住宅ローンの種類を徹底比較!選び方完全ガイド

公開日: 2025/10/31

住宅ローンの種類と利用実態【2025年最新】

住宅購入を検討する際、「住宅ローンの種類が多すぎて何を選べばいいか分からない」と悩む方は少なくありません。金利タイプ、返済方法、契約形態など、選択肢が多岐にわたるため、どれが自分に合っているか判断が難しいのが現状です。

この記事では、住宅ローンの種類を金利タイプ・返済方法・契約形態・借入先の4軸で徹底比較し、ライフプラン別の選び方を国土交通省金融庁全国銀行協会の公式情報を元に解説します。

初めて住宅購入を検討している方でも、自分に合った住宅ローンを選べるようになります。

この記事のポイント

  • 住宅ローンの種類は金利タイプ(変動・全期間固定・固定期間選択)、返済方法(元利均等・元金均等)、契約形態(ミックス・ペア・収入合算)、借入先(民間融資・フラット35・財形住宅融資)の4軸がある
  • 2025年3月の国土交通省調査では、変動金利84.3%、固定金利期間選択型9.8%、全期間固定型5.9%という利用実態
  • 変動金利は低金利だが金利上昇リスクあり、固定金利は金利上昇リスクなしだが金利が高い
  • ライフプラン(子育て世帯、共働き、転職予定等)に応じて適した金利タイプが異なる
  • 複数金融機関のシミュレーションツールを活用し、自分に合った住宅ローンを選ぶことが重要

金利タイプ別の種類と特徴【変動・全期間固定・固定期間選択】

住宅ローンの金利タイプは大きく3種類に分かれます。それぞれの特徴を理解し、自分に合ったタイプを選ぶことが重要です。

変動金利型 - 半年ごとに金利見直し、低金利だが上昇リスクあり

変動金利型は、原則半年ごとに金利が見直されるタイプです。短期プライムレート(短プラ:銀行が優良企業向けに1年以内の短期融資をする際の最優遇金利)に連動します。

国土交通省の調査(2025年3月公表)によると、2023年度の住宅ローン利用者の84.3%が変動金利を選択しており、最も主流の金利タイプです。

メリット:

  • 金利が低い(2025年時点で0.3~0.5%程度)
  • 金利低下時には返済額も減少

デメリット:

  • 金利上昇リスクがあり、返済計画が狂う可能性
  • 特に2025年以降は日銀の金融政策正常化により金利上昇の可能性が指摘されている

全期間固定金利型 - 借入時の金利が完済まで変わらない(フラット35等)

全期間固定金利型は、借入時の金利が完済まで変わらないタイプです。代表例はフラット35(住宅金融支援機構と民間金融機関が提携)です。

国土交通省の調査によると、利用者は5.9%と少数派ですが、金利上昇リスクを避けたい人に選ばれています。

メリット:

  • 金利上昇リスクなし
  • 返済額が一定で計画が立てやすい

デメリット:

  • 金利が高い(変動金利より1-2%高い)
  • 金利低下時でも恩恵を受けられない

固定金利期間選択型 - 当初一定期間のみ固定、期間終了後に選択

固定金利期間選択型は、当初3年・5年・10年等の一定期間のみ固定金利で、期間終了後に変動または再固定を選択するタイプです。

国土交通省の調査によると、利用者は9.8%です。

メリット:

  • 当初期間は金利が確定
  • 期間終了後に金利タイプを選び直せる

デメリット:

  • 期間終了後の金利が不確定
  • 変動金利よりは金利が高い場合が多い
金利タイプ 金利水準 金利変動リスク 返済額の予測可能性 向いている人
変動金利型 低い(0.3~0.5%) あり(半年ごと) 低い 貯蓄に余裕、金利上昇に対応可能
全期間固定金利型 高い(1.5~2.0%) なし 高い 金利上昇リスクを避けたい
固定金利期間選択型 中程度 期間終了後あり 中程度 当初期間のみ確定したい

(出典: 国土交通省全国銀行協会

変動金利 vs 固定金利の比較 - メリット・デメリット

変動金利と固定金利を公平に比較し、どちらが自分に合っているか判断しましょう。

変動金利のメリット・デメリット

メリット:

  • 金利が低い(2025年時点で0.3~0.5%程度)
  • 金利低下時には返済額も減少
  • 利息を抑えられる

デメリット:

  • 金利上昇リスクがあり、返済計画が狂う可能性
  • 特に2025年以降は日銀の金融政策正常化により金利上昇の可能性が指摘されている
  • 返済額が不確定のため、家計管理が難しい

固定金利のメリット・デメリット

メリット:

  • 金利上昇リスクなし
  • 返済額が一定で計画が立てやすい
  • 将来の金利変動に左右されない安心感

デメリット:

  • 金利が高い(変動金利より1-2%)
  • 金利低下時でも恩恵を受けられない
  • 総返済額が変動金利より多くなる可能性

全国銀行協会は、「変動金利約8割選択」という利用状況を踏まえつつ、家計の余裕度・貯蓄状況・金利上昇への耐性・リスク許容度の4つで選択基準を提示しています。

重要: 「変動金利が絶対お得」「固定金利は損」等の断定表現は避けるべきです。将来の金利動向は予測不可能であり、どちらが有利かは結果論でしかありません。

地域別の金利水準差

金融庁の分析(2025年1月)によると、地域別の金利水準差があります。

  • 北海道・東北: 1%以上
  • 中部・近畿: 0.5%未満

地域によって金利水準が異なるため、地域金融機関も含めて複数の金融機関を比較することが重要です。

返済方法の種類【元利均等 vs 元金均等】

住宅ローンの返済方法は2種類あります。それぞれの特徴を理解し、自分に合った方法を選びましょう。

元利均等返済: 毎月の返済額(元金+利息)が一定の返済方法です。返済計画が立てやすく、住宅ローンの主流です。ただし、当初は利息割合が大きく、元金が減りにくいという特徴があります。

元金均等返済: 毎月の元金返済額が一定の返済方法です。当初返済額は高いですが、総返済額は元利均等より少なくなります。利息は残高に応じて減少します。

住宅金融支援機構の解説によると、元利均等返済が一般的で、元金均等返済は総返済額が少ないものの、当初返済額が高く審査が厳しくなると説明されています。

返済方法 返済額の推移 総返済額 審査の通りやすさ 向いている人
元利均等返済 毎月一定 多い 通りやすい 返済計画を立てやすくしたい
元金均等返済 当初高→徐々に減少 少ない 厳しい 総返済額を抑えたい、当初返済可能

(出典: 住宅金融支援機構

注意: 元金均等返済は当初返済額が高く、審査で年収に対する返済負担率(年収に占める年間返済額の割合、一般的に30-35%以内が基準)が基準を超える場合は、借入額減額や審査否決のリスクがあります。

契約形態別の種類【ミックス・ペア・収入合算】

契約形態は、誰がどのように借りるかによって3種類に分かれます。

ミックスローン: 1人の契約者が変動金利と固定金利を組み合わせて借りる方法です。金利上昇リスクを分散できますが、2本の契約となるため事務手数料・保証料が2倍かかります。

ペアローン: 夫婦それぞれが住宅ローン契約を結び、互いに連帯保証人となる方法です。2人とも住宅ローン控除を受けられますが、契約が2本となり手数料が増えます。

収入合算: 夫婦の一方が主債務者、他方が連帯保証人(連帯保証型)または連帯債務者(連帯債務型)となる方法です。借入可能額を増やせますが、連帯保証型は1人のみ住宅ローン控除対象です。

契約形態 契約数 手数料 住宅ローン控除 団信加入 向いている人
ミックスローン 2本 2倍 1人 1人 金利上昇リスクを分散したい
ペアローン 2本 2倍 2人 2人 夫婦で控除を最大化したい
収入合算 1本 1倍 1人(連帯保証型) 1人 借入可能額を増やしたい

(出典: auじぶん銀行

注意: ミックスローンは2本の契約となるため、諸費用を考慮せず金利のみで判断すると総コストが高くなる可能性があります。

借入先別の種類【民間融資・フラット35・財形住宅融資】

借入先による3種類を説明します。

民間融資: 銀行・信用金庫・ネット銀行等が提供する住宅ローンです。変動金利・固定金利期間選択型が主流で、団信加入必須(健康不安者は借入不可)です。

フラット35: 住宅金融支援機構と民間金融機関が提携した全期間固定金利型住宅ローンです。団信任意加入(団信未加入の場合、死亡・高度障害時に遺族に返済義務が残る)、最長35年固定金利が特徴です。

財形住宅融資: 財形貯蓄を1年以上継続している勤労者向けの住宅ローンです。5年固定金利で、融資額は財形貯蓄残高の10倍(最高4,000万円)です。

借入先 金利タイプ 団信 対象者 メリット・デメリット
民間融資 変動・固定期間選択 必須 制限なし 金利が低いが団信必須
フラット35 全期間固定 任意 制限なし 金利上昇リスクなしだが金利高い
財形住宅融資 5年固定 任意 財形貯蓄1年以上 財形貯蓄が条件

(出典: 住宅金融支援機構

注意: フラット35は団信任意加入ですが、団信未加入で死亡・高度障害となった場合、遺族に返済義務が残ります。民間ローンは団信必須という違いを理解する必要があります。

住宅ローンの選び方【ライフプラン別のおすすめパターン】

ライフプラン別に適した金利タイプを提示します。

子育て世帯(将来的に支出増加)→ 固定金利

教育費等で将来的に支出が増加するため、返済額が一定の固定金利が安心です。金利上昇リスクを避け、家計管理がしやすくなります。

共働き世帯(収入安定・貯蓄あり)→ 変動金利

収入が安定し貯蓄もある場合、低金利の変動金利で利息を抑えられます。金利上昇時には繰上返済で対応可能です。

転職・独立予定(収入不安定化の可能性)→ 全期間固定金利

収入が不安定化する可能性があるため、返済額が確定する全期間固定金利が安全です。金利上昇リスクを避け、将来の不確実性に備えます。

金利上昇リスクを分散したい → ミックスローン

ミックスローンで変動金利と固定金利を組み合わせ、リスクとコストをバランスさせます。ただし、手数料が2倍かかる点に注意が必要です。

全国銀行協会は、選択基準として以下の4つを提示しています。

  • 家計の余裕度
  • 貯蓄状況
  • 金利上昇への耐性
  • リスク許容度

複数金融機関のシミュレーションツールを活用し、自分に合った住宅ローンを選ぶことを推奨します。

まとめ - 自分に合った住宅ローンを選ぼう

住宅ローンの種類は、金利タイプ3種類(変動・全期間固定・固定期間選択)、返済方法2種類(元利均等・元金均等)、契約形態3種類(ミックス・ペア・収入合算)、借入先3種類(民間融資・フラット35・財形住宅融資)と多岐にわたります。

2025年3月時点で変動金利84.3%が主流ですが、金利上昇リスクを考慮し、ライフプラン・家計状況に応じて選択すべきです。「変動金利が絶対お得」等の断定表現は避け、将来の金利動向は予測不可能であることを理解しましょう。

複数金融機関への仮審査申込、シミュレーションツールの活用、FPへの相談等、次のアクションを検討してください。信頼できる金融機関に相談しながら、無理のない資金計画を立てましょう。

よくある質問

Q1住宅ローンで一番多く選ばれている金利タイプは何ですか?

A1変動金利型が最も多く、[国土交通省の調査](https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001880178.pdf)(2025年3月公表)では84.3%が選択しています。低金利が魅力ですが、金利上昇リスクがある点に注意が必要です。特に2025年以降は日銀の金融政策正常化により金利上昇の可能性が指摘されています。貯蓄に余裕がある場合や、金利上昇に対応できる家計の場合に向いています。

Q2住宅ローンは借り換えできますか?

A2はい、可能です。変動金利から固定金利、または金利の低い金融機関への借り換えができます。ただし、借り換え手数料(数十万円)がかかるため、総返済額で判断してください。借り換えのメリットは、金利差が1%以上、残高が1,000万円以上、残期間が10年以上の場合に大きいとされています。複数金融機関のシミュレーションツールを活用することを推奨します。

Q3ミックスローンとは何ですか?

A31人の契約者が変動金利と固定金利を組み合わせて借りる方法です。金利上昇リスクを分散できますが、2本の契約となるため事務手数料・保証料が2倍かかります。例えば、3,000万円のうち2,000万円を変動金利、1,000万円を固定金利で借りる等の組み合わせが可能です。リスクとコストをバランスさせたい人に向いています。

Q4元利均等返済と元金均等返済はどちらがお得ですか?

A4元金均等返済の方が総返済額は少ないですが、当初返済額が高く審査が厳しくなります。返済計画の立てやすさを重視するなら元利均等返済が主流です。元金均等返済は、当初返済額が高くても対応できる収入がある場合、総返済額を抑えられるメリットがあります。審査では返済負担率(年収に占める返済額の割合)が重視されるため、元金均等は借入額が減額される可能性があります。

Q5フラット35と民間銀行の住宅ローンの違いは何ですか?

A5フラット35は全期間固定金利で団信任意加入、民間銀行は変動金利が主流で団信加入必須です。金利上昇リスクを避けたい場合はフラット35、低金利を重視するなら民間銀行が向いています。フラット35は団信未加入の場合、死亡・高度障害時に遺族に返済義務が残る点に注意が必要です。[住宅金融支援機構](https://www.jhf.go.jp/loan/yushi/info/flat35.html)で詳細を確認できます。