住宅ローンのオーバーローンがバレた時の対処法と防止策

公開日: 2025/11/11

住宅ローンのオーバーローンとは?なぜ問題なのか

住宅ローンの申込を検討している方の中には、「オーバーローン」という言葉を耳にして不安を感じている方もいるかもしれません。

オーバーローンとは、物件価格を超える融資を受ける行為を指します。例えば、2000万円の物件に対して2100万円の融資を受け、諸費用100万円を上乗せするケースです。金融機関の許可なくこうした行為を行うと、契約違反となり、法的リスク(契約解除、一括返済請求、刑事責任等)が発生します。

この記事では、オーバーローンが発覚する原因、発覚時の影響、対処法、予防策を、国土交通省や金融庁の公式情報、弁護士の見解を元に解説します。

この記事のポイント

  • オーバーローンが金融機関にバレると、一括返済請求や契約解除のリスクがある
  • 発覚原因は、金融機関の定期査定、住民票の住所不一致、返済滞納等
  • 詐欺罪(刑法246条)に該当する可能性があり、実際に逮捕事例も存在する
  • 発覚時は弁護士に相談し、金融機関と誠実に交渉することが重要
  • 予防策として、正確な資金計画と金融機関への誠実な申告が不可欠

オーバーローンがバレる原因

オーバーローンは、以下のような原因で発覚します。

金融機関の定期査定・物件評価

金融機関は、融資先の物件評価を定期的に実施し、担保価値を確認しています。物件価格と融資額の乖離が大きい場合、オーバーローンが発覚する可能性があります。

住民票の住所不一致

住宅ローン控除の申請や金融機関への届出で、住民票の住所が物件と一致しない場合、居住実態の調査が入り、オーバーローンが明らかになることがあります。

返済滞納による調査

返済が滞ると、金融機関は契約内容や資金使途を詳細に調査します。この過程で、契約時の不正(物件価格の水増し等)が発覚するケースがあります。

二重契約の発覚

不動産会社が物件価格を水増しした契約書を別途作成する「二重契約」は、税務署や金融機関の調査で発覚するリスクが高い手口です。文書偽造罪・詐欺罪に該当するため、絶対に応じないでください。

オーバーローンがバレた場合の影響

オーバーローンが発覚すると、以下のような重大な影響が生じます。

期限の利益喪失による一括返済請求

住宅ローン契約違反により、分割返済の権利(期限の利益)を失い、残債全額の一括返済を請求されます。返済不能の場合、抵当権が実行され、自宅を差し押さえられます。

契約解除と金利優遇措置の取り消し

住宅ローン契約が解除され、適用されていた金利優遇措置が取り消される可能性があります。この場合、高金利での返済を求められることになります。

信用情報機関への記録

一括返済請求や返済滞納が発生すると、信用情報機関(CIC、JICC、KSC)に「異動情報」として記録されます。この記録は5-10年間残り、その間は他の金融機関からの借入が困難になります。

刑事責任の可能性(詐欺罪)

虚偽の契約書を提出し、金融機関を欺いて融資を受けた場合、詐欺罪(刑法246条)に該当する可能性があります。フラット35では実際に逮捕事例があり、有罪となれば懲役刑が科されることもあります。

影響 内容
一括返済請求 残債全額の即時返済を求められる
契約解除 金利優遇措置の取り消し、高金利での返済
信用情報記録 5-10年間、他の金融機関からの借入が困難
刑事責任 詐欺罪による逮捕・起訴の可能性

オーバーローンが発覚した時の対処法

オーバーローンが発覚した場合、以下の対処法を検討してください。

専門家(弁護士・FP)に相談する

まずは弁護士やファイナンシャルプランナー(FP)に相談し、法的リスクと対応策を正確に把握することが重要です。専門家のサポートを受けることで、最悪の事態(競売・刑事訴追)を回避できる可能性があります。

金融機関と誠実に交渉する

金融機関に対して隠さず事情を説明し、返済計画の見直しや分割返済の交渉を行います。誠実な対応により、一括返済請求を回避できる場合もあります。

返済計画の見直しと債務整理の検討

一括返済が困難な場合、以下の選択肢を検討します。

  • 任意売却: 競売よりも高値で売却できる可能性があり、残債を減らせます
  • 個人再生: 住宅を維持しながら債務を圧縮できる制度です
  • 自己破産: 返済不能の場合の最終手段です

放置すると競売にかけられ、より不利な結果になるため、早めの相談が重要です。

オーバーローンを防ぐための対策

オーバーローンを未然に防ぐには、以下の対策が有効です。

正確な資金計画を立てる

物件価格、諸費用、自己資金を正確に把握し、無理のない借入額を設定します。LTV比率(物件価格に対する融資額の比率)を80-90%程度に抑えることが推奨されます。

金融機関に正直に申告する

諸費用の融資が必要な場合は、金融機関に正式に相談します。多くの金融機関は「諸費用ローン」を提供しており、正規のルートで対応可能です。虚偽申告は契約違反であり、発覚すれば重大なペナルティを受けます。

不動産会社の提案を鵜呑みにしない

不動産会社が「二重契約で諸費用も融資を受けられる」等の提案をしても、契約違反・詐欺罪のリスクがあるため、絶対に応じないでください。金融機関の審査は厳格で、見積書・契約書を細かくチェックされるため、ごまかしは通用しません。

まとめ:オーバーローンは契約違反、発覚前に専門家に相談を

オーバーローンは重大な契約違反であり、発覚すれば一括返済請求や刑事責任のリスクがあります。しかし、パニックにならず冷静に対処することが重要です。

専門家(弁護士・FP)に早期に相談し、金融機関と誠実に交渉することで、最悪の事態を回避できる可能性があります。

今後住宅ローンを組む場合は、正確な資金計画と正直な申告を徹底し、オーバーローンのリスクを回避しましょう。

よくある質問

Q1オーバーローンがバレるとすぐに一括返済を求められますか?

A1契約違反が確認されると、金融機関は期限の利益喪失を通知し、残債の一括返済を請求する権利があります。ただし、即座に請求されるとは限らず、まずは事情聴取や調査が行われます。早期に弁護士に相談し、金融機関と交渉することで分割返済の継続が認められる可能性もあります。

Q2オーバーローンが発覚すると信用情報にどう影響しますか?

A2一括返済請求や返済滞納が発生すると、信用情報機関(CIC、JICC、KSC)に「異動情報」として記録されます。この記録は5-10年間残り、その間は他の金融機関からの借入(住宅ローン、自動車ローン、クレジットカード等)が困難になります。

Q3金融機関が許可すればオーバーローンは合法ですか?

A3金融機関が正式に諸費用を含めた融資を承認した場合は合法です(諸費用ローン)。ただし、金利が高く、審査も厳格です。一方、金融機関に内緒で物件価格を水増しして融資を受ける行為は契約違反であり、詐欺罪に該当する可能性があります。

Q4オーバーローンで詐欺罪に問われる可能性はありますか?

A4虚偽の契約書を提出し、金融機関を欺いて融資を受けた場合、詐欺罪(刑法246条)に該当する可能性があります。フラット35では実際に逮捕事例があり、有罪となれば懲役刑が科されることもあります。不動産会社が二重契約を提案しても、絶対に応じないことが重要です。

Q5返済が困難になった場合、どうすればよいですか?

A5早めに弁護士やFPに相談し、任意売却、債務整理(個人再生・自己破産)等の選択肢を検討してください。任意売却は競売よりも高値で売却できる可能性があり、残債を減らせます。個人再生は住宅を維持しながら債務を圧縮できる制度です。放置すると競売にかけられ、より不利な結果になります。