不動産売買の印紙代はいくら?売主・買主の負担割合と節約方法

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/24

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不動産取引で印紙代が重要な理由

不動産売買契約を結ぶ際、「印紙代はいくらかかるのか」「誰が負担するのか」と疑問に感じる方は多いのではないでしょうか。

この記事では、不動産売買契約書の印紙税額、売主・買主の負担割合、電子契約を活用した節約方法を、国税庁の公式情報を元に解説します。

印紙税は契約金額により400円〜60万円と幅があり、軽減税率の適用期限(2027年3月31日まで)や電子契約の活用により、コストを抑えることが可能です。不動産取引の諸費用を正確に把握し、無駄なく取引を進めるための参考にしてください。

この記事のポイント

  • 不動産売買契約書の印紙税額は契約金額により異なり、軽減税率適用後は1万円〜48万円(2027年3月31日まで)
  • 実務上は契約書を2通作成し、売主・買主が各自1通分の印紙代を負担するケースが一般的
  • 電子契約を利用すれば印紙税は不要(節税方法として注目)
  • 税抜表示を活用すれば、消費税分を除いた金額が印紙税額の基準となる
  • 印紙を貼らなかった場合や消印をしなかった場合、過怠税(本来の税額の3倍)が課される

印紙税の基礎知識(課税文書・税率・軽減措置)

(1) 印紙税とは(課税文書と収入印紙)

印紙税は、契約書や領収書などの課税文書に対して課される税金です。不動産売買契約書は「不動産の譲渡に関する契約書」として課税文書に該当します。

印紙税の納付方法:

  • 契約書に収入印紙を貼り付ける
  • 収入印紙と契約書にまたがって消印を押す(再使用防止のため)

収入印紙は郵便局や法務局で購入できます。コンビニでは主に200円印紙のみの取り扱いとなるため、高額の印紙が必要な場合は郵便局や法務局での購入を推奨します。

(出典: 国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」

(2) 軽減税率の適用期間(2027年3月31日まで)

不動産売買契約書の印紙税には、軽減税率が適用されています。

軽減措置の概要(2025年時点):

  • 適用期間: 平成26年4月1日〜令和9年(2027年)3月31日
  • 対象: 記載金額10万円超の不動産譲渡契約書
  • 軽減内容: 本則税率の約1/2〜1/3に軽減

(出典: 国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」

重要: 軽減措置の期限は2027年3月31日までです。期限後は本来の税率に戻る可能性があるため、契約時期を確認することを推奨します。

(3) 消印の方法と過怠税のリスク

収入印紙を貼っただけでは納税が完了しません。消印(収入印紙と契約書にまたがって印鑑やサインを押すこと)が必須です。

過怠税のリスク:

  • 印紙を貼らなかった場合: 本来の税額の3倍の過怠税
  • 消印をしなかった場合: 本来の税額と同額の過怠税

(出典: 国税庁「不動産の譲渡・建設工事の請負に関する契約書の印紙税の軽減措置パンフレット(令和6年4月改訂)」

契約時には必ず印紙を貼り、消印を忘れないよう注意してください。

不動産売買契約書の印紙税額一覧表

(1) 契約金額別の印紙税額(軽減税率適用後)

不動産売買契約書の印紙税額は、契約金額により以下のように定められています(2025年時点、軽減税率適用後)。

契約金額 本則税率 軽減税率(2027年3月31日まで)
10万円以下 200円 200円(軽減なし)
50万円以下 400円 200円
100万円以下 1,000円 500円
500万円以下 2,000円 1,000円
1,000万円以下 10,000円 5,000円
5,000万円以下 20,000円 10,000円
1億円以下 60,000円 30,000円
5億円以下 100,000円 60,000円
10億円以下 200,000円 160,000円
50億円以下 400,000円 320,000円
50億円超 600,000円 480,000円

(出典: 三井のリハウス「印紙税|2025年(令和7年)度税金の手引き」

(2) 具体例(1,000万円・3,000万円・5,000万円・1億円)

例1: 契約金額1,000万円の場合

  • 軽減税率適用: 5,000円
  • 本則税率: 10,000円

例2: 契約金額3,000万円の場合

  • 軽減税率適用: 10,000円(5,000万円以下)
  • 本則税率: 20,000円

例3: 契約金額5,000万円の場合

  • 軽減税率適用: 10,000円
  • 本則税率: 20,000円

例4: 契約金額1億円の場合

  • 軽減税率適用: 30,000円
  • 本則税率: 60,000円

軽減税率の適用により、印紙税額が半分になります。

(3) 建設工事請負契約書の印紙税

不動産売買契約書と同様に、建設工事請負契約書にも軽減税率が適用されます(2027年3月31日まで)。

新築住宅を建てる際の工事請負契約書も、同じ税額表が適用されます。

(出典: 国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」

売主・買主の負担割合と実務上の慣行

(1) 法律上の負担者(連帯納税義務)

印紙税法上、契約書に署名・押印した者全員が連帯して納税義務を負います。つまり、売主と買主の両方が連帯して納税義務を負うことになります。

(出典: 国税庁

重要: 法律上は「売主が全額負担」「買主が全額負担」といった明確な決まりはありません。

(2) 実務上の負担慣行(契約書2通作成の場合)

実務上は、以下のような取り扱いが一般的です。

契約書を2通作成する場合:

  • 売主用の契約書1通(売主が印紙代を負担)
  • 買主用の契約書1通(買主が印紙代を負担)

この場合、売主・買主が各自1通分の印紙代を負担するため、負担は半々となります。

契約金額3,000万円の場合の負担例:

  • 印紙税額: 10,000円(軽減税率適用後)
  • 売主負担: 10,000円(1通分)
  • 買主負担: 10,000円(1通分)
  • 合計: 20,000円

(3) 契約書1通作成の場合の取り扱い

契約書を1通のみ作成し、一方が原本を保管し、もう一方が写し(コピー)を保管する場合もあります。

契約書1通+写し1部の場合:

  • 原本: 印紙税が課される
  • 写し(単なる控え): 印紙税は課されない

この場合、原本を保管する側のみが印紙代を負担します。ただし、写しに契約当事者の署名・押印があると課税文書となるため注意が必要です。

(出典: マネーフォワード クラウド契約「不動産売買契約書に印紙は必要?どちらが負担する?金額や貼り方を解説」

負担割合は契約内容により異なるため、契約前に不動産会社や宅建士に確認することを推奨します

印紙税の節約方法(電子契約・税抜表示・契約書写し)

(1) 電子契約による印紙税非課税化

電子契約を利用すれば、印紙税は不要です。

理由:

  • 印紙税法は「紙の文書」に対して課税
  • 電子契約は「文書の作成」に該当しない

節税効果の例(契約金額3,000万円の場合):

  • 紙の契約書(2通): 20,000円
  • 電子契約: 0円
  • 節税額: 20,000円

(出典: ノムコム「不動産売買契約書は印紙が必要?必要金額や電子契約の場合なども解説」

注意点: 宅地建物取引業法では、重要事項説明書や契約書の「書面交付義務」が定められています。電子契約を利用する場合は、宅建業法上の要件を満たしているか確認することを推奨します。

(2) 税抜表示による印紙税額の削減

契約金額を税抜表示にすることで、印紙税額を削減できる場合があります。

仕組み:

  • 消費税額を明らかに記載した場合、税抜金額が印紙税額の基準となる

(物件価格5,000万円、消費税500万円の場合):

  • 税込表示(5,500万円): 印紙税30,000円(1億円以下)
  • 税抜表示(5,000万円+消費税500万円): 印紙税10,000円(5,000万円以下)
  • 節税額: 20,000円

(出典: 国税庁

注意: 契約書に「物件価格5,000万円(税抜)、消費税500万円、合計5,500万円」と明記する必要があります。詳細は税理士等の専門家にご相談ください。

(3) 契約書の写しを控えとする方法

前述の通り、契約書を1通のみ作成し、写し(単なる控え)を保管する方法でも節約できます。

節税効果の例(契約金額3,000万円の場合):

  • 契約書2通: 20,000円
  • 契約書1通+写し1部: 10,000円
  • 節税額: 10,000円

注意: 写しに署名・押印があると課税文書となるため、単なるコピーとして保管してください。

(4) 収入印紙の購入場所(郵便局・法務局)

収入印紙は以下の場所で購入できます。

  • 郵便局: 全額面の印紙が購入可能
  • 法務局: 全額面の印紙が購入可能
  • コンビニ: 主に200円印紙のみ

高額の印紙(10,000円以上)が必要な場合は、郵便局や法務局での購入を推奨します。

(出典: 東急リバブル「印紙税とは?印紙税の一覧や印紙税額について」

まとめ:印紙税の注意点と手続きの流れ

不動産売買契約書の印紙税額は、契約金額により異なります(軽減税率適用後は1万円〜48万円)。実務上は契約書を2通作成し、売主・買主が各自1通分の印紙代を負担するケースが一般的です。

電子契約を利用すれば印紙税は不要となり、税抜表示や契約書の写し保管により節約も可能です。ただし、印紙を貼らなかった場合や消印をしなかった場合、過怠税(本来の税額の3倍)が課されるため注意が必要です。

軽減税率の適用期限は2027年3月31日までです。契約前に印紙税額を確認し、不動産会社や税理士等の専門家に相談しながら、無駄なく取引を進めましょう。最新の税率や軽減措置の詳細は、国税庁の公式サイトでご確認ください。

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よくある質問

Q1不動産売買契約書の印紙代は売主と買主どちらが負担する?

A1法律上は契約書に署名・押印した者全員が連帯して納税義務を負いますが、実務上は契約書を2通作成し、売主・買主が各自1通分の印紙代を負担するケースが一般的です。契約金額3,000万円の場合、売主・買主がそれぞれ10,000円(軽減税率適用後)を負担します。ただし、負担割合は契約内容により異なるため、契約前に不動産会社や宅建士に確認することを推奨します。

Q2電子契約にすれば印紙代はかからない?

A2はい、電子契約を利用すれば印紙税は不要です。印紙税法は「紙の文書」に対して課税するため、電子契約は「文書の作成」に該当しません。契約金額3,000万円の場合、紙の契約書(2通)では20,000円かかりますが、電子契約では0円となります。ただし、宅地建物取引業法では重要事項説明書や契約書の「書面交付義務」が定められているため、電子契約を利用する場合は宅建業法上の要件を満たしているか確認することを推奨します。

Q3印紙を貼り忘れた場合どうなる?

A3印紙を貼らなかった場合、過怠税(本来の税額の3倍)が課されます。また、消印をしなかった場合も過怠税(本来の税額と同額)が課されます。例えば、本来の印紙税額が10,000円の場合、貼り忘れると30,000円、消印忘れでも10,000円の追加負担となります。契約時には必ず印紙を貼り、収入印紙と契約書にまたがって消印を押すことを忘れないよう注意してください。

Q4領収書にも印紙は必要?

A4はい、5万円以上の領収書には印紙税が課されます。5万円以上100万円以下の場合は200円、100万円超200万円以下の場合は400円です。不動産取引の手付金や残代金の領収書も対象となります。例えば、手付金100万円の領収書には200円の印紙が必要です。領収書の印紙税額は不動産売買契約書とは異なる税率表が適用されるため、詳細は国税庁の公式サイトでご確認ください。

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Room Match編集部

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