地方都市で不動産取引をする際の市場特性と業者選び

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/22

地方都市で不動産取引をする前に知っておくべきこと

鹿児島市・松江市などの地方都市で不動産売却・購入を検討する際、「都市圏と何が違うのか」「地方都市ならではの注意点は何か」と疑問に思う方は多いのではないでしょうか。

この記事では、地方都市の不動産市場の特徴、価格動向、鹿児島市・松江市の具体的な相場、業者選びのポイント、災害リスク等の確認方法を解説します。

地方都市の不動産取引は、人口動態や地域特性により、都市圏とは異なる市場環境があります。これらを理解した上で、適切な業者選びと情報収集を行うことが重要です。

この記事のポイント

  • 地方4都市(札幌・仙台・広島・福岡)は地価上昇が続くが、2年連続で上昇幅は縮小傾向(2024年)
  • 人口減少地域では不動産価格が横ばい〜下落の可能性があり、人口動態の確認が重要
  • 鹿児島市の2025年相場はマンション平均1,760万円、土地坪単価51.6万円、全用途で前年比+0.76%〜+0.98%上昇
  • 地方都市では地域密着型業者の地元ネットワーク・地域相場の把握が強みになる
  • 災害リスク(火山・洪水・土砂災害)の確認は国土交通省「不動産情報ライブラリ」で可能(2024年リリース)

(1) 地方都市と都市圏の不動産市場の違い

地方都市と都市圏(東京・大阪・名古屋等)の不動産市場には、以下のような違いがあります。

項目 地方都市 都市圏
価格帯 中価格帯(土地坪単価20-60万円程度) 高価格帯(土地坪単価100万円超も)
取引件数 少ない(市場規模が小さい) 多い(市場規模が大きい)
価格変動 緩やか(人口動態に影響される) 大きい(景気・金利に敏感)
地域情報の重要性 高い(地元ネットワークが鍵) 中程度(全国ネットワークも有効)

地方都市では、地域密着型業者の地元ネットワーク・地域相場の把握が強みになります。

(2) 地方都市での不動産取引の基本的な流れ

地方都市での不動産取引の基本的な流れは、都市圏とほぼ同じです。

売却の流れ

  1. 複数社で査定を受ける
  2. 媒介契約を結ぶ(専任媒介 or 一般媒介)
  3. 売却活動(広告、内覧対応)
  4. 買付申込・価格交渉
  5. 売買契約・引渡し

購入の流れ

  1. 予算・希望条件を決める
  2. 物件検索(ポータルサイト、不動産会社)
  3. 内覧・現地確認
  4. 買付申込・価格交渉
  5. 住宅ローン審査・売買契約・引渡し

地方都市特有の注意点として、災害リスク(火山・洪水・土砂災害)の確認が重要です。

地方都市の不動産市場の特徴と価格動向

(1) 地方4都市(札幌・仙台・広島・福岡)の地価上昇と縮小傾向(2024年)

地方4都市(札幌・仙台・広島・福岡)では、地価上昇が続いていますが、2年連続で上昇幅は縮小傾向にあります(2024年データ)。

地価上昇の背景

  • 人口流入による需要増加
  • 再開発プロジェクトの進行
  • 低金利による住宅ローン需要の高まり

上昇幅縮小の背景

  • 建築工事費の上昇により住宅価格が高騰し、買い控えが発生
  • 金利上昇の懸念による様子見ムード
  • 人口増加ペースの鈍化

地方4都市は今後も緩やかな上昇が見込まれますが、上昇幅は限定的になる可能性があります。

(2) 人口減少地域での価格横ばい〜下落の可能性

地方都市の中でも、人口減少地域では不動産価格が横ばい〜下落の可能性があります。

人口減少が不動産価格に与える影響

  • 需要減少:買い手・借り手が減り、取引件数が減少
  • 空き家増加:供給過剰になり、価格下落圧力が強まる
  • インフラ縮小:公共交通・商業施設が撤退し、利便性が低下

地方都市で不動産取引をする際は、人口動態の確認が重要です。各自治体の公式サイトや総務省の人口統計で、人口推移を確認しましょう。

(3) 建築工事費上昇による住宅価格の高騰

2024年以降、建築工事費の上昇により住宅価格が高騰しています。

建築工事費上昇の要因

  • 資材価格の上昇(木材・鉄鋼・セメント等)
  • 人件費の上昇(職人不足)
  • エネルギー価格の高騰

建築工事費の上昇は、新築住宅の価格を押し上げ、中古住宅の相対的な価値を高める効果があります。

鹿児島市・松江市の不動産相場と地域特性

(1) 鹿児島市の相場:マンション平均1,760万円、土地坪単価51.6万円(2025年)

鹿児島市の2025年の不動産相場は以下の通りです。

マンション相場(2025年):

  • 平均売却価格:1,760万円
  • 過去3年の推移:約3.6万円/平米上昇
  • 直近1年:横ばい

土地相場(2025年公示地価):

  • 平均価格:15万6,322円/m²(坪単価51.6万円)
  • 住宅地:前年比+0.79%上昇
  • 商業地:前年比+1.64%上昇

鹿児島市は、県内で最も不動産取引が活発な地域であり、鹿児島中央駅周辺が最高値です。

(2) 鹿児島市の価格推移:全用途で前年比+0.76%〜+0.98%上昇

鹿児島市の地価は、全用途で前年比+0.76%〜+0.98%上昇しており、緩やかな上昇傾向が続いています(2024年国土交通省公示地価)。

上昇の要因

  • 鹿児島中央駅周辺の再開発
  • 九州新幹線の利便性
  • 県内外からの人口流入

注意点

  • 築年数が古い物件は価格下落が顕著(築50年超で15万円/平米まで低下)
  • 桜島の降灰リスクがある地域は価格が抑えられる傾向

鹿児島市は緩やかな上昇傾向ですが、立地・築年数により価格差が大きいため、個別に査定を受けることが重要です。

(3) 松江市を含む地方都市の取引価格の確認方法(国土交通省の不動産取引価格情報)

松江市を含む地方都市の実際の取引価格は、国土交通省「不動産取引価格情報」で確認できます。

確認方法

  1. 国土交通省「不動産取引価格情報」にアクセス
  2. 都道府県・市区町村を選択(例:島根県松江市)
  3. 取引時期・物件種別を選択
  4. 実際の取引価格を確認

全国547万件以上の取引価格データが公開されており、地方都市の相場を正確に把握できます。

地方都市での不動産業者選びのポイント

(1) 地域密着型業者のメリット:地元ネットワーク、地域相場の把握

地方都市では、地域密着型業者の地元ネットワーク・地域相場の把握が強みになります。

地域密着型業者のメリット

  • 地元ネットワーク:地元の住民・企業・地主との独自ネットワークを持ち、スムーズな売却・購入につながる
  • 地域相場の把握:地域内の住宅相場を綿密に把握しており、高精度な査定が期待できる
  • 地元情報:学校区、治安、商業施設、災害リスク等、地域生活に密着した情報を提供
  • 柔軟な対応:地域の実情に合わせた柔軟な営業スタイル

地方都市では、地域密着型業者が大手よりも強い場合が多いため、複数社から話を聞いて比較することをおすすめします。

(2) 複数社で査定を受けて相場感を正確に把握する

不動産会社によって、査定額は大きく異なります。複数社で査定を受けて相場感を正確に把握することが重要です。

複数社査定のメリット

  • 相場感を正確に把握できる
  • 査定額の根拠を比較できる
  • 不動産会社の対応力・信頼性を比較できる

目安:最低3社から査定を受ける

査定額が極端に高い会社は、契約を取るための「釣り査定」の可能性があるため、査定額の根拠を確認しましょう。

(3) 実績・対応力・口コミを総合的に判断する

不動産会社を選ぶ際は、実績・対応力・口コミを総合的に判断しましょう。

チェックポイント

  • 実績:過去の成約件数、成約価格、取扱物件の種類
  • 対応力:レスポンスの速さ、質問への回答の丁寧さ、専門知識の有無
  • 口コミ:Googleマップ、不動産ポータルサイトの評価、実際の利用者の声
  • 宅建業免許番号:カッコ内の数字が大きいほど営業年数が長い(信頼性の目安)

査定額だけでなく、総合的に判断して信頼できる不動産会社を選んでください。

地方都市特有のリスクと確認すべき情報

(1) 人口動態の確認:人口減少地域では価格下落リスク

地方都市で不動産取引をする際は、人口動態の確認が必須です。

確認方法

  • 各自治体の公式サイトで人口推移を確認
  • 総務省「人口推計」で全国・都道府県別の人口動態を確認
  • 国立社会保障・人口問題研究所の「将来推計人口」で今後の見通しを確認

人口減少地域のリスク

  • 不動産需要が減少し、価格下落の可能性
  • 売却に時間がかかる(買い手が見つかりにくい)
  • 将来的な資産価値の低下

人口減少が顕著な地域での不動産購入は、長期的な資産価値を慎重に検討する必要があります。

(2) 災害リスクの確認:火山(鹿児島市の桜島)・洪水・土砂災害

地方都市では、地域特有の災害リスクがあります。

鹿児島市の火山リスク

  • 桜島の降灰リスク:噴火活動により、降灰が日常的に発生
  • 影響:洗濯物が干せない、車の汚れ、健康への影響(呼吸器系)
  • 火山災害は火災保険の対象外(地震保険で対応)

その他の災害リスク

  • 洪水:河川氾濫による浸水
  • 土砂災害:がけ崩れ、地すべり

購入前に、必ずハザードマップで災害リスクを確認しましょう。

(3) 国土交通省「不動産情報ライブラリ」での災害リスク情報の確認(2024年リリース)

国土交通省は2024年に**「不動産情報ライブラリ」**をリリースし、災害リスク情報を統合的に確認できるようになりました。

不動産情報ライブラリで確認できる情報

  • 洪水浸水想定区域
  • 土砂災害警戒区域
  • 火山ハザードマップ
  • 地震の揺れやすさ
  • 津波浸水想定区域

確認方法

  1. 国土交通省「不動産情報ライブラリ」にアクセス
  2. 住所を入力
  3. 災害リスク情報を確認

購入前に必ず確認し、リスクを把握した上で判断してください。

(4) 火山災害は火災保険の対象外(地震保険で対応)

火山災害は火災保険の対象外です。火山噴火による被害は、地震保険で対応します。

地震保険の補償範囲

  • 火山噴火による建物・家財の損害
  • 地震による建物・家財の損害
  • 津波による建物・家財の損害

鹿児島市など火山リスクがある地域では、地震保険の加入を検討しましょう。

まとめ:地方都市で賢く不動産取引をする方法

地方都市の不動産市場は、人口動態や地域特性により、都市圏とは異なる市場環境があります。地方4都市は地価上昇が続いていますが、2年連続で上昇幅は縮小傾向にあり、人口減少地域では価格が横ばい〜下落の可能性があります。

鹿児島市の2025年相場はマンション平均1,760万円、土地坪単価51.6万円で、全用途で前年比+0.76%〜+0.98%上昇しています。地域密着型業者の地元ネットワーク・地域相場の把握が強みになるため、複数社で査定を受けて相場感を正確に把握しましょう。

災害リスク(火山・洪水・土砂災害)の確認は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」で可能です(2024年リリース)。人口動態、災害リスク、利便性を総合的に確認し、信頼できる不動産会社を選んで、賢く不動産取引をしてください。

よくある質問

Q1鹿児島市の不動産相場はどのくらい?

A12025年のマンション平均売却価格は1,760万円、土地坪単価は51.6万円です。過去3年で約3.6万円/平米上昇しましたが、直近1年は横ばいです。鹿児島中央駅周辺が最高値で、駅近の価値が高い傾向があります。築年数により価格差が大きいため、個別に査定を受けることをおすすめします。

Q2地方都市の不動産価格は今後どうなる?

A2地方4都市(札幌・仙台・広島・福岡)は地価上昇が続いていますが、2年連続で上昇幅は縮小傾向にあります(2024年データ)。人口減少地域では横ばい〜下落の可能性があるため、人口動態の確認が重要です。各自治体の公式サイトや総務省の人口統計で、人口推移を確認しましょう。

Q3地方都市で不動産を購入する際の注意点は?

A3災害リスク(火山・洪水・土砂災害)、人口動態、利便性(駅距離・商業施設)の確認が必須です。国土交通省「不動産情報ライブラリ」でハザードマップを確認し、リスクを把握した上で判断してください。複数社で査定を受け、実績・対応力・口コミを総合的に判断することも重要です。

Q4鹿児島市の火山リスクは不動産価格にどう影響する?

A4桜島の降灰リスクがあり、噴火活動により降灰が日常的に発生します。火山災害は火災保険の対象外で、地震保険で対応します。購入前に火山ハザードマップを確認し、降灰頻度・影響範囲を把握することが重要です。降灰リスクがある地域は価格が抑えられる傾向があります。

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Room Match編集部

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