不動産登記簿謄本のオンライン取得|時間とコストを削減する方法
不動産の購入・売却・相続等で登記簿謄本が必要になった際、「法務局に行く時間がない」「急ぎで取得したい」と悩む方は少なくありません。
この記事では、不動産登記簿謄本のオンライン取得方法、登記情報提供サービスと登記ねっとの違い、手数料と受け取り方法、地番の調べ方、注意点を、法務省の公式情報を元に解説します。
登記簿謄本の取得を検討している方が、オンラインで効率的に取得できるようになります。
この記事のポイント
- 登記情報提供サービスは閲覧のみで良い場合に最も安価(全部事項332円)、PDF即時取得可能
- 登記ねっとの「かんたん証明書請求」は専用ソフト不要でブラウザから手軽に利用できる
- オンライン請求で窓口受取を選ぶと480円、郵送受取だと500円で取得可能
- 地番・家屋番号が必要なので、住居表示しか分からない場合は事前に法務局で確認が必要
- 登記情報提供サービスのPDFは証明力がないため、銀行融資や裁判所提出には使用不可
登記簿謄本(登記事項証明書)とは|役割と種類の基礎知識
登記簿謄本の記載内容と用途(所有者・権利関係・面積)
登記簿謄本(登記事項証明書)とは、不動産の所有者・権利関係・面積等が記載された公的証明書です。法務局が発行します。
不動産取引、融資申請、相続手続き、裁判所提出など、様々な場面で利用されます。
全部事項証明書と現在事項証明書の違い
登記事項証明書には、「全部事項証明書」と「現在事項証明書」があります。
- 全部事項証明書: 登記記録の全ての事項が記載された証明書(過去の抵当権設定履歴等も含む)
- 現在事項証明書: 現在有効な事項のみが記載された証明書(過去の抹消済み事項は記載されない)
一般的には、全部事項証明書を取得することが多いです。
登記情報と登記事項証明書の違い(証明力の有無)
「登記情報」と「登記事項証明書」は異なります。
- 登記情報: 登記情報提供サービスで取得できるPDFデータ。証明力なし(閲覧用)
- 登記事項証明書: 法務局が発行する正本。法的証明力あり(融資・裁判所提出可)
用途に応じて使い分けが必要です。
登記情報提供サービスの使い方|PDF閲覧・即時取得(332円)
一時利用・個人登録・法人登録の3つの利用方法
登記情報提供サービスは、一般財団法人民事法務協会が運営する、登記情報をオンラインで閲覧できるサービスです。
利用方法は以下の3つです。
- 一時利用: クレジットカード決済のみ。登録不要で即時利用可能
- 個人登録: 事前登録が必要(1週間程度)。クレジットカード決済可能
- 法人登録: 事前登録が必要(1週間程度)。請求書払い可能
急ぎの場合は一時利用が便利です。
地番・家屋番号の調べ方(住居表示との違い)
オンライン取得時は、地番・家屋番号が必須です。
地番とは、土地を特定するための番号で、住居表示(住所)とは異なります。家屋番号は、建物を特定するための番号です。
住居表示しか分からない場合は、法務局窓口または電話で照会可能です。事前確認が必要です。
利用時間と決済方法(クレジットカード決済可能)
登記情報提供サービスの利用時間は、土日祝も含めて8:30〜18:00です。
決済方法は、クレジットカード決済(一時利用・個人登録)または請求書払い(法人登録)です。
PDFの証明力と利用上の制限(融資・裁判所提出不可)
登記情報提供サービスで取得したPDFには、法的証明力がありません。閲覧のみが目的であれば問題ありませんが、銀行融資や裁判所提出には使用できません。
これらの用途には、登記ねっとで正本を取得する必要があります。
登記ねっと「かんたん証明書請求」の使い方|正本の郵送・窓口受取
申請者情報登録の手順(専用ソフト不要・ブラウザで完結)
登記ねっとは、法務局が運営する「登記・供託オンライン申請システム」の通称です。
「かんたん証明書請求」は、専用ソフト不要でブラウザから手軽に利用できるサービスです。初回利用時は申請者情報登録が必要です。
請求手順と必要情報(地番・家屋番号・受取方法)
請求手順は以下の通りです。
- 申請者情報登録(初回のみ)
- 地番・家屋番号を入力
- 受取方法を選択(窓口受取・郵送受取)
- 決済(インターネットバンキング・クレジットカード・電子納付)
地番・家屋番号が分からない場合は、事前に法務局で確認してください。
申請用総合ソフトとの違い(簡易版と本格版)
登記ねっとには、「かんたん証明書請求」と「申請用総合ソフト」の2種類があります。
- かんたん証明書請求: ブラウザで完結。証明書請求専用(簡易版)
- 申請用総合ソフト: 専用ソフトのインストールが必要。登記申請全般に対応(本格版)
証明書請求のみであれば、かんたん証明書請求が便利です。
オンライン取得の手数料と受け取り方法|サービス別の比較
登記情報提供サービス(全部事項332円・PDF即時)
登記情報提供サービスの利用料金は、全部事項情報が332円です。PDF形式で即時取得可能です。
登記ねっと窓口受取(480円・最短翌営業日)
法務局によると、登記ねっとで請求し、窓口で受け取る場合の手数料は480円です。最短翌営業日に受け取れます。
登記ねっと郵送受取(500円・数日後)
登記ねっとで請求し、郵送で受け取る場合の手数料は500円です。受け取りまで数日かかります。
窓口請求(600円)との比較
法務局窓口で直接請求する場合の手数料は600円です。オンライン請求の方が安価で、時間も削減できます。
| 取得方法 | 手数料 | 受取時期 | 証明力 |
|---|---|---|---|
| 登記情報提供サービス | 332円 | 即時 | なし(閲覧用) |
| 登記ねっと(窓口受取) | 480円 | 最短翌営業日 | あり |
| 登記ねっと(郵送受取) | 500円 | 数日後 | あり |
| 法務局窓口 | 600円 | 即日 | あり |
(出典: 法務局、登記情報提供サービス)
オンライン請求の注意点とよくある質問|地番・証明力・利用時間
住所と地番の違いと調べ方(法務局での事前確認)
住所(住居表示)と地番は異なります。地番が分からない場合は、法務局窓口または電話で照会可能です。
オンライン取得時は地番・家屋番号が必須のため、事前確認を推奨します。
入力ミスによる誤った情報取得のリスク
地番・家屋番号の入力ミスにより、全く異なる不動産の情報が届く可能性があります。入力内容を十分に確認してください。
利用時間の制限(登記情報提供サービスは土日祝可・登記ねっとは平日のみ)
登記情報提供サービスは土日祝も利用可能(8:30〜18:00)ですが、登記ねっとは平日のみの利用となります。
利用時間外は請求できないため、注意が必要です。
専門家(司法書士等)への相談が必要なケース
登記簿謄本の内容が複雑な場合や、取得した情報の解釈が不明な場合は、司法書士等の専門家への相談を推奨します。
特に、相続・抵当権設定・所有権移転等の登記手続きを伴う場合は、専門家のサポートを受けることで、手続きを安全に進められます。
まとめ|オンラインで効率的に登記簿謄本を取得する方法
不動産登記簿謄本は、登記情報提供サービス(PDF閲覧・332円・即時取得)または登記ねっと(正本発行・窓口480円/郵送500円)でオンライン取得できます。
登記情報提供サービスは閲覧のみで良い場合に最も安価で便利ですが、PDFは証明力がないため、銀行融資や裁判所提出には使用できません。これらの用途には、登記ねっとで正本を取得する必要があります。
オンライン取得時は、地番・家屋番号が必須です。住居表示しか分からない場合は、事前に法務局で確認してください。
登記ねっとの「かんたん証明書請求」は、専用ソフト不要でブラウザから手軽に利用できます。急ぎの場合は登記情報提供サービス(即時)、正本が必要な場合は登記ねっと(窓口受取・最短翌営業日)を選択しましょう。
登記簿謄本の内容が複雑な場合や、登記手続きを伴う場合は、司法書士等の専門家への相談を推奨します。
