50%減額
- 長期優良住宅: 戸建て5年、マンション7年に延長
これらの軽減措置により、固定資産税は大幅に抑えられます。
自分の固定資産税が高いか安いかを判断する方法
自分の固定資産税が適正かどうかを判断する3つの方法を紹介します。
固定資産税課税明細書で評価額を確認
毎年4〜5月に市区町村から郵送される「固定資産税課税明細書」で、土地・建物の評価額、税額を確認できます。
課税明細書には以下の情報が記載されています。
- 固定資産税評価額(土地・建物)
- 課税標準額(軽減措置適用後の評価額)
- 税率(1.4%)
- 固定資産税額
評価額が妥当かどうかは、周辺相場と比較して判断します。
周辺物件の相場と比較(不動産ポータルサイト活用)
不動産ポータルサイトで類似物件の評価額を調べ、自分の固定資産税と比較します。同じ地域・同じ広さ・同じ築年数の物件と比較することで、自分の固定資産税が高いか安いか判断できます。
軽減措置が適用されているかチェック
固定資産税課税明細書で、以下の軽減措置が適用されているか確認します。
- 小規模住宅用地の特例: 課税標準額が評価額の6分の1になっているか
- 新築住宅の特例: 新築後3年間(マンションは5年間)、建物の税額が50%減額されているか
軽減措置が適用されていない場合は、市区町村に問い合わせて確認しましょう。
評価額が不当に高い場合は審査申出が可能
評価額が不当に高いと判断した場合、固定資産評価審査委員会に審査申出(不服申し立て)ができます。審査申出の期限は、納税通知書を受け取った日から3ヶ月以内です。
固定資産税を抑える方法|軽減措置と節税のコツ
固定資産税を抑える実践的な方法を3つ紹介します。
小規模住宅用地の特例を活用(200㎡以下は6分の1)
住宅用地(住宅が建っている土地)は、小規模住宅用地の特例により評価額が6分の1に軽減されます。200㎡以下の部分は6分の1、200㎡超の部分は3分の1です。
例: 評価額3000万円、面積150㎡の住宅用地
- 課税標準額: 3000万円 ÷ 6 = 500万円
- 固定資産税: 500万円 × 1.4% = 7万円/年
住宅が建っていない更地は特例が適用されず、固定資産税が約6倍になります。
新築住宅の特例を活用(3年間50%減額)
新築住宅は、以下の期間、建物の固定資産税が50%減額されます。
- 一戸建て: 3年間
- マンション: 5年間
- 長期優良住宅: 戸建て5年、マンション7年
例: 建物評価額1000万円の新築一戸建て
- 通常の固定資産税: 1000万円 × 1.4% = 14万円/年
- 特例適用時(3年間): 14万円 × 50% = 7万円/年
特例終了後は通常の税額に戻るため、3年後(マンションは5年後)に固定資産税が急に高くなったように感じることがあります。
評価額の見直し請求(不当に高い場合)
評価額が周辺相場より明らかに高い場合、固定資産評価審査委員会に審査申出ができます。審査の結果、評価額が見直されれば、固定資産税が減額されます。
審査申出は納税通知書を受け取った日から3ヶ月以内に行う必要があります。
まとめ|固定資産税の平均額は10-15万円、地域・物件で変動
固定資産税の平均額は、一戸建てで年間10-15万円、マンションで年間8-12万円程度です。ただし、評価額・地域・物件種別により大きく変動します。
計算方法は「固定資産税評価額×税率1.4%」が基本で、小規模住宅用地の特例(評価額6分の1)や新築住宅の特例(3〜5年間50%減額)により、固定資産税を大幅に抑えられます。
自分の固定資産税が適正かどうかは、固定資産税課税明細書で評価額を確認し、周辺相場と比較してください。軽減措置が適用されているかもチェックしましょう。評価額が不当に高い場合は、審査申出で見直しを求めることができます。
