仲介手数料に消費税はかかる?
不動産売買を検討する際、「仲介手数料に消費税はかかるのか」と疑問に感じる方は少なくありません。
この記事では、仲介手数料の消費税について、計算方法、課税対象となる理由、非課税となるケース、具体的な計算例を国土交通省や国税庁の公式情報を元に解説します。
仲介手数料の正確な費用計算をすることで、不動産取引の準備をスムーズに進められるようになります。
この記事のポイント
- 仲介手数料には消費税10%(2025年時点)が課税される
- 土地の売買は消費税非課税だが、仲介手数料は課税対象
- 新築物件は売却価格に消費税が含まれるため、税抜価格で計算が必要
- 上限額は(売買価格×3%+6万円)+消費税で計算できる
- 800万円以下の空き家は2024年7月施行の特例で一律30万円(税抜)+消費税まで請求可能
仲介手数料に消費税がかかる理由
仲介手数料には消費税がかかります。これは、不動産会社が提供する仲介サービスが消費税法上の「事業者が行う資産の譲渡等」に該当するためです。
消費税法上の「事業者が行う資産の譲渡等」に該当
消費税は、事業者が行うサービス提供や商品販売に対して課税されます。不動産会社の仲介サービスは、売主と買主をマッチングし、契約の成立をサポートする「事業として行うサービス」に該当するため、消費税の課税対象となります。
2025年時点の消費税率は10%です(2019年10月から10%)。古い記事では8%と記載されている場合がありますが、現在は10%が適用されます。
土地売買は非課税だが仲介手数料は課税(よくある誤解)
土地の売買は消費税非課税ですが、仲介手数料は課税対象です。これは、土地自体の取引と仲介サービスが別の取引として扱われるためです。
国税庁によると、土地のみの取引でも、不動産会社が提供する仲介サービスには消費税がかかります。土地取引が非課税であることと、仲介手数料が課税対象であることを混同しないよう注意が必要です。
仲介手数料の上限と計算方法
仲介手数料には、国土交通省が定める上限額があります。宅地建物取引業法により、売買価格に応じた上限が設定されています。
上限額の速算式:(売買価格×3%+6万円)+消費税
400万円を超える物件の場合、以下の速算式で上限額を計算できます。
計算式: (売買価格×3%+6万円)+消費税10%
正式には3段階の計算(200万円以下の部分は5%、200万円超400万円以下の部分は4%、400万円超の部分は3%)が必要ですが、実務ではこの速算式が広く使われています。
物件価格別の具体例
以下に物件価格別の仲介手数料上限額を示します。
| 物件価格 | 計算式 | 上限額(税込) |
|---|---|---|
| 3,000万円 | (3,000万円×3%+6万円)×1.1 | 105.6万円 |
| 5,000万円 | (5,000万円×3%+6万円)×1.1 | 171.6万円 |
| 8,000万円 | (8,000万円×3%+6万円)×1.1 | 271.92万円 |
(出典: 国土交通省)
2024年7月施行の低廉な空き家等の特例(800万円以下)
2024年7月から、売買価格800万円以下の空き家等については、通常の上限を超えて一律30万円(税抜)+消費税(合計33万円)まで請求できる特例措置が導入されました。
これは、低価格物件の仲介では通常の上限額が少なく、不動産会社が仲介を敬遠する傾向があったことへの対策です。
新築物件と中古物件での計算の違い
新築物件と中古物件では、仲介手数料の計算基礎が異なる点に注意が必要です。
新築物件(売主が事業者):売却価格に消費税が含まれる
新築物件で売主が事業者(不動産会社等)の場合、売却価格には建物分の消費税が含まれています。仲介手数料の計算基礎は「税抜価格」となるため、まず消費税を除く必要があります。
例: 売却価格5,500万円(税込)の新築物件で、土地3,000万円・建物2,500万円(税抜)の場合
- 建物の消費税: 2,500万円×10% = 250万円
- 税抜価格: 5,500万円 - 250万円 = 5,250万円
- 仲介手数料上限: (5,250万円×3%+6万円)×1.1 = 179.685万円
仲介手数料の計算基礎は「税抜価格」
国税庁と国土交通省の基準により、仲介手数料の計算基礎は税抜価格です。税込価格(5,500万円)で計算すると約8万円の過大請求となるため、注意が必要です。
税込価格で計算すると過大請求になるリスク
中古物件で売主が個人の場合、売却価格に消費税は含まれないため、売却価格をそのまま計算基礎とします。新築物件と中古物件では計算方法が異なることを理解しておきましょう。
土地と建物の仲介手数料の違い
土地付き建物の取引では、按分計算が必要になる場合があります。
土地の売買は消費税非課税、建物は課税
土地の売買は消費税非課税、建物の売買は課税(売主が事業者の場合)という基本ルールがあります。ただし、仲介手数料は土地・建物のいずれも課税対象です(仲介サービス自体が課税取引)。
仲介手数料は土地・建物とも課税対象
土地のみの取引でも、不動産会社が提供する仲介サービスには消費税10%がかかります。「土地取引は非課税だから仲介手数料も非課税」という誤解をしないよう注意が必要です。
按分計算が必要な場合(税務処理)
土地付き建物の取引で、税務処理上、土地部分と建物部分の仲介手数料を分ける必要がある場合は、価格比率で按分計算します。
例: 土地3,000万円・建物2,000万円の取引で仲介手数料171.6万円の場合
- 土地分: 171.6万円×(3,000万円÷5,000万円) = 102.96万円
- 建物分: 171.6万円×(2,000万円÷5,000万円) = 68.64万円
国税庁の公式見解により、このような按分計算が認められています。
仲介手数料の消費税計算時の注意点
仲介手数料の消費税計算で陥りやすい3つの誤りを紹介します。
新築物件で税込価格をそのまま使用する誤り
新築物件(売主が事業者)で売却価格に含まれる消費税を除かずに計算すると、過大請求になります。必ず税抜価格を計算基礎としてください。
土地取引で「仲介手数料も非課税」という誤解
土地取引は消費税非課税ですが、仲介手数料は課税対象です(仲介サービスは課税取引)。土地のみの売買でも、仲介手数料には消費税10%がかかります。
古い消費税率(8%)の情報を参照する誤り
2019年10月から消費税率は10%です。古い記事で8%と記載されている場合は情報が古いため、2025年時点の正確な税率10%で計算してください。
まとめ
仲介手数料には消費税10%(2025年時点)が課税されることを確認しました。上限額は(売買価格×3%+6万円)+消費税で計算でき、新築物件の場合は税抜価格が計算基礎となります。
土地取引でも仲介手数料は課税対象です。正確な費用計算のために、物件の種類(新築・中古)と価格を確認し、不動産会社に見積もりを依頼することをおすすめします。
信頼できる不動産会社に相談しながら、透明性の高い費用計算を心がけましょう。
