不動産の評価額とは?調べ方・計算方法・価格との違いを解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/25

広告

無料査定依頼キャンペーン 【ノムコム】

不動産の評価額とは?調べ方・計算方法を理解する

不動産の売却、購入、相続を検討する際、「固定資産税評価額」「路線価」「実勢価格」など複数の評価額があり、どれを使えばよいか迷う方は少なくありません。

この記事では、不動産評価額の種類、調べ方、計算方法、目的別の使い分けを解説します。国税庁国土交通省の公式情報を基に、正確な情報を提供します。

この記事のポイント

  • 1つの不動産には4つまたは5つの評価額(一物四価・一物五価)が存在する
  • 固定資産税評価額は公示価格の約70%、相続税路線価は約80%が目安
  • 「固定資産税の納税通知書」で固定資産税評価額を簡単に確認できる
  • 路線価×土地面積÷0.8で土地の売却価格の目安を計算できる
  • 2024年1月からマンション相続税評価が厳格化され、実勢価格の最低60%で課税される

不動産の評価額とは?一物四価・一物五価の基本

不動産評価額は、不動産の資産価値や税金を計算する基準となる価格です。

不動産評価額の定義と重要性

不動産評価額は、以下の用途で使用されます。

  • 固定資産税・都市計画税の計算(固定資産税評価額)
  • 相続税・贈与税の計算(相続税評価額)
  • 売買価格の目安(実勢価格)
  • 地価の公的指標(公示地価、基準地価)

一物四価・一物五価とは何か

1つの不動産に4つまたは5つの評価額が存在することを、一物四価・一物五価と呼びます。

評価額 評価主体 水準の目安 主な用途
公示地価 国土交通省 100% 地価の公的指標
基準地価 都道府県 公示地価とほぼ同じ 地価の補完指標
相続税評価額(路線価) 国税庁 公示価格の約80% 相続税・贈与税の計算
固定資産税評価額 市区町村 公示価格の約70% 固定資産税・都市計画税の計算
実勢価格(時価) 市場 市場の需給で変動 実際の売買価格

不動産評価額の種類と目的別の使い分け

各評価額の詳細と使い分けを解説します。

固定資産税評価額(固定資産税・都市計画税の計算)

定義: 固定資産税や都市計画税を計算する基準となる評価額です。

評価主体: 市区町村(3年に1度の評価替え、次回は2024年)

水準: 公示価格の約70%が目安

用途: 固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税の計算

相続税評価額(路線価)(相続税・贈与税の計算)

定義: 相続税や贈与税を計算する基準となる評価額です。

評価主体: 国税庁(毎年1月1日時点の評価)

水準: 公示価格の約80%が目安

用途: 相続税、贈与税の計算

計算方法: 路線価方式(道路に面した土地の1㎡あたりの価格を基に計算)または倍率方式(固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算)

公示地価(公示価格)(地価の公的指標、毎年1月1日時点)

定義: 国土交通省が毎年3月に公表する標準地の価格です。

評価主体: 国土交通省(毎年1月1日時点の評価)

用途: 地価の公的指標、公共事業の用地買収価格の参考

基準地価(都道府県地価調査、毎年7月1日時点)

定義: 都道府県知事が毎年9月に公表する基準地の価格です。

評価主体: 都道府県(毎年7月1日時点の評価)

用途: 公示地価の補完指標

実勢価格(時価)(実際の売買価格)

定義: 実際に不動産が売買される市場価格です。

評価主体: 市場の需給

用途: 売買価格の目安

不動産評価額の調べ方:公的ツールの活用

各評価額の調べ方を具体的に解説します。

固定資産税評価額の調べ方(納税通知書の確認)

毎年4~6月頃に送付される「固定資産税の納税通知書」の課税明細書で簡単に確認できます。

紛失した場合: 市区町村役場で固定資産評価証明書を取得(手数料300円程度)

路線価の調べ方(国税庁路線価図、全国地価マップ)

国税庁路線価図: 国税庁ホームページで全国の路線価を無料閲覧可能

全国地価マップ: 全国地価マップで、固定資産税路線価、相続税路線価、地価公示価格、都道府県地価調査価格の4つの公的土地評価情報を無料閲覧可能

公示地価・基準地価の調べ方(国土交通省地価公示、全国地価マップ)

国土交通省地価公示: 国土交通省ホームページで毎年3月に公表

全国地価マップ: 全国地価マップで無料閲覧可能

実勢価格の調べ方(不動産情報ライブラリ、REINS等)

不動産情報ライブラリ: 国土交通省不動産情報ライブラリで実際の取引価格を閲覧可能

REINS: 不動産流通機構が運営する不動産流通標準情報システム(不動産会社経由で閲覧)

不動産評価額の計算方法と目安

各評価額の計算方法と目安を解説します。

固定資産税評価額の目安(公示価格の約70%)

計算式: 公示価格 × 0.7 = 固定資産税評価額(目安)

: 公示価格3,000万円の土地の場合、固定資産税評価額は約2,100万円

相続税評価額の計算(路線価方式・倍率方式)

路線価方式: 路線価 × 土地の面積 = 相続税評価額

倍率方式: 固定資産税評価額 × 倍率 = 相続税評価額

国税庁の公式サイトで詳細な計算方法を確認できます。

相続税評価額の簡易計算(固定資産税評価額×114%)

計算式: 固定資産税評価額 × 1.14 = 相続税評価額(目安)

根拠: 固定資産税評価額は公示価格の約70%、路線価は約80%のため、70 ÷ 80 × 100 = 114%

: 固定資産税評価額2,100万円の場合、相続税評価額は約2,394万円

土地価格の目安計算(路線価×土地面積÷0.8)

計算式: 路線価 × 土地の面積 ÷ 0.8 = 土地の売却価格の目安

根拠: 路線価は公示価格の約80%のため、0.8で割り戻すと公示価格水準(売却価格の目安)になる

: 路線価20万円/㎡、土地面積100㎡の場合、売却価格の目安は2,000万円 ÷ 0.8 = 2,500万円

不動産評価額を活用した節税方法と2024年の税制改正

不動産評価額を理解することで、節税対策が可能です。ただし、2024年の税制改正により従来の節税策が使えなくなったケースもあります。

小規模住宅用地の特例(200㎡以下は固定資産税評価額が1/6)

200㎡以下の住宅用地は、固定資産税評価額が1/6に軽減されます。

: 固定資産税評価額1,200万円の土地(200㎡以下)の場合、課税標準額は200万円

分筆による評価額の減額

土地を分筆することで、形状や接道状況による補正が適用され、評価額が減額される場合があります。

ただし、分筆には登記費用や測量費用がかかるため、専門家への相談を推奨します。

2024年1月からのマンション相続税評価の厳格化(実勢価格の最低60%)

2024年1月1日から、マンション相続税評価が実勢価格の最低60%で課税される新ルールが適用開始されました。

日本経済新聞の報道によると、従来のタワーマンション節税対策への規制強化です。

固定資産税の評価替え(2024年)

固定資産税評価額は3年に1度見直されます。次回は2024年(令和6年)で、2024年1月1日時点の評価額が3年間適用されます。

まとめ:不動産評価額を正しく理解して活用する

不動産評価額には、固定資産税評価額、相続税評価額、公示地価、基準地価、実勢価格の5種類があり、それぞれ目的と水準が異なります。

固定資産税評価額は「固定資産税の納税通知書」で確認でき、路線価は国税庁全国地価マップで無料閲覧可能です。

2024年1月からマンション相続税評価が厳格化されたため、従来の節税策が使えなくなった点に注意が必要です。

土地の評価は形状や接道状況などの補正が必要で複雑なため、相続税申告や節税対策を検討する際は、税理士や不動産鑑定士への相談を推奨します。税制は改正される可能性があるため、最新情報は国税庁国土交通省の公式サイトで確認しましょう。

広告

無料査定依頼キャンペーン 【ノムコム】

広告

よくある質問

Q1不動産評価額と実勢価格(時価)の違いは何?

A1不動産評価額は税金計算の基準となる公的価格で、実勢価格は実際の売買価格です。実勢価格は市場の需給で変動しますが、評価額は公的機関が算定します。公示価格を100とすると、固定資産税評価額は約70、路線価は約80が目安です。固定資産税評価額は市区町村が3年に1度の評価替えで算定し、路線価は国税庁が毎年1月1日時点で評価します。

Q2固定資産税評価額はどこで確認できる?

A2毎年4~6月頃に送付される「固定資産税の納税通知書」の課税明細書で確認できます。課税明細書には、土地・建物ごとの固定資産税評価額が記載されています。納税通知書を紛失した場合は、市区町村役場で固定資産評価証明書を取得できます(手数料300円程度)。固定資産評価証明書は、相続手続きや不動産売買の際にも必要になる場合があります。

Q3路線価から土地の売却価格の目安はどう計算する?

A3路線価×土地の面積÷0.8で概算できます。路線価は公示価格の約80%のため、0.8で割り戻すと公示価格水準(売却価格の目安)になります。例えば、路線価20万円/㎡、土地面積100㎡の場合、2,000万円÷0.8=2,500万円が売却価格の目安です。ただし、実際の売却価格は市場の需給、立地、形状などで変動するため、不動産会社への査定依頼を推奨します。

Q4相続税評価額は自分で計算できる?

A4路線価方式または倍率方式で計算できますが、土地の形状や接道状況などの補正が必要で複雑です。路線価方式は路線価×土地面積で基本額を算出し、形状・接道状況で補正します。倍率方式は固定資産税評価額×倍率で計算します。計算ミスによる追徴課税リスクがあるため、相続税申告では税理士や不動産鑑定士への相談を推奨します。国税庁の公式サイトで詳細な計算方法を確認できます。

Q52024年のマンション相続税評価の厳格化とは?

A52024年1月1日から、マンション相続税評価が実勢価格の最低60%で課税される新ルールが適用開始されました。従来は路線価ベースの評価で実勢価格より大幅に低い評価額になるケースがあり、タワーマンション節税として利用されていました。新ルールでは、マンションの市場価格を考慮した評価方式に変更され、節税効果が大幅に縮小しました。詳細は国税庁の公式サイトで確認できます。

R

Room Match編集部

Room Matchは、不動産の購入・売却・賃貸に関する実践的な情報を提供するメディアです。住宅ローン、物件選び、不動産会社の選び方など、実務担当者に役立つ情報を分かりやすく解説しています。

関連記事