注文住宅の土地探しのコツ!探し方・チェックポイント・注意点

公開日: 2025/11/6

注文住宅の土地探しとは:建売との違いと重要性

注文住宅を建てようと考えた時、「どこで土地を探せばいいのか」「良い土地の見分け方が分からない」と不安に感じる方は少なくありません。建売住宅と異なり、土地探しと建物の設計を別々に進める必要があり、建築制限や地盤といった専門的な知識も求められます。

この記事では、注文住宅の土地探しの流れ、チェックポイント、よくある失敗例と対策を解説します。国土交通省や各自治体の公式情報を元に、実用的な情報を提供します。

注文住宅を建てるために土地を探している方が、後悔しない土地選びをできるようになります。

この記事のポイント

  • 注文住宅の土地探しでは建築可否・建築制限(用途地域・建ぺい率・容積率・接道義務等)の確認が最重要
  • 予算配分は土地と建物で7:3〜6:4が目安、諸費用・外構費・地盤改良費も別途必要
  • 不動産会社とハウスメーカーの両方に相談することで、建築制限を踏まえた土地選びが可能
  • 現地調査では日照・周辺環境・ライフライン・災害リスク(ハザードマップ・地盤)の確認が不可欠

土地探しの流れ:予算決定から契約まで

注文住宅の土地探しは、以下の4つのステップで進めます。

ステップ1: 予算決定と希望エリアの絞り込み

まず、土地と建物を合わせた総予算を決定します。予算配分の目安は土地と建物で7:3〜6:4です。例えば、総予算5,000万円の場合、土地3,000万円・建物2,000万円(7:3)、または土地2,500万円・建物2,500万円(5:5)といった配分になります。

ただし、土地・建物以外にも以下の費用が必要です。

土地購入時の諸費用(土地価格の約7-10%)

  • 仲介手数料:土地価格の3%+6万円+消費税
  • 登記費用:数十万円
  • 不動産取得税:固定資産税評価額の3%(軽減措置あり)

建築時の追加費用

  • 外構費:100-300万円程度
  • 地盤改良費:50-150万円程度(地盤によって変動)

これらを含めた総費用を把握した上で、予算配分を決定します。

希望エリアは、通勤・通学の利便性、生活施設(スーパー・病院・学校等)の有無を基準に絞り込みます。

ステップ2: 不動産会社・ハウスメーカーへの相談

土地探しは、不動産会社とハウスメーカーの両方に相談することをおすすめします。

不動産会社は土地情報に詳しく、未公開物件を含む幅広い選択肢を提示できます。

ハウスメーカーは建築制限を踏まえた土地選びをサポートできます。「この土地に希望の間取りが建てられるか」を事前に確認できるため、購入後に「建てたい家が建てられない」という失敗を防げます。

複数社に相談することで、より多くの選択肢を比較検討できます。

ステップ3: 現地調査とチェックポイントの確認

気になる土地が見つかったら、必ず現地調査を行います。後述する「現地調査のチェックポイント」を参考に、日照・周辺環境・ライフライン・災害リスク等を確認します。

現地調査は、晴れの日だけでなく雨の日にも訪れることをおすすめします。水はけの状態や周辺道路の冠水リスクを確認できます。

ステップ4: 重要事項説明と売買契約

購入を決めたら、不動産会社から重要事項説明を受けます。重要事項説明書には、用途地域・建ぺい率・容積率・接道義務・ライフラインの状況等が記載されています。

説明内容をしっかり確認し、不明点があれば必ず質問してください。重要事項説明後、売買契約を締結し、手付金(土地価格の10%程度)を支払います。

建築制限の確認:用途地域・建ぺい率・容積率

注文住宅の土地探しで最も重要なのが、建築制限の確認です。建築制限を理解していないと、「購入後に希望の家が建てられない」という致命的な失敗につながります。

用途地域と建てられる建物の種類

国土交通省によると、都市計画法で定められた用途地域は13種類あり、それぞれ建築制限が異なります。

第一種低層住居専用地域は最も厳しい制限があり、高さ10-12m以下(2-3階建て相当)、建ぺい率30-60%といった制限が設けられています。閑静な住宅街に適していますが、店舗併用住宅は建てられません。

第一種中高層住居専用地域第一種住居地域では、より緩やかな制限となり、小規模な店舗併用住宅も建築可能です。

用途地域は、自治体の都市計画課や不動産会社に確認できます。

建ぺい率・容積率の計算方法

建ぺい率は、敷地面積に対する建築面積の割合です。

例:敷地100㎡、建ぺい率60%の場合

  • 建築面積は最大60㎡(100㎡ × 60%)

容積率は、敷地面積に対する延床面積(各階の床面積の合計)の割合です。

例:敷地100㎡、容積率200%の場合

  • 延床面積は最大200㎡(1階100㎡ + 2階100㎡等)

建ぺい率・容積率は土地によって異なります。希望の間取りが実現可能かどうかを、ハウスメーカーに事前確認することが重要です。

高さ制限と日影規制

第一種低層住居専用地域等では、高さ制限(10-12m以下)が設けられています。3階建て以上を希望する場合、高さ制限を満たせるか確認が必要です。

また、日影規制により、隣地に一定時間以上の日影を落とさないよう建物配置を工夫する必要がある場合もあります。

接道義務の確認:再建築不可物件に要注意

建築基準法第43条で定められた接道義務は、土地探しで絶対に見落としてはいけないポイントです。

建築基準法上の道路と接道義務の基準

建築基準法によると、建築物の敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接していなければ建築不可です。この規定を「接道義務」と呼びます。

接道義務を満たさない土地は、新たに建物を建てることができません(再建築不可物件)。価格が安くても、将来建て替えができないため、購入は避けるべきです。

2項道路とセットバック

幅員4m未満の道路(2項道路)に面した土地では、道路中心線から2mの位置まで敷地を後退させる(セットバック)必要があります。

セットバック部分は道路とみなされ、建物を建てられません。例えば、敷地100㎡のうち10㎡がセットバック部分の場合、実質的に利用できる敷地は90㎡になります。

セットバックの有無と範囲は、購入前に必ず確認してください。

再建築不可物件のリスク

接道義務を満たさない土地は、再建築不可物件となります。現在の建物を解体すると、新たに建物を建てることができません。

リフォームは可能ですが、建て替えができないため、将来的な資産価値が大きく下がります。購入時には価格が安くても、長期的には大きなリスクとなるため、購入は避けるべきです。

現地調査のチェックポイント:後悔しない土地選び

土地の購入を決める前に、必ず現地調査を行い、以下のポイントを確認してください。

日照・風通し・眺望の確認

日照:南側に高い建物がないか確認します。将来的な建築計画(隣地の空き地等)も自治体の都市計画課で確認できる場合があります。時間帯を変えて訪れ、朝・昼・夕方の日当たりをチェックすることをおすすめします。

風通し:周辺建物との位置関係を確認します。風通しが悪いと、湿気がこもりやすくカビの原因になります。

眺望:現在の眺めだけでなく、将来的な変化(隣地の建築計画等)も考慮します。

周辺環境とライフライン(上下水道・ガス・電気)

周辺環境:スーパー・学校・病院等の生活施設までの距離、騒音・悪臭の有無を確認します。平日・休日、昼間・夜間で状況が変わる場合もあるため、複数回訪れることをおすすめします。

ライフライン:上下水道・ガス・電気の引き込み状況を確認します。引き込みがない場合、追加費用(数十万〜100万円以上)が発生します。重要事項説明書に記載されているため、必ず確認してください。

災害リスク(ハザードマップ・地盤)

ハザードマップ:自治体が公開しているハザードマップで、浸水リスク・土砂災害リスクを確認します。過去の災害履歴も調べることをおすすめします。

地盤:地盤が軟弱な場合、地盤改良費(50-150万円程度)が必要になります。売主の了承があれば購入前に地盤調査(費用5-10万円)を実施することも可能です。調査結果を契約条件に含める特約を結ぶことで、地盤改良費が高額な場合は契約解除もできます。

よくある失敗例と対策:後悔しないために

注文住宅の土地探しでよくある失敗例と、その対策を解説します。

予算配分の失敗(土地に予算を使いすぎ)

土地に予算を使いすぎて、建物にかける費用が不足するケースは非常に多いです。

対策:土地・建物の予算配分を7:3〜6:4を目安に設定し、諸費用(土地価格の7-10%)・外構費(100-300万円)・地盤改良費(50-150万円)も考慮して総予算を決めます。土地を安く抑えることで、建物に予算を回せます。

建築制限の見落とし(希望の間取りが建てられない)

用途地域・建ぺい率・容積率・高さ制限を確認せず購入し、「希望の間取りが建てられない」と後悔するケースがあります。

対策:購入前にハウスメーカーに建築可否を確認します。希望の間取りを伝え、「この土地に建てられるか」を事前に確認することで、失敗を防げます。

地盤改良費の未計上(予算オーバー)

地盤調査を怠り、購入後に50-150万円の地盤改良費が発生して予算オーバーになるケースがあります。

対策:購入前に地盤調査を実施します(費用5-10万円)。調査結果を契約条件に含め、地盤改良費が高額な場合は契約解除できる特約を結ぶことで、リスクを軽減できます。

まとめ:理想の土地を見つけるために

注文住宅の土地探しは、建築制限(用途地域・建ぺい率・容積率・接道義務)・地盤・災害リスクの確認が不可欠です。専門家(不動産会社・ハウスメーカー)への相談が重要で、複数社に相談して比較検討することをおすすめします。

完璧な土地は稀であり、優先順位をつけて妥協点を見つけることが成功の鍵です。

次のアクションとして、以下を実施してください。

  • 複数の不動産会社・ハウスメーカーに相談
  • 希望エリアの用途地域・建ぺい率・容積率を確認
  • 現地調査(日照・周辺環境・ライフライン・ハザードマップ)
  • 地盤調査の実施(購入前)
  • 重要事項説明書の精読

信頼できる専門家と相談しながら、後悔しない土地選びを進めましょう。

よくある質問

Q1土地探しはどこに相談すればよいですか?

A1不動産会社とハウスメーカーの両方に相談することをおすすめします。不動産会社は土地情報に詳しく、未公開物件を含む幅広い選択肢を提示できます。ハウスメーカーは建築制限を踏まえた土地選びをサポートでき、「この土地に希望の間取りが建てられるか」を事前に確認できます。複数社に相談して比較検討することで、より良い選択ができます。

Q2市街化調整区域の土地は購入しても大丈夫ですか?

A2市街化調整区域は原則として建築が制限されており、開発許可が必要です。農地の場合は農地転用の許可も必要で、許可が下りない場合もあります。購入前に自治体の都市計画課・建築指導課に建築可否を必ず確認してください。開発許可が得られない土地は、購入しても建物を建てられないため、避けるべきです。

Q3地盤調査は購入前にできますか?

A3売主の了承があれば購入前に地盤調査が可能です(費用5-10万円)。調査結果を契約条件に含める特約を結ぶことで、地盤改良費が高額な場合(50-150万円以上)は契約解除もできます。ハウスメーカー経由で調査を依頼するのが一般的です。地盤改良費の未計上は予算オーバーの主要因のため、購入前の調査を強く推奨します。

Q4古家付き土地と更地、どちらが良いですか?

A4古家付き土地は解体費(100-300万円)が別途必要ですが、固定資産税の軽減措置(住宅用地の特例で税額1/6)があります。更地はすぐに建築可能ですが、軽減措置がないため税金が高くなります。解体費と税負担を総合的に比較し、建築開始時期も考慮して判断してください。急いで建築する場合は更地が有利です。

Q5土地の境界線が不明確な場合はどうすればよいですか?

A5測量を実施して境界を確定すべきです(費用30-80万円)。隣地所有者との境界立会いを行い、境界標を設置します。境界が不明確なまま購入すると、将来隣地所有者とトラブルになる可能性が高く、建築時に問題が発生する場合もあります。売主負担で測量を実施してもらうよう交渉することをおすすめします。