不動産健保(不動産業界の健康保険組合)とは?加入条件とメリット

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/3

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不動産健保(不動産業健康保険組合)とは

不動産業界で働く際、または不動産業への転職を検討している際に、「不動産健保」という言葉を耳にすることがあります。一般の協会けんぽとどう違うのか、加入条件やメリットは何かといった疑問をお持ちの方も多いでしょう。

この記事では、不動産健保(不動産業健康保険組合)の概要、協会けんぽや国民健康保険との違い、加入のメリット・デメリット、不動産売却時の健康保険料への影響等について、東京不動産業健康保険組合全宅連の情報を元に解説します。

不動産業界従事者、または不動産業への転職を検討している方にとって、健康保険制度の理解を深める内容となっています。

この記事のポイント

  • 不動産健保(東京不動産業健康保険組合等)は、不動産業界約22万人が加入する業界健保組合
  • 業界健保組合は協会けんぽより福利厚生が充実(医療費補助、保養所等)
  • 会社員は不動産売却で保険料は上がらないが、国民健康保険加入者は譲渡所得により保険料が上がる可能性
  • 不動産会社を法人化すると社会保険加入が義務。会社代表者も加入が必要
  • 2024年12月2日からマイナ保険証への移行が本格化。現行保険証は2025年12月2日まで使用可能

東京不動産業健康保険組合:約22万人が加入

東京不動産業健康保険組合は、不動産業界の従業員とその家族を対象とした健康保険組合です。約22万人が加入する、業界最大級の健保組合です。

主な特徴:

  • 不動産業界に特化した健康保険組合
  • 医療費補助、健康増進サービス、保養所等の福利厚生を提供
  • 協会けんぽより充実した付加給付

不動産業界で働く会社員の多くが、この健保組合に加入しています。

業界健保組合の特徴と役割

業界健保組合は、特定の業界や企業の従業員とその家族を対象に健康保険を運営する組織です。

役割:

  • 医療費の給付(法定給付)
  • 付加給付(健保組合独自の給付)の提供
  • 健康診断、健康相談等の保健事業
  • 保養所、スポーツ施設等の福利厚生施設の運営

業界健保組合は、業界の特性に合わせたサービスを提供できる点が特徴です。

マイナ保険証への移行(2024年12月2日から本格化)

東京不動産業健康保険組合によると、2024年12月2日から健康保険証の新規発行が終了し、マイナ保険証(マイナンバーカード)への移行が本格化しています。

移行スケジュール:

  • 2024年12月2日:健康保険証の新規発行終了
  • 2025年12月2日:現行健康保険証の使用期限

マイナンバーカードを健康保険証として利用することで、医療機関での受診がスムーズになります。詳細は加入している健保組合の公式サイトで確認しましょう。

健保組合と協会けんぽ・国民健康保険の違い

保険料率の違い

健康保険の種類により、保険料率が異なります。

種類 保険料率 保険料負担
健保組合 健保組合ごとに設定 事業主と従業員で折半
協会けんぽ 都道府県ごとに設定(約10%) 事業主と従業員で折半
国民健康保険 自治体ごとに設定 全額自己負担

健保組合の保険料率は、組合の財政状況により異なります。一般的に、協会けんぽより低い場合が多いです。

付加給付・福利厚生の充実度

業界健保組合は、協会けんぽより福利厚生が充実しています。

健保組合の付加給付例:

  • 高額療養費の上乗せ給付: 医療費の自己負担をさらに軽減
  • 出産一時金の上乗せ: 法定の出産一時金に加えて追加給付
  • 保養所の利用: 健保組合が運営する保養所を割安で利用可能
  • 健康診断の補助: 人間ドック等の費用を補助

協会けんぽや国民健康保険には、これらの付加給付はありません。

加入条件の違い

種類 加入条件
健保組合 特定の業界・企業の従業員
協会けんぽ 健保組合がない企業の従業員
国民健康保険 自営業者、無職者、健保組合・協会けんぽに加入していない者

不動産業界の会社員は、会社が東京不動産業健康保険組合に加入していれば、その健保組合に加入します。加入していない場合は、協会けんぽに加入します。

不動産業界で働く場合の健康保険加入

会社員として働く場合:業界健保組合または協会けんぽ

不動産業界の会社員として働く場合、以下のいずれかに加入します:

  • 業界健保組合(東京不動産業健康保険組合等):会社が加入している場合
  • 協会けんぽ:会社が健保組合に加入していない場合

加入手続きは会社が行います。従業員は特に手続きをする必要はありません。

個人事業主として働く場合:国民健康保険

不動産業を個人事業主として営む場合は、国民健康保険に加入します。

国民健康保険の特徴:

  • 前年の所得に応じて保険料が決まる
  • 保険料は全額自己負担(会社との折半なし)
  • 付加給付や福利厚生はなし

個人事業主の場合、保険料負担が重くなる可能性があります。

加入手続きと必要書類

会社員の場合:

  • 会社が手続きを行うため、従業員は特に必要なし
  • マイナンバーカードまたは通知カードの提出が必要な場合あり

個人事業主の場合:

  • 居住地の市区町村役場で手続き
  • 必要書類:本人確認書類、マイナンバー確認書類、印鑑等

詳細は加入する健保組合または市区町村役場で確認しましょう。

不動産売却と健康保険料の関係

会社員・公務員:保険料は上がらない(標準報酬月額で計算)

会社員や公務員が不動産を売却しても、健康保険料は上がりません。

理由は、会社員・公務員の健康保険料は標準報酬月額(給与をもとに決定)で計算されるためです。不動産売却による譲渡所得は、標準報酬月額に含まれません。

国民健康保険・後期高齢者医療制度の加入者:譲渡所得により保険料が上がる可能性

国民健康保険や後期高齢者医療制度の加入者は、不動産売却により保険料が上がる可能性があります。

理由は、国民健康保険料は前年の所得(給与所得、譲渡所得、不動産所得等)をもとに計算されるためです。

:

  • 不動産売却で譲渡所得1,000万円が発生
  • 翌年の国民健康保険料が10万円〜30万円程度上昇する可能性(自治体により異なる)

売却時期や金額を計画的に調整することで、保険料負担を抑えることができます。

保険料を抑える方法:3,000万円特別控除等の活用

不動産売却時の健康保険料への影響を抑える方法:

  • 3,000万円特別控除の活用:自宅売却時に譲渡所得から最大3,000万円を控除
  • 売却時期の調整:複数年に分けて売却することで、1年あたりの所得を抑える
  • 健康保険の種類の見直し:会社員の家族は扶養に入ることで保険料負担を軽減

税制優遇措置の適用要件は複雑なため、税理士への相談を推奨します。

扶養から外れるリスク:年収130万円超の場合

会社員の被扶養者(配偶者等)が不動産を売却し、年収130万円を超えると、扶養から外れて国民健康保険への加入が必要になります。

扶養から外れた場合:

  • 国民健康保険料を自己負担(年間数万円〜数十万円)
  • 健康保険の扶養から外れるため、会社の健保組合の付加給付が受けられなくなる

売却金額を調整し、年収130万円以内に抑えることで、扶養を維持できます。

不動産法人化による社会保険への影響

法人は社会保険加入が義務(健康保険・厚生年金)

不動産会社を法人化すると、健康保険・厚生年金保険への加入が義務付けられます。

全宅連によると、日本年金機構が全産業調査を実施し、未加入の不動産業者への指導を強化しています。国土交通省からも制度周知と加入手続きの要請が出されています。

加入義務のある法人:

  • 株式会社、有限会社、合同会社等すべての法人
  • 従業員数に関わらず加入が必要(1人社長でも加入義務あり)

会社代表者も社会保険への加入が必要

法人の代表者(社長)も、社会保険への加入が必要です。

個人事業主の時は国民健康保険・国民年金だった方が、法人化すると健康保険・厚生年金保険に加入することになります。

社会保険料負担増のシミュレーション

法人化による社会保険料負担増の例:

項目 個人事業主 法人(1人社長)
健康保険 国民健康保険(約50万円/年) 健康保険(約70万円/年、会社負担半分)
年金 国民年金(約20万円/年) 厚生年金(約120万円/年、会社負担半分)
合計 約70万円/年 約190万円/年

法人化により、社会保険料負担が2倍以上になる可能性があります。ただし、厚生年金は将来の年金受給額が増えるメリットもあります。

国土交通省・日本年金機構の指導強化

全宅連によると、国土交通省と日本年金機構が不動産業の社会保険加入指導を強化しています。

指導の背景:

  • 社会保険未加入の不動産業者が一定数存在
  • 従業員の社会保障の確保と公平な競争環境の確保が目的

未加入の場合、年金事務所からの通知や加入指導を受ける可能性があります。罰則として、過去2年分の保険料を遡及して請求される場合もあります。

まとめ:不動産業界と健康保険のポイント

不動産健保(東京不動産業健康保険組合等)は、不動産業界約22万人が加入する業界健保組合で、協会けんぽより福利厚生が充実しています。医療費補助、健康増進サービス、保養所等の付加給付が受けられる点がメリットです。

会社員は不動産売却で健康保険料は上がりませんが、国民健康保険加入者は譲渡所得により翌年の保険料が上がる可能性があります。3,000万円特別控除等の税制優遇措置を活用することで、保険料への影響を抑えられます。詳細は税理士への相談を推奨します。

不動産会社を法人化すると、健康保険・厚生年金保険への加入が義務となります。会社代表者も加入が必要で、社会保険料負担が増加します。国土交通省と日本年金機構が加入指導を強化しているため、未加入の場合は早めに手続きを行いましょう。

マイナ保険証への移行も進んでおり、2024年12月2日から健康保険証の新規発行が終了しています。現行保険証は2025年12月2日まで使用可能ですが、最新情報は東京不動産業健康保険組合等の公式サイトで確認しましょう。

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よくある質問

Q1不動産業界で働く場合、健康保険はどうなるのか?

A1会社員として働く場合、業界健保組合(東京不動産業健康保険組合等)または協会けんぽに加入します。業界健保組合は約22万人が加入し、医療費補助や保養所等の福利厚生が充実しています。個人事業主は国民健康保険に加入します。加入手続きは会社が行うため、従業員は特に手続きをする必要はありません。

Q2不動産を売却すると健康保険料は上がるのか?

A2会社員や公務員は上がりません。健康保険料は標準報酬月額(給与)で計算されるため、不動産売却による譲渡所得は影響しません。一方、国民健康保険・後期高齢者医療制度の加入者は、譲渡所得により翌年の保険料が上がる可能性があります。3,000万円特別控除を活用すれば、譲渡所得から最大3,000万円を控除でき、保険料への影響を抑えられます。税理士への相談を推奨します。

Q3不動産会社を設立する場合、社会保険の加入は必須か?

A3法人は健康保険・厚生年金保険への加入が義務付けられています。従業員数に関わらず加入が必要で、1人社長でも加入義務があります。会社代表者も加入が必要です。日本年金機構や国土交通省が加入指導を強化しており、未加入の場合は年金事務所からの通知や、過去2年分の保険料を遡及して請求される場合があります。早めに手続きを行いましょう。

Q4東京不動産業健康保険組合に加入するメリットは?

A4約22万人の加入者を持つ業界最大級の健保組合です。協会けんぽより福利厚生が充実しており、高額療養費の上乗せ給付、出産一時金の追加給付、保養所の割安利用、人間ドック等の費用補助等の付加給付が受けられます。不動産業界に特化したサービスが提供され、保険料率も協会けんぽより低い場合が多いです。

Q5マイナ保険証への移行はどうなっているのか?

A52024年12月2日から健康保険証の新規発行が終了し、マイナ保険証(マイナンバーカード)への移行が本格化しています。現行の健康保険証は2025年12月2日まで使用可能です。マイナンバーカードを健康保険証として利用することで、医療機関での受診がスムーズになります。詳細は加入している健保組合の公式サイトで確認しましょう。

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Room Match編集部

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