住宅ローン控除10年以降も年末調整できる?控除期間の違いを解説
住宅ローン控除を受けて10年目を迎える、または11年目以降の方にとって、「控除期間は終わったのか」「年末調整は続けられるのか」という疑問は切実です。
この記事では、住宅ローン控除の控除期間の違い(入居時期により10年または13年)、11年目以降の年末調整手続き、13年目の手続きを、国税庁の公式情報を元に解説します。
控除期間と年末調整の手続きを正しく理解し、最大限の減税効果を受けられるようになります。
この記事のポイント
- 住宅ローン控除の控除期間は入居時期により異なり、2021年以前入居は10年、2022年以降入居は最長13年
- 2022年以降入居の場合、11年目・12年目・13年目も年末調整で控除を受けられる
- 11年目以降の年末調整手続きは2年目以降と同じで、給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書と年末残高証明書を提出する
- 2024年以降は省エネ基準を満たさない新築住宅は控除対象外になる
- 控除期間終了後(14年目以降)は控除がなくなり、手取り額が減少する
住宅ローン控除の控除期間は入居時期で異なる
住宅ローン控除の控除期間は、入居時期と住宅の種類により異なります。
入居時期別の控除期間
国税庁によると、控除期間は以下の通りです。
| 入居時期 | 新築・買取再販 | 中古・増改築 | 
|---|---|---|
| 2021年12月31日以前 | 10年 | 10年 | 
| 2022年1月1日以降 | 13年 | 10年 | 
(出典: 国税庁)
重要なポイント
- 2021年以前入居:控除期間は10年で終了
- 2022年以降入居(新築・買取再販):控除期間は13年(最長)
- 2022年以降入居(中古・増改築):控除期間は10年
2022年の税制改正により、新築・買取再販の控除期間が13年に延長されました。
省エネ基準の影響(2024年以降入居)
2024年以降に新築住宅に入居する場合、省エネ基準を満たさない住宅は控除対象外になります。
省エネ基準適合住宅、ZEH水準省エネ住宅、長期優良住宅・低炭素住宅等の認定住宅のみが控除を受けられます。
10年以降も年末調整できるケース
2022年以降入居なら13年間控除可能
2022年以降に新築住宅・買取再販住宅に入居した場合、11年目・12年目・13年目も年末調整で控除を受けられます。
手続きは2年目以降と同じで、特別な追加書類は不要です。
2021年以前入居は10年で終了
2021年12月31日以前に入居した場合、控除期間は10年です。11年目以降は控除がなくなります。
10年目の年末調整が最後となるため、11年目から手取り額が減少する点に注意が必要です。
11年目以降の年末調整手続き(2022年以降入居の場合)
11年目以降の年末調整手続きは、2年目以降と同じです。
提出書類
以下の2つを勤務先に提出します。
- 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書:税務署から送付される
- 年末残高証明書:金融機関から10月〜11月に送付される
注意点:申告書が手元にない場合
給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書は、1年目の確定申告後に税務署から郵送されます。紛失した場合は、税務署に再発行を依頼できます。
再発行は税務署の窓口または郵送で申請できますが、時間がかかるため、年末調整の期限(通常12月上旬)に間に合うよう早めに手続きしましょう。
2023年以降の簡素化措置(年末残高調書方式)
2023年以降、一部の金融機関では「年末残高調書方式」が導入されています。
この方式では、金融機関が税務署に年末残高を直接報告するため、年末残高証明書の提出が不要になる場合があります。
ただし、すべての金融機関が対応しているわけではないため、勤務先または金融機関に確認してください。
13年目の手続き(最終年の年末調整)
13年目は控除期間の最終年です。年末調整の手続きは11年目・12年目と同じで、特別な手続きは不要です。
確定申告は不要
最終年でも、会社員の場合は年末調整で控除を受けられるため、確定申告は不要です。
14年目以降は控除なし
14年目以降は住宅ローン控除がなくなるため、手取り額が減少します。
例えば、年間20万円の控除を受けていた場合、14年目からは手取りが年間20万円(月1.6万円程度)減少します。控除終了後の家計への影響を事前に把握しておきましょう。
控除期間終了後の注意点
手取り額の減少
控除期間終了後は、以下のように手取り額が減少します。
- 所得税が増加する
- 住民税も増加する(前年の所得税額により決定)
年間の減税額が大きかった場合、家計への影響が大きいため、事前に資金計画を見直すことをおすすめします。
繰り上げ返済のタイミング
控除期間中は、繰り上げ返済により年末残高が減ると、控除額も減少します。
控除期間終了後に繰り上げ返済を検討する方法もありますが、住宅ローンの金利と控除率を比較して、総合的に判断しましょう。
2022年以降の新制度では、控除率が0.7%に引き下げられたため、金利が0.7%を超える場合は、控除期間中でも繰り上げ返済のメリットがあります。
借入残高要件に注意
住宅ローン控除を受けるには、年末時点の借入残高が要件を満たしている必要があります。
2022年以降の新制度では、借入限度額が住宅の性能により異なります。
| 住宅の種類 | 借入限度額 | 
|---|---|
| 認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅) | 5,000万円 | 
| ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 
| 省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 
| その他の住宅(2023年までに新築の建築確認) | 3,000万円 | 
(出典: 国税庁)
繰り上げ返済により借入残高が10万円未満になると、その年は控除を受けられなくなるため注意が必要です。
まとめ:控除期間と手続きを正しく理解して最大限の減税を
住宅ローン控除の控除期間は、入居時期により10年または13年です。2022年以降に新築住宅・買取再販住宅に入居した場合、11年目・12年目・13年目も年末調整で控除を受けられます。
11年目以降の年末調整手続きは2年目以降と同じで、給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書と年末残高証明書を提出するだけです。
控除期間終了後は手取り額が減少するため、事前に家計への影響を把握し、資金計画を見直しておきましょう。
不明点がある場合は、勤務先の給与担当者または税務署に相談することをおすすめします。
