戸建てリフォームとは?費用相場を知るべき理由
戸建て所有者にとって、リフォームの費用がいくらかかるのかは最大の関心事です。しかし、工事内容・建物状態・使用資材により数十万円から数千万円と大きく変動するため、「必ず○万円で済む」とは言えません。
この記事では、戸建てリフォームの費用相場(工事内容別)、費用を左右する要因、安くする方法、悪質業者の見分け方、補助金制度を、国土交通省・国民生活センターの公式情報を元に解説します。
初めてリフォームを検討する方でも、適正な費用感を把握し、悪質業者によるトラブルを避けられるようになります。
この記事のポイント
- リフォーム費用は工事内容・建物状態により大きく変動し、水回り4点セット100-250万円、フルリフォーム350-2,000万円が目安
- 2025年4月の建築基準法改正により大規模リフォーム(主要構造部の過半を改修)は確認申請が必須化され、費用・期間が増加する可能性
- 訪問販売による点検商法(「無料点検」→不安煽り→高額契約)が多発しており、国民生活センターへの相談が年間数千件単位で発生
- 複数見積もり比較(最低3社)、建設業許可確認、契約書の詳細チェック、出来高払いが悪質業者回避の基本
- 住宅省エネ2025キャンペーン、長期優良住宅化リフォーム等の補助金制度を活用することで費用削減が可能
戸建てリフォームの費用相場(工事内容別)
水回りリフォーム(キッチン・浴室・トイレ・洗面所)
キッチン・浴室・トイレ・洗面所の4か所をまとめて改修する水回りリフォームは、100-250万円が一般的な費用相場です。セット割引で費用を抑制できる場合があり、10-20年が交換目安とされています。
| 箇所 | 費用相場 | 工事内容 |
|---|---|---|
| キッチン | 50-150万円 | システムキッチン交換、給排水工事 |
| 浴室 | 50-120万円 | ユニットバス交換、給排水・換気工事 |
| トイレ | 15-40万円 | 便器交換、内装工事 |
| 洗面所 | 10-30万円 | 洗面台交換、給排水工事 |
(出典: 国土交通省)
内装リフォーム(壁紙・床・天井)
壁紙・床の張替え等の内装リフォームは、30-150万円が目安です。使用する資材(ビニールクロス・珪藻土・無垢フローリング等)により費用が大きく変動します。
外装リフォーム(外壁・屋根)
外壁・屋根のリフォームは、200-400万円が一般的です。外壁塗装(80-150万円)、屋根塗装・葺き替え(80-250万円)が主な工事内容で、建物の劣化状態により追加工事が必要になる場合があります。
間取り変更リフォーム
壁を撤去して部屋を広くする、逆に部屋を仕切る等の間取り変更は、50-300万円が目安です。構造躯体(柱・梁)に関わる工事の場合、建築士の設計・構造計算が必要となり、費用が増加します。
耐震・断熱リフォーム
耐震補強(筋交い・金物設置等)や断熱改修(断熱材追加、窓の二重サッシ化等)は、100-300万円が目安です。2025年4月の建築基準法改正により、大規模リフォームでは省エネ基準適合が義務化されるため、断熱改修の需要が高まっています。
フルリフォーム(全面改装)
フルリフォームは、建物の構造躯体を残し、内外装・設備を全面的に改修する工事で、費用相場は350-2,000万円、坪単価10-73万円です(リショップナビのデータ)。
建て替え(1,500-3,000万円)より安価ですが、構造躯体が劣化している場合は建て替えが推奨されます。
戸建てリフォーム時の法規制と2025年改正の影響
建築基準法:大規模リフォームでの確認申請
大規模リフォーム(主要構造部の過半を改修)を行う場合、建築基準法により確認申請が必要です。確認申請には1-2ヶ月の期間と数十万円の費用がかかるため、事前に確認することが重要です。
2025年4月改正:4号特例縮小の影響
2025年4月施行の建築基準法改正により、4号特例が縮小されました。これにより、木造2階建て等が確認申請の構造審査・省エネ基準適合義務の対象となり、大規模リフォームで確認申請が必須化されました。
この改正により、大規模リフォームの費用・期間が増加する可能性があります。リフォームを検討する場合、事前に確認申請の要否を確認することが重要です。
建設業法:500万円以上の工事は許可必須
建設業法により、500万円以上のリフォーム工事を行う業者は建設業許可が必須です。許可を持たない業者(無許可業者)は違法であり、国土交通省の建設業許可業者検索システムで確認できます。
無許可業者に依頼すると、工事の品質保証がない、トラブル時に保護を受けられない等のリスクがあります。
悪質業者によるトラブルと回避方法
訪問販売・点検商法の手口
国民生活センターによると、訪問販売による高額請求、点検商法の手口が多発しています。典型的な手口は以下の通りです。
- 無料点検の勧誘: 「近所で工事をしているので、無料で点検します」と訪問
- 不安の煽り: 「このままでは危険」「すぐに修理が必要」と不安を煽る
- 高額契約: 相場より大幅に高い金額で契約を迫る
このような訪問販売には応じず、自分で複数の業者に見積もりを依頼することが重要です。
高額前金トラブル
国民生活センターの2024年9月情報によると、高額な前金を支払ったのに工事が進まない・中断するトラブルが急増しています。
全額前払いは極めて危険で、出来高払い(工事の進捗に応じて支払う)が推奨されます。一般的な支払条件は以下の通りです。
- 契約時:10-30%
- 中間(工事半ば):30-50%
- 完成・引渡時:残金
複数見積もりの重要性
最低3社から見積もりを取り、以下の点を比較することが重要です。
- 総額: 同じ工事内容で金額が大きく異なる場合、理由を確認
- 詳細度: 「一式」表記を避け、材料費・工賃が分離された詳細見積もりを求める
- 工事範囲: 同じ工事内容が含まれているかを確認
- 保証内容: 瑕疵保証(工事の不具合を修理する保証)の有無と期間
契約書の確認ポイント
契約前に以下の点を必ず確認してください。
- 工事範囲: 「一式」ではなく、具体的な工事内容が記載されているか
- 支払条件: 全額前払いではなく、出来高払いになっているか
- 工期: 工事開始日・完成予定日が明記されているか
- 瑕疵保証: 工事完了後の不具合を修理する保証があるか
- 追加請求の条件: どのような場合に追加費用が発生するか
戸建てリフォームの補助金制度(2025年最新版)
住宅省エネ2025キャンペーン
国土交通省の2025年6月時点情報によると、住宅省エネ2025キャンペーンでは、高効率給湯器・断熱改修等を支援しています。
施工業者が申請手続きを代行するため、補助金申請のハードルが低く、活用しやすい制度です。
長期優良住宅化リフォーム
耐震性・省エネ性等を向上させるリフォームに対する補助金制度で、性能向上と子育て環境整備を支援しています。補助額は工事内容により異なりますが、数十万円〜100万円程度が一般的です。
自治体独自の補助金
多くの自治体が耐震改修補助金、省エネリフォーム補助金等を実施しています。補助額は自治体により異なりますが、上限50-100万円程度が一般的です。
リショップナビの情報によると、老朽危険家屋解体補助では国が費用の2/5を負担する制度もありますが、事前申請が必須で予算枠到達で終了するため、早めの確認が必要です。
戸建てリフォーム業者の選び方5つのポイント
建設業許可の確認
500万円以上のリフォーム工事を行う業者は、建設業法により建設業許可が必須です。国土交通省の建設業許可業者検索システムで許可の有無を確認してください。
実績・施工事例の確認
業者のホームページやパンフレットで、過去の施工事例(写真・お客様の声等)を確認します。似たような工事の実績があるかをチェックすることで、業者の技術力を判断できます。
見積書の詳細さ
「一式」表記を避け、材料費・工賃を分離した詳細見積もりを求めます。詳細見積もりを出せない業者は、後から追加請求をする可能性が高いため避けるべきです。
アフターサービス・瑕疵保証の有無
工事完了後の不具合(雨漏り・床の軋み等)を修理する瑕疵保証の有無と期間(1-10年が一般的)を確認します。住宅瑕疵担保責任保険に加入している業者は、保険会社の審査を通過しているため信頼性が高いと言えます。
支払条件
出来高払い(工事の進捗に応じて支払う)が推奨で、全額前払いは避けるべきです。一般的な支払条件は、契約時10-30%、中間30-50%、完成・引渡時に残金となります。
まとめ:戸建てリフォームは複数見積もり+補助金活用が鍵
戸建てリフォームの費用は、工事内容・建物状態により数十万円から数千万円と大きく変動します。「必ず○万円で済む」とは言えないため、複数社見積もり比較が不可欠です。
2025年4月の建築基準法改正により、大規模リフォームで確認申請が必須化されたため、事前に確認申請の要否を確認することが重要です。
訪問販売による点検商法、高額前金トラブルが多発しているため、複数見積もり比較、建設業許可確認、契約書の詳細チェック、出来高払いを徹底し、悪質業者を回避してください。
住宅省エネ2025キャンペーン、長期優良住宅化リフォーム等の補助金制度を活用することで、費用削減が可能です。信頼できる業者に相談しながら、無理のないリフォーム計画を立てましょう。
