不動産契約書の印紙税を完全ガイド|金額・貼り方・軽減措置まで徹底解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/16

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なぜ不動産契約書の印紙税が重要なのか

不動産売買契約を控えている方や、契約書作成に携わる事業者にとって、印紙税は見落としがちなコストです。この記事では、印紙税の仕組み・金額・貼付方法・軽減措置について、国税庁の公式情報を元に解説します。

印紙税は契約書・領収書等の文書に課される税金で、不動産売買契約書は課税文書に該当します。貼り忘れると過怠税(本来の3倍)が課されるため、正確な知識が必要です。

この記事のポイント

  • 不動産契約書の印紙税は契約金額により異なる(軽減措置適用時:200円~48万円)
  • 印紙を貼り忘れた場合、過怠税として本来の印紙税額の3倍が課される
  • 電子契約(PDF・メール等)の場合、印紙税は不要
  • 軽減措置は令和9年(2027年)3月31日まで延長されている
  • 印紙税は売主・買主で折半するのが一般的

(1) 印紙税とは何か

印紙税は、契約書・領収書等の「課税文書」に対して課される国税です。不動産売買契約書は「不動産の譲渡に関する契約書」として課税文書に該当し、契約金額に応じた収入印紙を貼付する必要があります。

収入印紙は郵便局・コンビニ等で購入でき、契約書に貼付後、印紙と契約書にまたがって消印(割印)を押すことで納税が完了します。

(2) 貼り忘れた場合のペナルティ(過怠税)

印紙を貼り忘れた場合、国税庁の印紙税法により、過怠税として本来の印紙税額の3倍が課されます。消印(割印)がない場合も、本来の印紙税額と同額の過怠税が課されるため、契約時に必ず確認が必要です。

ペナルティの例:

  • 本来の印紙税額が1万円の場合、貼り忘れで3万円の過怠税
  • 消印がない場合、1万円の過怠税

(3) 電子契約との違い

PDF・メール等の電子データで契約を締結する「電子契約」の場合、印紙税は不要です。電子契約は「文書の作成」に該当せず、印紙税の課税対象外となります。

2022年5月から不動産関連契約の電子契約が解禁され、印紙税削減のため電子契約への移行が進んでいます。

印紙税の基礎知識

(1) 印紙税が課される文書(課税文書)

不動産売買契約書は「不動産の譲渡に関する契約書」として課税文書に該当します。主な課税文書は以下の通りです。

文書の種類 具体例
不動産の譲渡に関する契約書 土地・建物の売買契約書
建設工事の請負に関する契約書 新築・リフォーム工事契約書
金銭消費貸借契約書 住宅ローン契約書

(2) 契約金額による税額の違い

印紙税額は契約金額により異なります。契約金額1万円未満は非課税、10万円超は軽減措置適用の有無を確認する必要があります。

契約金額が記載されていない場合、または記載金額が不明確な場合は、一律200円の印紙税が課されます。

(3) 売主・買主の負担区分

印紙税は売主・買主で折半するのが一般的です。どちらが負担するかは契約書に記載して合意すれば一方負担も可能ですが、不動産取引慣例では折半が多いため、事前に仲介業者に確認することを推奨します。

契約書の記載例: 「本契約に関する印紙税は、売主・買主が各々2分の1ずつ負担する」

不動産契約書の印紙税額一覧

(1) 軽減措置適用時の税額表(令和9年3月31日まで)

平成26年4月1日~令和9年3月31日の間に作成された不動産譲渡契約書(契約金額10万円超)には、軽減税率が適用されます。国税庁の軽減措置により、以下の税額表が適用されます。

契約金額 軽減税率 本則税率(参考)
1万円未満 非課税 非課税
10万円以下 200円 200円
10万円超~50万円以下 200円 400円
50万円超~100万円以下 500円 1,000円
100万円超~500万円以下 1,000円 2,000円
500万円超~1,000万円以下 5,000円 10,000円
1,000万円超~5,000万円以下 10,000円 20,000円
5,000万円超~1億円以下 30,000円 60,000円
1億円超~5億円以下 60,000円 100,000円
5億円超~10億円以下 160,000円 200,000円
10億円超~50億円以下 320,000円 400,000円
50億円超 480,000円 600,000円

(出典: 国税庁

(2) 本則税率との比較

軽減措置が適用されない場合(令和9年3月31日以降、または契約金額10万円以下)は、本則税率が適用されます。本則税率は軽減税率の2倍となるため、軽減措置の期限内に契約を締結することで大幅に節税できます。

節税効果の例:

  • 契約金額3,000万円の場合、軽減税率1万円 vs 本則税率2万円(1万円の節約)
  • 契約金額5,000万円の場合、軽減税率1万円 vs 本則税率2万円(1万円の節約)

(3) 契約金額別の具体例

例1: 契約金額3,000万円のマンション購入

  • 軽減税率適用時: 1万円
  • 売主・買主で折半: 各5,000円

例2: 契約金額8,000万円の戸建て購入

  • 軽減税率適用時: 3万円
  • 売主・買主で折半: 各1万5,000円

例3: 契約金額5,000万円の土地購入

  • 軽減税率適用時: 1万円
  • 売主・買主で折半: 各5,000円

印紙の貼り方と消印方法

(1) 収入印紙の購入方法

収入印紙は以下の場所で購入できます。

  • 郵便局
  • コンビニエンスストア(セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート等)
  • 法務局
  • 一部の金融機関

コンビニでは200円の収入印紙のみ取り扱っている店舗が多いため、高額の印紙が必要な場合は郵便局での購入を推奨します。

(2) 印紙の貼付位置

契約書の余白(通常は左上)に印紙を貼付します。複数枚の契約書を作成する場合、全ての契約書に印紙を貼付する必要があります。

注意点:

  • コピー・写しには印紙不要(原本のみ)
  • 契約書の枚数分の印紙が必要(売主用・買主用で各1枚)

(3) 消印(割印)の正しい方法

印紙を貼付後、印紙と契約書にまたがって消印(割印)を押します。消印は印紙の再利用を防ぐために必須です。

消印の方法:

  • 印鑑または署名で実施
  • 印紙と契約書にまたがるように押印
  • 売主・買主のいずれか一方が押印すればよい(両者の押印は不要)

消印がない場合、本来の印紙税額と同額の過怠税が課されるため、契約時に必ず実施してください。

軽減措置とよくあるミス

(1) 軽減措置の適用要件と期限

国税庁の軽減措置の適用要件は以下の通りです。

適用要件:

  • 平成26年4月1日~令和9年3月31日の間に作成された契約書
  • 契約金額10万円超の不動産譲渡契約書

令和6年度税制改正で軽減措置が令和9年3月31日まで延長されましたが、期限後は本則税率(高額)が適用される可能性があるため、最新情報を国税庁サイトで確認してください。

(2) よくあるミス(貼り忘れ・消印漏れ)

不動産契約書の印紙に関するよくあるミスは以下の通りです。

ミスの種類 ペナルティ
印紙を貼り忘れた 本来の印紙税額の3倍の過怠税
消印(割印)がない 本来の印紙税額と同額の過怠税
印紙の金額が不足 不足分の3倍の過怠税

(3) 過怠税のリスクと対策

過怠税は、印紙を貼り忘れた場合や消印がない場合に課される罰則的な税金です。契約時に以下の点を確認することで、過怠税のリスクを回避できます。

対策チェックリスト:

  • 契約金額に応じた正しい金額の印紙を用意
  • 契約書(原本)に印紙を貼付
  • 印紙と契約書にまたがって消印を実施
  • 電子契約の場合は印紙不要を確認

契約金額の記載によって印紙税額が変わるため、専門家(宅建士、税理士)への確認を推奨します。

まとめ:印紙税の節税ポイント

不動産契約書の印紙税は、契約金額により異なり(軽減措置適用時:200円~48万円)、貼り忘れると過怠税(本来の3倍)が課されるため、正確な知識が必要です。軽減措置は令和9年3月31日まで延長されており、期限内の契約で大幅に節税できます。

印紙税は売主・買主で折半するのが一般的ですが、契約書に記載して合意すれば一方負担も可能です。電子契約の場合は印紙税不要となるため、コスト削減のメリットがあります。

(1) 電子契約の活用(印紙税不要)

PDF・メール等の電子契約の場合、印紙税は不要です。2022年5月から不動産関連契約の電子契約が解禁され、印紙税削減のため電子契約への移行が進んでいます。

電子契約のメリット:

  • 印紙税が不要(数千円~数万円の節約)
  • 契約書の保管・管理が容易
  • 郵送コスト・時間の削減

(2) 軽減措置の確実な適用

令和9年3月31日までに契約を締結することで、軽減税率が適用されます。期限後は本則税率(高額)が適用される可能性があるため、契約時期の調整を検討してください。

(3) 専門家(税理士・宅建士)への相談

契約金額の記載によって印紙税額が変わるため、詳細は税理士・宅建士に相談することを推奨します。専門家に相談することで、過怠税のリスクを回避し、適切な節税対策を実施できます。

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よくある質問

Q1不動産契約書の印紙税はいくらかかりますか?

A1契約金額により異なります。軽減措置適用時(令和9年3月31日まで)、1,000万円超~5,000万円以下の契約で1万円です。1万円未満は非課税となります。詳細な税額表は国税庁の公式サイトで確認できます。契約金額の記載によって印紙税額が変わるため、専門家(宅建士、税理士)への確認を推奨します。

Q2電子契約でも印紙税は必要ですか?

A2不要です。PDFやメールでの電子契約は「文書の作成」に該当せず、印紙税の課税対象外となります。2022年5月から不動産契約の電子化が可能になり、印紙税削減のメリットがあります。ただし、電子署名法・宅建業法の要件を満たす必要があるため、業者への確認が必要です。

Q3印紙を貼らないとどうなりますか?

A3過怠税として本来の印紙税額の3倍が課されます。消印(割印)がない場合は本来の印紙税額と同額の過怠税が課されます。例えば、本来の印紙税額が1万円の場合、貼り忘れで3万円の過怠税となります。契約時に必ず確認し、消印も忘れずに実施してください。

Q4印紙税は売主・買主のどちらが負担しますか?

A4折半が一般的ですが、契約書に記載して合意すれば一方負担も可能です。不動産取引慣例では折半が多いため、事前に仲介業者に確認することを推奨します。契約書には「本契約に関する印紙税は、売主・買主が各々2分の1ずつ負担する」といった記載をすることで、負担区分を明確化できます。

Q5印紙税の軽減措置の期限はいつまでですか?

A5令和9年(2027年)3月31日までです。令和6年度税制改正で延長が決定されました。期限後は本則税率(高額)が適用される可能性があるため、最新情報を国税庁サイトで確認してください。軽減措置が適用されると、例えば3,000万円の契約で1万円(本則税率の半額)となります。

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Room Match編集部

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