新築戸建ての購入ガイド!費用内訳・流れ・注意点を徹底解説

公開日: 2025/10/27

新築戸建て購入の基本を理解しよう

「新築戸建てを購入したいけど、総費用がいくらかかるのか不安」「建売と注文住宅のどちらを選べばいいのかわからない」と悩んでいませんか。

この記事では、新築戸建て購入の総費用、諸費用の内訳と節約ポイント、建売・注文住宅の違いと選択基準、購入の流れと注意点、住宅ローン控除等の優遇制度を、国土交通省・国税庁の公式情報を元に解説します。

初めて住宅を購入する方でも、必要な費用と手続きを正確に把握できるようになります。

この記事のポイント

  • 新築戸建ての総費用は物件価格(建売3,605万円・注文住宅4,455万円が全国平均)+諸費用(物件価格の3-10%)
  • 諸費用は仲介手数料・登録免許税・不動産取得税・住宅ローン諸費用・火災保険等が含まれ、現金払いが原則
  • 建売住宅は価格が安く早期入居可能、注文住宅は間取りの自由度が高いが価格は約850万円高い
  • 新築住宅は10年瑕疵担保責任で構造耐力・雨水浸入に関して品質保証される
  • 住宅ローン控除(年末残高の0.7%、最大13年間)や子育てエコホーム支援事業を活用することで負担を軽減できる

新築戸建て購入の総費用とは

新築戸建て購入の総費用は、物件価格+諸費用で構成されます。物件価格だけに注目しがちですが、諸費用も含めた総費用で予算を立てることが重要です。

物件価格の全国平均(建売3,605万円・注文住宅4,455万円)

新築戸建ての物件価格は、建売住宅と注文住宅で大きく異なります。注文住宅と建売住宅の価格比較によると、全国平均は以下の通りです。

| 住宅タイプ | 全国平均(土地付) | 特徴 | |------------|--------------------|----- -| | 建売住宅 | 約3,605万円 | 間取り・設備はほぼ決定、完成物件を見学可能 | | 注文住宅 | 約4,455万円 | 間取りをほぼ自由に設計可能、建築士に依頼 | | 価格差 | 約850万円 | 注文住宅の方が高額 |

(出典: ポラテック

地域により価格差があり、首都圏では5,000-6,000万円以上、地方では2,000-3,000万円程度が相場です。エリアの相場を事前に確認し、予算と照らし合わせることが重要です。

諸費用の目安(物件価格の3-10%、現金払いが原則)

諸費用は、物件価格以外にかかる費用の総称で、物件価格の3-10%が目安です。例えば、4,000万円の物件の場合、諸費用は120-400万円程度となります。

諸費用は基本的に現金払いが原則です。住宅ローンに含められない場合が多いため、自己資金として用意しておく必要があります(一部金融機関では「諸費用ローン」として別途借入可能ですが、金利が0.2-0.5%上乗せされることが多く、返済負担が増加します)。

2025年の注意点(省エネ基準義務化で費用増の可能性)

2025年の費用相場によると、2025年4月以降、すべての新築住宅に省エネ基準を満たす義務が発生します。これにより、以下の影響が予想されます。

  • 断熱性能の向上(断熱材のグレードアップ)
  • 設備の省エネ性能向上(高効率エアコン、LED照明等)
  • 建築費の増加(相場より高くなる可能性あり)

ただし、省エネ性能が高い住宅は光熱費の削減や住宅ローン控除の借入限度額増加といったメリットもあります。長期的な視点で総合的に判断することが推奨されます。

諸費用の内訳と節約ポイント

諸費用の内訳を理解し、節約できる項目を把握することで、総費用を抑えることができます。

仲介手数料(物件価格の約3%+6万円+消費税)

仲介手数料は、不動産会社に支払う手数料で、物件価格の約3%+6万円+消費税が上限です。

例えば、4,000万円の物件の場合、仲介手数料は以下のように計算されます。

計算式: (4,000万円 × 3% + 6万円) × 1.1 = 約138万円

ただし、建売住宅の場合、売主(ハウスメーカー等)から直接購入すると仲介手数料が0円になることがあります。仲介会社を通さず、売主直接購入を検討することで、大きな節約が可能です。

登録免許税・不動産取得税

登録免許税は、所有権保存登記・抵当権設定登記の際に納める国税です。一般的に、所有権保存登記は固定資産税評価額の0.4%(軽減税率0.15%)、抵当権設定登記は借入額の0.4%(軽減税率0.1%)です。

不動産取得税は、土地・建物を取得した際に都道府県に納める地方税で、固定資産税評価額の3-4%が原則です。ただし、新築住宅の場合、以下の軽減措置が適用される場合があります。

  • 建物: 固定資産税評価額から1,200-1,300万円を控除
  • 土地: 固定資産税評価額を1/2に減額、さらに一定額を控除

軽減措置の適用要件(床面積50㎡以上240㎡以下等)を満たすことで、税額を大幅に抑えることができます。

住宅ローン諸費用(融資手数料・保証料等)

住宅ローン諸費用には、以下の費用が含まれます。

費用項目 内容 目安額
融資手数料 金融機関に支払う手数料 借入額の1-2%、または定額3-5万円
保証料 保証会社に支払う保証料 借入額の0-2%(金利に上乗せする方式もあり)
印紙税 金銭消費貸借契約書の印紙税 借入額に応じて2-6万円
団体信用生命保険 住宅ローン返済中の死亡・高度障害に備える保険 通常は金利に含まれる

(出典: LIFULL HOME'S

金融機関により費用が異なるため、複数社を比較し、総費用(金利+諸費用)で判断することが重要です。

火災保険・引越費用等

火災保険は、建物の火災・風水害等のリスクに備える保険で、10年一括払いで10-30万円程度が目安です。複数の保険会社から見積もりを取り、補償内容と保険料を比較することで、10-20%程度削減できる場合があります。

引越費用は、時期や距離により異なりますが、一般的に10-20万円程度です。繁忙期(3-4月)を避け、平日に引越すことで費用を抑えることができます。

その他、家具・家電購入費、カーテン・照明設備費等も考慮し、総費用を見積もることが重要です。

建売・注文住宅の違いと選択基準

建売住宅と注文住宅の違いを理解し、自分の優先順位に合った選択をすることが重要です。

価格の違い(建売3,605万円 vs 注文住宅4,455万円)

注文住宅と建売住宅の価格比較によると、注文住宅は建売住宅より約850万円高額です。この価格差は、以下の要因によります。

  • 設計の自由度: 注文住宅は建築士に設計を依頼し、間取りをほぼ自由に設計できるため、設計費用が加算される
  • 建材・設備の選択肢: 注文住宅は建材・設備を自由に選べるため、グレードアップにより費用が増加
  • 一括発注のコスト削減: 建売住宅は複数棟を一括発注することで建築コストを削減

予算を重視する場合は建売住宅、こだわりを重視する場合は注文住宅が適しています。

自由度・完成時期の違い

建売住宅と注文住宅の主な違いを比較表で整理します。

項目 建売住宅 注文住宅
間取りの自由度 低い(ほぼ決定済み) 高い(ほぼ自由に設計可能)
完成時期 即入居可能〜数ヶ月 6ヶ月〜1年以上
内覧 完成物件を見学可能 完成前は図面・モデルルームで確認
価格 安い(平均3,605万円) 高い(平均4,455万円)
建築確認 完成後(または建築中) 着工前

(出典: ポラテック

早期入居を希望する場合や、完成物件を見学してから決めたい場合は建売住宅が適しています。一方、間取りや設備にこだわりたい場合は注文住宅が適しています。

建築確認のタイミングと内覧の可否

建築確認は、建築基準法に適合しているかを確認する手続きです。

  • 注文住宅: 着工前に建築確認を取得します。そのため、設計段階で建築基準法に適合しているか確認できます。
  • 建売住宅: 完成後(または建築中)に建築確認を取得します。購入時点では既に完成している場合が多く、完成物件を内覧できるメリットがあります。

建売住宅は完成物件を見学できるため、実際の間取り・設備・周辺環境を確認してから購入判断ができます。一方、注文住宅は完成前に購入を決定するため、図面やモデルルームで確認する必要があります。

購入の流れと注意点

新築戸建て購入の流れを段階的に解説し、各段階での注意点を明確にします。

物件探し(ポータルサイト・不動産会社・現地見学)

物件探しは、以下の方法で行います。

  • 不動産ポータルサイト: SUUMO、アットホーム、HOME'S等で公開物件を検索
  • 不動産会社: 地域密着型の不動産会社は未公開物件を持っている場合がある
  • 現地見学会: ハウスメーカー・不動産会社が開催する見学会に参加

複数の物件を比較し、立地、間取り、価格、周辺環境等を総合的に判断します。現地を訪れて、日当たり、風通し、騒音、周辺の生活施設等を確認することが重要です。

契約(売買契約・建築工事請負契約)

購入を決定したら、契約を締結します。

  • 建売住宅: 売買契約を締結します。契約書には物件の詳細、代金、引渡し時期、瑕疵担保責任等が記載されます。
  • 注文住宅: 建築工事請負契約を締結します。契約書には設計図、工事内容、工期、代金、支払時期等が記載されます。

契約前に、重要事項説明を受けます。宅地建物取引士が物件の詳細、建築制限、インフラ、ハザードマップ等を説明します。不明点があれば必ず質問し、納得した上で契約することが重要です。

住宅ローン審査・契約

住宅ローン審査・契約は、以下の流れで進めます。

  1. 事前審査: 金融機関に年収、勤続年数、借入希望額等を申告し、融資可能額を確認
  2. 本審査: 物件の詳細、契約書等を提出し、正式な融資承認を取得
  3. 金銭消費貸借契約: 金融機関と住宅ローン契約を締結

複数の金融機関に事前審査を申し込み、金利、諸費用、サービス内容を比較することをおすすめします。

引渡し・入居

引渡し・入居は、以下の流れで進めます。

  1. 完了検査: 建築基準法に適合しているかを確認する検査(建売住宅は完成時点で実施済み)
  2. 内覧会: 建物の状態を確認し、施工不良やキズ等をチェック
  3. 鍵渡し: 代金の支払いと引き換えに鍵を受け取る
  4. 入居: 引越しを行い、新生活を開始

内覧会では、建物の隅々まで確認し、気になる点があれば遠慮なく指摘することが重要です。内覧会同行サービス(建築士等の専門家が同行し、施工不良をチェックするサービス)を活用することで、素人では見つけにくい不具合を発見できる場合があります。

新築住宅の10年瑕疵担保責任

住宅品質確保法により、新築住宅は構造耐力上主要な部分(基礎、柱、梁等)と雨水浸入を防止する部分(屋根、外壁等)について、引渡しから10年間の瑕疵担保責任が義務付けられています。

この期間中に瑕疵(欠陥)が発見された場合、売主(ハウスメーカー・不動産会社)が無償で修補する義務があります。万が一、売主が倒産した場合でも、住宅瑕疵担保責任保険により修補費用が補償されます。

新築でも施工不良の可能性があるため、引渡し後も定期的に建物の状態を確認し、異常があれば速やかに売主に連絡することが重要です。

住宅ローン控除等の優遇制度

新築戸建て購入時には、税制優遇や補助金を活用することで、負担を軽減できます。

住宅ローン控除の概要と要件(年末残高の0.7%、最大13年間)

住宅ローン控除は、国税庁の公式情報により、住宅ローンを利用して住宅を取得した場合、年末ローン残高の0.7%を所得税から控除できる制度です。

主な要件:

  • 令和4年〜令和7年(2022年〜2025年)に入居すること
  • 床面積が50㎡以上であること(2023年以前に建築確認を受けた場合は40㎡以上も可)
  • 年間所得が2,000万円以下であること
  • 住宅ローン返済期間が10年以上であること
  • 自己の居住用であること

控除期間と借入限度額:

住宅の種類 借入限度額 控除期間
長期優良住宅・低炭素住宅 5,000万円 13年間
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 13年間
省エネ基準適合住宅 4,000万円 13年間
その他の住宅 3,000万円(2024-2025年入居は0円) 13年間

(出典: 国税庁

例えば、4,000万円のローンを組んだ場合、初年度は約28万円(4,000万円 × 0.7%)の控除を受けられます。13年間で最大364万円の控除が可能です。

省エネ性能が高い住宅ほど借入限度額が大きくなるため、長期的な光熱費削減と合わせて検討することが推奨されます。

子育てエコホーム支援事業(2024年度)

子育てエコホーム支援事業は、国土交通省の支援事業一覧により、省エネ性能の高い新築住宅を取得した子育て世帯等に最大100万円を補助する制度(2024年度)です。

主な要件:

  • 子育て世帯(18歳未満の子を有する世帯)または若者夫婦世帯(夫婦いずれかが39歳以下)
  • 長期優良住宅またはZEH住宅であること
  • 床面積が50㎡以上であること

補助額:

  • 長期優良住宅: 100万円
  • ZEH住宅: 80万円

詳細は国土交通省の公式サイトで最新情報を確認してください。申請期限や予算枠があるため、早めに手続きを進めることが重要です。

まとめ:失敗しない新築戸建て購入のために

新築戸建て購入は、物件価格(建売3,605万円・注文住宅4,455万円が全国平均)+諸費用(物件価格の3-10%)を含めた総費用で判断することが重要です。

建売住宅と注文住宅の違い(価格・自由度・完成時期)を理解し、予算と優先順位に合った選択をしてください。購入の流れ(物件探し→契約→住宅ローン→引渡し)と新築住宅の10年瑕疵担保責任を把握し、内覧会同行サービス等を活用することで、施工不良のリスクを軽減できます。

住宅ローン控除(年末残高の0.7%、最大13年間)や子育てエコホーム支援事業を活用し、税負担と初期費用を抑えましょう。返済計画は35年の長期を想定し、金利上昇リスク、維持費(固定資産税・修繕費)も考慮することで、家計破綻を防ぎ、安心して新生活を始められます。

よくある質問

Q1諸費用は住宅ローンに含められますか?

A1基本的には含められず、現金払いが原則です。ただし、一部金融機関では「諸費用ローン」として別途借入可能ですが、金利が0.2-0.5%上乗せされることが多く、返済負担が増加します。可能な限り、諸費用は自己資金で用意することをおすすめします。事前に金融機関に確認してください。

Q2建売住宅と注文住宅、どちらがおすすめですか?

A2価格重視・早期入居希望なら建売住宅(平均3,605万円、即入居可能〜数ヶ月)がおすすめです。間取りや設備にこだわりたいなら注文住宅(平均4,455万円、6ヶ月〜1年以上)が適しています。予算と優先順位(価格・自由度・完成時期)を家族で話し合い、総合的に判断してください。

Q3住宅ローン控除の適用要件は?

A3令和4年〜令和7年(2022年〜2025年)入居対象、床面積50㎡以上(2023年以前に建築確認を受けた場合は40㎡以上も可)、年間所得2,000万円以下、住宅ローン返済期間10年以上、自己の居住用であること等が主な要件です。詳細は国税庁の公式サイトで確認し、適用可否を税務署や税理士に相談してください。

Q42025年4月以降の省エネ基準義務化で何が変わりますか?

A4すべての新築住宅に省エネ基準を満たす義務が発生します。断熱性能の向上(断熱材のグレードアップ)、設備の省エネ性能向上(高効率エアコン、LED照明等)が要求され、建築費が相場より高くなる可能性があります。ただし、省エネ性能が高い住宅は光熱費の削減や住宅ローン控除の借入限度額増加といったメリットもあります。長期的な視点で総合的に判断してください。