不動産登記情報サービスとは?使い方と取得方法を詳しく解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/25

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不動産登記情報サービスとは

不動産登記情報サービスは、登記所が保有する登記情報をインターネット経由で確認できる有料サービスです。法務局に足を運ぶことなく、自宅や事務所から登記情報を取得できるため、時間と手間を大幅に削減できます。

この記事のポイント

  • 登記情報提供サービスは、一般財団法人民事法務協会が運営する公式のオンラインサービス
  • 法務局に行かなくても、不動産の権利関係や所有者情報をインターネットで確認できる
  • 登記簿謄本(登記事項証明書)とは異なり、法的証明力はないが、事前調査や権利確認に便利
  • 料金は全部事項331円、所有者事項142円など、比較的安価で利用可能(令和3年10月1日改定後)
  • 不動産売買、相続手続き、法人の信用調査など、多様な場面で活用されている

(1) サービスの概要と仕組み

登記情報提供サービスは、登記所が保有する登記情報をPDF形式でインターネット経由で閲覧できるサービスです。法務省によると、平成12年6月1日から一般財団法人民事法務協会が指定法人として運営しています。

主な特徴:

  • インターネット環境があれば、24時間いつでも利用可能(システムメンテナンス時を除く)
  • 個人・法人・公共機関のいずれも利用可能
  • クレジットカード決済で、請求の都度支払い
  • 登記情報はPDF形式でダウンロード可能

(2) 運営者(一般財団法人民事法務協会)

登記情報提供サービスは、一般財団法人民事法務協会が運営しています。同協会は、平成12年6月1日に「電気通信回線による登記情報の提供に関する法律」に基づく指定法人として指定されました。

公式サイトは 登記情報提供サービス です。利用方法や料金の詳細は、こちらで確認できます。

(3) 法的根拠

登記情報提供サービスの法的根拠は、「電気通信回線による登記情報の提供に関する法律」です。この法律に基づき、登記所の登記情報を一般に提供する仕組みが整備されています。

ただし、登記情報提供サービスで取得した情報は、登記所が発行する登記事項証明書(登記簿謄本)とは異なり、法的証明力はありません。あくまで参考情報として利用することを前提としています。

登記情報と登記事項証明書(登記簿謄本)の違い

登記情報提供サービスと登記事項証明書(登記簿謄本)は、どちらも登記所の登記情報を取得する手段ですが、法的証明力や取得方法に大きな違いがあります。

(1) 法的証明力の有無

最も重要な違いは、法的証明力の有無です。

項目 登記情報提供サービス 登記事項証明書(登記簿謄本)
法的証明力 なし あり
用途 事前調査・権利確認 金融機関への提出等の公的証明
取得方法 オンライン(PDF) 窓口・郵送・オンライン請求
料金 全部事項331円 窓口600円、オンライン480円
取得時間 即時 窓口は即日、郵送は数日

(出典: 法務省)

登記情報提供サービスで取得した情報は、金融機関への提出や訴訟での証拠として使用することはできません。公的証明が必要な場合は、登記事項証明書を別途取得する必要があります。

(2) 取得方法の違い

登記情報提供サービス:

  • インターネット経由でPDF形式で取得
  • クレジットカード決済
  • 即時取得可能

登記事項証明書(登記簿謄本):

  • 法務局窓口で取得
  • 郵送で請求・受取
  • オンライン請求(法務局窓口または郵送で受取)
  • 収入印紙または電子納付で支払い

(出典: 法務局)

(3) 使い分けのポイント

登記情報提供サービスを使うべき場面:

  • 不動産売買の事前調査(権利関係の確認)
  • 相続手続きの準備段階(相続対象不動産の確認)
  • 法人の信用調査(本店所在地の確認)
  • 迅速に情報を確認したい場合

登記事項証明書(登記簿謄本)を使うべき場面:

  • 金融機関への住宅ローン申請時の提出
  • 相続登記の申請時の添付書類
  • 訴訟での証拠資料
  • 公的証明が必要なあらゆる場面

実務では、まず登記情報提供サービスで権利関係を確認し、公的証明が必要になった時点で登記事項証明書を取得する、という使い方が一般的です。

不動産登記情報サービスの利用方法

登記情報提供サービスを利用するには、利用登録と不動産登記情報の請求という2つのステップが必要です。

(1) 利用登録の手順

初めて利用する場合は、登記情報提供サービスの公式サイトで利用登録を行います。

登録に必要な情報:

  • 氏名または法人名
  • 住所
  • メールアドレス
  • クレジットカード情報

登録は無料で、所要時間は約5-10分です。登録完了後、すぐにサービスを利用できます。

(2) 利用形態(個人・法人・公共機関)

登記情報提供サービスには、3つの利用形態があります。

利用形態 対象 特徴
個人登録利用 個人 個人名義で登録・利用
法人登録利用 法人 法人名義で登録・利用
公共機関登録利用 公共機関 公共機関名義で登録・利用

(出典: 登記情報提供サービス)

いずれの利用形態でも、料金は同じです。法人や公共機関が業務で利用する場合は、法人登録利用または公共機関登録利用を選択します。

(3) 不動産登記情報の請求手順

登録後、以下の手順で不動産登記情報を請求します。

  1. ログイン: 登録時に設定したIDとパスワードでログイン
  2. 請求種別の選択: 不動産登記情報、商業・法人登記情報、動産・債権譲渡登記情報から選択
  3. 検索条件の入力: 所在地、地番、家屋番号などを入力
  4. 情報の請求: 表示された物件を選択し、請求を確定
  5. 支払い: クレジットカードで決済
  6. PDFダウンロード: 請求した登記情報をPDF形式でダウンロード

所要時間は約5分程度で、即座にPDFを取得できます。

(4) 支払方法(クレジットカード決済)

登記情報提供サービスの支払いは、クレジットカード決済のみです。登記情報を請求する都度、登録されたクレジットカードから自動的に決済されます。

利用可能なクレジットカードブランド:

  • VISA
  • Mastercard
  • JCB
  • American Express
  • Diners Club

(出典: 法務省)

取得できる登記情報の種類と内容

登記情報提供サービスでは、4種類の登記情報を取得できます。それぞれ内容と料金が異なるため、用途に応じて選択します。

(1) 全部事項(料金331円)

全部事項は、不動産登記の全ての事項を記載したものです。登記簿謄本の全部事項証明書に相当します。

記載内容:

  • 表題部(所在、地番、地目、地積等)
  • 権利部甲区(所有権に関する事項)
  • 権利部乙区(抵当権等の所有権以外の権利に関する事項)

不動産の権利関係を全て確認したい場合は、全部事項を取得します。

(2) 所有者事項(料金142円)

所有者事項は、不動産の所有者情報のみを記載したものです。

記載内容:

  • 所有者の氏名または名称
  • 所有者の住所
  • 所有権の登記日

所有者を確認するだけであれば、全部事項よりも安価な所有者事項で十分です。

(3) 図面(料金361円)

図面は、地積測量図や建物図面を取得できます。

記載内容:

  • 地積測量図(土地の形状・面積)
  • 建物図面(建物の配置・形状)

土地の境界や建物の配置を確認する際に利用します。

(4) 概要ファイル(料金142円)

概要ファイルは、不動産登記の概要情報を記載したものです。

記載内容:

  • 不動産の所在
  • 所有者の氏名
  • 抵当権の有無

簡易的な確認には概要ファイルが便利です。

料金一覧表:

種類 料金(税込) 内容
全部事項 331円 全ての登記事項
所有者事項 142円 所有者情報のみ
図面 361円 地積測量図・建物図面
概要ファイル 142円 概要情報

(出典: 法務省、令和3年10月1日改定後)

活用場面と注意点

登記情報提供サービスは、不動産売買、相続手続き、法人の信用調査など、多様な場面で活用されています。

(1) 不動産売買での活用

不動産の購入を検討する際、売主が本当に所有者なのか、抵当権等の担保権が設定されていないかを事前に確認することが重要です。登記情報提供サービスを利用すれば、契約前に権利関係を迅速に確認できます。

確認ポイント:

  • 所有者の氏名・住所が売主と一致しているか
  • 抵当権等の担保権が設定されているか
  • 差押えや仮登記などの制限があるか

(2) 相続手続きでの活用

相続が発生した際、被相続人が所有していた不動産を特定する必要があります。登記情報提供サービスを利用すれば、相続対象不動産の所有者や面積を迅速に確認できます。

活用例:

  • 被相続人の所有不動産の一覧作成
  • 相続登記前の権利関係の確認
  • 相続税申告のための不動産評価額の算定資料

(3) 法人の信用調査での活用

取引先の法人が本店所在地を本当に所有しているのか、担保権が設定されていないかを確認する際にも利用できます。

確認ポイント:

  • 法人の本店所在地の所有者
  • 担保権の設定状況
  • 過去の登記履歴

(4) システムメンテナンス時の対応

登記情報提供サービスは、原則として24時間利用可能ですが、システムメンテナンス時は利用できません。公式サイトでメンテナンススケジュールを確認してください。

緊急で登記情報が必要な場合は、法務局窓口で登記事項証明書を取得する方法もあります。

(5) 個人情報保護の注意点

登記情報には、所有者の氏名・住所などの個人情報が含まれています。取得した登記情報の取り扱いには注意が必要です。

注意点:

  • 業務目的以外での利用は避ける
  • 第三者への無断開示は厳禁
  • 個人情報保護法を遵守する

まとめ:不動産登記情報サービスの利用ガイド

不動産登記情報サービスは、法務局に行かなくても、インターネット経由で登記情報を取得できる便利なサービスです。一般財団法人民事法務協会が運営し、料金は全部事項331円、所有者事項142円と比較的安価です。

ただし、法的証明力はないため、金融機関への提出等の公的証明が必要な場合は、登記事項証明書(登記簿謄本)を別途取得する必要があります。事前調査や権利確認には登記情報提供サービス、公的証明が必要な場合は登記事項証明書、という使い分けが実務では一般的です。

不動産売買、相続手続き、法人の信用調査など、多様な場面で活用できるサービスです。利用方法は公式サイトで確認し、専門家(司法書士、宅地建物取引士等)への相談も推奨します。

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よくある質問

Q1不動産登記情報サービスの利用料金は?

A1全部事項331円、所有者事項142円、図面361円、概要ファイル142円です(令和3年10月1日改定後)。クレジットカードで請求の都度決済されます。支払いはVISA、Mastercard、JCB、American Express、Diners Clubが利用可能です。法務省の公式サイトで最新の料金体系を確認できます。

Q2登記情報提供サービスで取得した情報は法的効力があるのか?

A2法的証明力はありません。あくまで参考情報として利用するものです。金融機関への住宅ローン申請時の提出、相続登記の申請時の添付書類、訴訟での証拠資料など、公的証明が必要な場合は、登記事項証明書(登記簿謄本)を別途取得する必要があります。登記事項証明書は法務局窓口、郵送、またはオンライン請求で取得できます。

Q3登記情報提供サービスと登記事項証明書はどう使い分けるべきか?

A3事前調査や権利関係の確認には登記情報提供サービス、公的証明が必要な場合は登記事項証明書を使用します。登記情報提供サービスはオンラインで即時取得可能で料金も安価(全部事項331円)ですが、法的証明力はありません。登記事項証明書は窓口600円、オンライン480円で、法的証明力があります。実務では、まず登記情報提供サービスで確認し、必要に応じて登記事項証明書を取得するのが一般的です。

Q4不動産登記情報サービスの利用時間は?

A4原則として平日・土日を問わず24時間利用可能です。ただし、システムメンテナンス時は利用できません。公式サイトでメンテナンススケジュールを確認してください。緊急で登記情報が必要な場合は、法務局窓口で登記事項証明書を取得する方法もあります(平日8時30分~17時15分)。

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Room Match編集部

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