50坪の土地で実現できる間取り例と設計のポイント

公開日: 2025/11/4

50坪の土地で理想の間取りを実現するために知っておくべきこと

50坪の土地を購入予定で「どのような間取りが可能なのか」「建蔽率や容積率でどれくらいの広さの家が建つのか」と疑問を感じていませんか。

この記事では、50坪の土地で実現できる間取りパターン(2階建て・平屋・3階建て)、建蔽率・容積率による建築可能面積の計算方法、土地形状別の設計の工夫を、国土交通省の公式情報を元に解説します。

用途地域による制限の違いを理解し、自分の土地で建てられる家のイメージを具体的に把握できるようになります。

この記事のポイント

  • 50坪の土地は建蔽率60%・容積率200%の場合、建築面積30坪・延床面積100坪まで建築可能
  • 2階建て5LDK(延床45-50坪)が最も一般的で、駐車場2台+庭付きが標準的に実現可能
  • 平屋4LDKは建蔽率60%以下の地域で建築面積30坪までなら可能だが、駐車場確保を考慮すると建蔽率50%以下では手狭になる
  • 容積率200%以上の地域では3階建て6LDK(延床60-70坪)も選択肢となり、都市部で有効
  • 土地形状(間口・奥行比率)により設計アプローチが変わるため、専門家への早期相談が重要

50坪の土地でどれくらいの家が建てられる?

50坪(約165㎡)という敷地面積は、一般的な住宅地では比較的ゆとりのある広さです。駐車場2台と庭付きの一戸建てが十分実現可能な規模です。

ただし、実際に建てられる家の広さは、用途地域ごとに定められた建蔽率・容積率によって制限されます。同じ50坪の土地でも、第一種低層住居専用地域と商業地域では建築可能な延床面積が大きく異なります。

建蔽率60%・容積率100%の場合、建築面積30坪・延床面積50坪が上限です。建蔽率60%・容積率200%の場合、建築面積30坪・延床面積100坪まで可能です。

国土交通省の建築基準法制度概要によると、用途地域により建蔽率30-80%、容積率50-500%の制限があります。土地購入前に必ず用途地域を確認し、建築可能な広さを把握しておくことが重要です。

建蔽率と容積率で決まる建築可能面積

建蔽率・容積率は、敷地面積に対する建築面積・延床面積の割合を制限する規定です。50坪の土地で実際に建てられる家の広さを、用途地域別に具体的に計算してみましょう。

建蔽率60%・容積率100%の場合(第一種低層住居専用地域)

第一種低層住居専用地域は、閑静な住宅街として保護される地域です。建蔽率50-60%、容積率100-150%が一般的です。

建蔽率60%の場合、建築面積は50坪×60%=30坪までとなります。容積率100%なら延床面積50坪まで建築可能です。

2階建てなら1階30坪+2階20坪=延床面積50坪の家が標準的です。平屋の場合、建築面積30坪までなので、4LDK(延床30坪前後)が一般的です。

ただし、第一種低層住居専用地域では高さ制限(10mまたは12m)があるため、3階建ては建築できない場合が多い点に注意が必要です。

建蔽率60%・容積率200%の場合(第二種住居地域)

第二種住居地域は、住宅と一部の商業施設が混在する地域です。建蔽率60%、容積率200-300%が一般的です。

建蔽率60%の場合、建築面積は50坪×60%=30坪までです。容積率200%なら延床面積100坪まで建築可能です。

2階建てなら1階30坪+2階30坪=延床面積60坪、3階建てなら1階30坪+2階30坪+3階30坪=延床面積90坪の家が建てられます。5-6LDKの広々とした住宅が実現可能です。

容積率200%以上の地域では、3階建てにすることで延床面積を大幅に増やせるため、都市部で有効な選択肢です。

建蔽率の緩和条件(角地・防火地域)

建蔽率は、一定の条件を満たすと10%緩和される場合があります。

  • 角地: 2つの道路に接する角地の場合、建蔽率+10%の緩和が適用される場合があります(自治体により異なる)
  • 防火地域内の耐火建築物: 防火地域内で耐火建築物を建てる場合、建蔽率+10%の緩和が適用されます

例えば、建蔽率60%の角地で耐火建築物を建てる場合、60%+10%+10%=80%まで緩和される可能性があります。50坪の土地なら建築面積40坪まで可能となり、平屋でも広い住宅が実現できます。

ただし、緩和条件の適用は自治体により異なるため、建築指導課での確認が必須です。

用途地域 建蔽率 容積率 建築面積(50坪の場合) 延床面積(50坪の場合)
第一種低層住居専用地域 50-60% 100-150% 25-30坪 50-75坪
第二種住居地域 60% 200-300% 30坪 100-150坪
商業地域 80% 400-500% 40坪 200-250坪

(出典: 国土交通省建築基準法制度概要

50坪で実現できる間取りパターン

50坪の土地で建てられる家の間取りは、建蔽率・容積率により大きく異なります。最も一般的な2階建て5LDK、平屋4LDK、3階建て6LDKの3パターンを具体的に解説します。

2階建て5LDK(延床面積45-50坪)

最も一般的な間取りは、2階建て5LDKで延床面積45-50坪です。建蔽率60%・容積率100-150%の地域で標準的に実現可能です。

1階(25-30坪):

  • LDK: 20-22畳(対面キッチン+ダイニングテーブル+リビングソファ配置)
  • 和室: 6畳(客間・仏間)
  • 水回り: 洗面・浴室・トイレ
  • 玄関・廊下・収納

2階(20-25坪):

  • 主寝室: 8-10畳(ウォークインクローゼット付き)
  • 子供部屋: 6畳×2-3室
  • トイレ
  • 廊下・収納

駐車場2台分(約10坪)を確保した上で、残り40坪に建物30坪+庭・通路10坪という配分が一般的です。

平屋4LDK(延床面積30-35坪)

平屋を希望する場合、建蔽率60%以下の地域で建築面積30坪までの4LDKが一般的です。

間取り例(延床30坪):

  • LDK: 18-20畳
  • 主寝室: 8畳(ウォークインクローゼット付き)
  • 子供部屋: 6畳×2室
  • 水回り: 洗面・浴室・トイレ
  • 玄関・廊下・収納

平屋の場合、全室がワンフロアで完結するため、バリアフリー設計がしやすく、老後の生活にも適しています。ただし、建蔽率50%の地域では建築面積25坪までとなり、4LDKは手狭になる可能性があります。

駐車場2台分を確保すると、庭のスペースが限られる点に注意が必要です。

3階建て6LDK(延床面積60-70坪)

容積率200%以上の地域では、3階建て6LDKで延床面積60-70坪の広々とした住宅が実現可能です。

間取り例(延床60坪):

  • 1階(20坪): ビルトインガレージ+玄関+水回り
  • 2階(20坪): LDK22畳+和室6畳
  • 3階(20坪): 主寝室10畳+子供部屋6畳×3室+トイレ

3階建ての場合、1階部分をビルトインガレージにすることで、駐車場2台分を確保しつつ敷地を有効活用できます。都市部の狭小地では特に有効な選択肢です。

ただし、3階建ては2階建てと比べて建築費が高くなる(坪単価+5-10万円程度)、階段の上り下りが負担になる、高さ制限により建築できない地域がある等のデメリットがあります。

土地形状による設計の工夫

50坪という敷地面積が同じでも、間口・奥行の比率により設計アプローチが変わります。土地形状に応じた設計の工夫を理解しましょう。

間口10m×奥行15mの長方形敷地

間口10m×奥行15m(約45坪)の長方形敷地は、一般的な住宅地で多く見られる形状です。

南側にLDK、北側に水回りを配置する横並びプランが有効です。駐車場を敷地の手前(道路側)に配置し、奥に建物を建てる標準的なレイアウトが採用されます。

間口10mあれば、駐車場2台を並列配置(幅6m×奥行5m)しても、玄関アプローチのゆとりを確保できます。

間口12m×奥行12mの正方形敷地

間口12m×奥行12m(約44坪)の正方形敷地は、採光・通風の面で有利な形状です。

中庭(コートハウス)やコの字型プランを採用することで、全室に光と風を取り込めます。プライバシーを確保しつつ開放感のある住空間を実現できます。

駐車場は敷地の一角に配置し、建物をL字型またはコの字型に配置するプランが一般的です。

間口が狭い場合の縦長プラン

間口8m未満の狭小間口の場合、縦長3階建てや吹抜け活用で開放感を演出する設計が有効です。

1階部分をビルトインガレージとし、2階にLDK、3階に寝室を配置する縦型プランが採用されます。吹抜けやトップライト(天窓)を活用することで、採光を確保します。

間口が狭い土地では、駐車場を並列配置できないため、縦列駐車またはビルトインガレージが現実的な選択肢です。

50坪の土地で建築する際の注意点

50坪の土地で建築する際、建蔽率・容積率以外にも確認すべき建築制限があります。

前面道路4m未満のセットバック要件

前面道路が4m未満の場合、道路中心線から2m後退(セットバック)して建築する義務があります。後退部分は敷地面積に算入されず、実質的な建築可能面積が減少します。

例えば、50坪の土地で前面道路が3mの場合、道路中心線から2m後退すると、後退部分(間口10m×後退0.5m=5㎡=約1.5坪)が敷地面積から除外されます。実質48.5坪の土地として建蔽率・容積率が計算されます。

セットバックが必要かどうかは、市区町村の建築指導課で確認できます。

斜線制限・日影規制の影響

斜線制限は、隣地の日照・通風を確保するため、建物の高さを制限する規定です。北側斜線・道路斜線・隣地斜線の3種類があります。

北側斜線制限により、北側隣地境界線から一定の高さ・勾配での制限がかかるため、2階建てでも北側の部屋の天井高が制限される場合があります。

日影規制は、冬至日の日影時間を制限する規定です。第一種・第二種低層住居専用地域等で適用され、3階建てや高さのある建物の設計に影響します。

地域ごとの高さ制限

第一種低層住居専用地域では、絶対高さ制限(10mまたは12m)があります。3階建てが建築できない場合があるため、事前に確認が必要です。

都市計画で定められた高度地区では、さらに厳しい高さ制限がかかる場合があります。市区町村の都市計画図で確認しましょう。

まとめ:50坪の土地で理想の間取りを実現するために

50坪の土地は、比較的ゆとりのある敷地面積であり、2階建て5LDK+駐車場2台が標準的に実現可能です。建蔽率60%・容積率200%の場合、延床面積100坪までの広々とした住宅も建てられます。

ただし、用途地域・土地形状・前面道路幅員によって制約が異なるため、建築前に自治体の建築指導課で建蔽率・容積率・斜線制限を確認することが必須です。

平屋4LDK、2階建て5LDK、3階建て6LDKの選択肢を比較し、自分のライフスタイルと予算に合った間取りを選びましょう。専門家(建築士)と相談しながら設計を進めることで、理想の住まいを実現できます。

次のアクションとして、①用途地域・建蔽率・容積率の確認、②ハウスメーカーや建築士への相談、③土地形状に応じた設計プランの比較を行いましょう。

よくある質問

Q150坪の土地に平屋は建てられますか?

A1建蔽率60%以下の地域であれば、建築面積30坪までの平屋が可能です。4LDK(延床30坪前後)が一般的で、駐車場2台分のスペースも確保できます。建蔽率50%の場合は25坪までとなり、3LDK程度でやや手狭になります。平屋の場合、全室がワンフロアで完結するため、バリアフリー設計がしやすく、老後の生活にも適しています。

Q250坪で駐車場は何台分確保できますか?

A2標準的な駐車スペース(2.5m×5m)で2台分は余裕を持って確保可能です。間口が広い土地(10m以上)なら並列駐車が快適です。3台分も土地形状と建物配置次第で実現できますが、庭や玄関アプローチのゆとりは減少します。駐車場を優先する場合、ビルトインガレージを検討することで、敷地を有効活用できます。

Q350坪の土地の建築費用の目安はいくらですか?

A3延床面積40-50坪の2階建てで、坪単価60-80万円として2,400-4,000万円が目安です。3階建ての場合、坪単価が5-10万円程度高くなるため、3,000-5,000万円程度となります。土地代を除いた建築費用のため、総予算は土地代+建築費+諸費用(建築費の5-10%)で計算する必要があります。ハウスメーカーや工務店により坪単価は大きく異なるため、複数社から見積もりを取ることを推奨します。

Q450坪の土地は都市部では一般的ですか?

A4都市部(東京23区、大阪市中心部等)では50坪は比較的広い部類に入ります。郊外や地方都市では標準的な敷地面積です。都市部では建蔽率・容積率が高い地域が多く、3階建ても選択肢となります。一方、郊外では建蔽率・容積率が低めに設定されている場合が多く、2階建てまたは平屋が一般的です。

Q5建蔽率・容積率はどこで確認できますか?

A5各自治体の都市計画課・建築指導課の窓口、またはホームページで確認可能です。一部自治体は都市計画情報をオンライン地図で公開しています。不動産会社や建築士に依頼すれば調査してもらえます。土地購入前に必ず確認し、建築可能な広さを把握しておくことが重要です。重要事項説明でも用途地域・建蔽率・容積率が明示されます。