マンションで「買ってはいけない階」は存在しない|ライフスタイル次第
マンション購入を検討する際、「何階を選べばいいのか」「買ってはいけない階はあるのか」と迷う方は少なくありません。
この記事では、各階層(低層・中層・高層・最上階・1階)のメリット・デメリットを客観的に比較し、ライフスタイル別の選び方を解説します。
実際には「絶対に買ってはいけない階」は存在せず、各階にメリット・デメリットがあり、ライフスタイル・優先事項により最適な階数は異なります。この記事を読むことで、自分に合った階数を選択できるようになります。
この記事のポイント
- マンションに「絶対に買ってはいけない階」は存在せず、各階にメリット・デメリットがある
- 低層階は避難容易・揺れ少、高層階は眺望良好・揺れ大、1階は出入り便利・防犯対策必要
- 高層階は地震時の長周期地震動で大きく揺れるが、建築基準法で安全性は担保されている
- ライフスタイル(高齢者・子育て・ペット・眺望重視)に応じて最適な階数を選ぶことが重要
各階層のメリット・デメリット徹底比較|低層・中層・高層・最上階・1階
マンションの階層は、大きく5つに分類できます。それぞれの特徴を比較表で整理しました。
| 階層 | 主なメリット | 主なデメリット |
|---|---|---|
| 低層階(2-5階) | 地震時の揺れが少ない、避難が容易、エレベーター待ち時間短 | 眺望が限定的、周辺騒音が届きやすい |
| 中層階(6-10階) | 低層・高層のバランス型、価格も中程度 | 特徴が少なく、決定打に欠ける |
| 高層階(11階以上) | 眺望が良好、日当たり・風通しに優れる | 地震時の揺れが大きい、エレベーター依存度が高い |
| 最上階 | 眺望が最も良い、上階騒音がない | 価格が高い、夏は屋根からの輻射熱で暑い |
| 1階 | 庭・専用庭付きの可能性、出入りが便利 | 防犯リスク、湿気・騒音の懸念 |
低層階(2-5階):避難容易・揺れ少・眺望限定
低層階は、地震時の揺れが少なく、避難が容易な点が最大のメリットです。エレベーターが停止しても階段で昇降可能で、高齢者や小さい子供がいる家庭に適しています。
エレベーター待ち時間も短く、日常の出入りがストレスになりにくい点も魅力です。
一方、眺望は限定的で、周辺の騒音(道路・商業施設)が届きやすいというデメリットがあります。
中層階(6-10階):バランス型
中層階は、低層階と高層階のバランスが取れた階層です。眺望もそこそこ確保でき、地震時の揺れも高層階ほど大きくありません。
価格も中程度で選択肢が多く、ライフスタイルに関わらず万人向けと言えます。特徴が少なく決定打に欠ける面もありますが、無難な選択として人気があります。
高層階(11階以上):眺望良好・揺れ大・エレベーター依存
高層階は、眺望が良好で日当たり・風通しに優れる点が最大のメリットです。周辺の騒音も届きにくく、静かな環境を求める方に適しています。
一方、地震時の揺れが大きく、長周期地震動の影響を受けやすい点がデメリットです(詳細は後述)。エレベーター依存度が高く、エレベーター停止時は階段での昇降が困難です。
最上階:眺望最高・価格高・暑さ
最上階は、眺望が最も良く、上階騒音がない点が魅力です。プライバシーも確保しやすく、ステータス性もあります。
ただし、価格が高く、夏は屋根からの輻射熱で暑くなりやすい点がデメリットです。冷房費が増加する可能性があります。
1階:庭付き・出入り便利・防犯リスク
1階は、庭・専用庭付きの可能性があり、出入りが便利な点がメリットです。ペット飼育や小さい子供がいる家庭に適しています。
一方、防犯リスク(侵入経路として狙われやすい)、湿気、騒音の懸念があります(詳細は後述)。
1階の注意点と対策|防犯・湿気・騒音のリスク管理
1階特有の注意点と、それぞれの対策を整理します。
防犯対策(窓の施錠・防犯グッズ)
1階は侵入窃盗の統計で狙われやすい階層です。ただし、適切な対策で安全性を高めることができます。
有効な対策:
- 窓の施錠徹底(外出時だけでなく在宅時も)
- 防犯フィルムの貼付(ガラス破りを防ぐ)
- センサーライトの設置(不審者を威嚇)
- 防犯カメラの設置(抑止力となる)
マンションのセキュリティ(オートロック・管理人常駐)も重要な判断材料です。購入前に必ず確認してください。
湿気対策(換気・除湿)
1階は地面に近いため、湿気がこもりやすい傾向があります。
有効な対策:
- 定期的な換気(1日2回以上、各15分程度)
- 除湿機の使用(梅雨時期・冬季)
- カビ予防のための清掃(浴室・キッチン等)
騒音対策(遮音カーテン・二重窓)
1階は歩行者や車の音が届きやすい階層です。
有効な対策:
- 遮音カーテンの設置
- 二重窓(内窓)の設置(騒音を大幅に軽減)
リスクを過度に恐れる必要はなく、適切な対策で快適に住むことができます。
高層階の注意点と対策|地震時の揺れ・エレベーター停止リスク
高層階特有の注意点と、それぞれの対策を整理します。
長周期地震動と建物構造(耐震・制震・免震)
高層階は、長周期地震動の影響を受けやすい点に注意が必要です。
長周期地震動とは: M8クラスの地震では、50階建てビルで振幅2メートルの揺れが10分以上継続する可能性があります(iTSCOM安心安全情報)。
ただし、建築基準法で安全性は担保されており、倒壊リスクは低いとされています。建物の耐震構造により、揺れの大きさは異なります。
| 構造 | 特徴 | 揺れの軽減率 |
|---|---|---|
| 耐震構造 | 地震エネルギーを建物が直接受け止める | - |
| 制震構造 | ダンパー等で揺れを吸収 | 約30-50%低減 |
| 免震構造 | 建物と地盤の間に免震装置を設置 | 約1/3に低減 |
購入前に建物の耐震構造を確認し、制震・免震構造であれば揺れを大幅に低減できます。
必須の対策:
- 家具の固定(転倒防止)
- 防災備蓄の準備(水・非常食・簡易トイレ等、1週間分)
エレベーター停止時の備蓄と対策
大地震時はエレベーターが停止し、高層階では階段での昇降が困難になります。
推奨する備蓄:
- 水(1人1日3リットル × 7日分)
- 非常食(7日分)
- 簡易トイレ(7日分)
- 懐中電灯・電池
- モバイルバッテリー
避難経路の確認
日頃から非常階段の場所・避難経路を確認し、マンションの避難訓練に参加することをおすすめします。
ライフスタイル別おすすめ階数|高齢者・子育て・ペット・眺望重視
ライフスタイル別のおすすめ階数を整理します。
高齢者・小さい子供:低層階(避難容易・階段利用可)
高齢者や小さい子供がいる家庭には、低層階(2-5階)がおすすめです。
理由:
- エレベーターが停止しても階段で昇降可能
- 避難が容易
- 日常の出入りが負担にならない
ペット飼育:1階(専用庭・出入り便利)
ペットを飼育している場合は、1階がおすすめです。
理由:
- 専用庭があれば散歩が楽
- 出入りが頻繁でも負担が少ない
ただし、防犯対策(窓の施錠・防犯グッズ)は必須です。
眺望重視・静かな環境:高層階
眺望を重視する方、静かな環境を求める方には、高層階(11階以上)がおすすめです。
理由:
- 眺望が良好
- 周辺の騒音が届きにくい
ただし、価格が高く、地震時の揺れ対策(家具の固定・防災備蓄)が必要です。
予算重視:中層階(価格バランス)
予算を重視する方には、中層階(6-10階)がおすすめです。
理由:
- 低層・高層のバランスが取れている
- 価格も中程度で選択肢が多い
価格差は一般に高層階ほど高いですが、最上階や角部屋等の例外もあります。実際の販売価格を確認することが必須です。
まとめ|各階のメリット・デメリットを理解して自分に合った階を選ぼう
マンションで「買ってはいけない階」は存在せず、各階にメリット・デメリットがあります。
低層階は避難容易・揺れ少、高層階は眺望良好・揺れ大、1階は出入り便利・防犯対策必要、最上階は眺望最高・価格高です。
ライフスタイル(高齢者・子育て・ペット・眺望重視・予算)に応じて最適な階数を選ぶことが重要です。
実際の物件で各階の内見を行い、価格・眺望・セキュリティ・建物構造(耐震・制震・免震)を確認し、自分の優先事項に合った階を選択してください。専門家(不動産エージェント)への相談もおすすめします。
