住宅ローンは何歳まで組める?借入時と完済時の年齢制限
住宅ローンを組む際、「自分の年齢で本当に借りられるのか」と不安を感じる方は少なくありません。特に40代・50代で住宅購入を検討している場合、年齢制限が気になるところです。
この記事では、住宅ローンの年齢制限(借入時・完済時)、金融機関ごとの違い、年齢が高い場合の対策を、住宅金融支援機構・国土交通省の公式情報を元に解説します。
これから住宅ローンを組む方、年齢的に不安を感じている方が、正確な情報を得て適切な判断ができるようになります。
この記事のポイント
- 住宅ローンには「借入時年齢」と「完済時年齢」の2つの制限がある
- 多くの金融機関で借入時70歳未満、完済時80歳未満が上限
- 審査で最も重視されるのは完済時年齢(国交省調査で98.7%)
- 年齢が高い場合でも、返済期間短縮・頭金増額・親子リレーローンで対策可能
- 老後資金とのバランスを考え、定年時(65歳前後)までに完済する計画が理想
住宅ローンの2つの年齢制限
住宅ローンには「借入時年齢」と「完済時年齢」という2つの年齢制限があります。この2つを混同すると正確な判断ができないため、まずは違いを理解しましょう。
借入時年齢
借入時年齢とは、住宅ローンを申し込む時点での年齢です。多くの金融機関では20歳以上70歳未満と設定されています。
住宅金融支援機構のフラット35では、申込時70歳未満が条件です。一部の金融機関では75歳まで対応している場合もありますが、一般的には70歳が上限と考えてよいでしょう。
完済時年齢
完済時年齢とは、住宅ローンを完済する時点での年齢です。こちらが審査で最も重視される項目で、国土交通省の「令和5年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」では、98.7%の金融機関が完済時年齢を融資審査で考慮していると回答しています。
一般的な完済時年齢の上限は80歳未満です。ただし、各金融機関の公式サイトによると、金融機関により以下のような差があります。
| 金融機関タイプ | 完済時年齢上限 | 
|---|---|
| フラット35 | 80歳未満 | 
| 大手都市銀行 | 75-80歳未満 | 
| 地方銀行・信用金庫 | 75-85歳未満 | 
| ネット銀行 | 80歳未満が多い | 
(出典: 住宅金融支援機構, 各金融機関公式サイト)
例えば50歳で住宅ローンを組む場合、完済時年齢80歳未満なら返済期間は最長30年となります。ただし、返済期間を短くすることで月々の返済額が増えるため、収入とのバランスも重要です。
金融機関ごとの年齢制限の違い
住宅ローンの年齢制限は、金融機関や商品によって異なります。主な違いを見ていきましょう。
フラット35の年齢上限
フラット35は、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供する最長35年固定金利の住宅ローンです。
- 申込時: 70歳未満
- 完済時: 80歳未満
- 親子リレー返済: 後継者(子)の年齢を基準に返済期間を設定可能
親子リレー返済を利用すれば、親が70歳以上でも子の年齢を基準に35年ローンを組むことができます。
民間住宅ローンの年齢上限
民間金融機関の住宅ローンは、完済時年齢が75-85歳と幅があります。大手都市銀行は80歳未満が一般的ですが、一部の地方銀行では85歳まで対応している場合もあります。
申込時の年齢制限も、20歳以上70歳未満が主流ですが、金融機関により異なるため、複数の金融機関で事前審査を受けることをおすすめします。
団体信用生命保険の年齢制限
住宅ローンを組む際、ほとんどの場合**団体信用生命保険(団信)**への加入が必須です。団信とは、契約者が死亡・高度障害状態になった場合、保険金でローン残債を完済する保険です。
団信にも年齢制限があります。
| 団信タイプ | 加入年齢上限 | 
|---|---|
| 一般団信 | 71歳未満 | 
| がん団信 | 51歳未満 | 
| 三大疾病団信 | 51歳未満 | 
| ワイド団信 | 65歳未満が多い | 
ワイド団信とは、持病がある方でも加入しやすい団信です。年齢が上がると、団信加入が困難になるリスクがあります。また、健康状態によっては加入できない場合もあるため、早めの検討が重要です。
住宅ローンを組む平均年齢と年代別利用状況
実際に住宅ローンを組んでいる人の平均年齢を見てみましょう。
住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査(2022年度時点)」によると、住宅ローン借入時の平均年齢は42.8歳です。
年代別の利用割合は以下の通りです。
- 30代(30-39歳): 約40%
- 40代(40-49歳): 約35%
- 50代(50-59歳): 約15%
- 60代以上: 約10%
30代が最も多いものの、40代・50代でも十分に借り入れ可能であることがわかります。「年齢が高いと借りられない」という心配は過度である場合が多いです。
例えば、50歳で30年ローンを組むと完済時80歳となり、多くの金融機関の上限に収まります。ただし、老後資金とのバランスを考えると、返済期間を25年(完済時75歳)や20年(完済時70歳)に短縮することも検討すべきです。
年齢が高い場合の住宅ローン対策
年齢が高い場合でも、以下の対策で住宅ローンを組むことができます。
返済期間を短く設定する
返済期間を短くすることで、完済時年齢を金融機関の上限内に収めることができます。
例えば、55歳で借入する場合、80歳完済なら25年ローンが上限です。返済期間を20年(完済時75歳)や15年(完済時70歳)に短縮すれば、定年後の返済負担を軽減できる可能性があります。
ただし、返済期間を短くすると月々の返済額が増えるため、収入とのバランスを慎重に検討する必要があります。
頭金を多めに用意する
頭金を増やすことで借入額を減らし、月々の返済額を抑えることができます。
一般的に、物件価格の20-30%を頭金として用意すると、審査が通りやすくなります。年齢が高い場合は、借入額を減らすことで返済期間を短縮しやすくなり、老後資金への影響も軽減できます。
親子リレーローンを活用する
親子リレーローンとは、親が最初に返済し、その後子が引き継いで返済する住宅ローンです。子の年齢を基準に返済期間を設定できるため、親が高齢でも長期ローンが可能になります。
フラット35の親子リレー返済では、後継者(子)が以下の条件を満たす必要があります。
- 申込時70歳未満
- 安定した収入がある
- 親と同居または同居予定
ただし、親子リレーローンには注意点もあります。
- 子が他の住宅ローンを組みにくくなる
- 親が亡くなった場合、団信で残債が完済されるが、子が独立して別の住宅を購入する場合に影響がある
- 親子関係が良好であることが前提
メリット・デメリットを慎重に比較し、ファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。
老後資金とのバランスを考えた返済計画
住宅ローンを組む際、完済時年齢を80歳に設定すると、定年後も返済が続くリスクがあります。
例えば、55歳で25年ローン(完済時80歳)を組んだ場合、65歳で定年退職すると、退職後15年間は年金収入からの返済になります。退職金を返済に充てる計画も可能ですが、老後資金不足の原因になる可能性があります。
理想的なのは、定年時(65歳前後)までに完済する計画です。例えば、50歳で借入する場合、返済期間を15年(完済時65歳)に設定すれば、老後の返済負担をゼロにできます。
ライフプラン全体を考慮しましょう。
- 教育費: 子どもの大学費用(私立4年で約500万円)
- 老後資金: 夫婦2人で月25万円(年金不足分を補う)
- 医療費: 高齢になるほど増加
住宅ローン返済だけでなく、これらの支出も見据えた資金計画が重要です。
まとめ:年齢制限を理解して無理のない返済計画を
住宅ローンの年齢制限は、借入時70歳未満・完済時80歳未満が一般的です。年齢が高い場合でも、返済期間短縮、頭金増額、親子リレーローンなどの対策で借入可能です。
ただし、完済時年齢を80歳に設定すると、定年後も返済が続くため、老後資金とのバランスが重要になります。理想は定年時(65歳前後)までに完済する計画です。
次のアクションとして、複数の金融機関で事前審査を受け、自分の年齢・収入で借入可能な金額と返済期間を確認しましょう。ファイナンシャルプランナーへの相談も検討し、ライフプラン全体を見据えた無理のない返済計画を立てることをおすすめします。
信頼できる専門家と相談しながら、安心して住宅購入を進めましょう。
