引き戸建具の種類と選び方:リフォーム時のポイント

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/2

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引き戸建具とは何か

住宅の新築やリフォームで「建具をどうするか」を考える際、引き戸にするか開き戸にするかで悩む方は少なくありません。

この記事では、引き戸建具の種類、メリット・デメリット、リフォーム費用、選び方のポイント、メンテナンス方法を、建具メーカーや業界団体の情報を元に解説します。

部屋の用途や間取りに応じた最適な建具選びができるようになります。

この記事のポイント

  • 引き戸は代表的な4種類(片引戸、引違戸、引分戸、引き込み戸)に分類され、部屋の用途や間取りに応じて選ぶ
  • 室内用引き戸のリフォーム費用は総額10-50万円程度、一般的には20-30万円が相場
  • 引き戸は開き戸と比べてバリアフリー・省スペース・開放感が利点、ただし気密性・遮音性は開き戸より劣る
  • 上吊りタイプの引き戸は段差がなくバリアフリーに最適で、車椅子利用や高齢者のいる家庭に推奨
  • 月1回のレール清掃とシリコンスプレー塗布で、引き戸の滑りを良好に保てる

引き戸建具とは何か(開き戸との違い)

引き戸建具の基本的な特徴と、開き戸との違いを解説します。

引き戸の基本的な仕組み(横方向にスライド)

DAIKENによると、引き戸は横方向にスライドして開閉する建具です。

レールの上を戸車が滑ることで、スムーズに開け閉めできる仕組みになっています。

開き戸との違い(前後に開閉 vs 横にスライド)

引き戸と開き戸の最大の違いは、開閉方向です。

項目 引き戸 開き戸
開閉方向 横にスライド 前後に開閉
省スペース性 ◎(廊下に飛び出さない) △(開閉スペースが必要)
バリアフリー ◎(上吊りタイプは段差なし) △(敷居の段差あり)
気密性・遮音性 △(隙間ができやすい) ◎(密閉度が高い)
メンテナンス レール清掃が必要 蝶番の調整が必要

引き戸は横にスライドするため、廊下に飛び出さず、省スペースで使えるのが特徴です。

引き戸が適している場所と用途

引き戸は以下のような場所・用途に適しています。

  • リビング・ダイニング: 大きく開けて開放感を演出
  • トイレ・洗面所: 狭い空間でも開閉しやすい
  • バリアフリー対応: 車椅子利用、高齢者、小さな子どもがいる家庭
  • 間仕切り: 部屋を仕切ったり、開放したりできる

一方、寝室や防音が必要な部屋では、気密性・遮音性の高い開き戸の方が適している場合もあります。

引き戸の種類(4種類+レール3タイプ)

引き戸は、戸の枚数や動き方により4種類に、レールの取り付け位置により3タイプに分類されます。

片引戸(1枚の戸を片側にスライド)

片引戸は、1枚の戸を片側方向にスライドさせる最もシンプルな引き戸です。

開口部の片側に戸袋や壁のスペースが必要ですが、構造がシンプルで費用も抑えられます。

トイレや洗面所など、比較的狭い開口部に適しています。

引違戸(2枚の戸を左右に行き違わせる)

引違戸は、2枚の戸を左右に行き違わせて開閉する引き戸です。

和室の襖や、クローゼットの扉に多く採用されています。

2枚の戸が重なるため、開口部の半分しか開けられませんが、両側から開閉できる利便性があります。

引分戸(2枚の戸を中央から両側にスライド)

引分戸は、2枚の戸を中央から両側にスライドさせる引き戸です。

開口部を全開にできるため、リビングやダイニングの間仕切りに適しています。

開放感が最も高いタイプですが、両側に戸を収納するスペースが必要です。

引き込み戸(壁内の戸袋に収納)

引き込み戸(ポケット戸)は、壁内の戸袋に戸を完全に収納できる引き戸です。

戸を開けた際に戸が見えなくなるため、すっきりとした空間を作れます。

ただし、壁内に戸袋を設置するため、新築時やスケルトンリフォーム時でないと導入が難しい場合があります。

レールのタイプ(下部レール・上吊り・アウトセット)

レールの取り付け位置により、引き戸は3タイプに分類されます。

下部レールタイプ:

  • 床面のレール上を戸車で滑らせる従来方式
  • 構造がシンプルで費用が安い
  • 床に段差ができる(バリアフリーには不向き)

上吊りタイプ:

  • 上部のレールで戸を吊り下げる方式
  • 床に段差がなくバリアフリーに最適
  • 費用は下部レールより高め

アウトセットタイプ:

  • 壁の外側にレールを設置し、戸を壁面の前にスライド
  • 既存の開き戸を引き戸に変更する際に便利
  • デザイン性が高い

引き戸のメリット・デメリット

引き戸の主なメリット・デメリットを解説します。

メリット①:バリアフリー(上吊りタイプは段差なし)

上吊りタイプの引き戸は、床に段差がないためバリアフリーに最適です。

車椅子利用者、高齢者、小さな子どもがいる家庭では、つまずきのリスクを軽減できます。

メリット②:省スペース(廊下に飛び出さない)

引き戸は横にスライドするため、開き戸のように廊下に飛び出しません。

狭い廊下や、開閉スペースを確保しにくい場所でも使いやすいのが特徴です。

メリット③:開放感(大きく開けられる)

引分戸や片引戸は、開口部を大きく開けられるため、開放感があります。

リビングとダイニングの間仕切りとして使えば、広々とした空間を演出できます。

デメリット①:気密性・遮音性が開き戸より劣る

引き戸は、戸と枠の間に隙間ができやすく、気密性・遮音性が開き戸より劣ります。

寝室や防音が必要な部屋では、開き戸の方が適している場合があります。

デメリット②:レールのメンテナンスが必要

引き戸のレールには、ゴミやホコリが溜まりやすく、定期的な清掃が必要です。

レールが汚れると戸車が劣化し、滑りが悪くなるため、月1回程度の清掃が推奨されます。

引き戸リフォームの費用相場と選び方のポイント

引き戸リフォームの費用相場と、部屋の用途に応じた選び方を解説します。

費用相場(総額10-50万円、一般的に20-30万円)

引き戸リフォームの費用は、総額10-50万円程度が目安です。

一般的なリフォームでは20-30万円が相場となります。

開き戸から引き戸への変更は、枠の作り直しが必要な場合が多く、費用が高くなる傾向にあります。

室内用引き戸本体価格(1-5万円)

中尾製作所によると、室内用引き戸の本体価格は1-5万円が相場です。

素材やデザイン、機能(ソフトクローズ機能等)により価格が変動します。

施工費(1.5-3万円/箇所)

施工費は1箇所あたり1.5-3万円が相場です。

既存の引き戸を同じタイプに交換する場合は比較的安く、開き戸から引き戸への変更や、枠ごと交換する場合は高額になります。

部屋の用途に応じた選び方(寝室・リビング・トイレ等)

部屋の用途に応じて、最適な引き戸を選びましょう。

部屋 推奨タイプ 理由
リビング・ダイニング 引分戸 開放感、間仕切りとして利用
トイレ・洗面所 片引戸 省スペース、狭い場所でも使いやすい
寝室 開き戸も検討 気密性・遮音性が必要な場合
バリアフリー対応 上吊りタイプ 段差がなく安全

バリアフリー対応の選択(上吊りタイプ)

バリアフリー対応を重視する場合は、上吊りタイプの引き戸を選びましょう。

床に段差がないため、車椅子利用者や高齢者でも安全に使えます。

2025年時点では、DAIKEN、LIXIL、YKK AP等の大手メーカーが上吊りタイプの引き戸を充実させています。

引き戸のメンテナンスと修理方法

引き戸を長く快適に使うためのメンテナンス方法と、不具合時の修理方法を解説します。

滑りが悪くなる原因(戸車の摩耗、レールのゴミ詰まり、潤滑不足)

DAIKENによると、引き戸の滑りが悪くなる主な原因は以下の3つです。

  • 戸車の摩耗: 長期間使用すると戸車が摩耗し、滑りが悪くなる
  • レールのゴミ詰まり: レールにゴミやホコリが溜まると、戸車が引っかかる
  • 潤滑不足: レールや戸車の潤滑が不足すると、摩擦が大きくなる

月1回のレール清掃とシリコンスプレー塗布

引き戸のメンテナンスは、月1回のレール清掃とシリコンスプレー塗布が推奨されます。

清掃手順:

  1. レールのゴミやホコリを掃除機で吸い取る
  2. 固く絞った布でレールを拭く
  3. レールと戸車にシリコンスプレーを塗布
  4. 引き戸を数回開閉して馴染ませる

シリコンスプレーは引き戸のレールや戸車に塗布する潤滑剤で、ホームセンターで購入できます。

戸車交換(1-3万円)とレール交換(1-2万円)

清掃・潤滑でも改善しない場合は、戸車やレールの交換を検討します。

  • 戸車交換: 1-3万円が相場(部品代+工賃)
  • レール交換: 1-2万円が相場(部品代+工賃)

DIYで交換する場合は、戸車・レールのサイズ・型番を正確に確認する必要があります。

DIYでできる修理と業者依頼が必要な修理の見極め

DIYでできる修理:

  • レール清掃・潤滑
  • 戸車交換(型番が分かる場合)
  • レール交換(型番が分かる場合)

業者依頼が必要な修理:

  • 戸の歪みや割れ
  • 枠の変形・破損
  • レールの設置位置の変更
  • 開き戸から引き戸への変更

歪みや割れがある建具はDIYでは修理困難なため、専門業者への依頼が必要です。

まとめ:引き戸建具を選ぶ際のポイント

引き戸建具は、4種類(片引戸、引違戸、引分戸、引き込み戸)とレール3タイプ(下部レール、上吊り、アウトセット)に分類され、部屋の用途や間取りに応じて選びます。

リフォーム費用は総額10-50万円程度、一般的には20-30万円が相場です。

引き戸はバリアフリー・省スペース・開放感が利点ですが、気密性・遮音性は開き戸より劣るため、用途に応じた選択が重要です。

月1回のレール清掃とシリコンスプレー塗布で、引き戸の滑りを良好に保ちましょう。具体的なリフォームを検討する際は、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。

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よくある質問

Q1引き戸にはどんな種類がありますか?

A1引き戸は代表的な4種類(片引戸、引違戸、引分戸、引き込み戸)があります。片引戸は1枚の戸を片側にスライド、引違戸は2枚の戸を左右に行き違わせます。また、レールの取り付け位置により下部レール・上吊り・アウトセットの3タイプに分類されます。上吊りタイプは床に段差がなくバリアフリーに最適です。

Q2引き戸のリフォーム費用はいくらですか?

A2引き戸リフォームの費用は総額10-50万円程度で、一般的には20-30万円が相場です。室内用引き戸の本体価格は1-5万円、施工費は1箇所あたり1.5-3万円が目安となります。枠ごと交換する場合や、開き戸から引き戸への変更は高額になる傾向があります。具体的な見積もりは複数業者に依頼することをおすすめします。

Q3引き戸と開き戸の違いは何ですか?

A3引き戸は横にスライドして開閉するのに対し、開き戸は前後に開閉します。引き戸はバリアフリー・省スペース・開放感が利点ですが、気密性・遮音性は開き戸より劣ります。狭い廊下やバリアフリー対応が必要な場所には引き戸が適していますが、寝室や防音が必要な部屋では開き戸の方が適している場合があります。

Q4引き戸の滑りが悪くなったらどうすればいいですか?

A4引き戸の滑りが悪くなる原因は、戸車の摩耗・レールのゴミ詰まり・潤滑不足が主です。月1回のレール清掃とシリコンスプレー塗布が効果的です。改善しない場合は、戸車交換(1-3万円)やレール交換(1-2万円)を検討しましょう。ゴミやホコリが戸車劣化の原因となるため、定期的なメンテナンスが重要です。

Q5引き戸はバリアフリーに適していますか?

A5上吊りタイプの引き戸は床に段差がなく、バリアフリーに最適です。車椅子利用者、高齢者、小さな子どもがいる家庭では、つまずきのリスクを軽減できます。2025年時点では、DAIKEN、LIXIL、YKK AP等の大手メーカーが上吊りタイプの引き戸を充実させており、バリアフリー対応の選択肢が豊富にあります。

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Room Match編集部

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