固定資産税の支払い義務を理解する重要性
不動産の売買や相続を検討する際、「固定資産税は誰が払うのか」「年の途中で売却した場合はどうなるのか」と疑問に思う方は少なくありません。
この記事では、固定資産税の支払い義務者、売買時の負担区分、相続時の扱いを、総務省や専門家の解説を元に詳しく解説します。
固定資産税の支払い義務を正しく理解することで、不動産取引や相続時のトラブルを防ぐことができます。
この記事のポイント
- 固定資産税の納税義務者は毎年1月1日時点の不動産所有者(1月2日以降の売買でも当年の固定資産税は全額支払う)
- 年の途中で売却した場合、売主・買主間で日割り精算するのが一般的(法律上の義務ではなく慣習)
- 相続時は相続人全員が連帯して納税義務を負う
- 固定資産税を決めるのは市区町村(東京23区は都)
固定資産税の基礎知識
固定資産税とは(定義・課税対象)
固定資産税は、毎年1月1日時点の土地・建物・償却資産の所有者に課される地方税です。
課税対象は以下の通りです:
- 土地:宅地、農地、山林等
- 建物:住宅、店舗、工場等
- 償却資産:事業用の機械・器具等
(参考: 総務省「固定資産税」)
納税義務者は誰か(1月1日の所有者)
固定資産税の納税義務者は、毎年1月1日時点の不動産所有者です。
重要なポイントとして、1月2日以降に売却してもその年の固定資産税は全額支払う必要がある点が挙げられます。
例えば、1月5日に不動産を売却しても、1月1日時点で所有していたため、その年の固定資産税は売主が全額負担します。
固定資産税を決めるのは誰か(市区町村)
固定資産税は市区町村(東京23区は都)が決定します。
市区町村が固定資産評価額を決定し、税額を計算した上で、納税通知書を所有者に送付します。
共有名義の場合の連帯納付
共有名義の不動産の場合、共有者全員が固定資産税の全額を連帯して納める義務があります。
これは地方税法第10条の2第1項で定められており、共有者の一人が滞納した場合、他の共有者が全額支払う必要があります。
不動産売買時の固定資産税負担
1月1日時点の所有者が全額納税
法律上、1月1日時点の所有者がその年の固定資産税を全額納税します。
このため、1月2日以降に不動産を売却した場合でも、売主がその年の固定資産税を全額支払う義務があります。
日割り精算の慣習と計算方法
実務では、売主・買主間で固定資産税を日割り計算で精算するのが一般的です。
これは法律上の義務ではなく慣習ですが、ほとんどの不動産取引で採用されています。
日割り計算の方法:
売主の負担 = 固定資産税 × (1月1日〜引渡日の日数 / 365日)
買主の負担 = 固定資産税 × (引渡日翌日〜12月31日の日数 / 365日)
起算日の違い(東日本1月1日・西日本4月1日)
日割り計算の起算日は、地域によって以下のように異なります:
| 地域 | 起算日 |
|---|---|
| 東日本 | 1月1日 |
| 西日本 | 4月1日 |
起算日が4月1日の場合、4月1日〜引渡日を売主負担、引渡日翌日〜翌年3月31日を買主負担とすることが一般的です。
売買契約書での特約の重要性
日割り精算は慣習のため、売買契約書で精算方法を明記することが重要です。
以下の項目を契約書に記載してください:
- 起算日(1月1日 or 4月1日)
- 精算基準日(引渡日 or 決済日)
- 精算方法(日割り計算の式)
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相続時の固定資産税負担
相続人全員が連帯して納税義務を負う
相続時は、相続人全員が連帯して納税義務を負います。
故人に課せられた固定資産税の納税義務が相続人全員に引き継がれ、遺産分割協議の内容にかかわらず、全員が納税義務を負います。
相続発生年の固定資産税の扱い
相続発生年の固定資産税は、以下のように扱われます:
- 1月1日時点で被相続人が存命:被相続人が納税義務者 → 相続人全員が引き継ぐ
- 1月1日時点で被相続人が死亡:相続人全員が納税義務者(翌年以降は新所有者が納税義務者)
代表相続人の指定方法
相続人全員が納税義務を負う場合、代表相続人を指定して納税通知書を受け取ることができます。
市区町村に「代表相続人指定届」を提出することで、代表者が一括して納税通知書を受け取れます。
ただし、代表者が支払っても、他の相続人の納税義務が免除されるわけではありません。
固定資産税の支払い方法と注意点
納税通知書の届く時期(4-5月)
納税通知書は、4-5月に市区町村から送付されるのが一般的です。
通知書には以下の情報が記載されています:
- 固定資産評価額
- 税額
- 納付期限
- 支払い方法
支払い時期(4期分納が一般的)
固定資産税の支払いは、4期に分けて納付するのが一般的です。
| 期 | 納付月(一般的) |
|---|---|
| 第1期 | 6月 |
| 第2期 | 9月 |
| 第3期 | 12月 |
| 第4期 | 2月 |
自治体により納付時期が異なるため、納税通知書で確認してください。
支払い方法(窓口・口座振替・スマホアプリ)
固定資産税の支払い方法は以下の通りです:
- 窓口払い:銀行、郵便局、コンビニ
- 口座振替:自動引き落とし
- スマホアプリ:PayPay、LINE Pay、d払い等(2023年4月から利用可能)
(参考: ペイッター「固定資産税はいつ払う?お得に支払う方法を徹底解説」2025年版)
キャッシュレス決済の選択肢が増加しており、ポイント還元を受けられる場合があります。
滞納時のリスク(延滞金・財産差し押さえ)
固定資産税を滞納すると、以下のリスクがあります:
- 延滞金の発生:納付期限の翌日から延滞金が発生
- 財産の差し押さえ:滞納が続くと、不動産や預金が差し押さえられる
滞納は避け、支払いが難しい場合は市区町村に相談してください。
まとめ:状況別の支払い義務者
固定資産税の納税義務者は、毎年1月1日時点の不動産所有者です。1月2日以降に売却してもその年の固定資産税は全額支払う必要がありますが、実務では日割り計算で売主・買主間で精算するのが一般的です。
相続時は相続人全員が連帯して納税義務を負い、代表相続人を指定することで納税通知書を一括受領できます。固定資産税を決めるのは市区町村(東京23区は都)で、納税通知書は4-5月に送付されます。
不動産売買や相続の際は、固定資産税の負担区分を契約書で明記し、必要に応じて税理士や宅地建物取引士に相談することを推奨します。
