賃貸物件を扱う不動産屋の選び方と部屋探しのコツ

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/21

賃貸物件を扱う不動産屋の種類と特徴

賃貸物件を探す際、不動産屋選びは部屋探しの成否を左右する重要な要素です。全国には約47,000の賃貸不動産会社が存在し、それぞれ異なる特徴とサービスを提供しています。

不動産屋の種類と仕組みを理解することで、自分に合った会社を見つけやすくなります。

この記事のポイント

  • 全国の不動産屋はレインズを通じてほぼ同じ物件を紹介できる仕組み
  • 営業時間が長い(夜8時まで)不動産屋なら、仕事後でも内見が可能
  • 免許更新回数が2回以上の業者は営業年数が長く、安定性が高い
  • 初期費用は家賃4~6ヶ月分が必要(仲介手数料・敷金・礼金・保証会社費用・火災保険等)
  • 保証会社費用が50%を超える場合は不要な費用が含まれている可能性あり

(1) 仲介会社と管理会社の違い

不動産会社には、「仲介会社」と「管理会社」の2つの役割があります。

仲介会社:

  • 借主と貸主(大家さん)を仲介
  • 物件探しから契約までをサポート
  • 仲介手数料を受け取る

管理会社:

  • 大家さんに代わって入居者の募集や物件のメンテナンスを実施
  • 家賃回収、トラブル対応を担当
  • 管理手数料を大家さんから受け取る

多くの不動産会社は、仲介と管理の両方を手掛けています。仲介と管理の両立する業者は、大家さんとの直接つながりがあり、交渉がスムーズに進む可能性があります。

(2) 大手チェーン・地域密着型・ネット専業の比較

賃貸不動産会社は、大きく3つのタイプに分けられます。

タイプ メリット デメリット
大手チェーン 全国展開で物件数が多い、サービスが標準化されている 地域特有の情報に弱い場合がある
地域密着型 地域の物件・大家さんとの関係が深い、融通が利く 物件情報が限定される場合がある
ネット専業 仲介手数料が安い、24時間ネット対応 対面サポートが少ない、内見同行が限定的

どのタイプが良いかは、個人のニーズによります。初めての部屋探しなら対面サポートが手厚い大手チェーンや地域密着型、コストを抑えたいならネット専業が適しています。

(3) レインズの仕組みと物件情報の共有

レインズ(REINS)は、不動産屋専用の物件情報交換システムです。ほとんどの不動産屋がレインズを利用しており、どこの不動産屋でもほぼ同じ物件を紹介できる仕組みになっています。

このため、「どこの不動産屋で探すか」よりも、「どの不動産屋が信頼できるか」「どのサービスが自分に合うか」が重要になります。

ただし、管理会社が直接募集する物件や、特定の仲介会社のみが扱う物件もあるため、複数社の比較検討を推奨します。

良い不動産屋の選び方:7つのチェックポイント

良い不動産屋を選ぶためには、以下の7つのポイントをチェックしましょう。

(1) 営業時間・定休日(夜8時まで営業が便利)

営業時間が長い(夜8時まで)不動産屋なら、仕事後でも内見や相談が可能です。定休日がない業者は、土日祝日でも対応してくれるため、スケジュール調整がしやすくなります。

チェックポイント:

  • 営業時間: 夜8時まで営業しているか
  • 定休日: 年中無休または土日祝日対応か

(2) 宅建免許の更新回数(2回以上が安定性の目安)

宅地建物取引業免許は5年ごとに更新されます。免許番号に記載されている更新回数(カッコ内の数字)が2回以上の業者は、営業年数が10年以上で安定性が高いと言えます。

免許番号の見方:

  • 「東京都知事(3)第12345号」→ 更新回数3回、営業年数15年以上
  • 「国土交通大臣(1)第12345号」→ 更新回数1回、営業年数5年以上

(3) 仲介と管理の両立(大家との直接つながり)

仲介と管理の両方を手掛ける業者は、大家さんとの直接つながりがあり、以下のメリットがあります。

  • 交渉がスムーズに進む
  • 物件の詳細情報を把握している
  • 入居後のトラブル対応が迅速

(4) ネット口コミと顧客満足度

ネット上の口コミやオリコン顧客満足度調査を参考にしましょう。ただし、口コミは個人の主観が入るため、参考程度にとどめ、最終的には自分の目で確認することが重要です。

避けるべき業者の特徴:

  • 強引な営業をする
  • 説明が不十分
  • スタッフの対応が悪い
  • 見積もりに不要な費用が含まれる

賃貸契約の流れとスケジュール

賃貸契約は、以下の7ステップで進みます。

(1) 物件検索から問い合わせ(2週間~3ヶ月)

お部屋探しにかかる期間は、2週間~3ヶ月程度です。4月入居を目指す場合は2月頃から不動産会社に相談するのが目安です。

手順:

  1. 希望条件を整理(エリア、家賃、間取り、設備等)
  2. ネットで物件検索
  3. 不動産会社に問い合わせ

(2) 内見のタイミングと準備

内見は、契約前に実際の物件を確認する重要なステップです。内見時には、以下をチェックしましょう。

内見のチェックリスト:

  • 日当たり(南向き、東向きが人気)
  • 騒音(道路、隣室、上階の音)
  • 設備(エアコン、給湯器、コンロ等)
  • 水回り(キッチン、浴室、トイレの清潔さ)
  • 収納スペース(クローゼット、シューズボックス)
  • 携帯電話の電波状況

(3) 申込から入居審査(2週間~1ヶ月)

内見で気に入った物件が見つかったら、申込手続きを行います。申込から入居までは2週間~1ヶ月程度です。

審査のポイント:

  • 年収(家賃の3倍以上が目安)
  • 勤続年数(1年以上が目安)
  • 保証人または保証会社の利用

近年は保証会社の利用が必須の物件が増えています。

(4) 契約手続きと入居準備

入居審査が通ったら、契約手続きを行います。重要事項説明は宅地建物取引士が行い、契約内容を詳しく説明します。

契約時の注意点:

  • 原状回復特約の内容を理解する
  • 敷金・礼金の返還条件を確認する
  • 禁止事項(ペット飼育、楽器演奏等)を確認する

初期費用の内訳と注意点

賃貸契約時には、初期費用が必要です。ここでは、初期費用の内訳と注意点を解説します。

(1) 初期費用の目安(家賃4~6ヶ月分)

初期費用は、家賃4~6ヶ月分が目安です。具体的な内訳は以下の通りです。

項目 金額の目安 説明
仲介手数料 家賃1ヶ月分+消費税 不動産会社に支払う手数料
敷金 家賃1~2ヶ月分 退去時の原状回復費用や家賃滞納時の担保
礼金 家賃1~2ヶ月分 大家さんに支払う謝礼金(返還されない)
保証会社費用 家賃0.5~1ヶ月分 家賃滞納時の保証サービス
火災保険 1~2万円/年 火災・水漏れ等の保険
前家賃 家賃1ヶ月分 翌月分の家賃を先払い

(2) 仲介手数料の上限(家賃1ヶ月分+税)

仲介手数料は、宅地建物取引業法により「家賃1ヶ月分+消費税」が上限と定められています。これを超える金額を請求する業者は法律違反です。

ネット専業の不動産会社では、仲介手数料が「家賃0.5ヶ月分」や「無料」の場合もあります。

(3) 敷金・礼金・保証会社費用の相場

敷金:

  • 通常は家賃1~2ヶ月分
  • 退去時の原状回復費用を差し引いて返還される
  • 敷金0円の物件は、退去時に高額請求されるリスクあり

礼金:

  • 通常は家賃1~2ヶ月分
  • 返還されない
  • 礼金0円の物件も増加中

保証会社費用:

  • 家賃0.5~1ヶ月分が相場
  • 近年は加入が必須の物件が増加

(4) 不要な費用の見分け方(保証会社費用50%超は要注意)

初期費用の見積もりに、不要な費用が含まれている場合があります。以下の点に注意しましょう。

要注意の費用:

  • 保証会社費用が50%を超える(相場は家賃0.5~1ヶ月分)
  • 過剰な火災保険(相場は1~2万円/年)
  • 不明瞭な「清掃費用」「消毒費用」

不明な費用がある場合は、不動産会社に内容を確認しましょう。

内見時のチェックリストと交渉のコツ

内見時には、室内環境を詳細にチェックし、交渉の余地がある項目を確認しましょう。

(1) 室内環境の確認(日当たり・騒音・設備)

日当たり:

  • 南向き、東向きが人気
  • 時間帯により日当たりが変わるため、可能なら複数回訪問

騒音:

  • 道路、隣室、上階の音を確認
  • 駅近・大通り沿いは騒音が大きい傾向

設備:

  • エアコン、給湯器、コンロ等の動作確認
  • 水回りの清潔さ(キッチン、浴室、トイレ)

(2) 原状回復特約の理解と確認

原状回復とは、退去時に借主が室内を入居時の状態に戻すことです。ただし、経年劣化(通常の使用による傷み)は含まれません。

契約書に「原状回復特約」が記載されている場合、借主の負担範囲が拡大される可能性があります。退去時に高額請求されるリスクを避けるため、契約前に内容を十分理解しましょう。

(3) 交渉の余地がある項目(礼金・家賃・入居日)

以下の項目は、交渉の余地がある場合があります。

礼金:

  • 空室期間が長い物件は交渉しやすい
  • 「礼金1ヶ月分」→「礼金0円」に交渉できる場合も

家賃:

  • 交渉の余地は少ないが、長期入居を条件に数千円の値下げが可能な場合も

入居日:

  • 家賃が発生する日を遅らせることで、初期費用を抑えられる

交渉は、不動産会社を通じて大家さんに伝えます。強引な交渉は逆効果のため、丁寧に依頼しましょう。

まとめ:失敗しない不動産屋選びと部屋探し

賃貸物件を扱う不動産屋は、レインズを通じてほぼ同じ物件を紹介できますが、営業時間、宅建免許の更新回数、仲介と管理の両立、ネット口コミ等で選ぶことが重要です。初期費用は家賃4~6ヶ月分が目安で、仲介手数料(家賃1ヶ月分+税)、敷金、礼金、保証会社費用、火災保険が含まれます。

失敗しない不動産屋選びのポイント:

  • 営業時間が長い(夜8時まで)、定休日がない業者を選ぶ
  • 免許更新回数が2回以上(営業年数10年以上)の業者を選ぶ
  • 複数社の見積もりを比較し、不要な費用が含まれていないか確認
  • ネット口コミを参考にしつつ、最終的には自分の目で確認

部屋探しのポイント:

  • 内見時には日当たり、騒音、設備を詳細にチェック
  • 原状回復特約の内容を理解し、退去時のトラブルを避ける
  • 礼金、家賃、入居日は交渉の余地がある場合も

賃貸契約は7ステップ(物件検索→問い合わせ→内見→申込→審査→契約→入居)で進みます。お部屋探しにかかる期間は2週間~3ヶ月程度、申込から入居までは2週間~1ヶ月程度です。

契約内容は個別に異なるため、宅地建物取引士の重要事項説明をしっかり聞き、不明点は必ず確認しましょう。信頼できる不動産屋を選び、納得のいく部屋探しを実現してください。

よくある質問

Q1どこの不動産屋でも同じ物件を紹介してもらえますか?

A1ほとんどの不動産屋はレインズ(不動産屋専用の物件情報交換システム)を通じて同じ物件を紹介できます。レインズには、全国の賃貸物件情報が登録されており、どこの不動産屋でもほぼ同じ物件を検索可能です。ただし、管理会社が直接募集する物件や、特定の仲介会社のみが扱う物件もあるため、複数社の比較検討をおすすめします。「どこで探すか」よりも、「どの不動産屋が信頼できるか」が重要です。

Q2初期費用はどのくらいかかりますか?

A2初期費用は家賃4~6ヶ月分が目安です。内訳は、仲介手数料(家賃1ヶ月分+消費税)、敷金(家賃1~2ヶ月分)、礼金(家賃1~2ヶ月分)、保証会社費用(家賃0.5~1ヶ月分)、火災保険(1~2万円/年)、前家賃(家賃1ヶ月分)です。保証会社費用が50%を超える場合や、不明瞭な「清掃費用」「消毒費用」が含まれる場合は、不動産会社に内容を確認しましょう。

Q3避けるべき不動産屋の特徴は何ですか?

A3以下の特徴がある不動産屋は避けるべきです。強引な営業をする、説明が不十分、見積もりに不要な費用が含まれる、スタッフの対応が悪い。ネット口コミを確認し、免許更新回数が2回以上(営業年数10年以上)の業者が安定性の目安です。また、宅建免許番号を確認し、5年ごとに更新されているか(カッコ内の数字)を見ることで、営業年数を把握できます。

Q4仲介手数料はどこも同じ金額ですか?

A4仲介手数料は、宅地建物取引業法により「家賃1ヶ月分+消費税」が上限と定められています。ただし、ネット専業の不動産会社では、仲介手数料が「家賃0.5ヶ月分」や「無料」の場合もあります。これは、業者が広告費や人件費を抑えることで実現しています。複数社の見積もりを比較し、総初期費用で判断することをおすすめします。

Q5内見時に何をチェックすればいいですか?

A5内見時には以下をチェックしましょう。日当たり(南向き、東向きが人気)、騒音(道路、隣室、上階の音)、設備(エアコン、給湯器、コンロ等の動作確認)、水回りの清潔さ(キッチン、浴室、トイレ)、収納スペース(クローゼット、シューズボックス)、携帯電話の電波状況。また、原状回復特約の内容を確認し、退去時の負担範囲を理解しておくことも重要です。

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Room Match編集部

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