住友不動産「新築そっくりさん」が築古戸建て所有者に選ばれる理由
築30年以上の戸建てにお住まいの方の中には、「建て替えか、リフォームか」で迷っている方も多いのではないでしょうか。建て替えには数千万円の費用がかかる一方、部分リフォームでは根本的な問題を解決できないというジレンマがあります。
この記事では、住友不動産が提供するフルリフォームサービス「新築そっくりさん」の仕組み、費用相場、メリット・デメリット、利用者の評判、他社サービスとの比較を解説します。
建て替えとフルリフォームのどちらを選ぶべきか、判断材料となる情報を公平に提供します。複数のリフォーム会社から相見積もりを取り、比較検討することを推奨します。
この記事のポイント
- 新築そっくりさんは1996年開始、累計18万件以上の施工実績を持つフルリフォームサービス
- 30坪戸建てで1,200万円~1,700万円が目安で、建て替えの約50~70%の費用で済む
- 完全定価制で契約後の追加費用なし(顧客からの変更依頼がない限り)
- SUUMO平均評価4.2/5点だが、費用の高さや対応品質のバラツキへの指摘もある
- 複数社から相見積もりを取り、価格・サービス内容を比較することが重要
新築そっくりさんとは:サービス内容と実績
(1) フルリフォーム(スケルトンリフォーム)の定義
新築そっくりさんとは、住友不動産グループが提供するフルリフォームサービスのブランド名です。
フルリフォームとは、家全体を対象とした大規模な改修工事のことです。特に、床・壁・天井をすべて取り払い、躯体(構造体)のみを残して再構築するスケルトンリフォームが中心となります。
新築そっくりさんでは、以下のような工事を行います。
- 躯体(柱・梁・基礎)以外をすべて解体
- 耐震診断に基づく構造補強
- 断熱材の入れ替えによる断熱性能向上
- 配管・配線の全面更新
- 内装・設備の一新
仕上がりは新築住宅と見た目がほぼ変わらない状態になるため、「新築そっくり」という名前が付けられています。
(2) 1996年開始・累計18万件以上の施工実績
新築そっくりさんは、住友不動産が1996年にサービスを開始し、2024年時点で累計18万件以上の施工実績を持つ大手サービスです。
2024年6月には、日本不動産学会業績賞「国土交通大臣賞」を受賞しており、既存住宅ストックの課題解決への貢献が評価されています。
(3) 戸建て・マンション両対応のサービス範囲
新築そっくりさんは、戸建て住宅だけでなく、マンションのフルリフォームにも対応しています。
住友不動産は、マンションリフォーム売上高で6年連続No.1の実績を持ち、マンションリフォームの分野でも高い評価を得ています。
新築そっくりさんの3つの特徴:完全定価制・耐震・断熱
(1) 完全定価制で追加費用なし(契約後の安心感)
新築そっくりさんの最大の特徴の一つが、完全定価制です。
完全定価制とは、契約時に確定した金額から追加費用が発生しない価格設定方式のことです(顧客からの変更依頼がない限り)。
多くのリフォーム会社では、工事が進むにつれて「予想以上に劣化していた」「追加工事が必要」といった理由で追加費用が発生することがあります。しかし、新築そっくりさんでは、契約後に追加費用が発生しないため、予算管理がしやすいというメリットがあります。
ただし、この完全定価制には以下の注意点もあります。
- 初期費用が他社と比較して高めに設定されている可能性がある
- 値引き交渉の余地がほとんどない
(2) 耐震診断に基づく構造補強で国の安全基準を満たす
新築そっくりさんでは、耐震診断を実施し、その結果に基づいて構造補強を行います。
築30年以上の戸建ては、現在の耐震基準(2000年基準)を満たしていない場合が多く、地震に対する不安を抱えている方も少なくありません。
フルリフォームでは、柱・梁・基礎などの躯体を補強することで、国の安全基準を満たす耐震性能を実現できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 耐震診断 | 建物の耐震性能を調査・評価 |
| 構造補強 | 診断結果に基づき、柱・梁・基礎を補強 |
| 耐震基準 | 2000年基準に適合する耐震性能を実現 |
(3) 高断熱リフォームで新築の省エネ基準レベルを実現
2021年から、新築そっくりさんでは高断熱リフォームプランを提供しています。
これは、断熱材を入れ替えることで、断熱性能を新築の省エネ基準レベルまで高めるリフォームです。
断熱性能が向上すると、以下のようなメリットがあります。
- 冷暖房費の削減(光熱費の節約)
- 室内の温度差が小さくなり、ヒートショックのリスク軽減
- 結露・カビの発生を抑制
特に、築古の戸建ては断熱性能が低いことが多く、高断熱リフォームにより快適性が大きく向上します。
費用相場と建て替えとの比較
(1) 30坪戸建てで1,200万円~1,700万円が目安
新築そっくりさんの費用相場は、公式サイトによると、30坪の戸建てで1,200万円~1,700万円が目安とされています。
ただし、以下の要因により費用は大きく変動します。
- 建物の状態(劣化の程度、躯体の状態)
- 設備のグレード(キッチン、浴室、トイレ等)
- 間取り変更の有無
- 耐震補強の必要性
実際には、2,000万円を超えるケースもあるため、個別の見積もりが必須です。
(2) 建て替えの約50~70%の費用で済む理由
新築そっくりさんのフルリフォームは、建て替えの約50~70%の費用で済むとされています。
建て替えと比較して費用を抑えられる理由は以下の通りです。
| 項目 | フルリフォーム | 建て替え |
|---|---|---|
| 解体費用 | 内装のみ解体 | 建物全体を解体(高額) |
| 基礎工事 | 既存の基礎を活用 | 新たに基礎工事が必要 |
| 登記費用 | 不要 | 所有権保存登記等が必要 |
| 建築確認申請 | 不要な場合が多い | 必要 |
| 仮住まい費用 | 3~6ヶ月分 | 6~10ヶ月分 |
建て替えには、解体費用、新たな基礎工事、登記費用などが加わるため、30坪の戸建てで2,500万円~3,500万円程度が一般的です。
(3) 固定資産税・登記費用の違い
フルリフォームと建て替えでは、固定資産税や登記費用にも違いがあります。
フルリフォームの場合:
- 固定資産税の評価額は基本的に変わらない(大幅増税なし)
- 登記変更は不要
建て替えの場合:
- 新築住宅として固定資産税が再評価される(評価額が上がる可能性)
- 所有権保存登記、表題登記などの費用が必要(数十万円)
フルリフォームでは、固定資産税の評価額が大きく変わらないため、建て替えと比較して税負担を抑えられる場合があります。
利用者の評判と注意すべきポイント
(1) SUUMO平均評価4.2/5点:マナー・時間厳守が高評価
SUUMOに掲載されている新築そっくりさんの利用者レビューでは、平均評価4.2/5点(213件のレビュー)となっています。
特に評価が高い項目は以下の通りです。
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| マナー・態度 | 4.5/5点 |
| 約束・時間厳守 | 4.5/5点 |
| 提案力 | 4.2/5点 |
| 仕上がり | 4.3/5点 |
大手企業ならではの接客品質や、工期管理の正確さが評価されています。
(2) 費用の高さと値引き交渉の余地がない点
一方で、利用者からの不満として多く挙げられているのが、費用の高さと値引き交渉の余地がない点です。
口コミの例:
- 「他社と比較して100万円以上高かった」
- 「値引きをお願いしたが、完全定価制のため一切応じてもらえなかった」
- 「小規模工事は割高に感じた」
新築そっくりさんは、完全定価制により契約後の追加費用が発生しない安心感がある一方、初期費用が他社よりも高めに設定されている傾向があります。
(3) 担当者による対応品質のバラツキと相見積もりの重要性
また、担当者による対応品質のバラツキを指摘する口コミも見られます。
口コミの例:
- 「担当者の提案力が素晴らしかった」(高評価)
- 「担当者の対応が悪く、連絡が遅かった」(低評価)
- 「工期が予定よりも遅延した」(低評価)
大手企業であっても、担当者の経験や対応力により満足度が変わることがあります。
相見積もりの重要性:
新築そっくりさんに限らず、リフォームは高額な買い物です。複数のリフォーム会社から相見積もりを取り、価格・サービス内容・担当者の対応を比較することを強く推奨します。
相見積もりを取ることで、以下のメリットがあります。
- 費用相場を把握できる
- 各社の提案力を比較できる
- 自分に合った担当者を見つけられる
- 価格交渉の材料になる
まとめ:新築そっくりさんを選ぶべき人と次のアクション
(1) 大規模フルリフォームで予算重視の人に適している
新築そっくりさんは、以下のような方に適しています。
- 築30年以上の戸建てを所有しており、全面的なリフォームを検討している
- 建て替えの費用(2,500万円~3,500万円)を抑えたい
- 契約後の追加費用を避け、予算を明確にしたい
- 大手企業の信頼性と施工実績を重視する
- 耐震性能や断熱性能を新築レベルまで高めたい
一方、以下のような方には他の選択肢も検討する価値があります。
- 小規模なリフォーム(キッチンのみ、浴室のみ等)を検討している → 専門業者の方が割安な場合がある
- 費用を最優先で抑えたい → 複数社から相見積もりを取り、価格比較を推奨
- 間取りを大幅に変更したい → 建て替えの方が自由度が高い場合がある
(2) 複数社から相見積もりを取ることを推奨
新築そっくりさんは実績豊富な大手サービスですが、費用は他社と比較して高めの傾向があります。
必ず以下のステップを踏むことを推奨します。
- 複数のリフォーム会社から相見積もりを取る(最低3社以上)
- 各社の提案内容・費用・保証内容を比較する
- 担当者の対応力・提案力を見極める
- 口コミ・評判を確認する(SUUMOやリショップナビ等)
- 現地調査と詳細見積もりを依頼する
特に、地域密着型のリフォーム会社や、他の大手リフォーム会社(ミサワリフォーム、パナソニックリフォーム等)とも比較することで、最適な選択ができます。
(3) 2025年4月の建築基準法改正への対応
2025年4月には、建築基準法の改正により「4号特例」が縮小されます。
4号特例とは、小規模建築物の確認申請を簡略化する制度です。改正後は、リフォーム工事でも確認申請が必要なケースが増える可能性があります。
新築そっくりさんでは、この法改正に対応した施工体制を整えており、2025年4月1日には新設子会社「住友不動産ハウジング株式会社」へ事業を承継する予定です。
法改正の影響については、見積もり時に担当者へ確認することを推奨します。
次のアクション:
- 新築そっくりさんの公式サイトで資料請求・無料相談を申し込む
- 他のリフォーム会社にも問い合わせ、相見積もりを取る
- 建て替えの費用も調べ、比較検討する
- 建築士やリフォームアドバイザーに相談し、専門家の意見を聞く
フルリフォームは大きな決断です。焦らず、複数の選択肢を比較しながら、最適な方法を見つけてください。
