不動産のプロが住みたくない街とは:客観的な評価基準を知る
住まい選びで「失敗したくない」と考える方にとって、どのようなエリアを避けるべきかは重要な判断基準です。
この記事では、不動産のプロが選んだ住みたくない街の特徴、エリア選びで確認すべき公的データ、実際の失敗事例から学ぶポイントを解説します。
客観的なデータ(犯罪統計、ハザードマップ、都市計画情報)の確認方法を中心に構成しており、読者自身が納得のいく判断ができるようになります。
この記事のポイント
- 住みたくない街の特徴は治安の悪さ(275人)、騒音問題(169人)、交通の便の悪さ(113人)が上位
- 警察の犯罪統計、国土交通省のハザードマップなど公的データで客観的に評価可能
- 不動産購入者70人の失敗事例から、交通アクセス・周辺環境の確認不足が多い
- 大規模再開発エリア(高輪ゲートウェイシティ等)は資産価値上昇が見込まれる
- 内見は平均5件以上、多い人は20件以上見るのが一般的
(1) 週刊SPA!の「住みたくない街ランキング」(2015年)とは
週刊SPA!(2015年3月17日号)では、不動産業界のプロにアンケートを実施し、「自分は住みたくない街ランキング」が発表されました。
ワースト5は以下の通りです。
| 順位 | 街名 | 主な理由 |
|---|---|---|
| 1位 | 中目黒 | 1K20平米で9-10万円とコストパフォーマンスが異常に悪い |
| 2位 | 新大久保 | 風俗ビルが多く住民トラブル・クレームが多い |
| 3位 | 篠崎 | 詳細不明(記事内で具体的理由の記載なし) |
| 4位 | 下神明 | 詳細不明(記事内で具体的理由の記載なし) |
| 5位 | 大森山王 | 詳細不明(記事内で具体的理由の記載なし) |
(出典: 日刊SPA!)
特に中目黒は、2-3駅離れるだけでバストイレ別や広い部屋が手に入るため、コストパフォーマンスの観点から「住みたくない」と評価されています。
(2) ランキングの注意点:10年前のデータであり現在は状況が異なる可能性
重要な注意点として、このランキングは2015年のデータであり、約10年前の情報です。
不動産市場や街の状況は時間とともに変化するため、現在は以下のような変化が考えられます。
- 大規模再開発により交通利便性が向上したエリア
- 治安対策の強化により犯罪率が低下したエリア
- 新しい商業施設の開業により利便性が向上したエリア
街選びの際は、最新の情報を確認することが重要です。公的機関のデータや、実際に現地を訪問して確認することをおすすめします。
住みたくない街の特徴:治安・騒音・交通の3大要素
まいどなニュースの調査(男女500人対象)によると、「住みたくない街」の特徴は以下の通りです。
(1) 治安の悪さ(275人が回答):犯罪率の確認方法
治安の悪さは住みたくない街の特徴として最も多く挙げられました(275人が回答)。
治安の良し悪しは、警察の犯罪統計データで客観的に確認できます。
東京23区の犯罪率比較(2022年時点)
| 区 | 特徴 |
|---|---|
| 新宿区 | 東京23区内で犯罪率が最も高い。新宿駅周辺で約2,500件の犯罪が発生 |
| 文京区 | 東京23区内で犯罪率が最も低い |
| 六本木(港区) | 2022年に暴行事件103件発生 |
(出典: 警察統計データ)
確認方法:
- 警視庁の「犯罪情報マップ」で市区町村別・駅別の犯罪件数を確認
- 自治体の防犯情報サイトで最新の犯罪発生状況を確認
(2) 騒音問題(169人が回答):駅周辺・繁華街の騒音
騒音問題は2番目に多い理由です(169人が回答)。
駅周辺や繁華街では、以下のような騒音が発生する可能性があります。
- 電車の走行音・発車音
- 飲食店・カラオケ店からの騒音
- 深夜の人通りによる話し声
確認方法:
- 平日・休日の異なる時間帯に現地を訪問
- 特に夜間(21時以降)の騒音レベルを確認
- 物件の窓の防音性能(二重サッシ等)を確認
(3) 交通の便の悪さ(113人が回答):通勤時間と停車駅の確認
交通の便の悪さは3番目に多い理由です(113人が回答)。
通勤時間や停車駅の種類は、長期的な生活の質に大きく影響します。
よくある失敗例:
- 最寄り駅が各駅停車のみで、通勤時間が想定より長かった
- 乗り換えが多く、朝のラッシュ時に座れない
- 終電が早く、残業後の帰宅に不便
確認方法:
- 通勤経路を実際にシミュレーション(朝のラッシュ時に試乗)
- 急行・特急の停車駅かどうかを確認
- 複数の路線が利用可能かどうかを確認
(4) コストパフォーマンスの悪さ:家賃・物件価格と利便性のバランス
人気エリアでも、コストパフォーマンスが悪い場合があります。
中目黒の例では、1K20平米で9-10万円という家賃に対して、2-3駅離れるだけでバストイレ別や広い部屋が手に入るため、コストパフォーマンスが悪いと評価されました。
確認方法:
- 周辺2-3駅の物件と家賃・広さを比較
- 生活に必要な施設(スーパー、病院、学校等)へのアクセスを確認
- 将来の資産価値(再開発計画等)も考慮
街選びで確認すべき公的データ:犯罪統計・ハザードマップ・都市計画
客観的なデータに基づいて街を評価することで、後悔のない選択ができます。
(1) 警察の犯罪統計データ:東京23区の犯罪率比較
警察の犯罪統計データは、治安を客観的に評価する最も信頼性の高い情報源です。
確認できる情報:
- 市区町村別・駅別の犯罪件数
- 犯罪の種類(窃盗、暴行、詐欺等)
- 時間帯別の犯罪発生状況
確認方法:
- 警視庁「犯罪情報マップ」で検索
- 自治体の防犯情報サイトで最新情報を確認
(2) 国土交通省のハザードマップ:洪水・地震リスクの確認
ハザードマップは、自然災害のリスクを確認できる重要なツールです。
確認できる情報:
- 洪水浸水想定区域
- 土砂災害警戒区域
- 地震の揺れやすさ・液状化リスク
確認方法:
- 国土交通省「ハザードマップポータルサイト」で検索
- 自治体の防災マップで詳細を確認
(3) 自治体の都市計画情報:将来の再開発計画
将来の再開発計画は、資産価値の上昇や生活利便性の向上につながる可能性があります。
確認できる情報:
- 大規模再開発プロジェクト
- 新駅・新路線の開業予定
- 商業施設・公共施設の建設計画
確認方法:
- 自治体の都市計画課で公開されている資料を確認
- 不動産会社に問い合わせ
不動産購入の失敗事例:70人の後悔ポイントから学ぶ
SUUMOの調査によると、不動産購入者70人の失敗事例から、以下のような後悔ポイントが明らかになっています。
(1) 交通アクセスの失敗:各駅停車のみの駅で通勤時間が延びた
最寄り駅が各駅停車のみで、想定より通勤時間が長くなった失敗例が多く報告されています。
失敗例:
- 路線図上は都心まで30分だが、各駅停車のみで実際は50分かかった
- 乗り換えが多く、朝のラッシュ時に座れない
対策:
- 実際に通勤経路をシミュレーション(朝のラッシュ時に試乗)
- 急行・特急の停車駅かどうかを確認
- 将来的に年齢を重ねても持続可能な通勤時間か検討
(2) 周辺環境の確認不足:近隣スーパーが高級志向で買い物に苦労
近隣の商業施設が自分の生活スタイルに合わず、買い物に苦労した事例も報告されています。
失敗例:
- 近隣スーパーが高級志向で、日常の買い物に予算オーバー
- コンビニしかなく、食材の買い出しに不便
対策:
- 徒歩圏内(10分以内)のスーパー・コンビニを確認
- 価格帯が自分の予算に合っているかを確認
- 子育て世帯は保育園・学校・公園の有無も確認
(3) 内見の重要性:平均5件以上、多い人は20件以上見る
物件探しは平均5件以上内見するのが一般的で、多い人は20件以上見ます。
焦らず複数物件を比較することが、失敗を防ぐ重要なポイントです。
内見時の確認ポイント:
- 日当たり・風通し
- 収納スペースの広さ
- 水回り(キッチン、バス、トイレ)の使い勝手
- 騒音レベル(窓を開けた状態で確認)
- 周辺環境(駅までの道のり、商業施設、治安)
資産価値が上がる街の見極め方:2025年以降の再開発エリア
大規模再開発エリアは、資産価値の上昇が見込まれる可能性があります。
(1) 高輪ゲートウェイシティ(2025年3月開業)
高輪ゲートウェイシティは、2025年3月27日開業予定の大規模複合施設です。
JR山手線・京浜東北線の高輪ゲートウェイ駅周辺に、オフィス・商業施設・住宅が一体となった開発が進行中です。
期待される効果:
- 駅周辺の利便性向上
- 新規雇用の創出
- 周辺地域の資産価値上昇
(2) ララポート川口(2025年5月開業)
ララポート川口は、2025年5月開業予定の大型商業施設です。
埼玉県川口市に開業予定で、周辺地域の買い物利便性が大きく向上することが期待されています。
期待される効果:
- 買い物利便性の向上
- ファミリー層の流入
- 周辺地域の資産価値上昇
(3) 大規模再開発エリアが資産価値に与える影響
大規模再開発は、以下のような形で資産価値に影響を与える可能性があります。
- 交通利便性の向上(新駅・新路線の開業)
- 商業施設の充実(買い物・飲食の選択肢増加)
- 雇用の創出(企業オフィスの集積)
- 地域のブランド力向上
ただし、再開発が必ずしも資産価値上昇につながるとは限りません。周辺の競合物件や市場動向も考慮する必要があります。
まとめ:失敗しない街選びの5つのステップ
住みたくない街の特徴は、治安の悪さ、騒音問題、交通の便の悪さが上位を占めます。これらは客観的なデータ(犯罪統計、ハザードマップ、都市計画情報)で確認可能です。
不動産購入者の失敗事例からは、交通アクセスや周辺環境の確認不足が多いことがわかります。内見は平均5件以上、多い人は20件以上見るのが一般的です。
失敗しない街選びの5つのステップは以下の通りです。
- 公的データで客観的に評価(犯罪統計、ハザードマップ)
- 複数の時間帯に現地を訪問(平日・休日、昼・夜)
- 通勤経路を実際にシミュレーション(朝のラッシュ時に試乗)
- 複数物件を比較(5件以上内見)
- 将来の生活を見据えた検討(年齢を重ねても持続可能か、子育て環境は整っているか)
不動産会社や宅地建物取引士に相談しながら、納得のいく街選びを進めましょう。
