住宅ローンの返済額、みんないくら払ってる?よくある疑問と調べ方の注意点
「住宅ローンの月々の返済額は、みんないくら払ってるんだろう?」と気になる方は多いのではないでしょうか。知恵袋などのQ&Aサイトで他の人の実例を調べたくなるのは自然なことです。
ただし、匿名Q&Aサイトの情報には限界があります。投稿時期の金利状況が異なったり、年収・家族構成が不明だったりするため、そのまま参考にするのは危険です。
この記事では、住宅金融支援機構や総務省統計局の公的データを基に、年収別・年代別の返済額実態を解説します。返済比率の考え方も明記しますので、自分の適正返済額を判断できるようになります。
この記事のポイント
- 住宅ローンの返済額は年収400万円台なら月8-10万円、600万円台なら月12-15万円が平均的
- 返済比率(年収に占める年間返済額の割合)は手取り収入の20-25%以内が理想
- 知恵袋などのQ&Aサイトは参考程度にとどめ、公的データで判断する方が安全
- 2025年1月に日銀が政策金利0.5%に引き上げたため、変動金利リスクへの注意が必要
年収別の返済額目安:公的データから見る実態
住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」によると、年収別の月々返済額の平均値は以下の通りです。
年収400万円台の場合:月8-10万円が平均
年収400万円台の世帯では、月々の返済額は8-10万円程度が平均的です。借入額は2,500-3,000万円が目安で、返済期間は30-35年が一般的です。
年収400万円の手取り収入は約320万円(月約27万円)ですから、月8万円の返済は手取りの約30%にあたります。これは家計にやや負担がかかる水準です。
年収600万円台の場合:月12-15万円が平均
年収600万円台の世帯では、月々の返済額は12-15万円程度が平均的です。借入額は3,500-4,500万円が目安です。
年収600万円の手取り収入は約460万円(月約38万円)ですから、月12万円の返済は手取りの約32%にあたります。
年収800万円以上の場合:月15-20万円が平均
年収800万円以上の世帯では、月々の返済額は15-20万円程度が平均的です。借入額は5,000万円以上になることもあります。
年収が高くなるほど借入額も増える傾向にありますが、手取り収入に占める返済比率は25-30%程度に抑えているケースが多いようです。
年代別の返済額実態:30代・40代の家計データから見える返済負担
総務省統計局「家計調査」によると、住宅ローン返済世帯の年齢階級別の平均返済額は以下の通りです。
30代の返済額:平均月10-12万円
30代の住宅ローン返済世帯では、平均月10-12万円を返済しています。30代は年収が400-600万円台の方が多く、借入額は3,000-4,000万円程度が一般的です。
30代は子育て世代でもあるため、教育費との両立が課題になります。保育料や習い事の費用も考慮して、無理のない返済計画を立てることが重要です。
40代の返済額:平均月11-13万円
40代の住宅ローン返済世帯では、平均月11-13万円を返済しています。40代は年収が500-700万円台に上がる方が多いですが、子供の教育費(中学・高校・大学)も増えるため、返済額は30代とあまり変わりません。
年齢が上がるほど年収も増えますが、子供の教育費や老後資金の準備も考える必要があるため、返済額を大きく増やすことは難しいのが実情です。
返済比率の考え方:安全圏は手取りの20-25%以内
返済比率(返済負担率)とは、年収に占める年間返済額の割合のことです。金融機関が住宅ローンの審査時に重視する指標の一つです。
返済比率の計算式(年間返済額÷年収×100)
返済比率の計算式は以下の通りです。
返済比率 = 年間返済額 ÷ 額面年収 × 100
例えば、年収500万円で月々の返済額が12万円(年間144万円)の場合:
144万円 ÷ 500万円 × 100 = 28.8%
金融機関の審査基準は30-35%だが、手取りベースで20-25%が理想
三井住友銀行の解説によると、金融機関の審査基準は額面年収の30-35%程度とされています。
ただし、額面年収と手取り収入は大きく異なります。年収500万円の場合、社会保険料・税金を差し引いた手取り収入は約390万円(月約32.5万円)です。
手取り収入ベースで返済比率を計算すると:
- 月12万円の返済 ÷ 月32.5万円の手取り = 約37%
これは家計にかなりの負担がかかる水準です。三菱UFJ銀行のFP監修記事でも、手取り収入の20-25%以内が理想とされています。
返済比率30%超は危険ゾーン:固定資産税・管理費を考慮すると家計が苦しくなる
返済比率30%を超えると、固定資産税・管理費・修繕積立金等の維持費を別途考慮すると家計が苦しくなります。
住宅の維持費の例(年間):
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 10-20万円 |
| マンション管理費 | 12-24万円(月1-2万円) |
| マンション修繕積立金 | 12-24万円(月1-2万円) |
| 火災保険 | 2-3万円 |
| 合計 | 36-71万円 |
これらの維持費は住宅ローンの返済とは別に必要です。返済比率が30%を超えると、維持費を含めた住居費が手取り収入の40%以上になることもあります。
無理のない返済計画を立てるためのポイント
無理のない返済計画を立てるためには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。
手取り収入ベースで計算する
返済計画は額面年収ではなく、手取り収入ベースで立てることが重要です。社会保険料・税金を差し引いた実際に使える金額で判断しましょう。
額面年収と手取り収入の目安:
| 額面年収 | 手取り収入 | 手取り率 |
|---|---|---|
| 400万円 | 約320万円 | 約80% |
| 500万円 | 約390万円 | 約78% |
| 600万円 | 約460万円 | 約77% |
| 700万円 | 約530万円 | 約76% |
変動金利のリスクに備える(2025年1月に日銀が政策金利0.5%に引き上げ)
2025年1月に日銀が政策金利を0.5%に引き上げたため、変動金利のリスクは高まっています。国土交通省のデータによると、変動金利型の住宅ローン利用者は全体の84.3%を占めています。
変動金利には「5年ルール」「125%ルール」があり、金利が上昇しても5年間は返済額が据え置かれ、見直し時も前回の1.25倍までしか増えないルールがあります。ただし、未払い利息が発生するリスクがあるため注意が必要です。
金利が1%上昇すると、3,000万円借入・35年返済の場合、月々の返済額は約1.5万円増えます。手元資金に余裕を持つことが重要です。
繰上返済と手元資金のバランスを考える
繰上返済は総返済額を減らす効果がありますが、手元資金とのバランスが重要です。
急な出費(医療費・教育費・失業等)に備えて、生活費の3-6ヶ月分は手元に残しておくことをおすすめします。繰上返済は余裕ができてから検討しましょう。
まとめ:公的データを参考に、自分の返済能力を冷静に判断しよう
住宅ローンの月々の返済額は、年収400万円台なら月8-10万円、600万円台なら月12-15万円が平均的です。ただし、知恵袋などのQ&Aサイトの情報は参考程度にとどめ、住宅金融支援機構や総務省統計局の公的データを基に判断する方が安全です。
返済比率は手取り収入の20-25%以内が理想です。「みんなこれくらい借りているから大丈夫」という同調圧力に流されず、自分の家計状況(教育費・老後資金・緊急時の備え)を冷静に考えて無理のない計画を立てましょう。
2025年1月の日銀利上げにより、変動金利リスクも高まっています。金融機関やファイナンシャルプランナーに相談しながら、安心して返済できる金額を見極めることをおすすめします。
