不動産リースバックとは?仕組み・メリット・注意点を徹底解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/30

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リースバックが注目される背景と老後資金の課題

住宅ローンの返済や老後資金の確保に悩む方の間で、「リースバック」という選択肢が注目されています。自宅を売却しながら同じ家に住み続けられる仕組みとして、資金ニーズに応える方法の一つです。

この記事では、リースバックの仕組み、メリット・デメリット、注意点について、国土交通省のガイドブックや不動産会社の情報を元に解説します。

この記事のポイント

  • リースバックは自宅を売却して現金化しながら、同じ家に賃貸として住み続けられる仕組み
  • 売却価格は市場価格の7〜8割程度が一般的、買戻し価格は売却価格の1.1〜1.3倍
  • 定期借家契約の場合は更新できないリスクがあるため、契約形態の確認が重要
  • 複数社の見積もり比較で数百万円の差が出る可能性がある

リースバックの仕組みと基本用語

リースバックとは、自宅を不動産会社等に売却して一括で現金を受け取りながら、同じ家に賃貸として住み続けられる仕組みです。正式には「セール&リースバック」と呼ばれます。

リースバックの基本的な流れ

リースバックでは、以下の2つの契約を同時に締結します。

契約 内容
不動産売買契約 自宅を不動産会社等に売却し、現金を受け取る
賃貸借契約 売却した家を借りて、毎月家賃を支払う

売却代金は一括で受け取れるため、住宅ローンの返済、老後資金の確保、事業資金など、まとまった資金が必要な場面で活用されています。

リバースモーゲージとの違い

リースバックと混同されやすいのが「リバースモーゲージ」です。両者の違いは以下の通りです。

項目 リースバック リバースモーゲージ
仕組み 自宅を売却して現金化 自宅を担保に融資を受ける
所有権 買主に移転する 本人が維持
資金調達 売却代金(一括) 融資(年金形式等)
返済 毎月の家賃 死亡時に自宅を売却して返済

リースバックは所有権が移転するため、固定資産税や管理費の負担がなくなります。一方、リバースモーゲージは所有権を維持したまま資金調達できる点が特徴です。

定期借家契約と普通借家契約の違い

リースバック後の賃貸借契約には、「定期借家契約」と「普通借家契約」の2種類があります。

  • 定期借家契約: 契約期間が満了すると更新されない契約。リースバック事業者が再契約に同意しなければ、退去を余儀なくされる可能性がある
  • 普通借家契約: 借主が希望すれば原則として更新できる契約。長期居住を希望する場合はこちらが安心

契約前に、どちらの契約形態かを必ず確認してください。

リースバックのメリット・デメリット

リースバックには明確なメリットとデメリットがあります。両方を理解した上で判断することが重要です。

メリット:即金化・住み続けられる・維持費削減・買戻し可能

リースバックの主なメリットは以下の通りです。

  • まとまった現金を迅速に受け取れる: 売却代金を一括で受け取れるため、住宅ローン返済や老後資金に活用可能
  • 同じ家に住み続けられる: 引っ越しが不要で、近隣との関係や生活環境を維持できる
  • 維持費の負担がなくなる: 固定資産税、管理費、火災保険等の維持費が不要になり、毎月一定の家賃にまとまる
  • 買戻しの可能性がある: 契約内容によっては、将来自宅を買い戻すことも可能

デメリット:売却価格が市場価格より低い・家賃負担・改装制限

一方、以下のデメリットにも注意が必要です。

デメリット 内容
売却価格が低い 市場価格の7〜8割程度(物件状況により40〜50%のケースも)
家賃負担 周辺相場より高い場合が多い(売却価格に対する利回りを考慮)
改装制限 賃貸のため、自由にリフォームできない
買戻し価格が高い 売却価格の1.1〜1.3倍が一般的

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リースバックが向いている人・向いていない人

リースバックはすべての人に適した選択肢ではありません。向き・不向きを確認しましょう。

向いている人:老後資金確保・住宅ローン返済・事業資金

  • 住宅ローンの返済が厳しく、売却を検討している方
  • 老後資金を確保したいが、住み慣れた家から離れたくない方
  • 事業資金や子どもの教育資金など、まとまった現金が必要な方
  • 相続人がおらず、資産を現金化しておきたい方

向いていない人:長期居住希望・資産承継重視

  • 長期間(10年以上)同じ家に住み続けたい方(定期借家契約の場合、更新できないリスクあり)
  • 自宅を子どもに相続させたい方(所有権が移転するため相続不可)
  • 売却価格が住宅ローン残債を下回る方(オーバーローン状態)

リースバックの注意点とトラブル回避策

リースバックに関する相談は国民生活センターでも増加傾向にあります。トラブルを回避するために、以下の点に注意してください。

クーリング・オフ不適用と違約金リスク

宅地建物取引業者への売却の場合、クーリング・オフは適用されません。契約後のキャンセルには違約金が発生するケースも多いため、契約前に十分な検討が必要です。

契約形態の確認(定期借家は更新不可の可能性)

定期借家契約の場合、契約期間満了後に更新の概念がありません。リースバック事業者が再契約に同意しなければ、退去を求められる可能性があります。

契約前に以下を確認してください。

  • 賃貸借契約の種類(定期借家 or 普通借家)
  • 契約期間と再契約の条件
  • 家賃改定の条件

家賃引き上げリスクと複数社比較の重要性

家賃の引き上げ請求が来るケースも報告されています。長期的な資金計画を立てる際は、家賃改定条件を事前に確認してください。

また、複数社の見積もりを比較することで、売却価格に数百万円の差が出る可能性があります。1社だけで決めず、必ず複数社から査定を受けることを推奨します。

まとめ:リースバック利用の判断ポイント

リースバックは、自宅を売却しながら住み続けられる仕組みとして、住宅ローン返済や老後資金確保に活用できます。ただし、売却価格が市場価格より低くなる点、家賃負担が発生する点、定期借家契約では更新できないリスクがある点に注意が必要です。

利用を検討される際は、国土交通省のガイドブックを確認し、複数社の見積もりを比較した上で、不動産業者やファイナンシャルプランナー等の専門家に相談することを推奨します。

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よくある質問

Q1リースバックの売却価格はどれくらいになる?

A1市場価格の7〜8割程度が一般的です。ただし、物件の状況や立地により40〜50%程度になるケースもあります。複数のリースバック会社から見積もりを取ることで、数百万円の差が出る可能性があるため、1社だけで決めずに比較検討することを推奨します。

Q2リースバック後の家賃はどれくらいか?

A2周辺相場より高い場合が多いです。リースバック事業者は売却価格に対する利回り(年6〜12%程度)を基準に家賃を設定するため、売却価格が高いほど家賃も高くなる傾向があります。契約前に家賃額と改定条件を確認し、長期的な資金計画を立てることが重要です。

Q3リースバックで売却した家は買い戻せる?

A3買戻し条項付きの契約であれば可能です。ただし、買戻し価格は売却価格の1.1〜1.3倍が一般的で、売却時より高くなります。買戻しを検討している場合は、契約時に買戻し条件(価格、期限等)を明確にしておくことが重要です。

Q4リースバックとリバースモーゲージの違いは?

A4リースバックは自宅を売却して現金化する仕組みで、所有権が買主に移転します。リバースモーゲージは自宅を担保に融資を受ける仕組みで、所有権は本人が維持します。リースバックは固定資産税等の維持費が不要になる一方、リバースモーゲージは死亡時まで自宅を所有できる点が特徴です。

Q5リースバックでトラブルが起きたらどこに相談する?

A5国民生活センターや各地の消費生活センターに相談できます。リースバックに関する相談件数は増加傾向にあり、クーリング・オフ不適用や定期借家契約の更新問題などが報告されています。契約前に契約内容を十分確認し、不明点は不動産業者やファイナンシャルプランナーに相談することを推奨します。

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