住宅ローン金利とは?種類と仕組みを初心者向けに完全解説

公開日: 2025/10/27

住宅ローン金利とは、なぜ重要なのか

住宅ローンを初めて利用する方にとって、「金利が0.1%違うだけで何が変わるのか」と疑問に感じることがあるかもしれません。

実は、住宅ローン金利はわずか0.1%の差でも、総返済額で数十万円以上の違いが生まれる重要な要素です。

この記事では、住宅ローン金利の基本的な仕組み、種類、決まり方、現在の水準、今後の見通し、選び方まで、国土交通省金融庁住宅金融支援機構の公式情報を元に解説します。

初めて住宅購入を検討する方でも、金利の仕組みを正しく理解し、自分に合った金利タイプを判断できるようになります。

この記事のポイント

  • 住宅ローン金利は返済総額を大きく左右する重要な要素で、0.1%の差でも数十万円以上変わる
  • 金利タイプは「変動金利型」「固定金利期間選択型」「全期間固定金利型」の3種類に分かれる
  • 変動金利は短期プライムレート、固定金利は長期金利(10年国債利回り)に連動して決まる
  • 2025年10月時点で変動金利は0.3~0.7%台、固定金利は1.7~2.2%台が中心
  • 日銀の政策金利引き上げにより今後金利が上昇する可能性があるが、将来予測は不確実である

住宅ローン金利の種類

住宅ローン金利は大きく分けて「変動金利型」「固定金利期間選択型」「全期間固定金利型」の3種類があります。

変動金利型の特徴

変動金利型は、市場金利の動向により半年ごと(通常4月・10月)に金利が見直されるタイプです。

国土交通省の令和5年度調査によると、住宅ローン利用者の84.3%が変動金利型を選択しており、圧倒的な人気を誇ります。

変動金利型のメリット

  • 固定金利型より低い金利水準で借りられる(2025年10月時点で0.3~0.7%台)
  • 初期の返済負担が軽い
  • 金利が上昇しなければ、総返済額を抑えられる

変動金利型のデメリット

  • 金利上昇リスクがある(将来的に返済額が増加する可能性)
  • 返済計画が立てにくい(金利変動により毎月の返済額が変わる可能性)

固定金利期間選択型の特徴

固定金利期間選択型は、当初一定期間(3年・5年・10年等)を固定金利とし、期間終了後に再度固定金利または変動金利を選択するタイプです。

固定金利期間選択型のメリット

  • 当初期間中は返済額が確定しており、計画が立てやすい
  • 全期間固定金利型よりも金利が低い場合が多い

固定金利期間選択型のデメリット

  • 固定期間終了後、金利が上昇していた場合、返済額が増加する可能性がある
  • 変動金利型より金利が高い

全期間固定金利型の特徴

全期間固定金利型は、借入時の金利が返済終了まで変わらないタイプです。代表例は住宅金融支援機構が提供する「フラット35」で、2025年10月時点で1.89%となっています。

全期間固定金利型のメリット

  • 借入時点で総返済額が確定する(金利上昇リスクがない)
  • 長期的な返済計画が立てやすい
  • 金利上昇時でも返済額が変わらない安心感

全期間固定金利型のデメリット

  • 変動金利型より金利が高い(2025年10月時点で1.89%)
  • 金利が下がっても返済額が減らない

住宅ローン金利の決まり方

住宅ローン金利は「基準金利」から「優遇金利」を差し引いた「適用金利」が実際に借り手に適用されます。

基準金利と適用金利の違い

基準金利とは、金融機関が定める店頭表示金利のことです。通常2~3%程度に設定されています。

適用金利とは、基準金利から優遇金利を差し引いた、実際に借り手に適用される金利です。変動金利で0.3~0.7%程度が多くなっています。

例えば、基準金利が2.475%、優遇金利が2.0%の場合、適用金利は0.475%となります。

変動金利は短期プライムレートに連動

変動金利型の基準金利は、短期プライムレート(金融機関が優良企業に対して短期で貸し出す際の最優遇金利)に連動しています。

短期プライムレートは、日本銀行の政策金利(無担保コールレート・オーバーナイト物)の影響を受けます。2025年1月時点で政策金利は0.5%となっています。

金融庁の分析によると、日銀の金融政策変更は住宅ローン金利に影響を与えるため、政策金利の動向は注視する必要があります。

固定金利は長期金利に連動

固定金利型の基準金利は、長期金利(10年国債利回り等)に連動しています。

長期金利は市場の需給バランスや経済見通しにより変動するため、日銀の政策金利だけでなく、国内外の経済状況にも影響を受けます。

2025年10月時点の金利水準

変動金利の現状(0.3~0.7%台)

2025年10月時点で、主要金融機関の変動金利は0.3~0.7%台が中心となっています。

執筆時点の金利水準であり、金利は毎月変動するため、最新情報は各金融機関の公式サイトでご確認ください。

固定金利の現状(1.7~2.2%台)

2025年10月時点で、10年固定金利は1.7~2.2%台、フラット35は1.89%となっています。

固定金利も変動金利と同様、執筆時点の水準であり、最新情報は各金融機関でご確認ください。

今後の金利動向と見通し

日銀の金融政策と住宅ローン金利の関係

日本銀行は2025年1月に政策金利を0.25%から0.5%へ引き上げました。

金融庁の分析では、日銀の金融政策変更が住宅ローン金利に影響を与える可能性があるとされています。

変動金利は短期プライムレートに連動するため、政策金利の引き上げが短期プライムレートに波及すれば、変動金利も上昇する可能性があります。

専門家の見解(金利上昇の可能性)

専門家の間では、2025年以降も追加利上げが予想されています。

ただし、将来の金利動向は不確実であり、「必ず上昇する」と断定することはできません。経済状況や日銀の政策判断により変わる可能性があるため、複数の専門家の見解を参考にしながら判断することが重要です。

金利タイプの選び方と注意点

変動金利が向いている人

変動金利が向いているのは、以下のような方です。

  • 金利上昇リスクを取れる(繰上返済や貯蓄で対応可能)
  • 収入が安定しており、金利上昇時でも返済を続けられる
  • 短期間で完済予定(10年以内等)
  • 低金利で初期の返済負担を抑えたい

固定金利が向いている人

固定金利が向いているのは、以下のような方です。

  • 金利上昇リスクを避けたい(安心を優先)
  • 長期的な返済計画を立てたい
  • 収入が安定していないため、返済額を確定させたい
  • 金利上昇時でも返済額が変わらない安心感を重視

金利上昇リスクへの対策

変動金利を選んだ場合、金利上昇リスクへの対策を講じることが重要です。

繰上返済で元金を減らす

繰上返済は、毎月の返済とは別に元金の一部または全額を返済する方法です。繰上返済した金額は全額元金の返済に充当されるため、金利負担を軽減できます。

固定金利への借り換え

金利が大きく上昇した場合、固定金利への借り換えを検討することも有効です。借り換え時には手数料がかかるため、総返済額を比較して判断しましょう。

貯蓄で金利上昇に備える

金利上昇時に返済額が増加しても対応できるよう、貯蓄を確保しておくことも重要です。

まとめ

住宅ローン金利は、返済総額を大きく左右する重要な要素です。変動金利型、固定金利期間選択型、全期間固定金利型の3種類があり、それぞれメリット・デメリットが異なります。

変動金利は低金利が魅力ですが、金利上昇リスクを正しく理解する必要があります。固定金利は金利上昇リスクを避けられる一方、初期の金利水準が高めです。

自分の収入・貯蓄・リスク許容度に応じて、適切な金利タイプを選択することが大切です。複数の金融機関を比較し、最新の金利情報を確認しながら、無理のない返済計画を立てましょう。

信頼できる金融機関や専門家に相談しながら、慎重に判断することをおすすめします。

よくある質問

Q1住宅ローンの金利は交渉できますか?

A1金融機関によっては交渉可能です。他行の金利を提示したり、給与振込やクレジットカード契約等の取引を増やすことで、優遇金利の拡大を交渉できるケースがあります。ただし、必ず交渉が成功するわけではないため、複数の金融機関を比較することをおすすめします。

Q25年ルール・125%ルールとは何ですか?

A2変動金利型の保護措置です。5年ルールは、金利が変動しても5年間は返済額を据え置く措置です。125%ルールは、見直し後の返済額を前回の1.25倍までに制限する措置です。ただし、金利上昇時には未払利息が発生する可能性があるため、総返済額が減るわけではありません。

Q3固定金利期間終了後はどうなりますか?

A3期間終了時に再度固定金利または変動金利を選択します。何もしなければ自動的に変動金利に切り替わる金融機関が多いです。期間終了前に金融機関から通知が来るため、その時点で再検討することをおすすめします。金利水準を確認し、必要に応じて借り換えを検討しましょう。

Q4ミックス型(変動+固定の組み合わせ)は有効ですか?

A4変動金利と固定金利を組み合わせてリスク分散する方法です。例えば3,000万円を変動2,000万円+固定1,000万円に分けることで、金利上昇リスクを一部ヘッジできます。初期の返済負担を抑えつつ、金利上昇リスクにも備えられるため、検討する価値があります。