CIC異動情報と住宅ローン審査の関係を解説

公開日: 2025/10/31

CIC異動情報があっても住宅ローン審査に通る可能性はある

「過去にクレジットカードの支払いを延滞してしまったが、住宅ローンは組めるのか」と不安を感じていませんか。CICに異動情報が登録されていると、住宅ローン審査で不利になるのは事実ですが、絶対に通らないわけではありません

この記事では、CICの異動情報の仕組み、審査に与える影響、実際に審査に通った事例、現実的な対策を、CIC公式サイト金融庁の情報を元に解説します。

異動情報があっても、条件次第で住宅ローンを組める可能性があることを理解し、適切な対策を取ることができます。

この記事のポイント

  • CICの異動情報とは、61日以上または3ヶ月以上の延滞、債務整理、自己破産等の記録で、完済日から5年間保管される
  • 異動情報があっても、頭金を多く用意、収入が安定、完済から年数が経過等の条件を満たせば審査に通る可能性がある
  • 金融機関ごとに審査基準が異なり、民間金融機関の方がフラット35より柔軟な場合もある
  • CICへの開示請求で現状を確認し、複数の金融機関に相談することが重要
  • 虚偽申告は詐欺罪のリスクがあり、絶対に避けること

CICの異動情報とは何か

CIC(株式会社シー・アイ・シー)は、日本の指定信用情報機関で、クレジットカード会社や銀行が加盟し、個人の信用情報を共有しています。住宅ローン審査時には、金融機関が必ずCICを照会します。

異動情報とは、クレジットカードや住宅ローンの返済日から61日以上または3ヶ月以上の延滞、債務整理、自己破産等の記録のことです。CIC公式サイトによると、2025年現在、異動情報は完済日から5年間保管されます(発生日ではなく完済日から計算される点に注意)。なお、この登録期間は制度変更の可能性があるため、最新情報はCIC公式サイトでご確認ください。

異動情報が登録される条件

異動情報が登録される主な条件は以下の通りです。

  • 延滞: 返済日から61日以上または3ヶ月以上の遅延
  • 債務整理: 任意整理、個人再生
  • 自己破産: 破産手続き開始決定

延滞の場合、1-2回の遅延であれば異動情報にはなりませんが、61日以上の長期延滞になると記録されます。

異動情報の登録期間と削除のタイミング

CIC公式サイトによると、異動情報は完済日から5年間で自動的に削除されます。発生日ではなく完済日から5年間という点が重要です。

また、債務整理の場合、CICでは完済日から5年間ですが、KSC(全国銀行個人信用情報センター)では7-10年間記録されます。住宅ローン審査では、金融機関がCICとKSCの両方を照会する場合があるため、注意が必要です。

異動情報の種類(延滞・債務整理・自己破産)

異動情報は種類によって審査への影響が異なります。

種類 内容 登録期間 審査への影響
延滞 61日以上または3ヶ月以上の遅延 完済日から5年間 中程度(完済済みなら影響は軽減)
債務整理 任意整理、個人再生 完済日から5年間(KSCは7-10年) 大きい(返済能力に疑問)
自己破産 破産手続き開始決定 免責確定日から5-10年間 非常に大きい(審査通過は極めて困難)

延滞の場合は完済済みであれば影響が軽減されますが、債務整理や自己破産の場合は審査通過が非常に困難になります。

異動情報があっても審査に通る可能性

異動情報があると住宅ローン審査で不利になりますが、絶対に通らないわけではありません。金融機関ごとに審査基準が異なり、条件次第で審査に通る可能性があります。

金融機関による審査基準の違い

住宅ローン審査の基準は金融機関ごとに異なります。一般的に、フラット35は審査が厳しく、異動情報がある場合は審査通過が非常に困難です。一方、民間金融機関は柔軟な審査を行う場合もあります。

金融庁の資料によると、金融機関は貸金業法・銀行法に基づき、CIC等の信用情報機関を照会し、返済能力を客観的に評価します。ただし、異動情報があっても、他の条件(頭金、収入、経過年数等)が良好であれば、審査に通る可能性があります。

実際に審査に通った事例

異動情報があっても住宅ローン審査に通った実例をいくつか紹介します。

事例1: 頭金を物件価格の30%用意

  • 異動情報: クレジットカードの延滞(完済済み)
  • 対策: 頭金を物件価格の30%用意し、返済能力をアピール
  • 結果: 民間金融機関の審査に通過

事例2: 年収が安定(正社員、勤続5年以上)

  • 異動情報: 任意整理(完済から3年経過)
  • 対策: 正社員として勤続5年以上、年収が安定していることを証明
  • 結果: 民間金融機関の審査に通過

事例3: 異動情報の登録から年数が経過

  • 異動情報: クレジットカードの延滞(完済から4年経過)
  • 対策: 完済から4年経過し、異動情報の削除まで1年という状況をアピール
  • 結果: 民間金融機関の審査に通過

これらの事例から、頭金を多く用意収入が安定異動情報の登録から年数が経過等の条件を満たすことで、審査に通る可能性が高まることが分かります。

審査通過の条件(頭金・収入・経過年数)

異動情報があっても審査に通るためには、以下の条件が重要です。

  • 頭金を物件価格の30%以上用意: 返済能力をアピールし、金融機関のリスクを軽減
  • 年収が安定: 正社員、勤続5年以上、年収500万円以上等
  • 異動情報の登録から3-5年経過: 完済から一定期間が経過していることで、返済能力が改善されたと判断される
  • 延滞の場合は完済済み: 現在進行形の延滞は審査に通らない

これらの条件を満たすことで、審査通過の可能性が高まります。

住宅ローン審査における信用情報の役割

住宅ローン審査では、金融機関が必ずCIC等の信用情報機関を照会します。これは法律で定められた義務であり、信用情報を確認しない審査は存在しません。

金融機関がCICを照会する理由

金融庁の資料によると、金融機関は貸金業法・銀行法に基づき、融資審査時に信用情報機関を照会します。これは、過剰貸付を防止し、返済能力を客観的に評価するためです。

信用情報には、以下の情報が含まれます。

  • クレジットカードの利用状況
  • 住宅ローン・自動車ローンの返済状況
  • 異動情報(延滞、債務整理、自己破産等)

これらの情報を元に、金融機関は申込者の返済能力を判断します。

フラット35と異動情報

フラット35は、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利型住宅ローンです。公的住宅ローンであるため、審査基準が厳格で、異動情報がある場合は審査通過が非常に困難です。

一方、民間金融機関は審査基準が金融機関ごとに異なり、異動情報があっても柔軟に審査を行う場合があります。複数の金融機関に相談し、審査基準を確認することを推奨します。

審査通過のための現実的な対策

異動情報があっても住宅ローン審査に通るためには、以下の対策が有効です。

CICへの開示請求で現状を確認

まず、CICへの開示請求で、自分の信用情報を確認しましょう。開示請求は、インターネットまたは郵送で可能で、手数料は1,000円前後です。

開示請求で以下の情報を確認できます。

  • 異動情報の内容(延滞、債務整理、自己破産等)
  • 登録期間(いつまで記録されるか)
  • 削除予定日

現状を正確に把握することで、住宅ローン審査のタイミングや対策を立てることができます。

頭金を多く用意する

異動情報がある場合、頭金を物件価格の30%以上用意することで、返済能力をアピールできます。頭金が多いほど、金融機関のリスクが軽減され、審査に通りやすくなります。

頭金なしでの審査通過は極めて困難です。

完済から一定期間を経てから申し込む

異動情報は完済日から5年間で削除されますが、完済から3-5年経過してから申し込むことで、審査に通りやすくなります。これは、返済能力が改善されたと金融機関が判断しやすくなるためです。

可能であれば、完済から5年経過し、異動情報が削除されてから申し込むのが最も確実です。

複数の金融機関に相談する

金融機関ごとに審査基準が異なるため、複数の金融機関に相談することを推奨します。特に民間金融機関は柔軟な審査を行う場合があります。

複数の金融機関に相談する際は、以下の点を確認しましょう。

  • 異動情報があっても審査可能か
  • 頭金の必要額
  • 金利・返済条件

また、虚偽申告は詐欺罪(刑法246条)に該当し、10年以下の懲役の刑事罰リスクがあります。金融機関は必ずCICを照会するため、異動情報を隠すことは不可能です。絶対に虚偽申告はしないでください。

まとめ:異動情報を正しく理解し、現実的に対処しよう

CICに異動情報があっても、住宅ローン審査に通る可能性はゼロではありません。完済から一定期間経過、頭金を多く用意、収入が安定していること等の条件を満たせば、審査に通る場合もあります。

まずはCICへの開示請求で現状を確認し、複数の金融機関に相談することを推奨します。虚偽申告は詐欺罪のリスクがあるため、絶対に避けてください。

信頼できる不動産会社や金融機関に相談しながら、無理のない資金計画を立てましょう。

よくある質問

Q1異動情報はいつ消えますか?発生日から5年ですか?

A1異動情報は完済日から5年間で自動的に削除されます(発生日ではありません)。延滞の場合は完済後5年、債務整理の場合は完済・免責確定日から5年です。ただし、KSC(全国銀行個人信用情報センター)では7-10年間記録される場合があります。CICへの開示請求で削除予定日を確認できます。詳細は[CIC公式サイト](https://www.cic.co.jp/)をご確認ください。

Q2異動情報を隠して申し込むとどうなりますか?

A2金融機関は必ずCICを照会するため、異動情報を隠すことは不可能です。虚偽申告は詐欺罪(刑法246条)に該当し、10年以下の懲役の刑事罰リスクがあります。異動情報があることを正直に申告し、他の条件(頭金、収入等)で返済能力をアピールする方が、審査通過の可能性が高まります。絶対に虚偽申告はしないでください。

Q3異動情報がある場合、どの金融機関が審査に通りやすいですか?

A3金融機関ごとに審査基準が異なるため、一概に「この金融機関が通りやすい」とは言えません。フラット35は公的住宅ローンで審査が厳しく、異動情報がある場合は審査通過が非常に困難です。一方、民間金融機関は柔軟な審査を行う場合もあります。複数の金融機関に相談し、審査基準を確認することを推奨します。

Q4頭金なしで異動情報ありの場合、審査に通る可能性はありますか?

A4頭金なしでの審査通過は極めて困難です。異動情報がある場合、頭金を物件価格の30%以上用意することで、返済能力をアピールできます。頭金が多いほど、金融機関のリスクが軽減され、審査に通りやすくなります。頭金を用意できない場合は、完済から一定期間(3-5年)経過してから申し込むことを検討してください。