CIC異動情報があっても住宅ローン審査に通る可能性はある
「過去にクレジットカードの支払いを延滞してしまったが、住宅ローンは組めるのか」と不安を感じていませんか。CICに異動情報が登録されていると、住宅ローン審査で不利になるのは事実ですが、絶対に通らないわけではありません。
この記事では、CICの異動情報の仕組み、審査に与える影響、実際に審査に通った事例、現実的な対策を、CIC公式サイトや金融庁の情報を元に解説します。
異動情報があっても、条件次第で住宅ローンを組める可能性があることを理解し、適切な対策を取ることができます。
この記事のポイント
- CICの異動情報とは、61日以上または3ヶ月以上の延滞、債務整理、自己破産等の記録で、完済日から5年間保管される
- 異動情報があっても、頭金を多く用意、収入が安定、完済から年数が経過等の条件を満たせば審査に通る可能性がある
- 金融機関ごとに審査基準が異なり、民間金融機関の方がフラット35より柔軟な場合もある
- CICへの開示請求で現状を確認し、複数の金融機関に相談することが重要
- 虚偽申告は詐欺罪のリスクがあり、絶対に避けること
CICの異動情報とは何か
CIC(株式会社シー・アイ・シー)は、日本の指定信用情報機関で、クレジットカード会社や銀行が加盟し、個人の信用情報を共有しています。住宅ローン審査時には、金融機関が必ずCICを照会します。
異動情報とは、クレジットカードや住宅ローンの返済日から61日以上または3ヶ月以上の延滞、債務整理、自己破産等の記録のことです。CIC公式サイトによると、2025年現在、異動情報は完済日から5年間保管されます(発生日ではなく完済日から計算される点に注意)。なお、この登録期間は制度変更の可能性があるため、最新情報はCIC公式サイトでご確認ください。
異動情報が登録される条件
異動情報が登録される主な条件は以下の通りです。
- 延滞: 返済日から61日以上または3ヶ月以上の遅延
- 債務整理: 任意整理、個人再生
- 自己破産: 破産手続き開始決定
延滞の場合、1-2回の遅延であれば異動情報にはなりませんが、61日以上の長期延滞になると記録されます。
異動情報の登録期間と削除のタイミング
CIC公式サイトによると、異動情報は完済日から5年間で自動的に削除されます。発生日ではなく完済日から5年間という点が重要です。
また、債務整理の場合、CICでは完済日から5年間ですが、KSC(全国銀行個人信用情報センター)では7-10年間記録されます。住宅ローン審査では、金融機関がCICとKSCの両方を照会する場合があるため、注意が必要です。
異動情報の種類(延滞・債務整理・自己破産)
異動情報は種類によって審査への影響が異なります。
| 種類 | 内容 | 登録期間 | 審査への影響 | 
|---|---|---|---|
| 延滞 | 61日以上または3ヶ月以上の遅延 | 完済日から5年間 | 中程度(完済済みなら影響は軽減) | 
| 債務整理 | 任意整理、個人再生 | 完済日から5年間(KSCは7-10年) | 大きい(返済能力に疑問) | 
| 自己破産 | 破産手続き開始決定 | 免責確定日から5-10年間 | 非常に大きい(審査通過は極めて困難) | 
延滞の場合は完済済みであれば影響が軽減されますが、債務整理や自己破産の場合は審査通過が非常に困難になります。
異動情報があっても審査に通る可能性
異動情報があると住宅ローン審査で不利になりますが、絶対に通らないわけではありません。金融機関ごとに審査基準が異なり、条件次第で審査に通る可能性があります。
金融機関による審査基準の違い
住宅ローン審査の基準は金融機関ごとに異なります。一般的に、フラット35は審査が厳しく、異動情報がある場合は審査通過が非常に困難です。一方、民間金融機関は柔軟な審査を行う場合もあります。
金融庁の資料によると、金融機関は貸金業法・銀行法に基づき、CIC等の信用情報機関を照会し、返済能力を客観的に評価します。ただし、異動情報があっても、他の条件(頭金、収入、経過年数等)が良好であれば、審査に通る可能性があります。
実際に審査に通った事例
異動情報があっても住宅ローン審査に通った実例をいくつか紹介します。
事例1: 頭金を物件価格の30%用意
- 異動情報: クレジットカードの延滞(完済済み)
- 対策: 頭金を物件価格の30%用意し、返済能力をアピール
- 結果: 民間金融機関の審査に通過
事例2: 年収が安定(正社員、勤続5年以上)
- 異動情報: 任意整理(完済から3年経過)
- 対策: 正社員として勤続5年以上、年収が安定していることを証明
- 結果: 民間金融機関の審査に通過
事例3: 異動情報の登録から年数が経過
- 異動情報: クレジットカードの延滞(完済から4年経過)
- 対策: 完済から4年経過し、異動情報の削除まで1年という状況をアピール
- 結果: 民間金融機関の審査に通過
これらの事例から、頭金を多く用意、収入が安定、異動情報の登録から年数が経過等の条件を満たすことで、審査に通る可能性が高まることが分かります。
審査通過の条件(頭金・収入・経過年数)
異動情報があっても審査に通るためには、以下の条件が重要です。
- 頭金を物件価格の30%以上用意: 返済能力をアピールし、金融機関のリスクを軽減
- 年収が安定: 正社員、勤続5年以上、年収500万円以上等
- 異動情報の登録から3-5年経過: 完済から一定期間が経過していることで、返済能力が改善されたと判断される
- 延滞の場合は完済済み: 現在進行形の延滞は審査に通らない
これらの条件を満たすことで、審査通過の可能性が高まります。
住宅ローン審査における信用情報の役割
住宅ローン審査では、金融機関が必ずCIC等の信用情報機関を照会します。これは法律で定められた義務であり、信用情報を確認しない審査は存在しません。
金融機関がCICを照会する理由
金融庁の資料によると、金融機関は貸金業法・銀行法に基づき、融資審査時に信用情報機関を照会します。これは、過剰貸付を防止し、返済能力を客観的に評価するためです。
信用情報には、以下の情報が含まれます。
- クレジットカードの利用状況
- 住宅ローン・自動車ローンの返済状況
- 異動情報(延滞、債務整理、自己破産等)
これらの情報を元に、金融機関は申込者の返済能力を判断します。
フラット35と異動情報
フラット35は、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利型住宅ローンです。公的住宅ローンであるため、審査基準が厳格で、異動情報がある場合は審査通過が非常に困難です。
一方、民間金融機関は審査基準が金融機関ごとに異なり、異動情報があっても柔軟に審査を行う場合があります。複数の金融機関に相談し、審査基準を確認することを推奨します。
審査通過のための現実的な対策
異動情報があっても住宅ローン審査に通るためには、以下の対策が有効です。
CICへの開示請求で現状を確認
まず、CICへの開示請求で、自分の信用情報を確認しましょう。開示請求は、インターネットまたは郵送で可能で、手数料は1,000円前後です。
開示請求で以下の情報を確認できます。
- 異動情報の内容(延滞、債務整理、自己破産等)
- 登録期間(いつまで記録されるか)
- 削除予定日
現状を正確に把握することで、住宅ローン審査のタイミングや対策を立てることができます。
頭金を多く用意する
異動情報がある場合、頭金を物件価格の30%以上用意することで、返済能力をアピールできます。頭金が多いほど、金融機関のリスクが軽減され、審査に通りやすくなります。
頭金なしでの審査通過は極めて困難です。
完済から一定期間を経てから申し込む
異動情報は完済日から5年間で削除されますが、完済から3-5年経過してから申し込むことで、審査に通りやすくなります。これは、返済能力が改善されたと金融機関が判断しやすくなるためです。
可能であれば、完済から5年経過し、異動情報が削除されてから申し込むのが最も確実です。
複数の金融機関に相談する
金融機関ごとに審査基準が異なるため、複数の金融機関に相談することを推奨します。特に民間金融機関は柔軟な審査を行う場合があります。
複数の金融機関に相談する際は、以下の点を確認しましょう。
- 異動情報があっても審査可能か
- 頭金の必要額
- 金利・返済条件
また、虚偽申告は詐欺罪(刑法246条)に該当し、10年以下の懲役の刑事罰リスクがあります。金融機関は必ずCICを照会するため、異動情報を隠すことは不可能です。絶対に虚偽申告はしないでください。
まとめ:異動情報を正しく理解し、現実的に対処しよう
CICに異動情報があっても、住宅ローン審査に通る可能性はゼロではありません。完済から一定期間経過、頭金を多く用意、収入が安定していること等の条件を満たせば、審査に通る場合もあります。
まずはCICへの開示請求で現状を確認し、複数の金融機関に相談することを推奨します。虚偽申告は詐欺罪のリスクがあるため、絶対に避けてください。
信頼できる不動産会社や金融機関に相談しながら、無理のない資金計画を立てましょう。
