店舗の固定資産税について知る前に|基本知識
店舗を所有または購入を検討している方の中には、「固定資産税がどのくらいかかるのか」「住宅と比べて税負担はどう違うのか」と不安に感じる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、店舗の固定資産税の仕組み、計算方法、住宅用地との違い、軽減措置の活用方法を、総務省の公式情報を元に解説します。
店舗所有者や購入検討者が、固定資産税の負担を正確に把握し、軽減措置を活用できるようになります。
この記事のポイント
- 固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課税、税額は課税標準額×1.4%(標準税率)で計算
- 店舗専用の場合は住宅用地の特例(1/6・1/3軽減)を受けられず、2000万円の評価額で28万円の税額(約6倍の負担)
- 店舗兼住宅で居住部分が1/2以上あれば新築から3年間は固定資産税が1/2に減額(120㎡部分まで)
- 賃貸テナントの場合、借主は建物・土地の固定資産税を納める必要なし、ただし償却資産(10万円以上の機械・備品等)は納税義務あり
- 住宅から店舗へ用途変更すると「住宅用地の特例」が対象外となり、土地の固定資産税が約6倍に増加
店舗の固定資産税の仕組みと計算方法
店舗の固定資産税は、住宅と同じ仕組みで課税されますが、軽減措置の有無により税額が大きく異なります。
(1) 固定資産税の基本(毎年1月1日時点の所有者に課税)
固定資産税は、毎年1月1日時点で土地や建物、償却資産を所有している人に対して市町村が課税する税金です。納税時期は年4回(4月、7月、12月、2月等、自治体により異なる)が一般的です。
総務省によると、固定資産税の標準税率は1.4%ですが、自治体により異なる場合があります。
(2) 計算方法(課税標準額×1.4%)
固定資産税の計算方法は以下の通りです。
固定資産税 = 課税標準額 × 1.4%(標準税率)
課税標準額とは、固定資産税評価額を元に算出される税額の基準となる額です。住宅用地の場合は特例により軽減されますが、店舗専用の場合は軽減されません。
(3) 店舗専用の場合の税額例(2000万円の評価額で28万円)
店舗専用の場合の税額例は以下の通りです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 固定資産税評価額 | 2,000万円 |
| 課税標準額 | 2,000万円(特例なし) |
| 固定資産税 | 28万円(2,000万円 × 1.4%) |
住宅用地の場合は特例により課税標準額が1/6に軽減されるため、同じ2,000万円の評価額でも税額は約4.7万円になります。店舗専用の場合は約6倍の税負担になります。
店舗と住宅用地の固定資産税の違い
店舗と住宅用地の固定資産税の最大の違いは、「住宅用地の特例」の有無です。
(1) 住宅用地の特例(1/6・1/3軽減)とは
住宅用地の特例とは、小規模住宅用地(200㎡以下)は課税標準額×1/6、一般住宅用地(200㎡超)は課税標準額×1/3に軽減される特例です。
| 区分 | 軽減率 | 対象 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 1/6 | 200㎡以下の住宅用地 |
| 一般住宅用地 | 1/3 | 200㎡超の住宅用地 |
この特例により、住宅用地の固定資産税は大幅に軽減されます。
(2) 店舗専用の場合は特例なし(税額が約6倍)
店舗専用の場合は住宅用地の特例(1/6・1/3軽減)を受けられず、税額が通常の住宅の約6倍になります。
税額の比較例(評価額2,000万円、200㎡以下の土地の場合):
| 用途 | 課税標準額 | 固定資産税 |
|---|---|---|
| 住宅用地 | 333万円(2,000万円 × 1/6) | 4.7万円 |
| 店舗専用 | 2,000万円 | 28万円 |
店舗専用の場合は住宅用地の約6倍の税負担になるため、店舗兼住宅にすることで税負担を抑えることができます。
(3) 用途変更時の注意点(住宅→店舗で特例対象外)
住宅を店舗に用途変更すると、「住宅用地の特例」が対象外となり、土地の固定資産税が約6倍に増加します。また、家屋の減価率も修正され、評価額に影響する可能性があります。
用途変更を検討する際は、事前に専門家(税理士、宅建士)に相談することを推奨します。
店舗兼住宅の固定資産税|軽減措置の活用
店舗兼住宅の場合、居住部分の割合により軽減措置を受けられます。
(1) 居住部分1/4以上で住宅用地の特例
M-LINEによると、店舗兼住宅で居住部分が最低1/4以上あれば、住宅用地の特例(1/6・1/3軽減)を受けられます。
特例の適用条件:
- 居住部分が最低1/4以上: 住宅用地の特例が適用される
- 居住部分が2分の1以上: 土地全体が住宅用地扱い(1.0率適用)
(2) 新築から3年間は1/2減額(120㎡部分まで)
新築から3年間(認定長期優良住宅は5年間)、居住部分120㎡部分まで固定資産税が1/2に減額される制度があります。
減額措置の条件:
- 居住部分が1/2以上
- 新築から3年間(認定長期優良住宅は5年間)
- 120㎡部分まで1/2減額
この制度を活用することで、新築の店舗兼住宅の税負担を大幅に抑えられます。
(3) 居住部分2分の1以上で土地全体が住宅用地扱い
居住部分が2分の1以上の場合、土地全体が住宅用地扱いになり、小規模住宅用地(200㎡以下)は1/6、一般住宅用地(200㎡超)は1/3に軽減されます。
税額の比較例(評価額2,000万円、200㎡以下の土地、居住部分2分の1以上の場合):
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 課税標準額 | 333万円(2,000万円 × 1/6) |
| 固定資産税 | 4.7万円 |
店舗兼住宅にすることで、店舗専用の場合(28万円)と比較して大幅に税負担を抑えられます。
賃貸テナントの固定資産税と償却資産
賃貸テナントの場合、固定資産税の納税義務は原則として大家にあります。
(1) 賃貸テナントは建物・土地の納税義務なし
タダリザーブによると、賃貸テナントの借主は建物・土地の固定資産税を納める必要がありません。建物・土地の固定資産税は大家が納税します。
(2) 償却資産(10万円以上の機械・備品等)は借主も納税義務あり
ただし、償却資産(事業に用いる土地や建物以外の資産で、10万円以上の構築物、機械、器具、備品等)は借主も納税義務があります。
償却資産の例:
- 照明・ガス配管・給排水設備(家屋評価に含まれる場合と償却資産として申告する場合がある)
- 受変電設備・備品・外構設備(償却資産として申告必要)
- 飲食店や商店の厨房機器、什器備品等
償却資産の申告は税務署への申告とは別に市への申告が必須です(2024年)。
(3) 免税点(土地30万円未満、家屋20万円未満、償却資産150万円未満)
固定資産税が免除される免税点の基準は以下の通りです。
| 資産種別 | 免税点 |
|---|---|
| 土地 | 30万円未満 |
| 家屋 | 20万円未満 |
| 償却資産 | 150万円未満 |
店舗のみの場合は住宅用地の特例(1/6・1/3軽減)を受けられず税額が高くなるため、免税点に達することは少ないです。
まとめ:店舗の固定資産税負担を抑えるために
店舗の固定資産税は、評価額×1.4%(標準税率)で計算されます。店舗専用の場合は住宅用地の特例(1/6・1/3軽減)を受けられず、2000万円の評価額で28万円の税額(約6倍の負担)になります。
店舗兼住宅の場合、居住部分が1/2以上で新築から3年間は1/2減額(120㎡部分まで)、土地は居住部分が最低1/4以上で住宅用地の特例、2分の1以上なら土地全体が住宅用地扱いになります。
賃貸テナントの借主は建物・土地の固定資産税を納める必要はありませんが、償却資産(10万円以上の機械・備品等)は納税義務があります。住宅から店舗へ用途変更すると「住宅用地の特例」が対象外となり、土地の固定資産税が約6倍に増加するため、用途変更前に専門家(税理士、宅建士)への相談を推奨します。


