ハワイ不動産投資の完全ガイド|購入手順・税金・注意点を解説

公開日: 2025/10/26

ハワイ不動産投資の始め方!購入の流れ・費用・税金と注意点

海外不動産投資に興味がある40〜60代の富裕層の方にとって、ハワイ不動産は魅力的な選択肢の一つです。しかし、「手続きや税金が複雑で分からない」「リスクが不安」と感じる方は少なくありません。

この記事では、ハワイ不動産投資の購入の流れ、費用・税金、リスク・注意点を、国税庁・米国IRS(内国歳入庁)の公式情報を元に解説します。

ハワイ不動産投資のメリットとリスクを正しく理解し、慎重に判断できるようになります。

この記事のポイント

  • ハワイ不動産はリゾート地で人気、資産分散に有効、永住権不要
  • 購入の流れは「物件選定→売買契約→エスクロー→名義変更」の4ステップ
  • 日米両国で税務申告が必要(米国IRS・ハワイ州・日本の国税庁)
  • 売却時にFIRPTA(15%)とHARPTA(7.25%)が源泉徴収される
  • 為替変動、管理の難しさ、流動性リスクに注意

ハワイ不動産投資のメリット|魅力を理解する

ハワイ不動産投資の主なメリットを紹介します。

リゾート地で人気、資産分散に有効

ハワイはリゾート地として世界的に人気が高く、不動産需要が安定しています。日本国内のみに資産を集中させるリスクを避け、資産を分散できる点が魅力です。

また、ハワイ不動産は永住権不要で購入できるため、ビザの取得が不要です。投資目的でも購入しやすい環境が整っています。

賃貸需要が高い

ハワイは観光客が多く、短期賃貸(バケーションレンタル)の需要が高いです。Airbnb等のプラットフォームを活用すれば、賃貸収入を得られる可能性があります。

ただし、短期賃貸には規制があり、地域によりバケーションレンタルが禁止されている場合があります。購入前に確認が必要です。

永住権不要で購入可能

米国では外国人でも不動産を購入できます。永住権やビザの取得が不要で、投資目的でも購入可能です。

ただし、購入後の税務申告は日米両国で必要となります。税務処理が複雑になる点は注意が必要です。

ハワイ不動産購入の流れ|4つのステップ

ハワイ不動産を購入する流れを段階的に説明します。

ステップ1:物件選定

まず、購入したい物件を選定します。オンライン不動産ポータルサイト(Zillow、Realtor.com等)で検索するか、現地の不動産会社に依頼します。

日本語対応可能な不動産会社も存在するため、言語に不安がある場合は日本語対応の会社を選ぶことを推奨します。

ステップ2:売買契約

物件が決まったら、売買契約を締結します。米国では買主・売主それぞれが不動産エージェントを雇い、交渉を進めるのが一般的です。

契約時に手付金(Purchase Deposit、物件価格の1〜3%程度)をエスクロー口座に預けます。

ステップ3:エスクロー

エスクローとは、不動産取引の際に、買主・売主の間に立つ第三者機関(エスクロー会社)が売買代金を預かり、名義変更完了後に売主に支払う仕組みです。

エスクロー期間中に、以下の手続きが行われます。

  • タイトル調査(所有権の確認)
  • 物件検査(インスペクション)
  • ローン審査(ローンを利用する場合)

エスクロー期間は通常30〜60日程度です。

ステップ4:名義変更(クロージング)

エスクロー期間が終了し、すべての条件が満たされたら、名義変更(クロージング)が行われます。残代金を支払い、所有権が買主に移転します。

クロージング時に、以下の費用が発生します。

費用項目 目安額
エスクロー手数料 物件価格の0.5〜1%
タイトル保険料 物件価格の0.5〜1%
登記費用 数百ドル
不動産エージェント手数料 売主負担が一般的(買主負担なしが多い)

ハワイ不動産にかかる費用・税金|日米両国で申告が必要

ハワイ不動産にかかる費用・税金を詳しく説明します。

購入時の費用

購入時に発生する主な費用は以下の通りです。

  • 物件価格: コンドミニアム(区分所有マンション)で50万〜200万ドル程度
  • 手付金: 物件価格の1〜3%
  • エスクロー手数料: 物件価格の0.5〜1%
  • タイトル保険料: 物件価格の0.5〜1%
  • 登記費用: 数百ドル
  • 物件検査費用: 500〜1,000ドル程度

不動産エージェント手数料は、売主負担が一般的で、買主負担なしのケースが多いです。

保有時の税金

保有期間中に発生する主な税金は以下の通りです。

固定資産税(Property Tax): ハワイ州が課税。物件価格の0.35%程度(評価額により異なる)。年1回支払い。

賃貸所得税: 賃貸収入を得た場合、米国連邦所得税・ハワイ州所得税・日本の所得税が課税される。日米両国で税務申告が必要。

国税庁によると、海外不動産の賃貸所得には外国税額控除が適用できるため、二重課税を一定程度回避できます。

GET/TAT(一般消費税・宿泊税): ハワイで不動産を短期賃貸する場合、GET(General Excise Tax、4%)とTAT(Transient Accommodations Tax、10%)が課税されます。180日未満の短期賃貸が対象です。

売却時の税金

売却時に発生する主な税金は以下の通りです。

FIRPTA(外国人不動産投資税法): 米国連邦法で、外国人がハワイ不動産を売却すると、売却価格の15%(30万ドル未満は免除)が源泉徴収されます。翌年の確定申告で還付される場合があります。

HARPTA(ハワイ州不動産税法): ハワイ州法で、外国人がハワイ不動産を売却すると、売却価格の7.25%が源泉徴収されます。翌年の確定申告で還付される場合があります。

譲渡所得税(日本): 国税庁によると、居住者が海外不動産を売却した場合、日本で譲渡所得税が課税されます。5年超保有で長期譲渡所得(税率20.315%)、5年以下で短期譲渡所得(税率39.63%)。

ハワイ不動産投資のリスク・注意点|慎重に判断する

ハワイ不動産投資のリスク・注意点を説明します。

為替変動リスク

為替レートの変動により、円ベースの損益が大きく変動します。円安で購入・円高で売却すると、ドルベースで利益が出ていても円ベースで損失が出る可能性があります。

例えば、1ドル=140円で100万ドルの物件を購入し、1ドル=110円で110万ドルで売却した場合、ドルベースでは10万ドルの利益ですが、円ベースでは1億4000万円→1億2100万円で1900万円の損失となります。

為替ヘッジ手段を検討するか、長期保有を前提として為替変動の影響を分散することが重要です。

管理会社の選定に注意

ハワイは日本から距離が離れており、自分で管理することが困難です。管理会社の選定に失敗すると、賃貸収入が得られない・トラブル対応が遅れる等の問題が発生します。

日本語対応可能な管理会社を選び、定期的に連絡を取ることを推奨します。管理費用は賃貸収入の10〜20%程度が一般的です。

税務申告の複雑さ

日米両国で税務申告が必要で、税務処理が複雑になります。米国IRS・ハワイ州・日本の国税庁に申告漏れがあると、追徴課税・ペナルティのリスクがあります。

米国税務に詳しい税理士に相談することを強く推奨します。

流動性リスク

ハワイ不動産は、日本国内の不動産と比較して流動性が低い傾向があります。売却したいタイミングで買主が見つからない可能性があります。

長期保有を前提とし、短期的な売却を想定しないことが重要です。

災害リスク

ハワイは火山・津波・ハリケーン等の災害リスクがあります。保険(火災保険・地震保険・洪水保険等)に加入することを推奨します。

2023年にマウイ島で発生した大規模火災のように、予期せぬ災害で物件が損壊するリスクがある点を理解してください。

よくある誤解|ハワイ不動産投資の注意点

ハワイ不動産投資に関するよくある誤解を解消します。

利回りが高いとは限らない

ハワイ不動産の利回りは、東京都内のマンションと同レベルか以下のケースが多いです。「高利回り」という誤解を避け、賃貸収入より資産分散・値上がり期待が主目的と理解してください。

「絶対儲かる」わけではない

ハワイ不動産も為替変動・物件価値下落リスクがあります。「絶対儲かる」「値上がり確実」という断定的な考えは避け、リスクとリターンを慎重に比較してください。

外国為替法の届出義務

財務省によると、3,000万円超の海外不動産取得は、外国為替法の届出義務があります。購入前に財務省・日本銀行に届出が必要です。届出漏れは罰則リスクがあるため注意してください。

まとめ|ハワイ不動産投資は慎重に判断しよう

ハワイ不動産投資は、リゾート地で人気、資産分散に有効、永住権不要というメリットがあります。購入の流れは「物件選定→売買契約→エスクロー→名義変更」の4ステップです。

ただし、為替変動リスク、管理の難しさ、税務申告の複雑さ、流動性リスク、災害リスク等の注意点があります。日米両国で税務申告が必要で、FIRPTA(15%)とHARPTA(7.25%)の源泉徴収が売却時に発生します。

ハワイ不動産投資を検討する場合、米国税務に詳しい税理士・日本語対応可能な不動産会社に相談し、リスクとリターンを慎重に比較してください。

よくある質問

Q1ハワイ不動産を購入すると永住権が取れますか?

A1取れません。ハワイ不動産購入と永住権取得は直接関係がありません。米国永住権(グリーンカード)を取得するには、別途EB-5投資家ビザ(最低投資額80万ドル)等の申請が必要です。ハワイ不動産購入だけでは永住権は取得できませんが、永住権なしでも不動産購入は可能です。

Q2ハワイ不動産の利回りはどれくらいですか?

A2コンドミニアムの場合、利回りは2〜4%程度が一般的です。東京都内のマンション(3〜5%)と同レベルか以下です。短期賃貸(バケーションレンタル)を活用すれば利回りが高くなる可能性がありますが、規制により地域によりバケーションレンタルが禁止されている場合があります。利回りより資産分散・値上がり期待が主目的と考えてください。

Q3日本の税理士に相談できますか?

A3米国税務に詳しい税理士に相談することを推奨します。日本の税理士でも米国税務に対応できる専門家がいます。国際税務に詳しい税理士法人または公認会計士に相談してください。米国IRS・ハワイ州・日本の国税庁の申告をサポートしてもらえます。費用は年間10〜30万円程度が目安です。

Q4ハワイ不動産を相続した場合の税金は?

A4日本の相続税が課税されます。ハワイ不動産も相続税評価の対象です。評価額は米国の不動産鑑定士による評価額を参考にします。相続税評価額は相続開始時の時価となります。また、ハワイ不動産を売却した場合、譲渡所得税が日米両国で課税されます。相続税・譲渡所得税ともに、国際税務に詳しい税理士に相談することを推奨します。

Q5FIRPTA・HARPTAの源泉徴収は還付されますか?

A5還付される場合があります。FIRPTA(15%)・HARPTA(7.25%)は源泉徴収され、売却代金から控除されます。翌年の確定申告で、実際の税額が源泉徴収額より少ない場合、差額が還付されます。ただし、確定申告が必要で、申告漏れがあると還付されません。米国税務に詳しい税理士に確定申告を依頼することを推奨します。