賃貸物件を探す際の不動産会社の選び方と比較ポイント

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/22

賃貸物件を探す際の不動産会社の選び方とは

賃貸物件を探す際、「どの不動産会社を選べば良いのか」「大手と地域密着型の違いは何か」と迷う方は多いのではないでしょうか。不動産会社によって物件数、仲介手数料、サービス品質が異なるため、自分に合った業者を選ぶことが重要です。

この記事では、賃貸における不動産会社の役割、大手チェーンと地域密着型の特徴、良い不動産会社を見分けるチェックポイント、仲介手数料の相場と値引き交渉のコツを解説します。

複数の不動産会社を比較し、自分に合った業者を選ぶことで、満足のいく賃貸物件探しを実現できます。

この記事のポイント

  • 仲介会社と管理会社を兼ねる不動産会社は、大家さんとの直接接続があり入居後のトラブル対応がスムーズ
  • 大手チェーンは物件数が多く全国対応だが個別対応に柔軟性が低い、地域密着型は地元情報に詳しいが物件数が限定的
  • 良い不動産会社の7つのチェックポイント:営業時間・PC画面共有・ネット評判・営業車対応・免許更新回数・立地・仲介管理兼務
  • 仲介手数料の相場は0.5~1カ月分+消費税、閑散期(6-8月、12月)は値引き交渉しやすい

賃貸における不動産会社の役割|仲介会社と管理会社の違い

(1) 仲介会社|お部屋探しから契約までをサポート

仲介会社は、お部屋探しから契約までをサポートする不動産会社です。物件情報の提供、内見の手配、契約手続きの代行等を行い、契約成立時に仲介手数料を受け取ります。

(2) 管理会社|入居者募集・物件メンテナンス

管理会社は、大家さんに代わって入居者の募集や物件のメンテナンスを行う不動産会社です。入居後のトラブル対応や設備の修理、家賃の集金等を担当します。

(3) 仲介と管理を兼ねる会社|大家さんとの直接接続でトラブル対応がスムーズ

仲介会社と管理会社を兼ねている不動産会社は、大家さんとの直接接続があり、入居後のトラブル対応もスムーズです。また、物件の詳細情報を把握しているため、正確な説明が期待できます。

不動産会社の種類|大手チェーン・地域密着型・仲介専門の特徴

(1) 大手チェーンのメリット・デメリット|物件数が多い、全国対応、安心感がある一方で個別対応に柔軟性が低い

メリット:

  • 物件数が多い: 全国の物件情報を取り扱っており、選択肢が豊富です
  • 全国対応: 転勤や引っ越しの際、全国のどこでも対応可能です
  • 安心感がある: ブランド力があり、初めて賃貸物件を探す方でも安心です
  • システム化されている: オンライン申込や審査がスムーズです

デメリット:

  • 個別対応に柔軟性が低い: マニュアル通りの対応で、細かい要望に応えにくい場合があります
  • 担当者の入れ替わりが多い: 継続的なサポートが受けにくい場合があります

(2) 地域密着型のメリット・デメリット|地元情報に詳しい、大家さんとの関係が強い一方で物件数が限定的

メリット:

  • 地元情報に詳しい: 周辺環境、治安、生活施設等の詳細情報を提供できます
  • 大家さんとの関係が強い: 家賃や条件の交渉がしやすい場合があります
  • 個別対応に柔軟: 細かい要望にも親身に対応してくれる場合が多いです

デメリット:

  • 物件数が限定的: 特定のエリアのみ対応のため、選択肢が限られます
  • 転居時の対応が難しい: 他地域への引っ越しには対応できません

(3) どちらを選ぶべきか|初期費用重視、エリア重視等の状況に応じて選択

選び方は、状況に応じて異なります。

状況 推奨タイプ 理由
初めて賃貸物件を探す 大手チェーン システム化されており安心感がある
特定のエリアに詳しい業者を探したい 地域密着型 地元情報に詳しく、大家さんとの関係が強い
初期費用を抑えたい 仲介手数料が安い業者 手数料無料や半額の物件を多く取り扱う業者を選ぶ
転勤が多い 大手チェーン 全国対応で継続的なサポートが受けられる

良い不動産会社を見分ける7つのチェックポイント

(1) 営業時間が長い|顧客対応の柔軟性

営業時間が長い不動産会社は、顧客対応に柔軟性があります。仕事終わりや休日にも対応してくれるため、忙しい方でも利用しやすいです。

(2) PC画面を共有して物件検索|隠し物件がなく全物件を紹介する姿勢

PC画面を共有して物件を検索してくれる不動産会社は、隠し物件がなく市場の全物件を紹介する姿勢の表れです。透明性が高く、信頼できる業者と言えます。

物件情報はレインズ(REINS:不動産流通標準情報システム)でほぼ統一されているため、どの不動産会社でも同じ物件を紹介できます。PC画面を共有しない業者は、特定の物件のみを勧めている可能性があります。

(3) ネット評判の確認|Google Map・口コミサイトでの評価

Google Mapや口コミサイトでの評価を確認しましょう。複数の利用者が同様のトラブルを報告している場合は要注意です。ただし、口コミには主観的な意見も含まれるため、複数の情報源と照らし合わせて判断することが重要です。

(4) 営業車で内見対応|柔軟なサービス提供

営業車で内見対応してくれる不動産会社は、顧客対応に柔軟性があります。複数の物件を効率的に内見できるため、時間の節約にもなります。

(5) 免許更新回数が2回以上|10年以上の実績と信頼性

宅地建物取引業の免許は5年ごとに更新されます。免許更新回数が2回以上(10年以上営業)の企業を選ぶと、実績と信頼性が担保されます。

免許番号は不動産会社の店舗や公式サイトに記載されており、「東京都知事(3)第12345号」のような形式で表示されます。カッコ内の数字が更新回数です。

(6) 駅前1階の店舗立地|アクセスの良さと集客力

駅前1階の店舗立地は、アクセスの良さと集客力の表れです。多くの顧客が訪れる立地に出店できることは、事業の安定性を示しています。

(7) 仲介と管理の両方を担当|入居後のトラブル対応もスムーズ

仲介と管理の両方を担当する不動産会社は、大家さんとの直接接続があり、入居後のトラブル対応もスムーズです。設備の修理や家賃の相談等、継続的なサポートが期待できます。

サービス比較のポイント|仲介手数料・物件数・カスタマーサービス

(1) 仲介手数料の相場|法的上限は家賃1カ月分+消費税、相場は0.5~1カ月分

仲介手数料は、不動産会社に支払う手数料で、法律で上限が家賃1カ月分+消費税と定められています。相場は0.5~1カ月分+消費税です。

一部の不動産会社では、仲介手数料無料や半額のキャンペーンを実施している場合があります。初期費用を抑えたい方は、こうした業者を検討すると良いでしょう。

(2) 値引き交渉のコツ|閑散期(6-8月、12月)は交渉しやすい

仲介手数料の値引き交渉は、閑散期(6-8月、12月)が狙い目です。この時期は引っ越し需要が少ないため、不動産会社も値引きに応じやすい傾向があります。

また、複数の不動産会社で条件を比較し、「他社では手数料半額だった」等と伝えることで、交渉が有利に進む場合があります。

(3) 初期費用全体の比較|敷金・礼金・クリーニング費・鍵交換料・保険料等

仲介手数料だけでなく、初期費用全体(敷金・礼金・クリーニング費・鍵交換料・保険料等)を比較する必要があります。仲介手数料が安くても、他の費用が高額な場合は、トータルコストが高くなる可能性があります。

(4) 物件数とレインズシステム|どの不動産会社でも同じ物件を紹介できる

物件情報はレインズ(REINS:不動産流通標準情報システム)でほぼ統一されており、どの不動産会社でも同じ物件を紹介できます。そのため、不動産会社選びでは、物件数よりもサービス品質や対応の良さを重視すべきです。

(5) カスタマーサービス品質|対応の誠実さ・説明の丁寧さ

カスタマーサービス品質は、対応の誠実さ・説明の丁寧さで判断できます。物件の良い点だけでなく、悪い点も説明してくれる誠実な不動産会社を選びましょう。

賃貸物件探しの注意点|内見チェックリスト・おとり広告対策

(1) 内見時の室内チェック|広さ・日当たり・水回り・携帯電波・コンセント位置等

内見時は、以下のポイントを確認しましょう。

  • 広さ: 間取り図だけでなく、実際の広さを体感する
  • 日当たり: 時間帯による日当たりの変化を確認
  • 水回り: キッチン・浴室・トイレの清潔さ、水圧を確認
  • 携帯電波: 室内での電波状況を確認(キャリアによって異なる)
  • コンセント位置: 家電配置を想定し、コンセントの数と位置を確認
  • 収納: クローゼットや押入れの広さ、内部の状態を確認

(2) 共用部・周辺環境の確認|清潔さ・セキュリティ・治安・生活施設

共用部と周辺環境も重要なチェックポイントです。

  • 共用部の清潔さ: エントランス、廊下、ゴミ置き場の管理状態を確認
  • セキュリティ: オートロック、防犯カメラ、管理人の有無を確認
  • 治安: 周辺の街灯、夜間の雰囲気を確認(可能であれば夜間にも訪問)
  • 生活施設: スーパー、コンビニ、病院、駅までの距離と経路を確認

(3) 傷や汚れの証拠を残す|写真撮影で退去時のトラブル防止

内見時に傷や汚れがある場合は、写真を撮っておきましょう。自分がつけたものではない証拠を残すことで、退去時に修理代を請求されるトラブルを防げます。

(4) おとり広告への対策|問い合わせ時に最新状況を確認

おとり広告(既に契約済みの物件を掲載)に注意しましょう。問い合わせ時に「その物件は契約済み」と言われ、別の物件を勧められる場合は要注意です。最新状況を必ず確認し、複数の不動産会社で同じ物件を確認することをおすすめします。

まとめ|自分に合った不動産会社の選び方、相談窓口

(1) 状況別の選び方|初期費用重視・エリア重視・サービス重視

賃貸物件を探す際の不動産会社の選び方は、状況に応じて異なります。

  • 初期費用重視: 仲介手数料が安い業者、閑散期に値引き交渉
  • エリア重視: 地域密着型の不動産会社、地元情報に詳しい業者
  • サービス重視: 営業時間が長い、PC画面共有、仲介管理兼務の業者
  • 初めて賃貸物件を探す: 大手チェーン、システム化されており安心感がある

(2) トラブル時の相談窓口|消費生活センター・全宅連の無料相談

不動産会社とのトラブルが発生した場合は、以下の相談窓口を活用しましょう。

  • 消費生活センター: 全国共通の電話番号188で相談可能
  • 全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連): 全国47都道府県で無料相談可能
  • 不動産適正取引推進機構: 電話相談とADR(裁判外紛争解決)サービスを提供

(3) 複数社比較の重要性|複数の不動産会社で対応を比較

複数の不動産会社に相談し、対応や条件を比較検討することで、自分に合った業者を見つけやすくなります。物件情報はレインズシステムでほぼ統一されているため、サービス品質や対応の良さで選びましょう。

執筆時点(2025年)の情報であり、制度や相場は変更される可能性があるため、最新情報は各不動産会社の公式サイトでご確認ください。

よくある質問

Q1大手不動産会社と地域密着型、どちらがよいのか?

A1大手チェーンは物件数が多く全国対応で安心感がありますが、個別対応に柔軟性が低い場合があります。地域密着型は地元情報に詳しく大家さんとの関係が強いですが、物件数が限定的です。初めて賃貸物件を探す方や転勤が多い方は大手チェーン、特定のエリアに詳しい業者を探したい方や個別対応を重視する方は地域密着型がおすすめです。状況に応じて選択しましょう。

Q2仲介手数料の相場はいくら?無料や半額の物件は本当にお得なのか?

A2仲介手数料の法的上限は家賃1カ月分+消費税で、相場は0.5~1カ月分+消費税です。無料や半額の物件は初期費用削減に有効ですが、他の費用(敷金・礼金・クリーニング費・鍵交換料・保険料等)を含めた総額を比較する必要があります。仲介手数料が安くても、他の費用が高額な場合はトータルコストが高くなる可能性があるため、初期費用全体を確認しましょう。

Q3内見時に確認すべきチェックポイントは何か?

A3室内では、広さ・日当たり・水回り(キッチン・浴室・トイレ)・携帯電波・コンセント位置・収納を確認しましょう。共用部では、清潔さ(エントランス・廊下・ゴミ置き場)・セキュリティ(オートロック・防犯カメラ・管理人の有無)を確認します。周辺環境では、治安・生活施設(スーパー・コンビニ・病院・駅までの距離)を確認します。傷や汚れは写真を撮って証拠を残し、退去時のトラブルを防ぎましょう。

Q4どこの不動産会社でも同じ物件を紹介できるというのは本当か?

A4本当です。物件情報はレインズ(REINS:不動産流通標準情報システム)でほぼ統一されており、どの不動産会社でも同じ物件を紹介できます。ただし、サービス品質や対応は会社により異なるため、不動産会社選びは重要です。PC画面を共有して物件検索してくれる業者は、隠し物件がなく全物件を紹介する姿勢の表れであり、透明性が高く信頼できます。

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Room Match編集部

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