土地査定とは?無料査定と有料鑑定の違い
土地の売却や相場を知りたい時、「査定はどこに頼めばいいのか」「無料査定は信頼できるのか」と不安に感じる方は少なくありません。
この記事では、土地査定の方法、自分で相場を調べる方法、無料査定の流れと注意点を、国土交通省の公式情報を元に解説します。
査定の仕組みを理解することで、適正な価格を見極め、安心して売却を進められるようになります。
この記事のポイント
- 土地査定には無料査定(簡易査定・訪問査定)と有料鑑定(不動産鑑定士による鑑定評価)がある
- 無料査定は営業活動の一環で法的証明力がない、有料鑑定は公的証明として扱われる(費用20-50万円)
- 国交省「不動産情報ライブラリ」や国税庁「路線価」で自分で相場を調べられる
- 複数社(3-6社)に査定を依頼し、平均的な相場を把握することが重要
土地査定の3つの方法
土地査定には、簡易査定、訪問査定、不動産鑑定の3つの方法があります。
簡易査定(机上査定)
簡易査定は、物件情報(立地・面積・築年数等)をもとに不動産会社が概算価格を算出する方法です。数時間〜数日で結果が出て、費用は無料です。
訪問査定
訪問査定は、不動産会社の担当者が現地を訪問し、接道状況・日当たり・周辺環境等を確認して詳細な価格を算出する方法です。1〜2週間程度かかりますが、費用は無料です。
不動産鑑定
不動産鑑定は、国家資格を持つ不動産鑑定士が「不動産鑑定評価基準」に則って評価額を算出する方法です。
HOME4Uによると、鑑定書は裁判所や税務署で公的証明として扱われます。費用は20〜50万円です。
3つの方法の比較
| 方法 | 費用 | 期間 | 法的証明力 | 適用場面 | 
|---|---|---|---|---|
| 簡易査定 | 無料 | 数時間〜数日 | なし | 売却検討 | 
| 訪問査定 | 無料 | 1〜2週間 | なし | 売却準備 | 
| 不動産鑑定 | 20〜50万円 | 2〜4週間 | あり | 相続・離婚・裁判 | 
(出典: HOME4U)
無料査定は営業活動の一環で、査定額はあくまで目安です。実際の売却額は買主との交渉で決まるため、査定額と異なる可能性があります。
自分で土地の相場を調べる方法
不動産会社に依存せず、自分で相場を調べる方法があります。
不動産情報ライブラリ(実取引価格)
国土交通省「不動産情報ライブラリ」では、547万件以上の実取引価格データを検索できます。
地域・土地面積・取引時期等で絞り込み、類似物件の取引価格を確認することで、実勢価格の目安を把握できます。
路線価から実勢価格を逆算
国税庁「路線価図」では、相続税・贈与税の算定基準となる路線価を無料で閲覧できます。
路線価は公示地価の約80%水準のため、以下の計算式で実勢価格を逆算できます。
実勢価格の目安 = 路線価 ÷ 0.8
例えば、路線価が40万円/㎡なら、実勢価格は約50万円/㎡と推測できます。
地価公示・都道府県地価調査
国土交通省の地価公示では、毎年1月1日時点の標準地の価格が公表されます。都道府県地価調査は毎年7月1日時点の価格です。
これらの公的データを参照することで、地域の地価動向を把握できます。
土地の査定額が決まる要素
査定額は、複数の要素を総合的に判断して算出されます。
立地・形状・接道状況
HOME4Uによると、以下の要素が査定額に影響します。
立地:
- 最寄り駅からの距離(徒歩10分以内は高評価)
- 周辺施設(スーパー・学校・病院等)の充実度
形状:
- 正方形・長方形が有利
- 不整形地(三角形・台形等)は減額対象
接道状況:
- 建築基準法の接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接道)を満たすことが必須
- 接道義務を満たさない土地は建物を建てられないため、価格が大きく下がる
用途地域・建ぺい率・容積率
用途地域は、都市計画法で定められた12種類の地域区分(住居系・商業系・工業系)です。商業地域は需要が高く、土地価格が高い傾向にあります。
建ぺい率は、敷地面積に対する建築面積の割合の上限です。容積率は、敷地面積に対する延床面積の割合の上限です。これらが高いほど、大きな建物を建てられるため、土地価格が高くなります。
周辺環境・インフラ
- 日当たり(南向き・角地は高評価)
- 騒音・振動(幹線道路沿いは減額)
- 治安(防犯面で安心できる地域は高評価)
- 上下水道・ガス・電気等のインフラ整備状況
無料査定の流れと注意点
無料査定は、以下の流れで進みます。
査定依頼→現地確認→査定書提示→媒介契約
- 査定依頼: 不動産会社に査定を依頼(Webフォーム・電話等)
- 現地確認: 担当者が現地を訪問し、接道状況・周辺環境等を確認
- 査定書提示: 1〜2週間後に査定書が提示される
- 媒介契約: 売却を依頼する場合、媒介契約を締結
複数社に査定を依頼する重要性(3〜6社が目安)
三井のリハウスによると、複数社に査定を依頼する重要性は以下の通りです。
- 相場把握: 各社の査定額を比較することで、平均的な相場が分かる
- 適正価格判断: 極端に高い・低い査定額を排除し、適正価格を見極められる
- 競争による査定額上昇: 複数社が競合することで、査定額が上がる可能性がある
適切な依頼社数は3〜6社が目安です。多すぎると対応が大変になるため、バランスが重要です。
査定額≠売却額
査定額はあくまで目安であり、実際の売却額とは異なる可能性があります。
売却額は買主との交渉で決まるため、査定額より高く売れる場合もあれば、低くなる場合もあります。査定額を過信せず、市場動向を見ながら柔軟に対応することが重要です。
まとめ
土地査定には無料査定(簡易査定・訪問査定)と有料鑑定(不動産鑑定)があります。
自分で相場を調べるには、国交省「不動産情報ライブラリ」や国税庁「路線価」を活用しましょう。
複数社(3〜6社)に査定を依頼し、査定額は目安であることを理解した上で売却を進めることが重要です。
