結論:親の家を相続して売却する全体の流れと最短ルート
親の家を相続して売却する場合、以下の流れで進めることになります。
まず、相続登記(名義変更)を完了させることが最優先です。2024年4月より相続登記が義務化されており、相続を知った日から3年以内に申請する必要があります。親の名義のままでは売却できないため、法務局で相続登記の手続きを行い、相続人名義に変更します。
次に、複数の不動産会社に査定を依頼して、売却価格の相場を把握します。相続した不動産は購入価格が不明なケースも多く、相場感を掴むことが重要です。1社だけの査定では適正価格か判断できないため、最低でも3社以上に依頼することが一般的です。
最後に、媒介契約を締結して売却活動を開始します。買主が見つかれば、売買契約を締結し、決済・物件の引き渡しを行います。全体のスケジュールは、相続登記に1〜3ヶ月、査定から売却活動に3〜6ヶ月程度かかることが一般的です。
まず最初にやること3つ
親の家を相続して売却する際、まず最初にやるべきことは以下の3つです。
1. 遺産分割協議を開始する
相続人が複数いる場合、誰が不動産を取得するかを決める遺産分割協議を開始します。全員が売主となって売却する方法もありますが、代表者1人が相続して売却する方が手続きがスムーズです。協議がまとまらないと、売却活動を始められません。
2. 必要書類の収集を開始する
相続登記には、亡くなった親の戸籍謄本(出生から死亡まで)、相続人全員の戸籍謄本、住民票、印鑑証明書など、多くの書類が必要です。本籍地が複数回変わっている場合、それぞれの市区町村に請求する必要があり、時間がかかります。早めに収集を開始しましょう。
3. 複数の不動産会社に査定依頼する
相続登記と並行して、不動産会社に査定を依頼します。相続登記が完了してから査定を依頼すると、売却までの時間がさらに延びます。査定結果を見て売却価格の目安を把握し、遺産分割協議の参考にすることもできます。
この3つを同時並行で進めることで、最短ルートで売却できます。
かかる時間の目安
親の家を相続して売却するまでには、以下の時間がかかります。
相続登記:1〜3ヶ月
必要書類の収集に時間がかかることが多く、特に本籍地が複数回変わっている場合は、それぞれの市区町村に戸籍謄本を請求する必要があります。司法書士に依頼すれば、書類の収集から申請まで代行してもらえるため、手続きがスムーズに進みます。
査定〜売却活動:3〜6ヶ月
査定を依頼してから買主が見つかるまで、平均3〜6ヶ月程度と言われています。築年数や立地、価格設定によって変わります。人気エリアで築年数が新しい物件は1〜2ヶ月で売れることもありますが、地方の古い物件は6ヶ月以上かかる場合もあります。
税金特例の期限:相続開始から3年10ヶ月以内
相続した不動産を相続開始日から10ヶ月経過以降〜3年10ヶ月以内に売却すると、相続税の取得費加算の特例が受けられる場合があります。この特例を使えば、譲渡所得税の負担を軽減できます。詳しくは税理士に相談することをおすすめします。
全体では、相続開始から売却完了まで6〜12ヶ月程度を見込んでおくと良いでしょう。遺産分割協議がなかなかまとまらない場合や、相続財産の調査に時間がかかる場合は、さらに時間を要する可能性があります。
ステップ別の手順
親の家を相続して売却する具体的な手順を、ステップごとに見ていきましょう。
Step1 事前準備(チェックリスト)
相続登記を行う前に、以下の書類を準備します。
亡くなった親の戸籍謄本(出生から死亡まで)
本籍地の市区町村で取得します。本籍地が複数回変わっている場合は、それぞれの市区町村に請求する必要があります。戸籍謄本は相続人を確定するために必要です。
相続人全員の戸籍謄本
各相続人の本籍地の市区町村で取得します。現在の戸籍謄本で問題ありません。
相続人全員の住民票
各相続人の住所地の市区町村で取得します。
相続人全員の印鑑証明書
遺産分割協議書に捺印するため、各相続人の印鑑証明書が必要です。
遺産分割協議書
相続人全員で協議し、誰が不動産を取得するかを決めて、遺産分割協議書を作成します。相続人全員が実印で捺印します。
固定資産評価証明書
不動産の所在地の市区町村で取得します。登録免許税の計算に使用します。
登記簿謄本または登記事項証明書
法務局で取得します。現在の登記状況を確認するために必要です。
これらの書類を準備するのに、1〜2ヶ月程度かかることがあります。特に戸籍謄本の収集に時間がかかる傾向があります。
Step2 相続登記(名義変更)
必要書類が揃ったら、法務局で相続登記の手続きを行います。
親名義から相続人名義へ変更
不動産の所在地を管轄する法務局に、相続登記申請書と必要書類を提出します。登録免許税(不動産評価額の0.4%)を納付します。
2024年4月より義務化、3年以内に申請必要
相続登記は2024年4月より義務化されており、相続を知った日から3年以内に申請する必要があります。期限内の申請を怠ると、10万円以内の過料が科される可能性があります。
司法書士への依頼も検討
相続登記は自分で行うこともできますが、書類の準備や申請書の作成が複雑です。司法書士に依頼すれば、書類の収集から申請まで代行してもらえるため、手続きがスムーズに進みます。司法書士報酬は5〜10万円程度が一般的です。
相続登記が完了すると、法務局から登記識別情報通知書が発行されます。これで売却の準備が整います。
Step3 不動産会社に査定依頼〜媒介契約
相続登記が完了したら、不動産会社に査定を依頼します。
複数の不動産会社に査定依頼
1社だけの査定では適正価格か判断できないため、最低でも3社以上に依頼することをおすすめします。一括査定サービスを使えば、1回の入力で複数社に依頼でき、数日以内に査定結果が届きます。
媒介契約を締結し売却活動開始
査定結果を比較して、信頼できる不動産会社を選び、媒介契約を締結します。媒介契約には、専任媒介、専属専任媒介、一般媒介の3種類があります。専任媒介は1社に限定する契約、一般媒介は複数社と契約できる方式です。
売買契約〜決済・引き渡し
買主が見つかれば、売買契約を締結します。契約時に手付金(売買価格の5〜10%程度)を受け取ります。その後、決済・物件の引き渡しを行い、残金を受け取ります。仲介手数料(売買価格の3%+6万円+消費税が上限)を不動産会社に支払います。
よくある詰まりポイントと回避策
親の家を相続して売却する際、多くの人が躓くポイントがあります。事前に把握しておくことで、スムーズに進められます。
詰まりポイント1: 相続登記をしないと売却できない
相続登記が完了していないと、親の名義のままでは売却できません。買主が見つかっても、相続登記が完了するまで売買契約を結べないため、機会損失になります。相続が発生したら、早めに相続登記の手続きを開始しましょう。
詰まりポイント2: 遺産分割協議がまとまらない
相続人が複数いる場合、誰が不動産を取得するかで意見が分かれることがあります。特に、不動産以外の相続財産が少ない場合、不動産を取得しない相続人に代償金を支払う必要が生じ、資金面で調整が難しくなります。
詰まりポイント3: 共有で相続すると手続きが煩雑
複数の相続人で不動産を共有相続すると、売却には全員の同意が必要になります。売買契約も全員が売主として署名・捺印する必要があり、手続きが複雑になります。単独相続または代表者への集約を検討することが望ましいと言われています。
遺産分割協議がまとまらない場合
遺産分割協議がまとまらない場合、以下の選択肢があります。
家庭裁判所での調停
相続人間での話し合いでまとまらない場合、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。調停委員が間に入って、合意を目指します。調停でもまとまらない場合は、審判(裁判)に進みます。
買主を探す前に協議を完了させる
買主が見つかってから遺産分割協議がまとまらないと、売買契約を結べず、機会損失になります。買主を探す前に、遺産分割協議を完了させることが望ましいです。
弁護士・司法書士への相談
遺産分割協議が難航する場合は、弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。法的なアドバイスを受けることで、スムーズに進められる可能性があります。
共有で相続した場合の注意点
共有で相続した場合、以下の点に注意が必要です。
売却手続きが煩雑になる
売却には全員の同意が必要で、売買契約も全員が売主として署名・捺印します。決済・引き渡しにも全員が立ち会う必要があるため、日程調整が困難になります。
全員の同意が必要
1人でも反対すれば売却できません。共有者の1人が売却に反対する場合、その持分だけを売却することも理論上は可能ですが、買い手が見つかりにくく、価格も低くなる傾向があります。
単独相続または代表者への集約を検討
共有相続のデメリットを避けるため、遺産分割協議の段階で、単独相続または代表者1人が相続して他の相続人に代償金を支払う方法を検討することが望ましいと言われています。
事前に確認しておきたいこと
親の家を相続して売却する際、事前に確認しておくべきことがあります。
相続財産の調査に時間がかかる場合がある
不動産以外にも、預貯金、株式、生命保険など、相続財産が多岐にわたる場合、全ての財産を把握するのに時間がかかります。遺産分割協議は全ての相続財産を把握してから行うため、調査に時間がかかると、売却までの期間が延びます。
土地の境界確定に時間を要する可能性
土地の境界が確定していない場合、測量を行って境界を確定させる必要があります。測量には50〜100万円程度の費用がかかり、隣地所有者との立ち会いが必要なため、時間がかかる場合があります。
期待しがちな点(実際はこうなりがち)
親の家を相続して売却する際、期待と現実にギャップが生じることがあります。
期待: すぐに売却できる → 実際: 相続登記完了まで売却不可
相続が発生したらすぐに売却できると思いがちですが、相続登記が完了しないと売却できません。相続登記には1〜3ヶ月程度かかるため、相続発生から売却完了まで6〜12ヶ月程度を見込んでおく必要があります。
期待: スムーズに進む → 実際: 遺産分割協議がなかなかまとまらないケースも
相続人が複数いる場合、遺産分割協議で意見が分かれることがあります。特に、不動産以外の相続財産が少ない場合、不動産を取得しない相続人に代償金を支払う必要が生じ、資金面で調整が難しくなります。
期待: 高値で売れる → 実際: 築年数が古いと買い手が見つかりにくい
親の家は築年数が古いことが多く、買い手が見つかりにくい場合があります。特に旧耐震基準(1981年6月以前)の物件は、買主の住宅ローン審査に不利になりやすいため、売却価格を下げるか、買取を検討する必要が出てきます。
ここはケースで変わる
親の家を相続して売却する際、以下の要因でケースが変わります。
相続人が1人か複数か
相続人が1人の場合、遺産分割協議は不要で、手続きがシンプルです。複数の場合、遺産分割協議が必要で、協議がまとまるまで売却活動を始められません。
遺産分割協議の難易度
相続財産が不動産のみで、金額も小さい場合は、協議がまとまりやすいです。一方、不動産以外の相続財産が多く、金額も大きい場合は、協議が複雑になります。
相続財産の複雑さ
不動産が1つだけの場合は、調査が簡単です。複数の不動産や、預貯金、株式、生命保険など、相続財産が多岐にわたる場合は、全ての財産を把握するのに時間がかかります。
一括査定が向いている人/向いていない人
一括査定サービスは誰にでも向いているわけではありません。以下を参考に、自分に合っているか判断してください。
向いている人
- 相続登記が完了しており、数ヶ月以内に売却したい具体的な予定がある
- 複数社の査定を比較して、適正価格を見極めたい
- 営業電話に割ける時間があり、複数社の説明を聞ける
- 遠方に住んでいて、現地の不動産会社を個別に回る時間がない
- 早期売却を希望しており、短期間で買主を見つけたい
向いていない人
- 相続登記が完了しておらず、まだ売却できない状態
- 既に特定の不動産会社と専任媒介契約を結んでいる
- 売却意思が固まっておらず、相場確認だけしたい
- 電話対応が苦手で、営業電話にストレスを感じる
- 遺産分割協議がまとまっておらず、誰が売主になるか確定していない
相続登記が完了しており、遺産分割協議もまとまっている状態であれば、一括査定サービスを利用することで、短期間で複数社の査定を比較でき、適正価格での売却に近づけます。
まとめ:今日できる最短の一歩
親の家を相続して売却する際、以下の順番で進めることをおすすめします。
Step1: 遺産分割協議の開始
相続人が複数いる場合、誰が不動産を取得するかを決める遺産分割協議を開始します。協議がまとまらないと、売却活動を始められません。早めに相続人全員で話し合いを始めましょう。
Step2: 必要書類の収集
相続登記に必要な書類の収集を開始します。亡くなった親の戸籍謄本(出生から死亡まで)、相続人全員の戸籍謄本、住民票、印鑑証明書などが必要です。本籍地が複数回変わっている場合、時間がかかるため、早めに手続きを始めましょう。
Step3: 複数の不動産会社に査定依頼
相続登記と並行して、不動産会社に査定を依頼します。一括査定サービスを使えば、1回の入力で複数社に依頼でき、数日以内に査定結果が届きます。査定結果を見て売却価格の目安を把握し、遺産分割協議の参考にすることもできます。
今日できる最短の一歩は、相続人全員で話し合いを始めることです。遺産分割協議がまとまらないと、売却活動を始められません。まずは相続人全員の連絡先を確認し、話し合いの日程を決めましょう。
