住宅ローンの月々返済額はいくら?年収別・年代別の平均データ

公開日: 2025/11/6

住宅ローンの返済額、みんないくら払ってる?よくある疑問と調べ方の注意点

「住宅ローンの月々の返済額は、みんないくら払ってるんだろう?」と気になる方は多いのではないでしょうか。知恵袋などのQ&Aサイトで他の人の実例を調べたくなるのは自然なことです。

ただし、匿名Q&Aサイトの情報には限界があります。投稿時期の金利状況が異なったり、年収・家族構成が不明だったりするため、そのまま参考にするのは危険です。

この記事では、住宅金融支援機構総務省統計局の公的データを基に、年収別・年代別の返済額実態を解説します。返済比率の考え方も明記しますので、自分の適正返済額を判断できるようになります。

この記事のポイント

  • 住宅ローンの返済額は年収400万円台なら月8-10万円、600万円台なら月12-15万円が平均的
  • 返済比率(年収に占める年間返済額の割合)は手取り収入の20-25%以内が理想
  • 知恵袋などのQ&Aサイトは参考程度にとどめ、公的データで判断する方が安全
  • 2025年1月に日銀が政策金利0.5%に引き上げたため、変動金利リスクへの注意が必要

年収別の返済額目安:公的データから見る実態

住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」によると、年収別の月々返済額の平均値は以下の通りです。

年収400万円台の場合:月8-10万円が平均

年収400万円台の世帯では、月々の返済額は8-10万円程度が平均的です。借入額は2,500-3,000万円が目安で、返済期間は30-35年が一般的です。

年収400万円の手取り収入は約320万円(月約27万円)ですから、月8万円の返済は手取りの約30%にあたります。これは家計にやや負担がかかる水準です。

年収600万円台の場合:月12-15万円が平均

年収600万円台の世帯では、月々の返済額は12-15万円程度が平均的です。借入額は3,500-4,500万円が目安です。

年収600万円の手取り収入は約460万円(月約38万円)ですから、月12万円の返済は手取りの約32%にあたります。

年収800万円以上の場合:月15-20万円が平均

年収800万円以上の世帯では、月々の返済額は15-20万円程度が平均的です。借入額は5,000万円以上になることもあります。

年収が高くなるほど借入額も増える傾向にありますが、手取り収入に占める返済比率は25-30%程度に抑えているケースが多いようです。

年代別の返済額実態:30代・40代の家計データから見える返済負担

総務省統計局「家計調査」によると、住宅ローン返済世帯の年齢階級別の平均返済額は以下の通りです。

30代の返済額:平均月10-12万円

30代の住宅ローン返済世帯では、平均月10-12万円を返済しています。30代は年収が400-600万円台の方が多く、借入額は3,000-4,000万円程度が一般的です。

30代は子育て世代でもあるため、教育費との両立が課題になります。保育料や習い事の費用も考慮して、無理のない返済計画を立てることが重要です。

40代の返済額:平均月11-13万円

40代の住宅ローン返済世帯では、平均月11-13万円を返済しています。40代は年収が500-700万円台に上がる方が多いですが、子供の教育費(中学・高校・大学)も増えるため、返済額は30代とあまり変わりません。

年齢が上がるほど年収も増えますが、子供の教育費や老後資金の準備も考える必要があるため、返済額を大きく増やすことは難しいのが実情です。

返済比率の考え方:安全圏は手取りの20-25%以内

返済比率(返済負担率)とは、年収に占める年間返済額の割合のことです。金融機関が住宅ローンの審査時に重視する指標の一つです。

返済比率の計算式(年間返済額÷年収×100)

返済比率の計算式は以下の通りです。

返済比率 = 年間返済額 ÷ 額面年収 × 100

例えば、年収500万円で月々の返済額が12万円(年間144万円)の場合:

144万円 ÷ 500万円 × 100 = 28.8%

金融機関の審査基準は30-35%だが、手取りベースで20-25%が理想

三井住友銀行の解説によると、金融機関の審査基準は額面年収の30-35%程度とされています。

ただし、額面年収と手取り収入は大きく異なります。年収500万円の場合、社会保険料・税金を差し引いた手取り収入は約390万円(月約32.5万円)です。

手取り収入ベースで返済比率を計算すると:

  • 月12万円の返済 ÷ 月32.5万円の手取り = 約37%

これは家計にかなりの負担がかかる水準です。三菱UFJ銀行のFP監修記事でも、手取り収入の20-25%以内が理想とされています。

返済比率30%超は危険ゾーン:固定資産税・管理費を考慮すると家計が苦しくなる

返済比率30%を超えると、固定資産税・管理費・修繕積立金等の維持費を別途考慮すると家計が苦しくなります。

住宅の維持費の例(年間):

項目 金額
固定資産税・都市計画税 10-20万円
マンション管理費 12-24万円(月1-2万円)
マンション修繕積立金 12-24万円(月1-2万円)
火災保険 2-3万円
合計 36-71万円

これらの維持費は住宅ローンの返済とは別に必要です。返済比率が30%を超えると、維持費を含めた住居費が手取り収入の40%以上になることもあります。

無理のない返済計画を立てるためのポイント

無理のない返済計画を立てるためには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。

手取り収入ベースで計算する

返済計画は額面年収ではなく、手取り収入ベースで立てることが重要です。社会保険料・税金を差し引いた実際に使える金額で判断しましょう。

額面年収と手取り収入の目安:

額面年収 手取り収入 手取り率
400万円 約320万円 約80%
500万円 約390万円 約78%
600万円 約460万円 約77%
700万円 約530万円 約76%

変動金利のリスクに備える(2025年1月に日銀が政策金利0.5%に引き上げ)

2025年1月に日銀が政策金利を0.5%に引き上げたため、変動金利のリスクは高まっています。国土交通省のデータによると、変動金利型の住宅ローン利用者は全体の84.3%を占めています。

変動金利には「5年ルール」「125%ルール」があり、金利が上昇しても5年間は返済額が据え置かれ、見直し時も前回の1.25倍までしか増えないルールがあります。ただし、未払い利息が発生するリスクがあるため注意が必要です。

金利が1%上昇すると、3,000万円借入・35年返済の場合、月々の返済額は約1.5万円増えます。手元資金に余裕を持つことが重要です。

繰上返済と手元資金のバランスを考える

繰上返済は総返済額を減らす効果がありますが、手元資金とのバランスが重要です。

急な出費(医療費・教育費・失業等)に備えて、生活費の3-6ヶ月分は手元に残しておくことをおすすめします。繰上返済は余裕ができてから検討しましょう。

まとめ:公的データを参考に、自分の返済能力を冷静に判断しよう

住宅ローンの月々の返済額は、年収400万円台なら月8-10万円、600万円台なら月12-15万円が平均的です。ただし、知恵袋などのQ&Aサイトの情報は参考程度にとどめ、住宅金融支援機構総務省統計局の公的データを基に判断する方が安全です。

返済比率は手取り収入の20-25%以内が理想です。「みんなこれくらい借りているから大丈夫」という同調圧力に流されず、自分の家計状況(教育費・老後資金・緊急時の備え)を冷静に考えて無理のない計画を立てましょう。

2025年1月の日銀利上げにより、変動金利リスクも高まっています。金融機関やファイナンシャルプランナーに相談しながら、安心して返済できる金額を見極めることをおすすめします。

よくある質問

Q1住宅ローンの平均借入額はいくらですか?

A1住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」によると、新築マンションで約3,900万円、新築戸建てで約3,700万円です。ただし、首都圏と地方で大きく異なります。首都圏では4,000-5,000万円を超えることもあり、地方では2,000-3,000万円程度になることもあります。自分の購入予定地域のデータを確認することが重要です。

Q2返済期間は何年が一般的ですか?

A2平均は30-35年です。ただし、定年までに完済できる期間で組むのが理想です。60歳定年なら、35歳で借りて25年、40歳で借りて20年など、退職後に返済が残らないように計画することが重要です。定年後も返済が残ると、年金収入だけでは返済が苦しくなる可能性があります。

Q3ボーナス払いは危険ですか?

A3ボーナスは景気や会社の業績に左右されるため、ボーナス払いに頼りすぎるのは危険です。月々の返済だけで完済できる計画を立て、ボーナスは繰上返済や教育費に充てる方が安全です。ボーナスが減額されたり支給されなかったりすると、返済が滞るリスクがあります。

Q4変動金利と固定金利、どちらが良いですか?

A42025年1月に日銀が政策金利を0.5%に引き上げたため、変動金利のリスクは高まっています。金利上昇リスクを取れる人(手元資金に余裕がある、返済比率が低い)は変動金利、リスクを避けたい人は固定金利を検討しましょう。変動金利は当初の金利が低い分、将来の金利上昇リスクがあります。固定金利は当初の金利が高い分、将来の金利上昇の影響を受けません。