横浜市のマンション市場の現状
横浜市でマンション購入を検討する際、「どのエリアを選べばいいのか」「価格相場はどのくらいなのか」と悩む方は少なくありません。
この記事では、横浜市のマンション価格相場をエリア別に整理し、通勤・子育て・予算等の目的別にエリア選定のポイントを解説します。国土交通省や横浜市の公的データに基づき、正確な情報を提供します。
初めて横浜市でマンションを購入する方でも、適切なエリアと予算を判断できるようになります。
この記事のポイント
- 横浜市の中古マンション相場は70㎡換算で約4,747万円(2024年)、2025年10月時点では約4,331万円(61.87万円/m²)
- 2013年から12年間で73%値上がりしており、みなとみらいや横浜駅周辺など利便性の高いエリアでは今後も需要が堅調
- 西区が資産価値トップ(築30年時点で約5,000万円)、青葉区・港北区も東京都心へのアクセスの良さで高評価
- 駅徒歩5分以内の物件はリセールバリュー136.2%と購入時の価格を大きく上回る
- 人口減少(2021年ピーク377.9万人から50年後には301万人へ)と金利上昇リスクに注意が必要
(1) 横浜市の不動産市場の特徴
横浜市は神奈川県の県庁所在地で、人口約377万人を擁する日本第2位の都市です(2021年時点)。東京都心へのアクセスが良く、ベッドタウンとしての役割を持つ一方、みなとみらい地区や横浜駅周辺など独自の商業・ビジネスエリアを持つ点が特徴です。
横浜市の不動産市場の主な特徴は以下の通りです。
- 東京都心への通勤圏: 東急東横線・みなとみらい線・JR線等で都心へ30-40分でアクセス可能
- エリアの多様性: 18区それぞれに異なる特性があり、都心部から郊外住宅地まで幅広い選択肢
- 再開発の進行: みなとみらい地区や横浜駅周辺で大規模再開発が進行中
- 長期的な価格上昇: 2013年から2025年にかけて約73%値上がり(中古マンション)
横浜スタイル不動産によると、横浜市の不動産市場は利便性の高いエリアを中心に堅調な需要が続いています。
(2) 2025年の市場動向と今後の見通し
2025年の横浜市マンション市場は、いくつかの重要な転換点を迎えています。
価格動向:
- 2024年は前年比▲1.1%と減速傾向(2021-2022は+319万円、2022-2023は+73万円)
- 横浜駅周辺は今後10年で+22.6%上昇予測(約3.41百万円/坪)
- 成約戸数は増加傾向で、市場は活発に動いている
制度改正の影響: 横浜スタイル不動産によると、2025年は建築基準法改正や建設コスト上昇により価格上昇が予想されています。
金利動向: 2024年3月に日銀がマイナス金利政策を解除し、7月に金利が0.25%引き上げられたため、住宅ローンの変動金利は今後も上昇する見込みです。
横浜市全体の価格相場
横浜市のマンション価格は長期的に上昇傾向にあります。ここでは2025年時点の最新データをもとに、価格相場を整理します。
(1) 中古マンションの平均価格
横浜市の中古マンション価格は以下の通りです。
| 時期 | 平均価格(70㎡換算) | 前年比 |
|---|---|---|
| 2024年 | 約4,747万円 | ▲1.1% |
| 2025年10月 | 約4,331万円 | - |
2024年は前年比▲1.1%と減速傾向にありますが、これは2021-2022年の急激な上昇(+319万円)の反動と考えられます。
(2) 長期的な価格推移(2013年から73%上昇)
家売り隊によると、横浜市の中古マンション相場は2013年1月以降、約12年で73%値上がりしています。
価格上昇の要因:
- 都心へのアクセス向上: みなとみらい線開通等による利便性向上
- 再開発の進行: みなとみらい地区や横浜駅周辺の大規模再開発
- 金融緩和政策: 低金利環境が続き、住宅ローンを組みやすい状況
- テレワーク普及: 新型コロナウイルス以降、郊外住宅地への需要増加
(3) 平米単価の目安
2025年10月時点の成約平米単価は61.87万円/m²です。これは70㎡のマンションで約4,331万円に相当します。
エリアによって平米単価は大きく異なるため、次のセクションで詳しく見ていきます。
エリア別の価格相場と特徴
横浜市は18区で構成され、それぞれに異なる特性があります。ここでは資産価値・価格相場の観点からエリアを整理します。
(1) 資産価値が高いエリア(西区・青葉区・港北区)
そこに住むならbyスムナラによると、神奈川県内の資産価値ランキングで以下のエリアが上位に入っています。
| 区 | 築30年時点の想定価格 | 特徴 |
|---|---|---|
| 西区 | 約5,000万円 | みなとみらい地区を含む、横浜市の中心地 |
| 青葉区 | - | 東京都心へのアクセスが良く、住宅地としてのステータスが高い |
| 港北区 | - | 新横浜駅を擁し、東海道新幹線・横浜線でアクセス良好 |
西区の特徴:
- みなとみらい地区を含む横浜市の中心地
- 商業施設・オフィスビル・高層マンションが集積
- 横浜駅・桜木町駅・みなとみらい駅等、主要駅が複数ある
青葉区の特徴:
- 東急田園都市線で渋谷駅へ約30分でアクセス可能
- 緑豊かな静かな住宅街
- 教育熱心な家族層が多く、公立校のレベルが高い
港北区の特徴:
- 新横浜駅(東海道新幹線)を擁し、全国へのアクセスが良好
- 東急東横線で渋谷・東京方面へもアクセス可能
- 住宅地としての人気が高い
(2) みなとみらい・横浜駅周辺の価格推移
ダイヤモンド不動産研究所によると、横浜駅周辺は過去10年で54.9%上昇し、今後10年で+22.6%上昇予測(約3.41百万円/坪)となっています。
価格上昇の要因:
- 大規模再開発: 横浜駅西口・東口の再開発プロジェクトが進行中
- 商業施設の充実: そごう横浜店、横浜タカシマヤ、ルミネ等の大型商業施設
- 交通利便性: JR線・東急線・京急線・相鉄線・市営地下鉄が集結するターミナル駅
みなとみらいや横浜駅周辺は、今後も資産価値の上昇が期待されるエリアです。
(3) 18区の価格比較と特徴
HowMaマガジンによると、横浜市18区の価格相場と特徴は多様です。
高価格帯エリア(平米単価60万円以上):
- 西区、中区、神奈川区(みなとみらい・横浜駅周辺)
中価格帯エリア(平米単価50-60万円):
- 港北区、青葉区、都筑区(東京都心へのアクセスが良いベッドタウン)
比較的安価なエリア(平米単価50万円未満):
- 戸塚区、泉区、瀬谷区(横浜駅から離れるが、広い住宅地)
エリアによって価格が大きく異なるため、予算に応じた適切なエリア選びが重要です。
目的別のエリア選び
ライフスタイルや目的に応じて、適したエリアは異なります。
(1) カップル・2人世帯向け(桜木町駅周辺)
HowMaマガジンによると、カップル・2人世帯は桜木町駅周辺がおすすめです。
桜木町駅周辺の特徴:
- みなとみらい地区に隣接: 徒歩圏内に商業施設・レストラン・カフェが充実
- 交通利便性: JR根岸線・横浜市営地下鉄ブルーラインでアクセス良好
- 都心的なライフスタイル: 高層マンションが多く、都会的な雰囲気
- 海や公園: 山下公園や臨港パークなど、散歩やレジャーに最適
注意点:
- 価格帯が高め(平米単価60万円以上)
- ファミリー向けの広い間取りは少ない
(2) ファミリー向け(都筑区・青葉区)
HowMaマガジンによると、ファミリーは都筑区と青葉区が推奨されます。
都筑区・青葉区の特徴:
- 緑豊かな住宅街: 公園・緑地が多く、子育てに適した環境
- 教育環境: 公立校のレベルが高く、教育熱心な家族層が多い
- 東京都心へのアクセス: 東急田園都市線で渋谷駅へ約30分
- 静かな環境: 商業地から離れており、閑静な住宅街
注意点:
- 横浜駅からは離れる(30-40分程度)
- 坂道が多いエリアもある
(3) 通勤重視のエリア選定
東京都心への通勤を重視する場合は、以下の路線沿いがおすすめです。
| 路線 | 主要駅 | 都心へのアクセス | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 東急東横線 | 横浜・菊名・綱島 | 渋谷駅へ約30分 | 副都心線直通で新宿・池袋へもアクセス可能 |
| みなとみらい線 | みなとみらい・元町中華街 | 渋谷駅へ約35分 | 東急東横線に直通、みなとみらい地区に直結 |
| JR東海道線 | 横浜・川崎 | 東京駅へ約25分 | 快速・特急利用で都心へ迅速にアクセス |
| 東急田園都市線 | あざみ野・たまプラーザ | 渋谷駅へ約30分 | 半蔵門線直通で大手町・日本橋へもアクセス可能 |
通勤時間を重視する場合は、乗り換えなしで都心にアクセスできる路線を選ぶことをおすすめします。
マンション購入時の注意点
横浜市でマンションを購入する際は、以下の点に注意が必要です。
(1) 駅徒歩距離と資産価値の関係
アークフォーライフによると、駅徒歩5分以内の物件は神奈川県内の築10年中古マンションのリセールバリューが136.2%と、購入時の価格を大きく上回ります。
駅徒歩距離と資産価値の関係:
- 徒歩5分以内: リセールバリュー136.2%、売却時に価値が上がる可能性が高い
- 徒歩5-10分: リセールバリュー約100-120%、比較的安定
- 徒歩10分以上: リセールバリュー100%未満の可能性が高い
将来の売却を視野に入れる場合は、駅からの距離を最優先に考えることをおすすめします。
(2) 災害リスクの確認
アークフォーライフによると、災害リスクを考慮し、被害に遭いにくい立地を選ぶことも資産価値維持の条件の一つです。
確認すべき項目:
- ハザードマップ: 横浜市が公開する洪水・土砂災害ハザードマップで確認
- 海抜: 海抜が低いエリアは津波・高潮のリスクがある
- 地盤: 埋立地や旧河川敷は地震時の液状化リスクがある
- 崖・急傾斜地: 土砂災害のリスクがあるエリアを避ける
購入前に必ずハザードマップ等で災害リスクを確認しましょう。
(3) 人口減少と金利上昇のリスク
お家のいろはによると、横浜市の人口は2021年の377.9万人をピークに減少が続き、50年後には約2割減の301万人となる見込みです。
長期的なリスク:
- 人口減少: 長期的な需要減少が資産価値に影響する可能性
- 金利上昇: 2024年7月に金利が0.25%引き上げられ、変動金利は上昇傾向
- 維持管理コスト: 人口減少により修繕積立金の負担が増加する可能性
対策:
- 駅近物件を選ぶことで、需要が減少しても相対的に価値を維持しやすい
- 固定金利の住宅ローンを検討し、金利上昇リスクを回避
- 管理の質が高いマンション(規模が大きく、修繕積立金に余裕がある)を選ぶ
長期的なリスクを考慮し、慎重な判断をすることをおすすめします。
まとめ:横浜市でマンションを選ぶために
横浜市のマンション相場は70㎡換算で約4,747万円(2024年)で、2013年から12年間で73%値上がりしています。西区が資産価値トップ(築30年時点で約5,000万円)で、青葉区・港北区も東京都心へのアクセスの良さで高い評価を受けています。
カップル・2人世帯は桜木町駅周辺、ファミリーは都筑区・青葉区がおすすめで、通勤を重視する場合は東急東横線・みなとみらい線・JR東海道線沿いのエリアを検討しましょう。駅徒歩5分以内の物件はリセールバリュー136.2%と資産価値が高いため、将来の売却を視野に入れる場合は立地選びが重要です。
人口減少(2021年ピーク377.9万人から50年後には301万人へ)と金利上昇リスク(2024年7月に0.25%引き上げ)に注意し、ハザードマップで災害リスクを確認することも忘れずに。マンション購入には専門的な知識が必要なため、契約内容や資金計画については宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー等の専門家への相談をおすすめします。
